りっく☆じあ~す 中央混成連隊、前進す!   作:土居内司令官(陸自ヲタ)

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14話 休息と即応体制

 村上市でマグマ軍自動車化狙撃大隊を壊滅させた中央混成連隊は、新発田駐屯地に帰ってきた。

 

 車両庫に74式戦車や高機動車が止まり、AH-1S攻撃ヘリが引き込まれる。

 

「車両と武器の手入れをしたら、休みにしていいぞ」

 

 土居内はそう言い、皆が了承する。

 

 土居内はまず全部の弾薬を弾薬庫に返納してから司令官室に入り、89式小銃と9mm拳銃の分解清掃を始める。

 

 終わったら、今回の出撃で消耗した弾薬や燃料、そして戦果についての報告書を作成する。

 

「司令官、お疲れ様です」

 

 そこへ市ヶ谷がやってきた。手にはお盆がある。

 

「おう、それは何だ?」

 

「これですか? さっき霧本さんと一緒にブラウニーを作ってみたんです」

 

 溶かしたチョコとバターを生地に混ぜて焼いたブラウニーがお皿に盛り付けられている。

 

「霧本さんから伺いました。これがお好きだって」

 

 市ヶ谷はそう言って、ブラウニーを土居内に差し出す。土居内は礼を言いながら受け取った。

 

「それとですね……」

 

 市ヶ谷が土居内に顔を近付ける。

 

「何だ?」

 

「好きな物があったら、私に言ってくださいね? 私、頑張って作りますから」

 

 市ヶ谷が微笑む。土居内は頷いた。

 

「分かったよ」

 

 

 

 土居内はブラウニーをつまみながら報告書を書く。

 

 書き終え、防衛省に送信した。東京が陥落した今、防衛省は一時的に金沢市に移動していた。

 

 暇になった土居内は、ガンラックに掛かったM16 A1を手に取る。これは、自衛隊が64式小銃の後継としてアメリカから数丁購入した小銃で、いくつかは40mmM203擲弾発射器(グレネードランチャー)や、M870散弾銃(マスターキー)を装着している。土居内が使っているのはマスターキー付である。

 

 ドライバーでフレームのピンを押し、分解を始める。

 

 すると、習志野がやってきた。

 

「司令官、メンテ終わったわ」

 

「おう、分かった」

 

 習志野は分解されたM16 A1を見る。

 

「どうした?」

 

「いや、何でもない」

 

「そうか。そういえば、お前の銃はM4だったよな?」

 

「その通りだ」

 

「つー事は、特戦か?」

 

「ああ。隊長が第1空挺団から飛ばされたのと同時に、私は特殊作戦群に転属になった。あのM4はその時の相棒だ」

 

「で、どうしてここに?」

 

「……」

 

「習志野?」

 

「……小隊が、私以外全員死んだ」

 

 習志野が震える声で言った。

 

 土居内はそっと習志野の頭を撫でた。

 

「無理に言うな。俺だって同じだ」

 

 土居内は、攻撃ヘリ24號によって死んだ第1普通科連隊の小銃小隊の面々を思い出す。

 

 習志野は涙を拭き、土居内に笑顔を見せる。

 

「ありがとう、やっぱり隊長は優しいな」

 

「俺はもう空挺レンジャーじゃねぇから、あの頃とは違うよ。まだレンジャー徽章はあるけど」

 

 

 

 翌朝、第1兵舎1階の会議室にて――

 

「緊急事態だ!」

 

 土居内がプロジェクターを操作しながら言う。やがて、真っ白なスクリーンに地図が表示される。

 

「1時間前、新潟・群馬県境の競合地域に移動する物体が、空自のRF-4E偵察機によって確認された。写真の解析から、戦車2両、装甲車2両、恐らくはマグマ軍の威力偵察部隊だ。だが、高田駐屯地の部隊は長野強襲作戦に向かっている。そこで、我々中央混成連隊の出番だ」

 

 全員が息をのむ。

 

「敵偵察部隊の排除を行う。富山と豊川はLAMを、久居はグスタフ(84mm無反動砲)を持ってLAV(軽装甲機動車)に搭乗。俺と鯖江は高機動車に、新発田は操縦士だ。コブラはAH-1Sに、木更津姉妹と習志野は車両庫に置いてあるOH-6D偵察ヘリに乗って近くに着陸して待機。74式戦車はトレーラーに載せ、市ヶ谷が運転だ」

 

 今日の編成が発表された。各自立ち上がり、弾薬庫へ向かう。

 

 すると、土居内は鯖江を呼び止めた。

 

「鯖江、施設科だったよな?」

 

「うん、そうだけど?」

 

「よし、手伝いをしてもらいたい」

 

 鯖江は首を傾げた。

 

 

 

 中央混成連隊、出発。軽装甲機動車を先頭に、74式戦車を積んだ特大型トレーラーと高機動車が続く。

 

 AH-1S攻撃ヘリとOH-6D偵察ヘリが離陸し、先に向かう。

 

 一方、高機動車の車内では――

 

「司令官、正気?」

 

「仕方ないだろ。相手は戦車2両、こっちの戦力が足りない。だからアンブッシュ(待ち伏せ)なのさ」

 

 日本海東北自動車道を南下し、福島へ向かう第16普通科連隊の車列とすれ違う中、土居内と鯖江は白い粘土らしき物をこねていた。

 

 鯖江は溜め息をつく。一方の土居内は、ワイヤーを切ったり繋げたりを繰り返していた。

 

 

 

 マグマ軍の威力偵察部隊は、新潟県に入った。細い山道を、重戦車72號と歩兵戦闘車2號が進む。キャタピラがアスファルトをほじくり返し、重々しいディーゼルエンジン音が森を揺らす。

 

 すると、道路が瓦礫で寸断されていた。T-72の砲塔上部で指揮を執っていたスライムスーツの女が、道路脇の未舗装部分を指差し、向かう。T-72が砂利を巻き上げながら進む。

 

 

 

「起爆!」

 

 鯖江がM60発火具のリングを引いて離す。その瞬間、デトコードによってC4爆弾が爆発した。

 

 未舗装部分に埋められた150kgにもなるC4爆弾により、2両の重戦車72號のキャタピラが吹き飛び、その後ろの2両の歩兵戦闘車2號が立ち往生する。素早く歩兵が飛び出すが、そこへヘリコプターがやってくる。

 

 AH-1S攻撃ヘリが20mmガトリング砲を撃ち、OH-6D偵察ヘリの後部座席から茜がMINIMI機関銃を、習志野がM4 A1自動小銃を射撃する。

 

 さらに土居内がLAW M72使い捨てロケットランチャーを、富山と豊川が110mm対戦車弾を、久居が84mm無反動砲(B)を発射し、歩兵戦闘車2號を撃破する。

 

「ギュギュ!?」

 

「ギューギュイギュイ!」

 

 すっかりパニックになったマグマ軍威力偵察部隊。スライムスーツが破れ、病弱そうな白い肌を露出する女が、右へ左へ重戦車72號の重機関銃を撃ちまくる。

 

 そのため、74式戦車が2両の重戦車72號を密かに狙っているのに気付かなかった。

 

「目標、正面2両、徹甲弾、発射!」

 

 105mm戦車砲から徹甲弾が発射され、重戦車72號の砲塔基部にめり込む。そして砲塔内部の砲弾の信管に当たった。結果、重戦車72號の砲弾が吹き飛んだ。

 

 ナナヨンは次弾を装填し、2両目の重戦車72號を撃った。

 

 

 

 マグマ軍威力偵察部隊は全滅した。土居内は着剣した89式小銃で歩兵の死体をつつく。まだ息があれば、撃って止めを刺した。

 

「しかし変だな」

 

 土居内が呟く。近くにいた富山が訊いた。

 

「何が変なんだよ?」

 

「他部隊や偵察機からの情報だと、重戦車72號の数はまだ少ない。だからまだ中戦車54號と重戦車64號が主力だ。だから偵察部隊に重戦車72號がいるのは変だ」

 

「ただの気紛れじゃねえの?」

 

「だといいが」

 

 

 

 しかし土居内が感じた違和感は、この後の戦況に大きく響く事になる。




 はい、久々の投稿です。習志野と茜がOH-6D偵察ヘリから銃撃するシーンがありますが、これはある映画からのオマージュですね。
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