りっく☆じあ~す 中央混成連隊、前進す! 作:土居内司令官(陸自ヲタ)
村上市でマグマ軍自動車化狙撃大隊を壊滅させた中央混成連隊は、新発田駐屯地に帰ってきた。
車両庫に74式戦車や高機動車が止まり、AH-1S攻撃ヘリが引き込まれる。
「車両と武器の手入れをしたら、休みにしていいぞ」
土居内はそう言い、皆が了承する。
土居内はまず全部の弾薬を弾薬庫に返納してから司令官室に入り、89式小銃と9mm拳銃の分解清掃を始める。
終わったら、今回の出撃で消耗した弾薬や燃料、そして戦果についての報告書を作成する。
「司令官、お疲れ様です」
そこへ市ヶ谷がやってきた。手にはお盆がある。
「おう、それは何だ?」
「これですか? さっき霧本さんと一緒にブラウニーを作ってみたんです」
溶かしたチョコとバターを生地に混ぜて焼いたブラウニーがお皿に盛り付けられている。
「霧本さんから伺いました。これがお好きだって」
市ヶ谷はそう言って、ブラウニーを土居内に差し出す。土居内は礼を言いながら受け取った。
「それとですね……」
市ヶ谷が土居内に顔を近付ける。
「何だ?」
「好きな物があったら、私に言ってくださいね? 私、頑張って作りますから」
市ヶ谷が微笑む。土居内は頷いた。
「分かったよ」
土居内はブラウニーをつまみながら報告書を書く。
書き終え、防衛省に送信した。東京が陥落した今、防衛省は一時的に金沢市に移動していた。
暇になった土居内は、ガンラックに掛かったM16 A1を手に取る。これは、自衛隊が64式小銃の後継としてアメリカから数丁購入した小銃で、いくつかは40mmM203擲弾発射器(グレネードランチャー)や、M870散弾銃(マスターキー)を装着している。土居内が使っているのはマスターキー付である。
ドライバーでフレームのピンを押し、分解を始める。
すると、習志野がやってきた。
「司令官、メンテ終わったわ」
「おう、分かった」
習志野は分解されたM16 A1を見る。
「どうした?」
「いや、何でもない」
「そうか。そういえば、お前の銃はM4だったよな?」
「その通りだ」
「つー事は、特戦か?」
「ああ。隊長が第1空挺団から飛ばされたのと同時に、私は特殊作戦群に転属になった。あのM4はその時の相棒だ」
「で、どうしてここに?」
「……」
「習志野?」
「……小隊が、私以外全員死んだ」
習志野が震える声で言った。
土居内はそっと習志野の頭を撫でた。
「無理に言うな。俺だって同じだ」
土居内は、攻撃ヘリ24號によって死んだ第1普通科連隊の小銃小隊の面々を思い出す。
習志野は涙を拭き、土居内に笑顔を見せる。
「ありがとう、やっぱり隊長は優しいな」
「俺はもう空挺レンジャーじゃねぇから、あの頃とは違うよ。まだレンジャー徽章はあるけど」
翌朝、第1兵舎1階の会議室にて――
「緊急事態だ!」
土居内がプロジェクターを操作しながら言う。やがて、真っ白なスクリーンに地図が表示される。
「1時間前、新潟・群馬県境の競合地域に移動する物体が、空自のRF-4E偵察機によって確認された。写真の解析から、戦車2両、装甲車2両、恐らくはマグマ軍の威力偵察部隊だ。だが、高田駐屯地の部隊は長野強襲作戦に向かっている。そこで、我々中央混成連隊の出番だ」
全員が息をのむ。
「敵偵察部隊の排除を行う。富山と豊川はLAMを、久居はグスタフ(84mm無反動砲)を持ってLAV(軽装甲機動車)に搭乗。俺と鯖江は高機動車に、新発田は操縦士だ。コブラはAH-1Sに、木更津姉妹と習志野は車両庫に置いてあるOH-6D偵察ヘリに乗って近くに着陸して待機。74式戦車はトレーラーに載せ、市ヶ谷が運転だ」
今日の編成が発表された。各自立ち上がり、弾薬庫へ向かう。
すると、土居内は鯖江を呼び止めた。
「鯖江、施設科だったよな?」
「うん、そうだけど?」
「よし、手伝いをしてもらいたい」
鯖江は首を傾げた。
中央混成連隊、出発。軽装甲機動車を先頭に、74式戦車を積んだ特大型トレーラーと高機動車が続く。
AH-1S攻撃ヘリとOH-6D偵察ヘリが離陸し、先に向かう。
一方、高機動車の車内では――
「司令官、正気?」
「仕方ないだろ。相手は戦車2両、こっちの戦力が足りない。だからアンブッシュ(待ち伏せ)なのさ」
日本海東北自動車道を南下し、福島へ向かう第16普通科連隊の車列とすれ違う中、土居内と鯖江は白い粘土らしき物をこねていた。
鯖江は溜め息をつく。一方の土居内は、ワイヤーを切ったり繋げたりを繰り返していた。
マグマ軍の威力偵察部隊は、新潟県に入った。細い山道を、重戦車72號と歩兵戦闘車2號が進む。キャタピラがアスファルトをほじくり返し、重々しいディーゼルエンジン音が森を揺らす。
すると、道路が瓦礫で寸断されていた。T-72の砲塔上部で指揮を執っていたスライムスーツの女が、道路脇の未舗装部分を指差し、向かう。T-72が砂利を巻き上げながら進む。
「起爆!」
鯖江がM60発火具のリングを引いて離す。その瞬間、デトコードによってC4爆弾が爆発した。
未舗装部分に埋められた150kgにもなるC4爆弾により、2両の重戦車72號のキャタピラが吹き飛び、その後ろの2両の歩兵戦闘車2號が立ち往生する。素早く歩兵が飛び出すが、そこへヘリコプターがやってくる。
AH-1S攻撃ヘリが20mmガトリング砲を撃ち、OH-6D偵察ヘリの後部座席から茜がMINIMI機関銃を、習志野がM4 A1自動小銃を射撃する。
さらに土居内がLAW M72使い捨てロケットランチャーを、富山と豊川が110mm対戦車弾を、久居が84mm無反動砲(B)を発射し、歩兵戦闘車2號を撃破する。
「ギュギュ!?」
「ギューギュイギュイ!」
すっかりパニックになったマグマ軍威力偵察部隊。スライムスーツが破れ、病弱そうな白い肌を露出する女が、右へ左へ重戦車72號の重機関銃を撃ちまくる。
そのため、74式戦車が2両の重戦車72號を密かに狙っているのに気付かなかった。
「目標、正面2両、徹甲弾、発射!」
105mm戦車砲から徹甲弾が発射され、重戦車72號の砲塔基部にめり込む。そして砲塔内部の砲弾の信管に当たった。結果、重戦車72號の砲弾が吹き飛んだ。
ナナヨンは次弾を装填し、2両目の重戦車72號を撃った。
マグマ軍威力偵察部隊は全滅した。土居内は着剣した89式小銃で歩兵の死体をつつく。まだ息があれば、撃って止めを刺した。
「しかし変だな」
土居内が呟く。近くにいた富山が訊いた。
「何が変なんだよ?」
「他部隊や偵察機からの情報だと、重戦車72號の数はまだ少ない。だからまだ中戦車54號と重戦車64號が主力だ。だから偵察部隊に重戦車72號がいるのは変だ」
「ただの気紛れじゃねえの?」
「だといいが」
しかし土居内が感じた違和感は、この後の戦況に大きく響く事になる。
はい、久々の投稿です。習志野と茜がOH-6D偵察ヘリから銃撃するシーンがありますが、これはある映画からのオマージュですね。