りっく☆じあ~す 中央混成連隊、前進す!   作:土居内司令官(陸自ヲタ)

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20話 作戦準備

 陸上自衛隊では、着々と愛知県・長野県南部解放作戦が進み、中央混成連隊もその手伝いの準備をしていた。

 

「愛知・長野南部解放作戦が今、上で計画されている。我々中央混成連隊も、その手伝いをするよう防衛省からお達しが来た」

 

「手伝いって?」

 

 新発田駐屯地・会議室で、茜が質問する。

 

「俺達の役割は『機動予備戦力』、文字通りベンチメンバーだ。現在の俺達は、混成の名にふさわしいごちゃ混ぜ状態、機甲科、航空科、野戦特科、高射特科、普通科が混在している。必要な時、必要な戦力を投入出来るから、機動予備戦力に指定されたんだ」

 

 全員が息を呑む。

 

「作戦は明後日0600に行われる。それまで、各自訓練に励め!」

 

 土居内が叫ぶ。全員が大声を出して応え、散らばっていく。そんな中、土居内は市ヶ谷を呼び止める。

 

「市ヶ谷、一緒に来てもらいたいんだが」

 

「私、ですか?」

 

「ああ」

 

 

 

 2人は、高機動車で出発した。北陸自動車道を進み、石川県 金沢市を目指す。

 

「司令官、何処に向かうんですか?」

 

「金沢城跡だ」

 

「城跡ですか!? こんな状況で!?」

 

 助手席の市ヶ谷が驚く。2人は陸上自衛隊制定の制服を来ていた。土居内の胸には、レンジャー徽章が輝いている。

 

「今はただの城跡じゃあない。ま、着いてからのお楽しみだ」

 

 高機動車は、車通りが全くない高速道路を疾走する。

 

 

 

 新発田駐屯地・グラウンド――

 

「小銃班、降車! 車両班は目標陣地に制圧射撃!」

 

 89式装甲戦闘車や軽装甲機動車、87式自走高射機関砲が機関砲を撃ち、小銃を手にした少女達が素早く装甲車から降りる。

 

「小隊突撃ぃ!」

 

 10式戦車の砲塔後部バスケットでスコープ付64式小銃を構える鯖江が叫ぶ。

 

 少女達は小銃を撃ちながら前進する。やがて距離が近くなると、セレクターを「単発」から「連射」や「3発制御点射」にしながら発砲を続ける。

 

 習志野はM4 A1自動小銃を撃つ。弾切れ、的までの距離は12m、ホルスターからドイツ製自動拳銃・H&K USPを抜いて撃つ。

 

「撃ち方止め!」

 

 鯖江の声で皆銃を降ろす。

 

「じゃ、皆で休憩しよ、休憩」

 

 茜の提案に全員乗る。中央混成連隊のメンバーは、銃を手に休憩を始めた。

 

 

 

 金沢東インターチェンジで、高機動車が高速道路を降りる。非常事態宣言によって高速道路は自衛隊しか利用出来ないため、料金は取られない。

 

 市街地に入った高機動車は、人通りの多い市街地を走る。

 

 市ヶ谷は助手席から街を見る。戦争中なのに、やけに活気があった。

 

 土居内は寄り道せずに金沢城跡へ向かう。駐車場に高機動車を止め、降りる。

 

「うわっ、何なんですかこれ!?」

 

 降りて早々、市ヶ谷が驚く。金沢城跡には無数のテントが設置され、出入り口を96式装輪装甲車や完全武装の自衛隊員が守っていた。

 

「防衛省、陸上幕僚の施設(仮)だ。東京が陥落した今、ここ金沢城跡に一時的に移転したのさ」

 

 土居内が説明した。そして市ヶ谷を促す。

 

「さ、入ろう。いつまでもここに突っ立ってると怪しまれるぞ」

 

 市ヶ谷は土居内に従った。

 

 

 

 その頃、中央混成連隊の面々は休憩していた。

 

「このチョコ美味しい!」

 

「うわっ、ホントだ! めっちゃヤバい!」

 

 霧本お手製のチョコ菓子に、皆感歎する。そんな中、霧本は気付いた。

 

「あれ、飛音ちゃん?」

 

 霧本はM4 A1自動小銃を提げる習志野に問い掛ける。

 

「ん? 何だ?」

 

「その銃、安全装置が掛かってないよ?」

 

 すると、習志野は右人差し指で引き金を引く真似をしながら言った。

 

「私にとっての安全装置はコレ(引き金)だ」

 

「そ、そうなの~」

 

 霧本は、適当に受け流した。

 

 

 

 土居内と市ヶ谷は、門番に連れられ金沢城跡に入る。城内には大量のテントが設営され、自衛隊員が駆け回っていた。

 

「こちらです」

 

 門番が、その内の一つを指差す。

 

「中央混成連隊の土居内3尉をお連れしました」

 

「入れ」

 

 中から声がし、土居内と市ヶ谷は中に入った。

 

「失礼します」

 

 中には地図を広げた大きなテーブル、巨大なモニターが設置され、地図上にはたくさんの駒が置かれている。端にはスーツ姿の女性が立っていた。

 

「中央混成連隊・連隊長の土居内3等陸尉です」

 

「同じく、市ヶ谷3等陸尉であります」

 

 すると、椅子に座っていた迷彩服を来た男が立ち上がった。

 

「中央即応集団・団長の津田沼陸将補だ。久し振りだな、土居内3尉」

 

 いきなりそう言われ、土居内は驚く。しかし、思い出した。

 

「あ! 津田沼2佐!?」

 

「今は陸将補だがな。そっちは変わらず3尉か」

 

「余計なお世話ですよ」

 

 市ヶ谷が質問する。

 

「あの、お2人は一体――」

 

「こいつが空挺団にいた時の上官だ」

 

 津田沼陸将補が答える。土居内は頷いた。

 

「上官……」

 

 市ヶ谷は津田沼の言葉を繰り返す。すると、津田沼は咳払いした。

 

「こっからが本題だ。お前達中央混成連隊は今、何処の方面隊にも属していない。だから――」

 

 津田沼はそこで言葉を区切った。土居内と市ヶ谷は唾を飲み込む。

 

「中央混成連隊は防衛大臣直属の部隊とする」

 

「へ?」

 

 土居内は間抜けな声しか出せなかった。代わりに、先程のスーツ姿の女性が口を開く。

 

「現在、自衛隊は圧倒的な戦力不足に陥っています。質ではこちらが勝っているとはいえ、際限なく現れ、そして進化を続けるマグマ軍に対し、火力で立ち向かうのは損害が大きい。そこで、機動力によってマグマ軍の拠点を強襲する計画を作りました。それが、貴方達なのです」

 

 土居内は質問をする。

 

「待ってください、どうして私が――」

 

「適任だからです。聞いた話だと、貴方は空挺団時代に、たった30人の小隊を引き連れ、200人のテロリストと交戦した、とか」

 

「――あの時は、NGO団体の所へパトロールしに行ったら戦いに巻き込まれただけですよ」

 

「しかし、NGO団体や貴方の隊に死亡者は無し、よくそんな被害で帰還出来たなと評価されています」

 

「買いかぶりです」

 

「私はそうは思いません。貴方なら、マグマ軍を殲滅できる」

 

「殲滅? 何故そんなのを私に? 連隊程の戦力が無いのに」

 

「それに関して、今回の愛知・長野南部解放作戦が成功すれば、貴方の隊に何人か転属させます。防衛大臣直属、中央混成連隊の名に恥じない働きを期待します」

 

 そこで、土居内は思い立った。

 

「そういえば、お名前は?」

 

「私ですか? 稲木 直子です」

 

 それは、現防衛大臣の名だった。

 

 

 

 その頃、東北自動車道では――

 

「そこのトラック、ただちに左側に寄って止まれ!」

 

 近衛兵が拡声器を手に、BTR-70装輪装甲車の車上で叫ぶ。その横で、歩兵がPKM軽機関銃を構える。

 

 しかし、BTR-70の後ろを走る緑色の大型トラックに止まる気配はない。ましてや、加速しているのだ。

 

「ギュッギューギュギュ?」

 

「仕方ない、射撃しろ」

 

「ギュイ」

 

 歩兵は、近衛兵の指示に従いPKM軽機関銃を撃とうとしたが、心臓を撃たれた、

 

「なっ!?」

 

 近衛兵は驚く。見れば、トラックの運転席の窓から9mm拳銃が突き出ている。ドットサイトとタクティカルライトの付いたカスタマイズ品だった。

 

「地上人が……!」

 

 近衛兵はPKM軽機関銃を構えようとする。が、彼女も心臓に2発の銃弾を喰らった。

 

 そしてトラックはBTR-70に軽く追突し、そのままBTR-70を押す。

 

 競り負けたBTR-70はトラックに道を譲る。その代わり、先程と違う歩兵がAKS47自動小銃を手に車上から頭を出す。

 

「馬鹿が」

 

 トラックを運転する女性が9mm拳銃を向ける。そして発砲した。

 

 

 

 金沢城跡、臨時作戦司令部テントから稲木防衛大臣が出ていく。

 

「しかし、驚きましたね」

 

「まだ防衛大臣が日本にいたとは……」

 

 土居内と市ヶ谷が話す。津田沼は腕組みをしながら口を開く。

 

「戦争が始まった途端国外へ逃げ出した何処ぞの総理や幕僚とは大違いだ」

 

 そこで、土居内は津田沼に質問をした。

 

「どうして私の所には女性ばかり配属されるのですか?」

 

 すると、津田沼はニヤリと笑いながら答えた。

 

「いいだろ? ハーレムで」

 

「良くありませんよ。とんでもなく息苦しいですし、それに私は10年近く異性交遊が無いんですよ」

 

「空挺団の時も、皆で呑みに行くっつーのに一人残ってサービス残業してたしな」

 

 さすがに、土居内はむっとした。

 

「茶化さないでください。本当の理由は?」

 

「堅いなぁ。分かった分かった、実のところ女性自衛官の扱いに困っていたんだよ」

 

「「は?」」

 

 土居内と市ヶ谷が驚く。

 

「今のご時世、男女同権、性差別撤廃と変わりつつある。当然陸自も乗らなきゃならん、が今まで男ばかりの環境に女を投入してみろ、あっという間に風紀が、な。下手な事すればセクハラで訴えられるが、かと言って特別扱いすればマスコミや野党に突っ込まれ……そこで各隊の女性自衛官を集めて解決しようと考えた、それが中央混成連隊だ」

 

 土居内はいきり立った。そんな理由で自分が使われたのか、イラクPKOだって何をしようにも現場を思ってない――むしろ自分の立場しか考えてない――上官の指示を仰がなければならなかった。そして自分が中央混成連隊の連隊長になったのも、やはり身勝手な上層部の所為だった。

 

「土居内、確かに済まないと思っている。お前をずっと捨て駒として使ってきた事を。今俺をぶん殴っても構わない。だがそれ以外の奴を殴るのは後だ、今お前を慕っている部下はどうなる? 全てが一段落着いたらぶん殴れ。俺も協力する」

 

 それを聞き、土居内は握り締めた拳を緩めた。

 

「元上官を厄介事に巻き込むつもりはありませんよ、津田沼陸将補」

 

「そうか、まあ反乱を起こすならその前に俺に一報入れろよ? 弁護はしてやるつもりだからな」

 

 そして土居内と津田沼は握手した。

 

 

 

 愛知・長野南部解放作戦まで、あと2日――

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