りっく☆じあ~す 中央混成連隊、前進す!   作:土居内司令官(陸自ヲタ)

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22話 前日 その1

 翌朝、土居内は起床ラッパが鳴る前に起きた。ジャージから迷彩服に着替え、グラウンドに出る。

 

 起床ラッパが鳴り、国旗掲揚の時間になった。ぞろぞろと兵舎から隊員が出てきて、掲げられる日本国旗に向かって敬礼する。

 

 国旗掲揚が終わり、そのまま食堂に向かう。そして土居内は気付いた。

 

「おい、コブラがいないぞ。誰か知らないか?」

 

 中央混成連隊のメンバーは首を傾げる。どうやら誰も知らないらしい。

 

「困ったな。木更津准尉、あいつの部屋に行ってもらえないか?」

 

「私、ですか?」

 

 葵は一瞬嫌そうな顔をしたが、すぐに笑顔で答えた。

 

「了解です」

 

 葵は兵舎の階段を上る。

 

 土居内は食堂に入った。

 

 

 

(はぁぁ……司令官に言われたから来たけど、嫌だなぁ……)

 

 葵は物音一つしない第1兵舎・2階の廊下を歩く。

 

 やがて、「AH-1S コブラ」という表札の掛かった部屋の前に着いた。ドアをノックするが、反応は無い。

 

 葵は9mm拳銃を抜き、ドアノブをひねり、中に入る。やはり反応が無い。

 

「コブラさん、コブラ~?」

 

 部屋は真っ暗だが、自分の部屋と同じ作りだから照明スイッチの位置は一緒だ。

 

 パチッ。

 

 スイッチを入れ、部屋を明るくする。案の定、コブラは真っ赤なパジャマを着てベッドで寝ていた。

 

「はいはい、もう朝ですよ」

 

 葵はコブラを揺する。すると、コブラは寝言を言った。

 

「……茜お姉様ぁ……」

 

 それを聞き、葵はコブラの額目掛けて右手を振り下ろした。

 

 

 

 土居内達は食堂で朝食を摂り、会議室に集まった。

 

「明日の作戦を説明する」

 

 土居内はプロジェクターの電源を入れ、地図をスクリーンに映す。

 

「明日、日の出と共に米空軍のF-16が愛知・長野南部にある8ヶ所の野戦レーダーに対レーダーミサイルを発射、そして海自と米海軍の艦艇が愛知沿岸を無差別砲撃後、陸自、米陸軍、米海兵隊で挟み撃ちだ。我が中央混成連隊は第1師団の突撃支援の要請が来ているため、突撃支援射撃を行う。まず、岐阜県から国道256号を通って長野南部に侵入、そして飯田峠で即席の砲撃陣地を構築、第1師団が飯田市解放を行い、我が隊は直ちに国道151号から愛知に突入する。異論は無いか?」

 

 一気に言い切った。すると、ナナヨンが手を挙げる。

 

「岐阜から、一気に長野経由で愛知へ?」

 

「ああ。愛知突入後、そのまま豊川市まで移動し、海兵隊と合流する」

 

 今度は、額に包帯を巻き、頬にひっかき傷があるコブラが手を挙げた。

 

「編成は?」

 

「それはまだだ。今日の1030までに決める。他に無いか?」

 

 全員が頷く。土居内は手を叩いた。

 

「よし、直ちに明日のための訓練を行え! 解散!」

 

 全員立ち上がり、装備を手にグラウンドへ向かう。

 

 土居内は司令官室に籠もり、編成を決定する。

 

「これでいいだろう」

 

 グラウンドから銃声や砲声が聞こえる。

 

 

 

 砂を巻き上げ停車した89式装甲戦闘車の後部ハッチから隊員達が降りていく。

 

「新発田、そこじゃない! 後ろに撃たれるぞ!」

 

「ご、ごめんなさい!」

 

 鯖江が怒鳴り、新発田が正しい位置に移動する。

 

「何か、鯖江さんが鬼軍曹みたいです……」

 

「あれで元施設科?」

 

 久居と茜が話す。すると、鯖江が聞き取った。

 

「喋ってる暇あったら体動かせ!」

 

 

 

 やがて1030になった。土居内はグラウンドに皆を集め、編成を発表する。

 

「まず車両班。班長、ナナヨン。ヒトマル、キューマル、タイガー、スカイシューターはここだ。次、ヘリ班はコブラを筆頭に、木更津姉妹がOH-6Dに乗れ。小銃班、鯖江を班長に、習志野と松本はLAV(軽装甲機動車)でスナイパーユニットを、鯖江、富山、豊川、久居、新発田はFV(89式装甲戦闘車)に搭乗。特科班、エフエイチとキューキュー、市ヶ谷は中砲牽引車を運転しろ。以上だ、質問は?」

 

 コブラが手を挙げる。

 

「あの、茜お姉様と組ませてもらえないですか?」

 

「ヘリのガンナーが足りないんだよ。だから、お前が木更津3尉を守れ」

 

 コブラは土居内の言葉を聞き、満開の笑顔になった。

 

「はい!」

 

 その間、葵が殺気に満ち溢れた顔をしていたが。

 

 

 

「これで、私が運ばれるのねぇ……」

 

 三つ編み、そして市ヶ谷に負けない大きさのバストを持つ、FH-70 155mm榴弾砲の妖精・エフエイチが呟く。その視線の先には、1台のトラックがあった。

 

 6輪で、車体は緑色、荷台の幌を取っ払い、代わりにクレーンを取り付けた、FH-70 155mm榴弾砲を引っ張るためだけに開発された中砲牽引車だった。

 

「今回、特科が新たに増えたからな。おかげで火力が大幅に増えた分、作戦指揮が複雑になりそうだ」

 

 土居内が言う。その隣には市ヶ谷がいた。

 

 

 

 その頃、グラウンドでは――

 

「私の足を引っ張ったら、容赦しないわよ?」

 

「分かってます!」

 

 グラウンドで74式戦車と90式戦車、10式戦車が停車し、小銃班が隠れる。

 

 戦車の陰から、小銃班が射撃をし、ナナヨンやヒトマル、90式戦車の妖精・キューマルがブローニング M2重機関銃を連射する。

 

 87式自走高射機関砲の妖精・スカイシューターは砲塔の上から空を見、そのツインテールが風に揺れる。

 

 

 

「こちらショーグン6! 何てこった、マグマ軍の奴ら、ミグに化けてやがる!」

 

 愛知県 名古屋市上空、戦術偵察中の米海軍戦闘攻撃機F/A-18Fが、マグマ軍のMiG-29に追われていた。

 

 F/A-18Fがアフターバーナーを煌めかせて逃げようとする。しかし、MiG-29も負けじと追い掛ける。

 

 そして、F/A-18Fの受動警戒装置が警鐘を鳴らした。

 

「ロックオンされたぞ!」

 

「分かってるよ!」

 

 チャフ、フレアを撒いて回避機動。しかし鳴り止まない。

 

「まずい、ミサイル接触まであと4秒!」

 

 F/A-18Fの後方からミサイルが2発近づく。ソ連製赤外線ホーミング中射程空対空ミサイル・アラモ AA-10Bだ。

 

「くそっ! フレアもチャフも撒いたのに!」

 

 パイロットが叫ぶ。通常なら、フレアを撒けば赤外線ホーミングミサイルをかわせる。が、今F/A-18Fはアフターバーナーを点火して飛行中のため、エンジンがフレアよりも温度が高くなっている。だからかわせられなかったのだ。

 

「もう駄目だ!」

 

 ミサイルのVT(近接)信管が作動、破片がエンジンノズルに飛び込み、垂直尾翼を抉る。エンジンが炎を吹き出し、失速する。

 

 

 

 夕方、訓練を終えた中央混成連隊のメンバーは風呂場に向かう。

 

 土居内はたった一人、男湯に浸かっていた。

 

「大浴場独占サイコー……」

 

 土居内が呟く。

 

 すると、水中を移動する物体が目に入った。金色というか、栗色というかの物体がゆらゆらと近付いてくる。土居内はゆっくり離れ、上がろうとする。

 

 いきなりその物体は水面から出た。土居内の右手が本能的に9mm拳銃を探すが、今は脱衣所に置いている。

 

 出てきた物体は、人だった。長い栗色の髪で顔は見えないが、年相応のバストから誰かは分かる。

 

「何してんだ? 富山」

 

 それは富山だった。




 ふへへ・・・ついにお風呂シーンだぜ(作者宅に110mm対戦車弾が撃ち込まれました)
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