りっく☆じあ~す 中央混成連隊、前進す!   作:土居内司令官(陸自ヲタ)

25 / 77
24話 愛知・長野南部解放作戦 前編

 朝早い、新発田駐屯地にて――

 

「全員集まったな? 今日は我々中央混成連隊設立以来、初めての大規模作戦だ。全員気を引き締めろ!」

 

 ボディアーマー、迷彩服、そして88式鉄帽(通称・嘘っぱち)に身を包んだ土居内が叫ぶ。隊員達の目は、やる気に満ち溢れていた。

 

 そして土居内は腕時計に触れる。

 

「では、これより時刻調整を行う。10秒前」

 

 全員が腕時計のボタンに触れる。

 

「5、4、3、2、1(ひと)、今!」

 

 一斉に腕時計のボタンが押され、「06:00」から動き始める。

 

「全員乗車!」

 

 土居内が叫び、皆それぞれの車両に乗り込む。土居内は74式戦車の砲手用キューポラに収まり、右腕を上に向けて前へ倒す。

 

 中央混成連隊が出撃した。

 

 

 

 夜明けと共に、米空軍のF-16がAGM-88対レーダーミサイルを次々発射、マグマ軍の防空網の破壊を始める。

 

 濃尾平野では、マグマ軍が重戦車72號を中心に戦線を展開していたが、そこへ陸上自衛隊の特科隊の203mm自走砲やM270 MLRS自走多連装ロケット砲が砲撃を加える。

 

 技研や武器科の人々が徹夜で作った即席のクラスターロケット弾や米軍から給与されたブリリアント対戦車クラスターロケット弾が炸裂、T-72の装甲を溶かす。

 

 そして、陸上自衛隊の地上部隊が突撃を開始する。90式戦車や10式戦車を先頭に、時々田畑の畦道に身を隠しながら進む。

 

 当然マグマ軍は反撃を始める。が、ソ連の戦車は防御戦に適した作りになっておらず、そして陸上自衛隊の戦車は身を隠しての射撃を得意としている。そのため、重戦車72號は俯角を目一杯取れずに射撃できない中、自衛隊の90式戦車や10式戦車は車高調整機構を用いて車体を隠しながら正確な攻撃を加える。

 

 さらに、自衛隊の戦車は射撃しながら道路を走る。このような行進間射撃は現代の戦車なら出来るが、必ずと言っていい程減速する。これは車体の揺れを抑え、命中精度を向上させるためだが、陸上自衛隊の90式戦車や10式戦車はその必要が無い。世界トップクラスと言える砲身安定装置や射撃統制コンピューターによって、充分な精度を得られるからだ。

 

「第2戦車大隊、交戦開始。これより普通科連隊が愛知へ突入します」

 

「うむ、作戦通りだな。米海兵隊と米陸軍はどうだ?」

 

「海自、米海軍の砲撃による海岸制圧が終わるまで待機しています」

 

「そうか。長野南部の方も順調みたいだな?」

 

「ええ。現状では我々の方が優位です」

 

 82式指揮通信車の車内で、二人の男が話し合っていた。

 

「しかし、市街地に入るまで油断は出来ないな」

 

 

 

 長野県南西部・飯田峠――

 

「よし、FFOSの準備完了」

 

 道の真ん中に、99式155mm自走榴弾砲とFH-70 155mm榴弾砲が展開する。FFOS(無人観測ヘリ)が敵の位置をリアルタイムで中継し、第1師団の位置も射撃指揮を行う土居内が手にしたノートパソコンに表示される。

 

「準備OKか?」

 

〔もちろん!(エフエイチ)〕

 

〔OKです(キューキュー)〕

 

「よし、特科班、射撃開始!」

 

 2発の155mm榴弾が同時に発射され、木々を揺らす。その衝撃波は周りにいた隊員達を襲う。

 

「うへぇ、こんな至近距離で榴弾砲の一斉射は初めてだ……」

 

 74式戦車の砲手用キューポラで、土居内が唸る。周りでは、砲声にやられたのか、装甲車や地面に手をつく隊員が多くいた。

 

 しかし、土居内はぐらぐら揺れる頭を抑え、ノートパソコンを見る。無人観測ヘリからリアルタイムで送られてくる映像を見る。

 

 それは街を映していた。しかし、人の姿は見えない。やがて砲弾が炸裂した。道路に止まっていたマグマ軍の重戦車64號や歩兵戦闘車2號が吹き飛ぶ。

 

「特科班、撃ち方止め! 第1師団が飯田市に突入する、車両班と小銃班は移動準備!」

 

 土居内が叫んだ。直ちに戦車や装甲車が動き始める。

 

 

 

 その頃、渥美半島の沿岸に揚陸艇が近付きつつあった。マグマ軍は対艦ミサイルや対戦車ミサイルと迎え撃とうとするも、海上自衛隊の対潜哨戒ヘリ・SH-60Kや米海兵隊の攻撃ヘリ・AH-1Zによって海岸を制圧される。

 

 やがて揚陸艇が接岸、素早く装甲車が展開し上陸地点を確保する。

 

 その地点から、次々とM1126装輪装甲車やM1 A2戦車が上陸、一気に豊川市へと向かった。

 

 

 

 愛知県 名古屋市――

 

「スナイパーだ! スモーク、スモーク!」

 

 陸上自衛隊の普通科連隊とマグマ軍が銃撃戦を繰り広げていた。

 

「あがっ――」

 

 自衛隊員のヘルメットが吹き飛び、血と脳漿が撒き散る。

 

「言ったでしょ!? スナイパーがいるって!」

 

 小隊長とおぼしき女性隊員が叫ぶ。88式鉄帽に防弾チョッキ2型、平凡な格好で、長い黒髪をヘルメットの中で束ねていた。

 

「西村3曹! 向こうに弾幕を張れ!」

 

「了解!」

 

 男性隊員が、通りの向こうへMINIMI機関銃を撃ちまくる。

 

 別の隊が96式装輪装甲車で駆けつけ、ブローニング M2重機関銃で援護射撃をする。

 

「地底人をやっつけろ!」

 

 96式装輪装甲車から、89式小銃片手に自衛隊員が飛び降り、交戦を始める。

 

 

 

 そして、そんな名古屋市街を軽装甲機動車が爆走する。

 

「うちらのブラックホーク(UH-60JA汎用ヘリ)が墜落した! 直ちに乗員の救出及びIFF(敵味方識別装置)と無線機の回収または破壊を行う!」

 

 7台の軽装甲機動車の行き先には、交差点の真ん中に墜ちたUH-60JA汎用ヘリが見える。メインローターやテールシャフトは無残に折れ、機体は辛うじて原型を留めていた。

 

「停車、散開!」

 

 軽装甲機動車が止まり、隊員達が散らばる。周囲を警戒しながらヘリに近付く。

 

「隊長、生存者です!」

 

 隊員が叫ぶ。近付いてみると、確かにコクピットに座った少女は気を失っているだけだった。

 

「もしかしたらどこか大怪我をしているかもしれない、第1分隊は慎重に救出作業を行え!」

 

「了解!」

 

 第1分隊の隊員達がUH-60JA汎用ヘリに近付く。

 

 しかし、別の分隊が何かを見つけた。

 

「通りの向こうから敵が!」

 

「第2分隊、距離120(メートル)、短連射、ってぇ!」

 

 第2分隊が、東側からやってくるマグマ軍歩兵を銃撃する。89式小銃やMINIMI機関銃が唸り、薬莢が舞う。

 

 そして第3分隊も、西側からのマグマ軍歩兵を迎え撃つ。2台の軽装甲機動車を盾に、隊員達は89式小銃を発砲、そして車上からMINIMI機関銃や74式車載機関銃を連射する。

 

 

 

 同じ頃、長野県 飯田市の解放作戦は成功した。

 

 第1師団の一部の隊員達は降伏したマグマ軍を拘束し、高機動車に載せて岐阜駐屯地に向かう。

 

 中央混成連隊は特科班と合流、移動速度の遅い74式戦車や87式自走高射機関砲、99式155mm自走榴弾砲をトレーラーに載せ、愛知県 豊川市を目指した。

 

「どうした? 松本1曹」

 

 ビルの屋上にて対スナイパーとして待機していた松本と習志野は移動しようとしていた。が、松本はM24 SWS対人狙撃銃を手に、何かを見つめ動かない。

 

「いや、何でも無い」

 

 松本は一瞬目を閉じ、そして階段に向かった。

 

 松本が見ていた先では、陸自隊員達がマグマ軍の歩兵や武器娘の服を切り裂き――

 

 

 

 名古屋市――

 

「くそっ! 囲まれたぞ!」

 

 隊員が89式小銃の弾倉を交換しながら叫ぶ。マグマ軍歩兵が身を隠しながら迫ってくる。

 

 軽装甲機動車の車上の機関銃手はMINIMI機関銃の銃身を交換し、弾薬を装填する。

 

「もう駄目だ! パイロットの救出が済み次第、機体を爆破して撤退する!」

 

 隊長が叫んだ。第1分隊の隊員達はチェーンソーでUH-60JA汎用ヘリの機首を切り、コクピットで気を失っていた少女を救い出す。

 

「もう一人は!?」

 

「駄目です! 息がありません!」

 

「駄目か……手榴弾を寄越せ!」

 

 隊員達は少女を軽装甲機動車に押し込むと、UH-60JA汎用ヘリにM26 A1J破片手榴弾を2個放り込んだ。そして軽装甲機動車に乗り込み、現場を後にする。

 

 手榴弾が爆発、UH-60JA汎用ヘリは木っ端微塵にならなかったが、無線機とIFFの破壊に成功した。

 

 

 

 マグマ軍は遅滞戦術を繰り返しながら、静岡県方面へと撤退した。陸上自衛隊や米海兵隊、米陸軍はそれを追撃、そして愛知県南東部まで迫った。




多分これからは週一のペースでの更新になりますわ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。