りっく☆じあ~す 中央混成連隊、前進す! 作:土居内司令官(陸自ヲタ)
「おかげで休日が1日パーになった……」
新発田駐屯地・第1兵舎 司令官室で、土居内が呟いた。市ヶ谷が励ます。
「ともあれ、ヘリコプター3機の追加配備、そして人員の強化が行われるので良かったじゃないですか」
「いたずらに人増やしゃいいって訳にはいかないんだよ。それで統率取れなくなったら、文字通りの死活問題。それに、俺達は『対マグマ軍専門ゲリラ部隊』だ。直接火力支援のために少数の大型兵器があるが」
「つまり、部隊としての機動力が無くなってしまうと?」
「俺はそれを危惧している。小銃班は多くて2個で充分だ」
車両庫には、新たに配備されたAH-1S攻撃ヘリとOH-1偵察ヘリが保管されている。そして今、AH-64D戦闘ヘリが修理工場で修理されている。
「ごきげんよう、今日から皆さんと共に戦うアパッチ・ロングボウですわ」
新発田駐屯地・第1兵舎 1階 会議室で、あの女性が自己紹介した。すると、皆ひそひそと話す。
(何あのロケット)
(ヘリに乗る時邪魔にならないのかな?)
(高飛車ね。私とは相性悪そうね)
(同族嫌悪って奴ですね)
ビシッ。
(少しでも邪魔と感じたら撃ち落としてやる)
ヒトマルが額を押さえている中、スカイシューターがアパッチに近付く。
「私が邪魔だと判断したら、即効で35mmを叩き込んでやるわ」
「あら、その前にヘルファイアーをお見舞いしますわよ?」
その雰囲気に、その場の全員が固まる。
そして、新発田駐屯地に1台の73式小型トラック(パジェロ)がやってきた。中から、スーツ姿の女性が降りる。
「……!?」
司令官室にいた土居内の背筋が凍る。
「どうしました?」
市ヶ谷が尋ねると、土居内は真っ青な顔で答えた。
「来る、死神が来る……」
「……?」
市ヶ谷が首を傾げた。すると、廊下からつかつかという足音が響いた。
司令官室の扉が開き、土居内は恐怖を見た。
「……誰?」
車両庫で、葵が口を開いた。OH-6D偵察ヘリを整備する手を止める。
「熱心だな」
「何だ、コブラか」
96式装輪装甲車の陰からコブラが現れる。
「何の用? 変態」
「いきなりそれか?」
「事実でしょ? 私のお姉ちゃんは純粋純潔、穢れてはならないのに、あんたはそれを邪魔する」
「私も、同じように考えている」
「――だったら、お姉ちゃんに近寄らないで!」
「嫌だ」
「は?」
葵は9mm拳銃を抜く。
「嫌だ。私は茜お姉様が大好きだが、茜お姉様が好きな人も好きだ」
「――ってちょっと!?」
コブラは葵の肩を掴み、OH-6D偵察ヘリのコクピットのドアまで押す。葵の右人差し指は9mm拳銃の引き金に掛かり、その銃口はコブラの胸に向いていたが、コブラは気にする事無く葵に『壁ドン』した。勢いが強くてOH-6D偵察ヘリが揺れた。
「葵も、好きだ」
コブラの唇が、葵のそれと重なる。
「お久しぶりね、土居内」
「あ……あ……」
土居内の額から心配になるほど汗が噴き出る。眼鏡を掛けた赤髪のスーツ姿の女性は口を開く。
「あら、かつての教官に挨拶すら無いの?」
「お……お久しぶりです、富士教官」
土居内は、まさに死神と直面したような顔で言った。赤髪の女性が敬礼する。
「という訳で、富士 御幸1尉、これより中央混成連隊配属になるわ」
市ヶ谷が自己紹介する。
「市ヶ谷 愛3等陸尉、中央混成連隊の副官です」
「ふーん、カノジョじゃないんだ」
「なっ!? そんな訳ないじゃないですか!? ただの指揮官と副官ですっ!」
市ヶ谷が頬を真っ赤にして叫ぶ。富士はニヤニヤしている。
「ところで、他の隊員は?」
「現在、会議室に――」
富士の問い掛けに、土居内は敬礼しながら答えた。
「そう。ちょっと挨拶してくるわ」
富士が司令官室から出ていき、土居内は生きていることを実感する。
「大丈夫ですか? 司令官、汗が」
「大丈夫だ、ちゃんと呼吸出来ている」
「それはそうと、誰ですか? まさか、昔たぶらかした人ですか!?」
「いや、絶対に無い。あの人は、俺がレンジャー訓練を受けた時の教官だ」
「レンジャーの、教官!?」
市ヶ谷は驚愕した。
「ということで、ここに配属された富士よ。よろしく」
会議室で、富士が自己紹介する。レンジャー徽章持ちの習志野と松本の顔がすっかり青くなっている。
「習志野1曹、亜衣璃、大丈夫? 真っ青だよ?」
鯖江が訊くと、2人は震え出す。
「すっかり成長したわね。昔教育(意味深)した時と大違い。土居内といい飛音といい、空挺徽章も持ったのはさらに成長してる。教官として嬉しいわぁ」
富士が習志野の頬を撫でながら言う。習志野は全身を強ばらせる。
「待てよ! あんた、司令官の何なんだよ!?」
富山が叫んだ。
「貴女は?」
「富山 ひみ子陸士長、中央混成連隊 小銃班のLAM(110mm対戦車弾)手だ」
「いい目をしてるじゃない。その跳ねっ返りな性格も、調教しがいがあるわね」
富士が富山に近付く。富山は咄嗟に9mm拳銃をホルスターから抜こうとしたが、出来なかった。否、拳銃が無かった。
(そんな!?)
「相手の武器を奪う、接近戦の基本よ」
いつの間にか、富山の9mm拳銃を富士が握っていた。そして弾倉を抜き、スライドを引いて弾を抜いた。
「この部隊は『対マグマ軍専門部隊』って聞いたけど、この有り様じゃあねぇ? せめて戦力になるのは、飛音と亜衣璃、そこの白い髪の子、それと土居内ぐらいかな?」
新発田がビクッと反応する。
「ま、せいぜい長生きする事ね。なんなら――」
「待て!」
誰かが富士の言葉を遮った。見れば、土居内が会議室の入り口に立っている。
「司令官!」
富山が叫んだ。
「元教官に異議申し立て? しかも上官よ」
「確かにあんたは俺の元教官だ。尊敬だってしている、こうして冴えなかった戦車乗りが一端の空挺レンジャーになれたんだからな。だが、ここは俺の部隊、俺が指揮官だ。階級なんて関係無い。あんたは俺の部下だ、いじめがあればあんたを左遷する」
「『階級なんて関係無い』? あんた正気? ここは準軍事組織、階級が無ければただの国家公務員の塊じゃないの!?」
「準軍事組織の以前に、公務員だ! 軍人じゃない。新人がでかい顔で先輩いびってんじゃねーよ!」
土居内が叫ぶ。富士は目を閉じ、こう言った。
「ようやく指揮官らしくなったか。分かった、よろしく頼みますよ、司令官殿」
富士は土居内の肩を叩き、会議室を出ていった。
「……はぁぁぁ」
土居内の体から力が抜け、倒れそうになる。富山が横から支えた。
「……すまん、富山」
「いいって。助けてもらったお礼だ」
「……あいつ、大丈夫か?」
金沢城跡で、津田沼が呟いた。
同じ頃、山梨県の山中――
「ギュギュ」
「ギュッギューギュギ」
マグマ軍歩兵達がトレーラーを、森を切り開いて作った平地に運び込む。その荷台には、巨大な円柱が載っていた――
あれかな? タグに「キャラ崩壊」って入れた方がいいのかな?