りっく☆じあ~す 中央混成連隊、前進す!   作:土居内司令官(陸自ヲタ)

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30話 教官

「おかげで休日が1日パーになった……」

 

 新発田駐屯地・第1兵舎 司令官室で、土居内が呟いた。市ヶ谷が励ます。

 

「ともあれ、ヘリコプター3機の追加配備、そして人員の強化が行われるので良かったじゃないですか」

 

「いたずらに人増やしゃいいって訳にはいかないんだよ。それで統率取れなくなったら、文字通りの死活問題。それに、俺達は『対マグマ軍専門ゲリラ部隊』だ。直接火力支援のために少数の大型兵器があるが」

 

「つまり、部隊としての機動力が無くなってしまうと?」

 

「俺はそれを危惧している。小銃班は多くて2個で充分だ」

 

 

 

 車両庫には、新たに配備されたAH-1S攻撃ヘリとOH-1偵察ヘリが保管されている。そして今、AH-64D戦闘ヘリが修理工場で修理されている。

 

「ごきげんよう、今日から皆さんと共に戦うアパッチ・ロングボウですわ」

 

 新発田駐屯地・第1兵舎 1階 会議室で、あの女性が自己紹介した。すると、皆ひそひそと話す。

 

(何あのロケット)

 

(ヘリに乗る時邪魔にならないのかな?)

 

(高飛車ね。私とは相性悪そうね)

 

(同族嫌悪って奴ですね)

 

 ビシッ。

 

(少しでも邪魔と感じたら撃ち落としてやる)

 

 ヒトマルが額を押さえている中、スカイシューターがアパッチに近付く。

 

「私が邪魔だと判断したら、即効で35mmを叩き込んでやるわ」

 

「あら、その前にヘルファイアーをお見舞いしますわよ?」

 

 その雰囲気に、その場の全員が固まる。

 

 

 

 そして、新発田駐屯地に1台の73式小型トラック(パジェロ)がやってきた。中から、スーツ姿の女性が降りる。

 

「……!?」

 

 司令官室にいた土居内の背筋が凍る。

 

「どうしました?」

 

 市ヶ谷が尋ねると、土居内は真っ青な顔で答えた。

 

「来る、死神が来る……」

 

「……?」

 

 市ヶ谷が首を傾げた。すると、廊下からつかつかという足音が響いた。

 

 司令官室の扉が開き、土居内は恐怖を見た。

 

 

 

「……誰?」

 

 車両庫で、葵が口を開いた。OH-6D偵察ヘリを整備する手を止める。

 

「熱心だな」

 

「何だ、コブラか」

 

 96式装輪装甲車の陰からコブラが現れる。

 

「何の用? 変態」

 

「いきなりそれか?」

 

「事実でしょ? 私のお姉ちゃんは純粋純潔、穢れてはならないのに、あんたはそれを邪魔する」

 

「私も、同じように考えている」

 

「――だったら、お姉ちゃんに近寄らないで!」

 

「嫌だ」

 

「は?」

 

 葵は9mm拳銃を抜く。

 

「嫌だ。私は茜お姉様が大好きだが、茜お姉様が好きな人も好きだ」

 

「――ってちょっと!?」

 

 コブラは葵の肩を掴み、OH-6D偵察ヘリのコクピットのドアまで押す。葵の右人差し指は9mm拳銃の引き金に掛かり、その銃口はコブラの胸に向いていたが、コブラは気にする事無く葵に『壁ドン』した。勢いが強くてOH-6D偵察ヘリが揺れた。

 

「葵も、好きだ」

 

 コブラの唇が、葵のそれと重なる。

 

 

 

「お久しぶりね、土居内」

 

「あ……あ……」

 

 土居内の額から心配になるほど汗が噴き出る。眼鏡を掛けた赤髪のスーツ姿の女性は口を開く。

 

「あら、かつての教官に挨拶すら無いの?」

 

「お……お久しぶりです、富士教官」

 

 土居内は、まさに死神と直面したような顔で言った。赤髪の女性が敬礼する。

 

「という訳で、富士 御幸1尉、これより中央混成連隊配属になるわ」

 

 市ヶ谷が自己紹介する。

 

「市ヶ谷 愛3等陸尉、中央混成連隊の副官です」

 

「ふーん、カノジョじゃないんだ」

 

「なっ!? そんな訳ないじゃないですか!? ただの指揮官と副官ですっ!」

 

 市ヶ谷が頬を真っ赤にして叫ぶ。富士はニヤニヤしている。

 

「ところで、他の隊員は?」

 

「現在、会議室に――」

 

 富士の問い掛けに、土居内は敬礼しながら答えた。

 

「そう。ちょっと挨拶してくるわ」

 

 富士が司令官室から出ていき、土居内は生きていることを実感する。

 

「大丈夫ですか? 司令官、汗が」

 

「大丈夫だ、ちゃんと呼吸出来ている」

 

「それはそうと、誰ですか? まさか、昔たぶらかした人ですか!?」

 

「いや、絶対に無い。あの人は、俺がレンジャー訓練を受けた時の教官だ」

 

「レンジャーの、教官!?」

 

 市ヶ谷は驚愕した。

 

 

 

「ということで、ここに配属された富士よ。よろしく」

 

 会議室で、富士が自己紹介する。レンジャー徽章持ちの習志野と松本の顔がすっかり青くなっている。

 

「習志野1曹、亜衣璃、大丈夫? 真っ青だよ?」

 

 鯖江が訊くと、2人は震え出す。

 

「すっかり成長したわね。昔教育(意味深)した時と大違い。土居内といい飛音といい、空挺徽章も持ったのはさらに成長してる。教官として嬉しいわぁ」

 

 富士が習志野の頬を撫でながら言う。習志野は全身を強ばらせる。

 

「待てよ! あんた、司令官の何なんだよ!?」

 

 富山が叫んだ。

 

「貴女は?」

 

「富山 ひみ子陸士長、中央混成連隊 小銃班のLAM(110mm対戦車弾)手だ」

 

「いい目をしてるじゃない。その跳ねっ返りな性格も、調教しがいがあるわね」

 

 富士が富山に近付く。富山は咄嗟に9mm拳銃をホルスターから抜こうとしたが、出来なかった。否、拳銃が無かった。

 

(そんな!?)

 

「相手の武器を奪う、接近戦の基本よ」

 

 いつの間にか、富山の9mm拳銃を富士が握っていた。そして弾倉を抜き、スライドを引いて弾を抜いた。

 

「この部隊は『対マグマ軍専門部隊』って聞いたけど、この有り様じゃあねぇ? せめて戦力になるのは、飛音と亜衣璃、そこの白い髪の子、それと土居内ぐらいかな?」

 

 新発田がビクッと反応する。

 

「ま、せいぜい長生きする事ね。なんなら――」

 

「待て!」

 

 誰かが富士の言葉を遮った。見れば、土居内が会議室の入り口に立っている。

 

「司令官!」

 

 富山が叫んだ。

 

「元教官に異議申し立て? しかも上官よ」

 

「確かにあんたは俺の元教官だ。尊敬だってしている、こうして冴えなかった戦車乗りが一端の空挺レンジャーになれたんだからな。だが、ここは俺の部隊、俺が指揮官だ。階級なんて関係無い。あんたは俺の部下だ、いじめがあればあんたを左遷する」

 

「『階級なんて関係無い』? あんた正気? ここは準軍事組織、階級が無ければただの国家公務員の塊じゃないの!?」

 

「準軍事組織の以前に、公務員だ! 軍人じゃない。新人がでかい顔で先輩いびってんじゃねーよ!」

 

 土居内が叫ぶ。富士は目を閉じ、こう言った。

 

「ようやく指揮官らしくなったか。分かった、よろしく頼みますよ、司令官殿」

 

 富士は土居内の肩を叩き、会議室を出ていった。

 

「……はぁぁぁ」

 

 土居内の体から力が抜け、倒れそうになる。富山が横から支えた。

 

「……すまん、富山」

 

「いいって。助けてもらったお礼だ」

 

 

 

「……あいつ、大丈夫か?」

 

 金沢城跡で、津田沼が呟いた。

 

 

 

 同じ頃、山梨県の山中――

 

「ギュギュ」

 

「ギュッギューギュギ」

 

 マグマ軍歩兵達がトレーラーを、森を切り開いて作った平地に運び込む。その荷台には、巨大な円柱が載っていた――




あれかな? タグに「キャラ崩壊」って入れた方がいいのかな?
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