りっく☆じあ~す 中央混成連隊、前進す!   作:土居内司令官(陸自ヲタ)

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32話 MIA その1

 F-4EJ改 ファントムⅡが迎撃に向かう。E-767からのデータリンクで、目標のスカッドミサイルの位置情報がヘッドアップ・ディスプレイに投影される。

 

〔ホーク01、レーダーコンタクト!〕

 

〔了解、ハニーポッド・コントロールからホーク編隊、ターン・ヘディング。目標を破壊せよ〕

 

〔ラジャー!〕

 

 2機のF-4EJ改は旋回を開始、スカッドミサイルの前方を飛ぶ。ちょうどスカッドミサイルが後ろからやってくる。そして、2機は主翼下のエアロブレーキを広げて減速した。

 

 スカッドミサイルが2機を下から追い抜く。しかし、問題があった。

 

〔下手に撃つと、破片が落ちて大惨事だ〕

 

〔7F(スパロー AIM-7F中距離空対空ミサイル)を使うか?〕

 

 今、2機のF-4EJ改 ファントムⅡには4発ずつスパロー AIM-7F中距離空対空ミサイルとAAM-3短距離空対空ミサイル、そして540発の20mmバルカン砲という装備が積まれている。費用対効果では20mmバルカン砲だが、20mmバルカン砲では外れた弾が市街地に降り注ぐ可能性があり、そしてスカッドミサイルを破壊しきれない可能性がある。

 

〔仕方ない、ホーク01、スパローを使用する〕

 

〔ホーク01、ハニーポッド・コントロール、了解〕

 

〔よし、レーダー・ロックオン! FOX1!〕

 

 2機のF-4EJ改の胴体下から計4発のスパロー AIM-7F中距離空対空ミサイルが発射される。相手はミサイルだから、回避機動や電子妨害を行う訳がない。

 

 4発のスパローは見事スカッドミサイルに命中した。

 

 

 

 森の中、74式戦車(改)がひっくり返っていた。

 

「痛ってえ……」

 

 砲手用キューポラから土居内が這い出た。砲塔内ではナナヨンが目を廻している。

 

「駄目だ、無線機が故障だ」

 

 土居内は、身に着けていた分隊用小型無線機を操作するが、反応が無い。74式戦車(改)の中に戻り、ナナヨンの頬をぺちぺちと叩いた。

 

「おーい、起きろ。起きろよ、ナナヨン」

 

 やがて、ナナヨンが目を覚ます。

 

「……司令官?」

 

「起きたか。怪我は無いか?」

 

「無いわ」

 

 ナナヨンを戦車長席のシートベルトを外し、砲塔から出る。損害は、見た限りでは砲塔上部の2丁のブローニング M2重機関銃と無線用アンテナが全損、砲身は折れていないが、歪んでいる可能性がある。

 

 そして、何故かナナヨンの服が少し破れている。

 

「おい、服が破れてるぞ。本当に怪我無いのか?」

 

「大丈夫よ。言ったでしょ、私とあの戦車は繋がっているって」

 

「……だからって服が破けるか?」

 

 土居内は辺りを見渡す。

 

「とにかく、上の奴らと連絡を取らないと」

 

「無線機は?」

 

「落ちた衝撃で壊れたらしい」

 

 ナナヨンは落ち込む。そして74式戦車(改)の砲塔の中に戻った。

 

「おい、ナナヨン?」

 

「武器は持っておかないと」

 

 出てきたナナヨンは、64式小銃とM3 A1短機関銃を背負い、土居内の89式小銃を手にしている。

 

「はい」

 

「サンキュー」

 

 土居内は89式小銃を受け取り、チャージングハンドルを引く。

 

 その時、何か物音がした。土居内は咄嗟に89式小銃を、物音がした方向に向け、ナナヨンもM3 A1短機関銃のグリップを握り締める。

 

「熊か、ゲリラか、ヴェトコンか……?」

 

 土居内が呟きながらセレクターを「安全」から「連射」にする。

 

 そして、真っ黒な毛むくじゃらが現れた。四足歩行で、体長は2mはあり――

 

「司令官、逃げて!」

 

 それは熊だった。ナナヨンがM3 A1短機関銃を構え、引き金を引いた。森の中に.45ACP弾の銃声が轟く。しかし、熊にはあまり効いていなさそうだった。

 

 そして興奮した熊がナナヨンへと向かう。ナナヨンはM3 A1短機関銃を連射し続けるが、弾切れになってしまった。

 

 ナナヨンは、振り上げられた右腕を見て死を覚悟する。が、熊の動きが止まった。

 

 見れば、土居内が背後から熊の背中を刺していた。89式小銃に装着された89式多用途銃剣が深々と刺さっている。しかし、それでも致命傷ではないらしく、熊は振り返る。

 

「ナナヨン! 64で頭を狙え!」

 

「分かったわ!」

 

 ナナヨンは64式小銃を手に取り、セレクターを「安全」から「単発」にして構える。慎重に熊の頭を狙い、引き金を引いた。

 

 反動を抑えるために、7.62mmNATO弾より火薬が減らされているとはいえ、5.56mm小銃弾より重量があって威力はある7.62mm小銃実包の弾丸が、熊の頭蓋骨を砕いて脳漿を撒き散らす。

 

 そして熊は倒れた。

 

「……死んだ?」

 

「らしいな。助かったよ、ナナヨン」

 

「別に、当たり前の事よ」

 

 ナナヨンは土居内から目を逸らしながら、64式小銃のセレクターを「安全」に回した。

 

 

 

「今、銃声が!」

 

「少なくとも、どっちかは生きている!」

 

 崖の上で、中央混成連隊のメンバーが下を覗いていた。鯖江やタイガーは何とか無線で連絡しようとするが、応答が無い。

 

「駄目だ、司令官もナナヨンさんも反応しない」

 

 鯖江が言う。すると、習志野が手を叩いた。

 

「ここで待っても仕方ない。迂回して作戦を続行しよう」

 

「そうだね、司令官ならそう言うだろう」

 

 鯖江が頷いた。

 

「車両班はキューマルを班長代役に、指揮官代役は富士1尉、お願いします」

 

「仕方ないか」

 

「え、私ですか!?」

 

 富士はやれやれという感じだが、キューマルは驚いた。

 

「それだったらタイガーさんとか――」

 

「私? どっちかというと、小銃班に近いから指揮は出来ないよ」

 

 タイガーが腕を組む。キューマルはたじろぐしかなかった。

 

「そ、そんな、戦車小隊の指揮なんてした事無いのに……」

 

「大丈夫、指揮官は部下の実力と自分の決断力だけを信じればいいから」

 

 そう言って、鯖江はキューマルの肩を叩いた。

 

 

 

 土居内とナナヨンは森の中を歩く。時々軍用コンパスや地図を見、また歩く。

 

「司令官、どこへ向かっているの?」

 

「この先に県道がある。そこに出れば、うまくしたら合流出来るかもしれない」

 

 とにかく、歩き続けるしかなかった。

 

 

 

「交戦開始! 撃て撃てぇ!」

 

 富士が叫びながら89式小銃を乱射する。89式装甲戦闘車や96式装輪装甲車から小銃班が展開し、小銃や機関銃を撃ちまくる。

 

「ヒトマル、2時方向の小屋を破壊! スカイシューターは10時方向の歩兵集団をお願い!」

 

〔了解!〕

 

〔了解〕

 

 キューマルの指示で、10式戦車と87式自走高射機関砲が動く。87式自走高射機関砲の35mm連装対空機関砲が唸り、マグマ軍歩兵がミンチになった。

 

 豊川がM26 A1J破片手榴弾の安全ピンを引き抜き、安全レバーを弾き飛ばした。新発田がドアノブに手を掛け、頷き合い、新発田が扉を開けた。

 

 手榴弾が部屋の中に飛び込み、炸裂。豊川、新発田、久居、新町の順に突入して89式小銃を連射する。

 

「報告!」

 

「クリア!」

 

「クリアです!」

 

「ルーム・クリア!」

 

 久居が叫び、銃口を降ろす。AK47自動小銃やトカレフ TT-33自動拳銃を手にしたマグマ軍歩兵達が息絶えている。

 

 

 

「ええーい! クソッタレ!」

 

 相馬原が、10式戦車の砲手用ハッチからMINIMI機関銃を撃ちまくっていた。5.56mm小銃弾が毎分1100発のペースでばらまかれ、薬莢回収袋に入りきらない薬莢や弾帯が砲塔内に転がり落ちる。

 

 隣では、やはりヒトマルがブローニング M2重機関銃を右へ左へ撃ち分ける。遠隔操作で砲塔内の同軸74式車載機関銃も火を噴いている。

 

 次から次へと防空壕からマグマ軍歩兵が湧き出してきていた。いくら弾があっても足りない。

 

「任せなさい!」

 

 そこへ、89式小銃を手にした練馬がやってきた。素早く06式小銃擲弾を銃口に差し込み、銃床を地面に付ける。そして銃口を若干上に向け、引き金を引いた。

 

 06式小銃擲弾が発射され、マグマ軍歩兵が出てくる防空壕の入口に命中、崩落した。

 

「どんなものよ!」

 

 練馬が自信満々に自分の胸を叩いたが、ヒトマルと相馬原はノーコメントを貫いた。

 

 

 

 そして、葵が気付いた。

 

「……何か、来る!」

 

 森が揺れ、特徴的な音が聞こえ始める。

 

「これって……」

 

 茜と北富士、富山が青い顔になり、固まった。

 

 そこへ現れたのは、マグマ軍の攻撃ヘリ24號、通称ハインドだった。

 

 

 

 土居内とナナヨンは森の中を進んでいた。

 

「やっと県道に出れたな」

 

「おかげで足が痛いわ」

 

 そこは細い県道だった。道路の真ん中を、大破したパトカーが塞いでいる。

 

「亡くなって、かなり経ってるな」

 

 土居内がパトカーの中を覗き込みながら言う。中には警察官の死体が2体あり、腐敗が始まっていた。パトカーは銃撃を受けたらしく、窓ガラスは割れ、タイヤは無惨な形になり、ボディの穴は窓より多かった。

 

「ここで、一体――」

 

 何が、と言い掛けたナナヨンを遮り、土居内が88式鉄帽を被り直しながら呟いた。

 

「マグマ軍の侵攻だ。恐らく、逃げようとしたか、何かマグマ軍に逆らうような事をして銃撃されたんだろう」

 

 ナナヨンと土居内は、静かに手を合わせた。

 

 

 

 マグマ軍の戦線警戒所に、マグマ軍のヘリ部隊がやってきた。攻撃ヘリ24號が2機、Mi-8輸送ヘリが4機、次々と歩兵を降ろし、攻撃ヘリ24號は90式戦車に57mmロケット弾を連射した。

 

「っ!? 損害は軽微ですが、高価な車体が!」

 

 幸い、90式戦車に装着されていた新素材複合装甲によりダメージは軽減されたが、砲手用ペリスコープや環境センサー、通信アンテナ、ブローニング M2重機関銃が破壊され、キューマルのブレザーが破けて肌を露出する。

 

 小銃班は96式装輪装甲車から91式携行地対空誘導弾(携SAM)を引っ張り出し、発射した。

 

「あいつ、35mmで叩き落としてやる!」

 

 スカイシューターが砲塔内に引っ込み、35mm連装対空機関砲が上を向く。レーダーを使う必要は無いほどの近距離、光学センサーで照準を定め、発砲。

 

 ビール瓶サイズの薬莢がぼろぼろ砲塔からこぼれ、35mm機関砲弾が攻撃ヘリ24號に命中し、攻撃ヘリ24號のメインローターが千切れて墜落した。

 

 

 

 その後、中央混成連隊はマグマ軍戦線警戒所の破壊に成功した。しかし、中央混成連隊はその場を退こうとしなかった。

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