りっく☆じあ~す 中央混成連隊、前進す!   作:土居内司令官(陸自ヲタ)

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37話 スカッド狩り その2

 新発田駐屯地・食堂――

 

「マジで?」

 

「はい……」

 

 霧本は頭を抱える。

 

「あいつの好みなら、富山ちゃんが一番可能性あったんだけどなぁ……」

 

「そうなんですか?」

 

 新発田が霧本に訊く。

 

「あいつ、がさつで色気の無いのが好きなんだよ。結構変わった奴だった」

 

 霧本が高校時代を回想する。

 

「私はがさつに見られていたのでしょうか……?」

 

 市ヶ谷が呟くと、霧本が反応した。

 

「いや、あいつの好みが変わったんだきっと」

 

「そうですよね……そうでなきゃ」

 

 新発田が呟く。霧本は目ざとく反応した。

 

「あいつが何かしたの?」

 

「いえ、富山士長に告白されたらしいのですが、振ったとか」

 

 霧本が軽くショックを受けた。

 

「マジか。あいつ、何をどうやったらそんなにモテるんだ? こっちは男っ気無いのに……もうあと2年でアラサーなのに……」

 

「大変ですね……」

 

 久居が呟いた。霧本は頭を振るい、市ヶ谷を見る。

 

「で、佳樹の事はどう思っているの?」

 

「言わなきゃ、駄目ですか?」

 

「ここまで来て焦らす? あたし、焦らしプレイは好きじゃないんだよね。もっとしゃきっとしろって」

 

 市ヶ谷は再びうつむき、口を開く。

 

「……嫌いではないです」

 

 

 

 富山がくしゃみをした。一瞬土居内と習志野の体がビクッと震えたが、振り返って富山が起きていないのを見た。

 

「習志野、本気か?」

 

「本気だ。でなきゃこんな事はしない」

 

 そして、習志野は己の顔を土居内に近付ける。しかし、土居内は止めた。

 

「……司令官?」

 

「悪い。俺は今別の奴が好きなんだ」

 

「市ヶ谷さんか?」

 

「ノーコメント」

 

 習志野は土居内から離れ、双眼鏡を再び覗いた。

 

「なら、私は引くよ。後武運を」

 

「サンキュ」

 

 

 

「本当か?」

 

「ええ。この先で、網が掛けられた穴を見つけたんです。もしかしたら、何処かの特殊部隊が――」

 

「あれか。でかしたぞ」

 

「ははぁ、ありがたき御言葉」

 

 

 

 霧本は市ヶ谷の肩を掴んだ。

 

「何だ、相思相愛なら付き合っちゃえよ!」

 

「そ、そんな! 第一、上官と下士官での恋愛は……それに同じ部隊に属していたら指揮系統が……」

 

 市ヶ谷は顔を真っ赤にしてうつむいた。霧本はため息をつく。

 

「はぁぁ、変な所で真面目なんだから。ま、あいつと似てると言えば似てるけど」

 

「…………」

 

 市ヶ谷は黙っている。ちなみにヒトマルと練馬は既に粛清された模様。

 

 

 

「司令官」

 

 習志野が呼ぶ。

 

「ああ。マグマ軍の歩兵部隊だ、1個分隊分だな。こっちに向かってきている」

 

 土居内はM14自動小銃の狙いを動かす。夜間暗視装置越しの緑色の視界の中、真っ白に浮かび上がるマグマ軍歩兵と近衛兵を捕捉した。

 

「習志野、2人を叩き起こせ」

 

「了解」

 

 習志野はM4 A1自動小銃を傍らに置き、富山とコノエを文字通り叩き起こした。

 

 富山とコノエは瞬時に起き上がり、銃を手にする。

 

「富山は無線で航空支援を要請、習志野は脱出口を確保、コノエはここで俺と狙撃だ」

 

 土居内の指示で3人は動く。習志野は奥へ下がり、M4 A1自動小銃の銃床で天井を破壊、富山は長距離無線機を起動させた。コノエはM95対物狙撃銃を持ってきて、土居内の隣に伏せる。

 

「俺は先頭の歩兵を」

 

「なら、私は近衛兵を撃つ」

 

 それぞれ狙いを定め、引き金を引いた。

 

 

 

「で、どーするの?」

 

「付き合ってもよろしいのなら……」

 

 市ヶ谷は小さくなっていた。一方の霧本はふんぞり返っている。

 

「何許可を求めてんの? あたしはただの元カノで、『自衛隊に保護され、一時的にアルバイトしている民間人』よ? 何の権限も無いし、ここにいる皆だって市ヶ谷さんに刃向かえない、階級的に。あ、武器娘は例外だけど」

 

 霧本は言う。

 

「日本国憲法にも恋愛の自由が明記されてんじゃん」

 

「……『結婚の自由』です」

 

「そうだったそうだった。防大卒は強いね」

 

「防衛大にこんな問題出ませんよ」

 

「ま、好きなら好きで付き合っちゃえ」

 

 霧本は言い切った。市ヶ谷は深々と頭を下げた。

 

「それでは付き合わさせてもらいます」

 

「うん、何となくあたしが姑みたいなんだけど」

 

 

 

「ギュッギュッーギュ!(ヤポンスキーが撃ってきた)」

 

「マギューギュギャ!(同志が殺られた)」

 

 ポイントマンと部隊長を同時に殺られ、マグマ軍歩兵分隊はパニックになる。銃声がした方へ闇雲にAK74自動小銃やRPK74軽機関銃、PKM汎用機関銃を乱射した。曵光弾がレーザービームのように夜の森を突き抜ける。

 

 

 

「馬鹿だな、発射炎で丸見えだっつうの!」

 

 土居内は再び引き金を引いた。強烈な反動、薬莢が地面に刺さる。

 

 習志野は天井を破壊し、上へと出た。そしてM4 A1自動小銃にサウンドサプレッサーを取り付け、射撃を開始する。

 

 一方、富山は長距離無線機で応援を要請していた。

 

「マイクアルファよりハニーポッド・コントロール、敵に見つかった! 早く航空支援を!」

 

〔……駄目だ、マイクアルファ。貴様達のいる所はマグマ軍の完全支配地域だ、航空支援を送れない〕

 

「何だとぉ! 攻撃機は!?」

 

〔昨夜の空爆以降、マグマ軍の対空監視が厳しくなり、今MiGと交戦している。何とか踏ん張ってくれ〕

 

「無責任共が!」

 

 富山が受話器を無線機に叩きつけた。無線機に受話器が当たり、跳ねる。

 

「富山! 上に上がって弾幕を張れ!」

 

 M14自動小銃の弾倉を交換しながら土居内が叫ぶ。富山は了承し、89式小銃を持って上に上がった。そして習志野から少し離れた所で89式小銃を撃ち始めた。

 

「うわぁぁ! クソッタレめ!」

 

 土居内が頭を低くし、監視所内に銃弾が飛び込んできた。マグマ軍歩兵はじりじりと距離を詰めてくる。

 

「くそっ! ここまでか……」

 

 土居内はM14自動小銃のチャージングハンドルを引く。コノエは89式小銃を撃ちまくっていた。

 

 

 

「特殊作戦群の西井3尉だ」

 

「中央混成連隊、ブラボーチームの富士1尉です、後はよろしく頼みます」

 

「了解」

 

 ブラボーチームは特殊作戦群と交代し、迎えのヘリとの合流地点へ向かった。

 

 

 

「ぞろぞろ出てきやがって! ゾンビか!?」

 

「銃を撃ってくるから、ゾンビより厄介だな」

 

 富山と習志野は撃ちまくった。弾き出された薬莢が枯れ葉の上に積もっていく。

 

 ゾンビの如くマグマ軍歩兵は大挙してはやってくる。いくら弾があっても足りない、その上マグマ軍歩兵は銃を撃ってくる。

 

「……っぐはっ!」

 

「富山士長! 司令官、富山士長が撃たれた!」

 

「何!?」

 

 富山の右肩の迷彩服がみるみる赤く染まっていく。

 

「大丈夫だ! 右肩に1発喰らっただけだ!」

 

 富山はリュックサックからガムテープを取り出し、自分の右肩に巻いて止血した。そして左手で9mm拳銃を撃つ。

 

「全く、タフな野郎だな」

 

 土居内は呟き、M14自動小銃を構え直して発砲した。

 

 するとそこへ、ジェットエンジンの音が響いた。

 

〔マイクアルファ、迷惑を掛けたな。待ってろ、今すぐ吹っ飛ばしてやる〕

 

 それは航空自衛隊のF-35AJだった。2機は急降下し、25mmガトリング砲で対地射撃を開始した。土煙が上がり、歩兵がミンチになる。

 

「畜生、何とか帰れそうだぜ、相棒」

 

「いつから私は貴様の相棒になった?」

 

「ノリが悪いな」

 

 

 

 夜間だが、F-35AJのパイロットは正確にマグマ軍歩兵の集団を機銃掃射する。機首下の赤外線索敵装置で熱源を捉え、腕が4本見えたら操縦桿のガンコントロールスイッチを引く。左主翼付け根に内蔵された25mmガトリング砲が唸り、密集していた歩兵達が挽き肉と化する。

 

 

 

「……ハンバーグ食いてぇ」

 

「正気か?」

 

 土居内は長距離無線機を背負い、M14自動小銃とM16 A4自動小銃を両手に、コノエはM95対物狙撃銃とレーザー誘導装置を背負って上に上がった。

 

 すると、ヘリのローター音が聞こえた。土居内は叫ぶ。

 

「隠れろ!」

 

 頑丈そうな大木の幹に隠れると、ヘリがやってきた。巨大な胴体、下に垂れ下がった短翼――

 

「ヤバい、ハインドだ!」

 

 それはマグマ軍の攻撃ヘリ24號だった。隠れている土居内達へ12.7mmガトリング銃を撃ってくる。

 

 幸い大木の幹を貫通していないが、時間の問題だった。

 

「くそっ、こうなったら!」

 

 土居内はM16 A4自動小銃に付けられたM203グレネードランチャーに40mmグレネード弾を装填した。そして左手に持ち替え、ハンドガード上面のランチャーサイトを起こす。幹から左半身を出し、M16 A4自動小銃の銃床を左肩に当てて右人差し指でM203グレネードランチャーの引き金を引いた。

 

 巨大な40mmグレネード弾が攻撃ヘリ24號目掛けて飛んでいき、強力なダウンウォッシュで狙いが外れ、地表のマグマ軍歩兵達が吹き飛んだ。

 

「クソッタレめ! 今度こそ最後か!?」

 

 土居内は叫んだ。攻撃ヘリ24號の12.7mmガトリング銃がこちらを向いている。土居内は死を覚悟した。

 

 しかし、攻撃ヘリ24號に何かロケット弾のような物が突っ込み、攻撃ヘリ24號は火達磨になった。キャビンから燃え盛る歩兵が飛び出し、炙り焼きになっていった。

「一体、何が――」

 

 土居内が呟く。すると、森の向こうから再びヘリがやってきた。しかしそれは見覚えがあった――

 

「あれは、OH-1とUH-60JA、それにコブラやアパッチ……」

 

 それは陸上自衛隊のOH-1偵察ヘリやAH-1S攻撃ヘリ(改)、AH-1S攻撃ヘリ、AH-64D戦闘ヘリ、UH-60JA汎用ヘリの編隊だった。

 

〔全く、こんな夜中に――〕

 

〔助けに来ましたわ、司令官〕

 

〔よぉし、マグマ軍を殲滅だー!〕

 

 AH-1S攻撃ヘリのガナー・茜がボタンを押し、70mmロケット弾を乱射した。歩兵が次々吹き飛んでいく。

 

〔若菜、ロケット弾は撃ち止めだよ〕

 

〔あとはガンで!〕

 

 AH-1S攻撃ヘリのパイロット・若菜が機首下の20mmガトリング砲M197で対地掃射を開始した。

 

 そしてUH-60JA汎用ヘリが地面スレスレでホバリングした。

 

「早く!」

 

 UH-60JA汎用ヘリのキャビン左側で、金沢がブローニング M2重機関銃を撃ちまくりながら叫ぶ。その隣では富士と豊川が89式小銃を連射している。

 

「急げぇ!」

 

 土居内がM16 A4自動小銃を3点バーストで撃ち、習志野の肩を借りた富山が乗り込む。そして土居内とコノエも乗り込んだ。

 

「助かった!」

 

「まだです! 掴まって!」

 

 明野が叫び、ペダルを踏み込む。UH-60JA汎用ヘリのターボシャフトエンジンが唸り、上昇した。

 

 

 

 新発田駐屯地・ヘリポート――

 

「来た!」

 

 久居が叫ぶ。やがてヘリ編隊が姿を表した。そして次々着陸し、UH-60JA汎用ヘリからぞろぞろ降りてくる。

 

「急いで!」

 

 三宿や衛生科隊員、医務官が富山に駆け寄り、担架に載せて運んでいった。

 

 そして土居内が降りると、市ヶ谷が抱き付いた。

 

「おい市ヶ谷!?」

 

「良かったです……司令官が無事に帰ってきて……」

 

「市ヶ谷……」

 

 土居内は市ヶ谷を優しく抱き締めた。

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