りっく☆じあ~す 中央混成連隊、前進す! 作:土居内司令官(陸自ヲタ)
土居内は入院服から陸上自衛隊制定の作業服に着替え、市ヶ谷の案内で中央混成連隊の会議室に向かった。
「で、市ヶ谷さん」
「市ヶ谷でいいですよ、司令官」
「司令官という呼ばれ方は慣れないな……じゃあ市ヶ谷、君はどこの隊にいたんだ?」
「通信科です、通信保全監査隊」
「やっぱりな。現場の雰囲気が無かったからな」
「やはり分かりますか」
「レンジャー教育課程に放り込まれた時に教官に言われたんだ、『お前からは歩兵らしさを感じない、戦車の油臭い』ってさ」
「そうなんですか」
やがて、会議室についた。市ヶ谷はノックせずにドアノブに手をかける。土居内は一瞬緊張する。恐らく難しい顔をした中隊長や小隊長が勢揃いし、「何故こんな若造の指示を受けなければならんのだ」と心の中で大合唱しているに違いない――
しかし、会議室の中にはギャルっぽい女子高生しかいなかった。
土居内は、市ヶ谷が開けるべき会議室を間違えたのかと思った。しかし市ヶ谷は驚いたそぶりをせず、こう言った。
「中央混成連隊所属の富山 ひみ子陸士長です」
「おいちょっと待て。これだけか?」
「はい、そうです」
3人しかいない連隊、土居内にはあまりにもイレギュラー過ぎた。
「嘘だろ!? これじゃ斥候班がかろうじて編成出来る程度じゃないか! というかどっからどーみてもただのギャルじゃねぇか! こんなので戦力になるのか!?」
土居内はナチュラルに叫ぶ。
すると、富山はテーブルを叩きながら立ち上がり、大声を出す。
「男の癖にくよくよしてんじゃねーよ! あたしはサイキョーだから一人で充分だ!」
思わず土居内は怒鳴り返す。
「何が最強だ! 64使ったハイポート走が出来なさそうなひ弱な体つきでよく言えるな!」
「何だと! これでもMINIMIぐらい抱えられるし!」
「じゃあ軽MAT(01式軽対戦車誘導弾)やグスタフ(84mm無反動砲)はどうだ?」
「そ、それは……」
「ほら見ろ。習志野(駐屯地)じゃグスタフでのハイポート走やってたんだよ!」
「もういい加減にしてください!」
ようやく市ヶ谷が仲介に入る。
「全く、子供ですか? いい加減にしてください」
そして、土居内は黙り、富山は拗ねたように椅子に座る。
「とりあえず、今の戦況を教えてくれ」
それを聞き、市ヶ谷はすぐにプロジェクターの電源を入れる。真っ白なスクリーンに地図が投影される。それは、富山県の全体図だった。県境沿いに戦車隊や普通科部隊が展開し、その後方には高射特科や野戦特科が列を成し、防衛線を構築している。
「現在、戦力となるのは第10師団、第12旅団、第6師団、それから第1師団の一部です」
「だいぶ少ないな。そんなにやられたのか」
「ただ、現在おおすみ型輸送艦で第15旅団と第8師団、第4師団がこちらに向かってます」
「南西の部隊か。損害が少なかったのか」
そして、土居内は市ヶ谷に訊ねる。
「で、俺らは何すればいいんだ?」
「それに関しては、既に第14普通科連隊から支援要請が」
「支援要請?」
土居内は首を傾げる。
「はい、斥候に出せる余裕が無いからと」
数十分後、1台の高機動車の近くには3人の自衛官が立っていた。1人は防弾チョッキ3型を着、ヘルメットを被り、ドットサイト付89式小銃を手にしていて、もう1人はガーディアンにミニスカ、そして89式小銃を手にして110mm対戦車弾を背負っている。最後の1人は自衛隊制定の制服を着ていた。
「じゃ、さっき言った通りだ。俺と富山が出る」
「でも、司令官が戦う必要は」
「たった3人しかいないんだ、仕方ないだろ」
土居内はそう言い、富山と共に高機動車に乗り込む。
「じゃあな、市ヶ谷。留守番よろしく」
ディーゼルエンジンが始動し、高機動車は出発した。
市ヶ谷は、それを見送るしかなかった。
やがて土居内と富山は第14普通科連隊と合流する。
「中央混成連隊の土居内3等陸尉です」
「同じく、富山陸士長」
第14普通科連隊の連隊長は笑顔で2人を迎える。
「やあどうも。第14普連の朝霧3佐です」
その外見はかなり若かった。恐らく土居内と同年代だろう。
「えらく若いですね」
「これでも34ですがね。それに、連隊長代理ですし」
「代理?」
「前任は狙撃されまして・・・」
土居内は戦慄した。そして話題を変える。
「それはそうと、一体何を手伝えば?」
「そうでしたね。斥候をしてもらいたいんです。現在、我が隊の偵察隊は壊滅状態なんです」
第14普通科連隊の拠点である大型天幕から出た土居内はその辺にあるドラム缶を蹴った。
「要は俺らは弾よけか!」
それを聞き、高機動車に寄り掛かっていた富山はぼそっと呟く。
「そんなの関係ねぇ。マグマ軍なんか片っ端からぶっ潰せばいいんだ」
土居内は聞き逃さない。
「それで死んだらどうすんだ」
「あたしはただ先輩の仇を取りたいだけだ」
「復讐か。何の意味があるんだ?」
「意味? そんなの関係ねぇ、あたしはマグマ軍が憎いだけだ」
「そんなの捨てろ。いいか? 感情で敵を殺せば、いつかそれが苦痛になるぞ」
「じゃあ、何であんたらは殺すんだ」
「簡単だ、仕事だからだ。そうでも割り切らないと、心の傷は深くなっていくだけだ」
そう言うと、土居内は歩き出す。
「さぁ、仕事の時間だ」
猪谷駅周辺にて第10師団が構築した防衛線を抜け、土居内と富山は進む。スナイパーや路肩爆弾を警戒し、森の中を進む。
「で、どこまで進めばいいわけ?」
「敵がいる所までだ」
2人は匍匐前進で進んでいく。
「ったく、スカートが汚れちまう・・・」
「だから言ったろ? 迷彩服と防弾チョッキを着ろと。そんなんじゃ体が傷だらけになるぞ」
「余計な御世話だ! あたしはこの恰好を貫き通す!」
「固いな。それで死んでも俺は知らんからな」
2人はさらに進む。やがて、土居内は樹の幹に隠れ、富山に「敵発見」という意味のハンドサインを送る。富山はそれを受けて同じように隠れる。
「マグマ軍の機甲部隊だ、第14普連だけじゃ防ぎきれないな」
そこには、重戦車72號や歩兵戦闘車2號が列を成していていた。さらには対空戦車23號の姿も見える。
「こっちの攻撃ヘリへの対策か。面倒だな」
土居内はそう呟き、無線機で報告する。
「こちらマイク1、近所のチャーリー、スライムとイモムシがいっぱいだ。それに、腕4本もいるぞ」
〔了解した、マイク〕
すると、その隣で富山が89式小銃を構えていた。
「・・・・・・殺す、殺す・・・」
「おい、馬鹿! 止めろ!」
土居内の制止を聞かずに、富山は引き金を引いた。5.56mm小銃弾の銃声が森の中を木霊する。
さらに、89式小銃を側らに置くと、背負っていた110mm対戦車弾を用意する。グリップを展開し、弾頭のプロ―ヴを伸ばして対人榴弾モードから対戦車モードにする。そして一瞬だけ後ろを確認し、発射した。
巨大なロケット弾が飛んでいき、重戦車72號のキャタピラに命中、砲塔下の弾薬プラットフォームを引火させる。そして砲塔は丸ごと吹き飛ぶ。
「馬鹿野郎!」
土居内は富山を怒鳴りつける。その直後、重々しい重機関銃の銃声。大量の機関銃弾が森へと降り、木々が次々抉れる。
とっさに土居内は富山に飛びついて伏せさせる。
「ちょっと! 何すんだ!」
「黙っとけ! 今は絶対頭上げんなよ!」
富山は突然のしかかってきた土居内に向かって赤面するが、土居内はそれを知らずに無線機へと叫ぶ。
「こちらマイク1! 敵の攻撃を受けている! 至急援護を送ってくれ!」
〔了解した、マイク! 全機、一斉投下で行くぞ!〕
応答したのは第14普通科連隊ではなかった。直後、ジェットエンジン音が耳をつんざく。
〔ドロップ、ナウ〕
それは、航空自衛隊のF-4EJ改 ファントムⅡの編隊だった。急降下しながら主翼下の500ポンド爆弾を次々投下していく。
そしてマグマ軍戦車隊は壊滅する。生き残ったマグマ軍は散り散りになって敗走する。しかし、そこへ軽装甲機動車や高機動車がやってきて、普通科隊員達が89式小銃や84mm無反動砲、01式対戦車誘導弾を手に敗走するマグマ軍を追い掛ける。
「お疲れさまでした、残りはこちらで」
89式小銃を手にした朝霧3等陸佐が地面に伏せたままの土居内にそう言う。土居内は自分の身体についた土や泥を払いながら立ちあがる。
「そうですか。お役に立てて光栄ですっ!」
そう言い切る前に、土居内は朝霧3等陸佐を力いっぱい殴った。それも、空薬莢やその他もろもろから手を守る固い軍用グローブで。
「・・・!?」
朝霧3等陸佐は口から吐血する。恐らく頬の内側を切ったのだろう。そして土居内を睨みつける。
「き、貴様、上官に向かって・・・!」
しかし土居内は無視して富山を起こす。
「帰るぞ、富山」
「あんた、意外と男らしいんだな」
「こうでもなきゃ、小隊長なんて務まらんからな」
そして、土居内と富山は帰還する。
やっと戦闘シーン、しかも原作をまるっきり無視してるし・・・