りっく☆じあ~す 中央混成連隊、前進す!   作:土居内司令官(陸自ヲタ)

45 / 77
44話 東京開放 その1

 再び夜が明けた。

 

 神奈川県上空を、制空任務を帯びた戦闘機達が編隊を組んで飛ぶ。

 

 勿論マグマ軍も反応した。首都圏上空を旋回する早期警戒機A-50 メインステイが多国籍軍の戦闘機達を捉え、空中哨戒中のMiG-29やMiG-25を迎撃に向かわせ、厚木基地や羽田空港、成田空港から迎撃機が発進する。

 

 

 

〔ハト狩りの開始だ! アラート1、FOX3!〕

 

 多国籍軍の戦闘機達が一斉に長距離空対空ミサイルや中距離空対空ミサイルを発射する。その圧倒的な数の暴力に、空中のマグマ軍航空戦力は全滅した。

 

 更に、陸上自衛隊の第1空挺団や中央即応連隊が厚木基地を制圧した。

 

 

 

 成田空港の滑走路からMiG-23が編隊離陸する。直後、成田空港の滑走路に巡航ミサイルが着弾した。

 

 沖合に展開したタイコンデロガ級巡洋艦やキーロフ級戦艦、さらには戦略爆撃機B-52 ストラトフォートレスが巡航ミサイルで滑走路や防空レーダーを破壊する。

 

 制空権を確保した後、EC-1やEP-3C、EA-18G グラウラー、EA-6B プラウラー、EC-130 コマンドソロが展開し、首都圏全体にECM(電磁妨害)を行う。そして、対レーダーミサイルを装備したSEAD(敵防空網制圧)任務機が神奈川県上空を低空飛行で接近する。

 

 しかし、SEAD機編隊の先頭を飛ぶAGM-88対レーダーミサイルを搭載したF-4EJ改 ファントムⅡがいきなり攻撃を喰らった。

 

〔SAM(地対空ミサイル)だ!〕

 

〔高度を上げろ!〕

 

〔こんな畑の何処にミサイルが!?〕

 

 SEAD機達は高度を上げる。しかし、眼下には畑しかない。すると、畑の中からたくさんのミサイルが飛び出してきた。

 

〔緊急回避ぃ!〕

 

〔駄目だ、うわぁぁ!〕

 

〔フレアを撒け!〕

 

 トーネード IDSやSu-34 フルバックが対レーダーミサイルを切り捨て、回避機動を取る。しかし畑から飛び出したミサイルは次々命中していく。

 

〔一体何なんだ!?〕

 

〔クソッタレめ! マグマ軍にもヲタクがいるのか!? お次は対空網か!?〕

 

 多国籍軍のほとんどのパイロットは知らなかったが、航空自衛隊のパイロット達は仕掛けが分かった。マグマ軍は、某漫画のように畑の中に歩兵携行型地対空ミサイルを埋めていたのだ。

 

 

 

 茅ヶ崎の海岸に、LCACが接岸した。ランプドアが開き、25mm機関砲搭載の軽装甲機動車と89式装甲戦闘車が揚陸した。そして一般道に登った。

 

「敵は、いなさそうですね」

 

 軽装甲機動車の車上ハッチの新発田がそう呟いた。マグマ軍どころか、一般市民の姿もない。

 

「渚ちゃん、照明弾を」

 

 助手席の久居が、新発田に照明弾発射器を手渡す。受け取った新発田は、照明弾発射器を上に向けて引き金を引いた。

 

 ポヒュンという音を共に照明弾が打ち上げられ、強力な光を放つ。

 

 

 

「先遣隊の照明弾を確認、戦車班、揚陸開始!」

 

 輸送艦〈くにさき〉の全通甲板で、双眼鏡を覗く守山が指揮を執る。

 

 そして、〈くにさき〉からもう1隻のLCACが出てきた。10式戦車を載せ、海岸に向かう。

 

 

 

 航空自衛隊 入間基地では、マグマ軍が警備を固めていた。東京の方からは爆発音が断続的に聞こえる。多国籍軍の巡航ミサイルや対レーダーミサイルが着弾しているのだ。

 

 マグマ軍歩兵が、AK12自動小銃を手に歩哨している。すると、いきなり頭が爆ぜた。

 

 異変に気付いた別の歩兵が、それを知らせようと笛を吹こうとする。しかし、その歩兵は後ろから誰かに抱きつかれ、喉仏を切られて絶命した。

 

「クリア」

 

 ナイフを手にした金髪ポニーテールの少女が呟いた。そして、近くの茂みから褐色肌の銀髪少女がサウンドサプレッサー付HK416自動小銃を手に出てきた。

 

「こちらトム、歩哨を制圧」

 

〔了解〕

 

 やがて、カナダ軍のレオパルトC2 メクサス戦車を始めとする戦車小隊がやってきた。そして容赦なく金網を突き破り、入間基地に突入した。

 

 

 

 入間基地のマグマ軍は驚いた。急いで攻撃ヘリ24號やSu-25攻撃機を離陸させるも、飛び上がった直後に120mm対戦車成形炸裂榴弾を喰らって火達磨になった。

 

 正面ゲートから突入した16式機動戦闘車や87式偵察警戒車が逃げ出すマグマ軍歩兵をミンチにし、96式装輪装甲車から展開した隊員達が制圧していく。

 

 格納庫に2人の少女が89式小銃を手に突入する。そこには、MiG-17やMiG-21といった旧式機が並んでいる。

 

「あら?」

 

 MiG-21に近付いた、ピンク髪の少女が首を傾げた。

 

「どうしたの?」

 

 もう1人が尋ねると、ピンク髪の少女はMiG-21のエンジンノズルに付いた物体を指差した。

 

「一体何でしょう……?」

 

 

 

 多国籍軍の侵攻により、東京はパニックになっていた。市民達は戦火から逃れるため国民車で逃げ出そうとする。しかし、東京から出る道は全てマグマ軍が封鎖しているのだ。勿論、逃げ出そうとする市民に対し、マグマ軍は非情に扱う。機関銃や対戦車砲、RPG-7ロケットランチャーで迎え撃ち、時には火炎放射器も使う。

 

「世紀末だな」

 

「火炎放射器が高圧放水銃なら、某ゾンビ漫画だな」

 

 車を降りた土居内達が、逃げ惑う市民に紛れていた。

 

「どうするんですか?」

 

 市ヶ谷が尋ねる。彼らは皆、エコバッグを左肩に提げていた。その中には銃がある。

 

「どうするって……道を戦車で塞がれたら、何も出来ないし。上にはハインドに、よく分からんヘリがいるから、迂闊に動けば蜂の巣だ」

 

 土居内は頭上を示した。攻撃ヘリ24號の他に、新型の攻撃ヘリ50號(カモフ Ka-50)が旋回している。先程の制空権確保を巡る戦いでマグマ軍の固定翼機は全て撃墜された。しかし、その後からハエのようにヘリコプターや戦闘機が湧き出ているのである。

 

 

 

〔クソっ! 一体何処から!?〕

 

 F-4EJ改 ファントムⅡが20mmバルカン砲を放つ。マグマ軍のMiG-17の右主翼と垂直尾翼が消し飛び、炎上しながらフジテレビに突っ込んだ。

 

〔駄目だ、MiGの数が多過ぎる!〕

 

〔見ろ! 奴ら、あんな所から!〕

 

 フランス海軍のラファールM F1のパイロットが叫ぶ。マグマ軍のMiG達は、首都高速 湾岸線の直線部分から離陸しているのだ。

 

〔何て事だ! ヤポンスキーめ、面倒な高速道を作りやがって!〕

 

 ロシア空軍のSu-30 フランカーのパイロットが叫ぶ。それに対し、ロシア空軍のIl-78空中給油機から燃料を補給するアメリカ海軍のF/A-18E スーパーホーネットのパイロットがツッコミを入れた。

 

〔そんな所から離陸出来る飛行機を作った国は、はて何処だったかな?〕

 

〔黙ってろ米帝!〕

 

 そんな会話をさておいて、イギリス海軍のF-35B ライトニングⅡが、主翼下のAIM-132 アスラーム短距離空対空ミサイルを発射してMiG-21を撃墜する。そして気付いた。

 

〔あいつら、正気か!?〕

 

〔どうした!?〕

 

〔マグマ軍の連中、一般道からロケットブースターでMiGを飛ばしてやがる!〕

 

 見れば、一般道に止まったトレーラーからMiG-17やMiG-21が降ろされ、そして三角形の発射台に載せられて翼を組み立てられている。主翼が完成次第、マグマ軍のMiG達はロケットブースターで離陸していく。

 

〔対地攻撃だ! 一般道を破壊しないと!〕

 

〔対地攻撃だって? 俺達に任せろ。スカイキッド01、エンゲージ!〕

 

 見れば、アメリカ空軍のA-10C サンダーボルトⅡの編隊が急降下を開始した。MiG-17が迎撃のために上昇するも、「史上最強のタンクキラー」A-10はお構い無しに30mmガトリング砲GAU-8 アベンジャーや、70mmロケット弾ポッドでMiGごと舗装路を破壊した。

 

 

 

 その頃、中央混成連隊は峠を越えて横浜市に突入した。

 

「やはりいたぞ! 目標、正面の敵戦車、ってぇ!」

 

 ブローニング M2重機関銃を搭載した軽装甲機動車に乗った守山が叫ぶ。

 

 正面の中学校から、マグマ軍の重戦車80號を筆頭とする遊撃隊が出てきた。すぐに90式戦車とT-80戦車、10式戦車が120mm対戦車徹甲弾を放って破壊した。

 

 守山は、軽装甲機動車の助手席で地図を読み、奇襲されやすい場所を見つける。そして隊員達は絶えず周囲を警戒する。

 

「寒い~、もうやだ~。先遣隊に立候補するんじゃなかった~。そうしたらWAPC(96式装輪装甲車)とかFV(89式装甲戦闘車)の中でぬくぬく出来たのに~」

 

 ただ1人、軽装甲機動車の車上で25mm機関砲の操作ハンドルを握って震える新発田を除いて。

 

 

 

「司令官、本当に大丈夫なんですか?」

 

「仕方ないだろ、他に方法が無いんだから」

 

 土居内達は、真っ暗なトンネルの中、自動小銃に付けたタクティカルライトの明かりを頼りに進んでいた。

 

 回収した女中達は、乗り捨てたワンボックス車の中でジャージに着替えていた。そしてPP-19短機関銃を手に後ろを守っている。

 

 やがて、広い所に出た。しかし暗い。

 

「夏だったら、いい心霊スポットになりそうだな」

 

 土居内が冗談で言うと、富山と習志野が過剰に反応した。

 

「な、ななな何言ってるんだよ!? シバくぞ!?」

 

「ふん、幽霊なんて……いる訳無いわよね?」

 

 それをさておき、富士が腰の高さ程ある段差を登り、壁に近付く。埃被った表示にライトを当てると、文字が見えた。

 

「『九段下』か。ここで乗り換えるべきじゃない?」

 

 富士が振り返りながら言う。同じく登ってきた土居内が、路線図をポケットから取り出して見る。

 

「問題は、ここからどう移動するかだ。マグマ軍に見つかれば一環の終わりだ」

 

 彼らは、今では使われていない地下鉄を利用して移動していた。

 

 

 

 東京都内を陸上自衛隊のヘリ編隊が飛ぶ。ガンシップに改造されたOH-6D偵察ヘリが、ブローニング M2重機関銃でマグマ軍歩兵を駆逐し、UH-60JA汎用ヘリやCH-47JA輸送ヘリがホバリングして普通科隊員達を降ろす。

 

 しかし、マグマ軍も黙っていなかった。市街地に最新の対空戦車222號や自走高射機関砲・96K6 パーンツィリー S1を展開し、陸上自衛隊のヘリ編隊を迎え撃つ。

 

 渋谷のスクランブル交差点にUH-60JA汎用ヘリや軽装甲機動車、10式戦車がやってきた。軽装甲機動車やUH-60JA汎用ヘリから普通科隊員達が展開し、10式戦車がブローニング M2重機関銃と74式車載機関銃で接近してくるマグマ軍歩兵を蹴散らす。

 

 しかし、一進一退の攻防が続く。UH-60JA汎用ヘリがパーンツィリー S1や対空戦車222號の30mm対空機関砲で撃墜されると、10式戦車や16式機動戦闘車がこれを破壊、そしてマグマ軍歩兵がビルの中からRPG-7ロケットランチャーを発射して16式機動戦闘車を吹き飛ばす。さらに、そのマグマ軍歩兵を、ロシア空軍の戦闘ヘリMi-28 ハボックが部屋ごと機関砲でぶち壊す。

 

 そして、日本により多くの恩を売ろうと多国籍軍の機械化歩兵部隊もやってきた。

 

「ヤポンスキーを援護!」

 

 ロシア陸軍のBMP-3装甲戦闘車と、アメリカ陸軍のM2 A3 ブラッドレー装甲戦闘車が疾走する。

 

 すると、正面の交差点からマグマ軍の歩兵戦闘車2號が数台飛び出してきた。砲塔の30mm機関砲はこちらを向いている。

 

「小隊長殿! あれは敵ですか!?」

 

「馬鹿野郎! あれはマグマ軍のIFVだ!」

 

 BMP-3の車内で、砲手が小隊長に尋ね、小隊長が怒鳴り返した。何しろ、ロシア軍では、敵も味方も同じ兵器を利用するため、敵味方の識別を徹底するように命令されているからだ。

 

 歩兵戦闘車2號が30mm機関砲で撃ち、先頭のBMP-3を破壊した。

 

〔小隊長殿がやられた!〕

 

〔撃ち返せ!〕

 

〔TOWでフ○○クしてやるぜ!〕

 

 即座に後続のBMP-3とM2 A3 ブラッドレーが100mm低圧砲やTOW対戦車ミサイルで歩兵戦闘車2號を蜂の巣にする。ハッチからマグマ軍歩兵やイモムシが出てくるも、イモムシは母体のBMP-2と共に息絶え、歩兵達は米露のIFVに跳ね飛ばされ、轢き殺された。

 

 

 

 土居内達は暗いトンネルを突き進む。時折巨大な地響きがトンネル内に響いた。

 

「一体これは――」

 

 朝霞の言葉を遮り、土居内が説明する。

 

「きっと南関東解放作戦が実行されたんだ。そうでも無きゃ、この地響きは説明できない」

 

「でも、ちょっと多過ぎませんか?」

 

 そう言う間にも、また地響きが起きる。

 

 土居内は考えるが、分からなかった。

 

「おい、司令官」

 

 富山が呼び掛ける。見れば、行く先の新宿駅から光が漏れている。土居内達は、警戒しながら前進した。




テストがあり、さらに親が「息子よ、4月からは高校3年生だぞ?(ニッコリ)」とか言ってきまして、全く書けていないし、来年の3月まで不定期連載になるかもです
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。