りっく☆じあ~す 中央混成連隊、前進す! 作:土居内司令官(陸自ヲタ)
新宿駅前で対戦車陣地を構築していたマグマ軍が襲撃を受けた。
歩兵戦闘車2號の後部ランプドア外側にある、中空装甲を兼ねた燃料タンクが吹き飛び、そして6発の40mmグレネード弾で歩兵諸共吹っ飛ぶ。重戦車14號のエンジンに110mm対戦車弾が命中し、派手に爆発する。
マグマ軍の、対戦車狙撃兵小隊は壊滅した。しかし、土居内達は反撃から身を守るために地下鉄へと逃げ込んだ。
中央混成連隊は、徐々に後退するマグマ軍をじりじりと追っていく。燃料と弾薬が続く限り、ヘリコプター達は上空火力支援を続ける。
「ファイア!」
AH-64D戦闘ヘリの30mm機関砲M230 A1が火を噴く。機首のFLIR(夜間暗視装置)でマグマ軍の歩兵集団を捉え、アパッチは正確に機銃掃射を加えた。
〔突撃!〕
無線機で守山が叫ぶ。既に大通りに出ていたため、戦車が遺憾なく火力を発揮する。
北富士が、96式装輪装甲車のブローニング M2重機関銃をぶっ放し、マグマ軍歩兵を駆逐する。既に日は傾き始め、一部はヘッドバンドで夜間暗視装置JGVS-V8を頭に着け始める。
いきなり、北富士を囲む全周囲防楯が音を立てた。背後から銃撃されているのだ。
「6時方向に敵!」
「未咲さんとかんなちゃん! 後方に弾幕!」
守山が、弾切れの89式小銃 2型から9mm拳銃に代えながら指示を出す。相馬原と新町は振り返り、背後から奇襲してくるマグマ軍歩兵を2丁の機関銃で迎え撃つ。
土居内達は無事に地下鉄の路線に隠れられた。激しい戦闘の衝撃波がトンネル内で共鳴し、自分の足音すら聞こえにくい。
「マグマ軍の連中、ここまで追ってこなければいいけど」
AN94自動小銃を構え、後ろを警戒する鯖江が呟く。
「フラグを立てないでくれ。私はそういうのを気にする質なんだ」
「まさか、習志野1曹がフラグ信者だったなんて」
「私語を慎め。聞かれるかもしれないだろ?」
土居内が黙らせる。彼らは入間目指して歩く。
〔バルキア05、FOX2!〕
アメリカ空軍のF-16C ファイティングファルコンがAIM-9X サイドワインダー短距離空対空ミサイルを、マグマ軍の真っ赤なSu-27 フランカーに向け発射した。Su-27はフレアを撒きながら急上昇するも、サイドワインダーはSu-27のエンジンノズルに飛び込み、爆発する。
一方、航空自衛隊のF-15MJ イーグルはSu-27に追われていた。
〔くそっ!〕
F-15MJは低空飛行、ビルの谷間を縫うように飛ぶ。その衝撃波で有りっ丈のガラスが粉々になり、道路へ降り注ぐ。Su-27は30mm機関砲を撃つが、F-15MJには当たらない。外れ弾が舗装路を捲り、国民車の残骸をただの鉄屑に変えた。
〔オルトロス13! フレアを撒け! オルトロス08、FOX2!〕
Su-27の後ろに、別のF-15MJがつき、AAM-5短距離空対空ミサイルを放つ。そしてSu-27は撃墜された。
高田馬場を、マグマ軍のBTR-80装輪装甲車が疾走する。交差点で南へ転進し、新宿へ向かう。
それを、アメリカのMQ-9無人偵察機が見つけた。直ちにAGM-65 マーベリック対戦車ミサイルを搭載したF-2A バイパーゼロと米海兵隊の攻撃ヘリAH-1Z スーパーコブラが向かう。
〔タリホー(目標発見)! マーベリック発射!〕
F-2Aは躊躇う事無く、主翼下のマーベリック対戦車ミサイルを発射した。
BTR-80装輪装甲車は右へ急旋回するも、発射された2発の内1発はBTR-80装輪装甲車の車体後部をえぐった。
「ゴキ○リ共め! 一昨日来やがれ!」
国民車の残骸のボンネットに、二脚を広げたMINIMI機関銃を置いた相馬原が、5.56mm小銃弾を安売りバーゲンの如くばらまきながら叫ぶ。隣では、新町がバスの陰に隠れながら62式機関銃をぶっ放す。
ふと相馬原が振り返ると、中央混成連隊の隊員や車両がいなくなっていた。
「何て事だ! 置いてけぼりにされちまった!」
「何ですって!?」
「何でもない!」
2人は機関銃を撃ち続けた。
土居内達は走り続け、やがてトンネルを抜けた。スナイパーがいないか確認し、線路を進む。
「あいつら、無事だろうか……」
土居内が東京方面を見る。見れば、六本木ヒルズがF-15Eの精密爆撃を喰らって倒壊していた。
〔ビンゴォ! マグマ軍のクソッタレスナイパーをやっつけた!〕
〔見事なスナイピングだぜ!〕
F-15EのパイロットとWSO(ウェポンシステム・オペレーター、兵器操作誘導員)が狂喜乱舞する。直後、上昇してきたMiG-17から発射されたAA-2 アトール短距離空対空ミサイルを喰らって墜ちる。
東京上空の戦いは、多国籍軍の優勢であった。マグマ軍は有りっ丈のSAM(地対空ミサイル)やロケットブースターを付けた旧式のMiG戦闘機で立ち向かうも、2機目を落とす前に破壊された。
地上戦はまだ続いている。皇居を境に、東側の主力部隊は茨城県へ、西側の主力部隊は山梨県へ撤退を始めているが、まだゲリラ部隊が残っており、泥沼の市街地掃討戦になっていた。
「おい新町!」
「は、はい!」
相馬原が叫び、新町が驚く。
「本部隊に置いていかれた! 今すぐ追い掛ける!」
「わ、分かりました!」
2人は機関銃を抱えて走り出した。
市ヶ谷は満身創痍で歩いている。乗っていたBTR-80装輪装甲車は、マーベリック対戦車ミサイルを喰らって立ち往生し、AH-1Zによってみじん切りにされた。市ヶ谷は、そこから必死に抜け出したのだった。
「あなた、大丈夫!?」
突然話し掛けられ、驚いて見ると自衛隊員がいた。防弾チョッキ2型に88式鉄帽、手には89式小銃、一目で女性自衛官と分かる長い茶髪。
「はい、今上官を探していて――」
市ヶ谷が言うと、その女性自衛官は驚いた顔をした。
「あなた、愛?」
「もしかして、アユ?」
市ヶ谷は、その女性自衛官を知っていた。防衛大の頃から気が合い、防衛省勤めになってもずっと連絡を取り合った友人だった。
「久しぶり。生きていたのね、嬉しいよ」
「私もよ!」
2人は綻んだ笑顔を見せると、アユと呼ばれた女性自衛官――錦川 麻由美2等陸尉――が市ヶ谷を抱き締めた。
「ごめん、守ってあげられなくて」
「え、何言ってるの?」
そこへ、男性自衛官の叫び声が響いた。
「錦川! 早く集合しろ!」
「はい!」
錦川2尉は何故か涙を拭い、市ヶ谷を見る。
「これから、残りのマグマ軍ゲリラを掃討するんだけど、愛は休んだ方がいい。すぐ近くに本隊がいるから」
「分かった。アユ、死なないでね?」
「分かってるよ」
やがて、日が暮れ始めた。アメリカ空軍の輸送機改造対地攻撃機(空中砲台)AC-130 スペクターが40mm速射砲と25mmガトリング砲でマグマ軍を蹴散らし、多国籍軍は高価な夜間暗視装置を使いゲリラ部隊を掃討する。
一方、マグマ軍歩兵は夜間暗視装置なんて持っていなかった。所詮捨て駒である歩兵に、AK47自動小銃より高価なものを持たせるなんて事はおいそれと出来なかったからだ。なので夜戦になると一方的に狩られていった。
ドアノブが、イタリア製自動散弾銃・ベネリ M4 スーパー90によって吹き飛ぶ。直後、M16 A4自動小銃を手にした米海兵隊の歩兵分隊が突入した。
次々とマグマ軍歩兵は撃ち殺され、近衛兵が抑えつけられる。
「劣等人種め……! 私を殺せ!」
近衛兵は叫ぶ。しかし海兵隊員達は気にしない。
[何て言ったんだ?]
[日本の近衛兵は、日本語しか喋れないようだな]
[早く済ましちまおうぜ。紅茶野郎やウォトカ野郎にジャップが来たら面倒だ]
[だな]
そして、海兵隊員達は近衛兵の服を裂き――
市ヶ谷はその辺に転がっていたマグマ軍のGAZ-69と呼ばれるソ連製ジープをかっぱらい、東京都内を疾走する。歩兵達が勝手に売り払ったのか、片方のヘッドライトが付いていない。それでも構わなかった。
市ヶ谷はアクセルを踏み込む。目指すは入間基地、このまま追い掛ければ出会えるような予感がした。
相馬原と新町が機関銃を抱えて走る。しかしマグマ軍歩兵達が行く手を阻んだ。
「うざいわこのフナムシ野郎!」
素早く相馬原は伏せてMINIMI機関銃を連射する。その時、左にいた新町は見つけた。相馬原の右方向からAK47自動小銃を撃とうとするマグマ軍歩兵を。
「未咲さん、ごめんなさい!」
新町は、相馬原のMINIMI機関銃の上に62式機関銃を置いて射撃する。勢いよく7.62mmNATO弾が吐き出され、その銃声は相馬原の鼓膜を攻撃した。
「馬鹿野郎! あたしを難聴にする気か!?」
「ごめんなさい!」
新町は再び引き金を引いた。そして4体目のマグマ軍歩兵が倒れた。
その頃、守山達はマグマ軍に囲まれていた。
「どうします!?」
豊川が、89式小銃の弾倉を交換しながら叫ぶ。守山は、左親指の爪を噛んでいた。
「アパッチさんやコブラさんを呼んでCAS(近接航空支援)を――」
「こんなに密集した状況で? 私達も月まで吹き飛ばされるわよ」
金沢の提案を、守山が全否定した。彼女達は、車両班とはぐれて囲まれていたのであった。
土居内達は西武新宿線の線路を歩いていた。もうすっかり日は落ち、徐々に気温も下がる。加えて疲労が溜まっているため、レンジャーではない鯖江が息を切らす。
「駄目だ、レンジャーと一緒に行動出来ないなんて……」
肩で息をする鯖江が呟いた。それを聞き、AK12自動小銃を手に周囲を警戒する習志野が、鯖江に言った。
「このくらい、富士教か……1尉の下ではウォーミングアップ程度だ」
「マジか……」
土居内は、鯖江を気遣ってゆっくり歩く。すると、目の前の踏切に1台のジープが止まった。
すぐに土居内と習志野は銃を構えた。しかし、ジープから降りてきた人影を見て、銃を降ろす。
「佳樹さん!」
「愛!」
それは、市ヶ谷だった。
一方、中央混成連隊のAH-1S攻撃ヘリ(改)とAH-64D戦闘ヘリは、燃料と弾薬を補給するため、東京湾に浮かぶ、ある船へと向かった。その船は、フルフラットの甲板、艦首はジャンプ台のように上を向き、艦橋からは黒煙がもくもく上がっている。
〔バトラー1、2、着艦を許可する。ようこそ、〈アドミラル=クズネツォフ〉へ〕
それは、ロシアが唯一保有する航空母艦、クズネツォフ級航空巡洋艦 1番艦〈アドミラル=クズネツォフ〉だった。
〔ハニーポッド・コントロールより付近の迎撃隊へ。かなりの大型機が北から接近、数6。護衛と思われる戦闘機が24。あと4分で首都圏に到達する〕
〔了解、迎撃に向かう〕
航空自衛隊の早期警戒管制機E-767が正体不明機を見つけた。ただちにF-35AJが迎撃に向かう。
守山達小銃班はコンビニに籠城していた。既にガラスは粉々になっており、隊員達は懸命に応戦する。
「みんな! あと少しでCAS(近接航空支援)が来るわ!」
守山が、レジカウンターで89式小銃を連射しながら叫ぶ。その言葉に、隊員達は励まされた。
やがて、ヘリコプターのローター音が近付いてくる。それは、ドイツ軍の攻撃ヘリPAH-2 ティーガーだった。4機のティーガーは短翼下の12.7mm機関銃ポッドでマグマ軍歩兵達を蹴散らす。
「Great! 話の通じるドイツ人は好きよ!」
練馬がそう叫んだ。しかし次の瞬間、ティーガー達は火達磨になった。見れば、ソ連製垂直離着陸戦闘機・Yak-38 フォージャーが宙に浮いていた。
〈アドミラル=クズネツォフ〉の甲板に、Su-33とMiG-29K、そしてAH-64D戦闘ヘリとAH-1S攻撃ヘリ(改)が駐機していた。 他にも米海兵隊のAH-1Z攻撃ヘリの姿もあり、アメリカ兵の手でAH-64D戦闘ヘリとAH-1S攻撃ヘリ(改)に燃料と弾薬が補給される。
次の瞬間、甲板に耳をつんざく砲声が轟いた。見れば、左舷の30mmCIWS(近接防空火器)機関砲が唸りをあげ、接近してくるMiG-17を粉微塵にしていた。そして、〈アドミラル=クズネツォフ〉の前を航行していた、アメリカ海軍のインディペンディンス級沿岸戦闘艦の艦橋にMiG-21が突っ込んで炎上した。
〔『カミカゼ』だ! マグマ軍の連中、カミカゼ攻撃してきやがった!〕
インディペンデンス級の右隣を航行するアーレイバーグ級イージス駆逐艦の若い航海長が叫ぶ。そして、アーレイバーグ級の前部甲板の127mm単装速射砲が左旋回した。
〔対空射撃用意!〕
〔待て! こんな狭い東京湾で対空射撃なんかしてみろ! 破片が地上部隊に降り注ぐのがオチだぞ!?〕
〔うるせー! こっちだって300人の命乗せてんだ! 主砲、Fire!〕
アーレイバーグ級と〈アドミラル=クズネツォフ〉が対空射撃を始めた。
〈アドミラル=クズネツォフ〉のばらまいた30mm機関砲弾は、雨霰と品川に降り注いだ。
「早く建物へ!」
「マグマ軍の新手の攻撃だ!」
「一体何処から!?」
品川にて、補給と休養を受けていた多国籍軍の歩兵部隊が、慌てて建物へ入っていき、そして表にあった装甲車がスクラップになる。
東京解放作戦が始まって、もう半日が経とうとしていた。しかし、まだ終わりそうも無かった。
わーい、本家は一周年記念でフィーバーフィーバーしてるのに、こっちは相変わらず東京でドンパチしてるぜ
3/7 指摘を頂き、一部訂正しました