りっく☆じあ~す 中央混成連隊、前進す! 作:土居内司令官(陸自ヲタ)
砲声が聞こえる。機関銃から徹甲弾が乱発され、人間の右足が弾ける。
見渡せば、廃車寸前の96式装輪装甲車に銃を手にした女子高生達が隠れている。しかし、飛んできた対戦車ミサイルで装甲車諸共吹き飛んだ。90式戦車のエンジンが炎上しており、砲塔上面の戦車長用キューポラにいる女子高生の命は風前の灯火だった。
迫撃砲弾飛来、そして軽装甲機動車がドアや機銃手の肉片を撒き散らしながらひっくり返った。
「くそっ! 空自の支援はどうなったんだ!? まだ戦えるのは何人だ!?」
88式鉄帽、防弾チョッキ 3型、そしてドットサイト付89式小銃を手にした男が叫ぶ。
「分かりません! 少なくともナナヨンさんとキューマルさん、アパッチさんはもう……」
『私』はそう言った。彼は携帯無線機で連絡を取るも、応答が無い。
「小銃班、応答しろ! 松本、鯖江! 現状を報告! ……おい、何で応答しないんだ!? 松本! 返事をしろ! 木更津! 何がどうなっているんだ!? 何で誰も返事をしないんだ!?」
彼が叫ぶ。すると、目の前に敵戦車が現れた。砲塔の14.5mm重機関銃はこちらを向いている。周りには、もう敵兵しかいない。そして、『私』と彼は――
「っ――!?」
市ヶ谷が飛び起きた。隣で寝ていた土居内も起きる。
「どうした、愛?」
「いえ、何でも――」
そう言って、市ヶ谷は自分の胸に手を当てる。全力疾走したかのように鼓動が激しい。
「大丈夫か?」
「はい、ちょっと怖い夢を見ただけです」
「そっか」
土居内は着替え始めた。市ヶ谷は、しばらくベッドの上に座って考えていた。
(私、この人と死ねたら本望、なのかな?)
そして、起き上がろうとして、股間に違和感を感じた。
(これって……確か昨夜、帰ってきてその勢いで……)
思い出し、市ヶ谷は赤面する。
「どうした?」
「い、いえ!? 何でもありません!」
今日は、中央混成連隊は休みだった。東京解放作戦を終え、第32普通科連隊等の部隊が後処理を行っている。
寝ぼけ眼の久居が、パジャマ姿のまま食堂にやってきた。まだ皆は眠っているらしく、誰もいない。壁に掛かっている時計は0946時を指していた。
そして、久居は気付いた、テーブルの上に、饅頭が山積みされているのを。
近付いて見ると、すぐ側に「ご自由に」と書かれた紙がテーブルに張ってあった。
「いいよね、1個ぐらい……」
久居は饅頭を口に運んだ。
相馬原は、暇を持て余していた。被弾したため、護衛艦〈ひゅうが〉に入院(?)していた。
窓も無い相部屋で、相馬原以外にも自衛官や多国籍軍の兵士の姿もあった。
(こんな所じゃ、誰も見舞いに来てくれないか……)
相馬原は天井を眺める。
習志野が起きた。手元の目覚まし時計は0947、何時もより4時間近く遅い。
大きなあくびをすると、習志野はベッドから起き上がり、いつものルーチンである筋トレを始める。腕立て伏せ、腹筋、背筋とこなし、パジャマからジャージに着替える。そして、廊下に出た。
目覚めた富山は、する事が無かった。ベッドの上をごろごろ転がり、スマホを手にする。起動画面は、所属していたアイドルグループのメンバーの集合写真だ。マグマ軍侵攻による戦乱で、メンバーはばらばらになってしまい、安否は分からない。
富山はスマホを投げ出し、ベッドで大の字になる。
「また踊りたいなぁ……」
そう呟く。楽しかったあの頃にはもう戻れない、そう自覚しながら。
習志野はジョギングしていた。いつもなら激しいランニングだが、筋肉痛で無理だった。
ふと、習志野はあるものに気付いた。
見れば、木の上に大宮が登り、カメラを手にしている。
「大宮2曹、何している?」
習志野が立ち止まり、大宮に話し掛けた。すると、大宮は口に人差し指を当て、「静かに」というジェスチャーをした。習志野は首を傾げながらその場を去った。
シャワーを浴びた習志野は食堂に向かった。既に何人かが遅い朝食を摂っていた。習志野は朝食を摂り、そして饅頭を見つけた。
「『ご自由に』か……」
習志野は、饅頭を1個手に取り、饅頭を眺める。特に変わった所は無く、習志野は疑う事無く饅頭を口に運んだ。
土居内は、司令官室で漫画を読んでいた。休日にも関わらず、彼は迷彩服 2型を着、腰にホルスターを吊している。
M1 A1 エイブラムス戦車とM2 A2 ブラッドレー装甲戦闘車がT-72戦車を返り討ちにしているシーンを読んでいると、扉がノックされた。
「どうぞー」
土居内がそう言うと、扉が開かれた。漫画から目を上げると、久居がいた。
「久居か。どうした?」
「えへへ……」
そして、土居内は気付いた。久居の瞳の光彩は開ききり、口元がだらしなくなっている。
「具合が悪いのか?」
「違いますよぉ……」
そして、久居はいきなり土居内の襟を掴み、口づけをした。
「――!?」
「えへへ、司令官さんの唾液あまぁい……」
「待て久居! 本当にどうしたんだ!?」
「いつも通りですよぉ。キスしたからぁ、司令官さんも同罪ですぅ」
そう言って、久居はスカートをたくし上げた。既に、彼女の淡いピンク色の下着は【不適切な表現により、削除されました】でぐっしょりと濡れていた。
「司令官さんの事を考えてるとぉ、この奥の疼きが止まらないんですぅ」
久居は土居内をソファへと押し倒し、その上に跨がった。そして久居は、彼女の【不適切な表現により、削除されました】を土居内の【不適切な表現により、削除されました】に擦り付ける。
「えへへ、司令官さんの【不適切な表現により、削除されました】、すっかり大きくなってる……嬉しいですぅ」
「待て待て待てぇ! 俺には市ヶ谷がいるし、お前だって別に好きな人がいるだろ!?」
「【不適切な表現により、削除されました】を大きくしているのに、説得力無いですよぉ。それに、私はずっと司令官さんが好きだったんですぅ……だから、私の初めてを捧げて既成事実を作っちゃえば――」
土居内は確信する。久居は、何かしらの薬(またはクスリ)により、普通では無くなっている。
そして、土居内は久居の肩を掴み、彼女の上に覆い被さった。
「司令官さん、積極的ぃ……」
久居がニコリと笑う。そして土居内は、心を鬼にして、彼女に渾身の頭突きを喰らわした。
「かはっ――」
グシャッという音がしたが、気にしてはいけない。
土居内は、久居が伸びているのを確認し、窓から外に出た。
「しれーかーん? 何処ですかー?」
朝霞が呼んでいる。しかし、彼女もまた、久居と同じ状態だった。
(何がどうなっているんだ。これは見つかったら危ないぞ)
土居内は植え込みに隠れて匍匐前進(第4匍匐と呼ばれる)で、車両庫に向かう。装甲車の中に隠れれば、何とかやり過ごせそうだからだ。
(全く冗談じゃない。この戦争が終わったら、他部隊への転属願いを出してやる)
土居内は心の中でそう決意しながら進む。
すると、何かがのしかかってきた。
(まずい――!)
即座に土居内は転がって仰向けになり、ホルスターから9mm拳銃を引き抜いた。しかし、拳銃を手にした右腕を押さえられる。
「司令官、私だ」
それは、コブラだった。
霧本は暇を持て余していた。彼女の立場は「需品科の民間人手伝い」なので、こうして新発田駐屯地にいるが、もうそろそろ会社に戻るべきだと考え始めていた。
(東京が解放されたしなぁ……そろそろ『自衛隊の保護』から抜け出さないと)
そして彼女は、公衆電話に向かった。
コブラは、土居内の上に覆い被さっていた。お互いの唇は触れ合わんばかりに近い。
「おい、コブラ。一体――」
何が起きているのか、と言いかけた土居内の口を、コブラは唇で塞いだ。
「すまない、司令官。身体の疼きが止まらないんだ」
「ちょっと待て。お前は木更津3尉(茜)一筋じゃなかったのか?」
「確かにそうだ。茜お姉様が大好きだ、だが異性として司令官のことも……」
しかし、そこでコブラの言葉が途切れた。見れば、USP自動拳銃を手にした習志野がいた。
「全く、司令官は女の誘いを断れない愚図なのか?」
「うるせー。仮にでも部下なんだ、下手に断ればぎくしゃくするだろ?」
「これだから……」
「ん?」
「いや、何でもない」
USP自動拳銃の台尻で殴られて伸びたコブラを放置し、2人は車両庫へ向かう。
2人は車両庫に隠れた。そこには、中央混成連隊の有する大型兵器が保管されている。
「ここまで来れば、安心か……?」
土居内が、9mm拳銃をホルスターに仕舞いながら呟く。習志野も、ホロサイト付USP自動拳銃をホルスターに仕舞う。そして、いきなり土居内の襟を掴んだ。
「おい、習志野?」
「悪い、司令官」
そう言って、習志野は土居内に口づけをする。ねっとりと長い口吸ひを行い、離れる。
「やはり、あの饅頭が原因か……」
「あの饅頭って何だ?」
習志野が呟き、土居内が反応した。
「いや、何でもない。あと、実はイラクの時から好きだった」
「何がだ……まさか、俺?」
「そうだ。司令官と一度だけでも一緒に寝たかった」
「イラクとか、スカッドハントの時とかあっただろう?」
「違う! 性的な意味でだ!」
「……Oh.」
「茶化さないでくれ! 私は、本気で言っているんだ」
「でも、俺には市ヶ谷という――」
「分かってる。分かっている! でも、4年も片思いして報われないなんて、悲し過ぎるだろう……!」
「習志野……」
「一度だけでもいい、お願いだ、そしたら、諦めがつくから……」
そして、2人の唇は――
〔サグメ06からハニーポッド・コントロール! すごい大きさだ!〕
航空自衛隊のRF-4E偵察機が神奈川県上空を飛んでいる。眼下には箱根の峠道、ではなかった。正体不明の巨大物体が森林を破壊しながら山を降りている。
〔なんつう大きさだ、ASM-3を撃ち込んでも効かないかもしれないぞ〕
〔B-52とTu-160を呼んで核攻撃するか?〕
その時、RF-4E偵察機の受動警戒装置が鳴った。
〔ロックオンされた!〕
〔分かっている! サグメ06からハニーポッド・コントロールへ! エマージェンシーをコール!〕
RF-4E偵察機がチャフとフレアを撒く。しかし、飛んできたのはミサイルでは無かった。
土居内と習志野の唇が触れ合う――ことは無かった。その直前、習志野が白目を剥いて土居内に倒れかかった。
「うわっと」
土居内が習志野を抱き締める。その身体は、地獄の富士レッスン(レンジャー教育課程)と空挺降下訓練課程を卒業したとは思えないほど軽かった。
「おいごら、このボケ司令官」
見れば、富山が着剣した89式小銃を手にして立っていた。
「富山――」
「全く、司令官はいつから大ボケになったんだ? 市ヶ谷さんにぶっ殺されても文句言えないぞ」
富山がガミガミと言う。どうやら習志野は後頭部を銃床で殴られたらしい。
「食堂にあった変な饅頭の所為で皆狂っちまってるよ」
「『変な饅頭』?」
土居内が聞き返す。
「ああ、食堂のテーブルに、『ご自由に』という貼り紙と一緒に山積みにされてた。あたしは、怪しかったから食べなかったけどよ」
「その饅頭の所為で、皆理性が無くなって興奮状態になっているのか?」
「さぁな」
「試しに訊くが、何で俺を助けた?」
「アホさ加減に見かねたのが1つ、お前の事がまだ好きなのが2つ、駐屯地内で流血沙汰が起きるのは御免というのが3つ」
「……あっそう」
「リアクション薄くねぇか……? あと、さりげなく2つ目をスルーすんな」
「いや、二度目の告白を受けても」
「ったく、性懲りも無いアホだよ」
「以前はそういうの恥ずかしがっていたのにな」
「何昔の事言ってんだ。ま、一度玉砕すると、恥っついのがどっか行っちまうんだよ」
「ふぅん」
「何疑ってるんだよ。ま、お前とスる気は無いからな」
「そっちの方がありがたいな」
「このバカップルが……東京の時から思ってたけどよ、ほんとバカとしか言いようのないお似合いカップルだよ。さっさと結婚しちまえ」
「……そうしたいのも山々だが、今は戦時だ。そういうのは――」
「バカか!? あんなイチャイチャっぷりを見せつけておいてよく言うわ! 全く呆れたよ。会話する気が失せた、さっさとキューロク(96式装輪装甲車)の中にでも隠れてろ。おかしくなった奴らは、こっちで何とかしとくから」
「サンキュ、富山」
そして、富山は89式小銃を構え直し、すっかり伸びてしまった習志野を背負って車両庫から出ていく。土居内は、唯一鍵が開いていた96式装輪装甲車(ブローニング M2重機関銃搭載型)の分隊長用ハッチから中に入り、機関銃座や操縦席ハッチ、兵員室ハッチが閉まっているか確認をした。真っ暗なので、兵員室側面にある車外確認用小窓のカーテンを開けようとして、気付いた。
(誰かいる?)
そして、土居内は誰かに抱きつかれた。
(しまった謀られた!)
咄嗟に振り払おうとして、背中に感じる膨らみで、誰だか分かった。
「愛か?」
「その通りです、佳樹さん」
それは市ヶ谷 愛だった。
「私、今日は何だか変なんです」
「……もしかして、食堂の饅頭を食べた?」
「はい……そしたら、【不適切な表現により、削除されました】の疼きが止まらなくなって……だから、滅茶苦茶に【不適切な表現により、削除されました】してください、じゃないと気が変になりそうです……」
「愛……」
兵員室にあるベンチに腰掛けた土居内の上に、市ヶ谷が跨がっている。2人はフレンチキスを重ねて行い、そして市ヶ谷は下着を脱いで土居内の膨張した【不適切な表現により、削除されました】を受け止め――
「むぅ、失敗した……」
新発田駐屯地内のサルスベリの樹に登った大宮が、ニコン製一眼レフを手に呟く。彼女はストラップで一眼レフを首から提げ、メモを書く。そして慎重に樹から降りた。
(戦意高揚の為に、交感神経に作用する効果のある【不適切な表現により、削除されました】を入れた饅頭で実験してみたけど、まさか違う方に作用するとは……これは再度検証して実験しないと)
すると、大宮の行く手が塞がれた。見れば、目の前にM4 A1自動小銃を手にした習志野が立っていた。
「やぁ、大宮2曹。何処へ行くのかな?」
「何処って、私のラボに……」
そして気付いた。周りには、完全武装した中央混成連隊の隊員達がいる。
「試しに訊きますがね、大宮 氷乃2等陸曹。食堂にあった饅頭は、あなたが用意した物ですか?」
89式小銃を手にした朝霞が尋ねる。
大宮は頷いた。
「へぇ、おかげで私達の調子が狂いましてね、ちょっとお話を」
「ま、待って。あれは実験の失敗であって――」
「言い訳無用です。それに、実験の失敗の責任は、開発者が取るんじゃないですか?」
大宮の顔が青ざめる。
「おや、顔色が悪いようですね。ちょっと武器庫の裏まで」
「嫌、待って、誰か助けて!」
それを聞き、朝霞や習志野、鯖江がニヤリと笑う。
「誰も助けに来ませんよ。今、司令官と市ヶ谷3尉はキューロクの中でお楽しみ中(意味深)ですから」
「け、警務隊!」
大宮の叫びに対し、朝霞が口を開く。
「私は警務隊ですが。『元』、ですけどね」
そして、習志野の指示で大宮ががっちりと拘束され、武器庫の裏へと連れていかれた。
後に、武器庫の裏で、半裸の大宮が痙攣しながら気絶しているのが発見されたという。
R-15の限界に挑んでみました
本当は、あのまま久居ちゃんが逆NTR(って言うの?)する予定でしたが、タグをR-15からR-18にしないといけないし、それに市ヶ谷さんがM134 ミニガンを抱えて満面の笑みで37564する結末しか出てこなかったので、司令官の理性にお仕事してもらいました。
あ、あのまま久居ちゃんと市ヶ谷さんで3ピ(作者宅に500ポンド航空無誘導爆弾が命中しました)