りっく☆じあ~す 中央混成連隊、前進す! 作:土居内司令官(陸自ヲタ)
東北自動車道 某サービスエリア・フードコート――
「平等人民軍 東北軍団 第893師団の者だ! この中に非国民がいるとの連絡を受けた!」
マグマ軍近衛兵が叫ぶ。周りの歩兵達はAKM自動小銃を手にして威圧的だった。
「お前か!?」
近衛兵がマカロフ自動拳銃を突き付ける。拳銃を突き付けられた、ネコ耳の女は気にする事無くうどんをすする。
「おい聞いて――」
「聞いておる。それで、お主は儂が黒だった時、どうするのじゃ?」
女はびびる事無くそう言う。すると、近衛兵はマカロフ自動拳銃の撃鉄を起こして言った。
「決まっている。銃殺だ」
タァーーン!!
フードコートに銃声が響く。他の利用客は咄嗟にテーブルの下に隠れた。が、女は倒れていない。
「……!?」
近衛兵は、信じられないという顔を浮かべ、自分の右腕を見る。見事に、手首から先が無くなっていた。
「制圧射撃ぃ! 敵は撃ち殺せ!」
別の女の声が響く。そして、5.56mm小銃弾と7.62mmNATO弾の銃声が轟いた。
鯖江がスコープ付64式7.62mm小銃を単連射する。その横で、金沢が89式5.56mm小銃を撃ちまくる。
そして、正面口から突入した富山と習志野、豊川、新発田が自動小銃を撃ちまくり、銃床で殴り制圧した。
「クリア!」
「クリアー!」
まだ息のある歩兵に、止めとして2発撃ち込み、銃口を下ろす。
富士は、89式5.56mm小銃のグリップの右側に右親指を回し、セレクターを「単発」から「安全」にする。そして指示を出す。
「久居班と習志野班は残敵掃討、残りは周辺を警戒」
『了解!』
久居、新発田、豊川、習志野、富山、北富士は、サービスエリアにマグマ軍が残っていないか確認に向かう。
余りの早技に、女は呆気に取られる。富士に話し掛けられ、ようやく戻った。
「お怪我は?」
「え、ああ、大丈夫じゃ」
(じゃ?)
富士は、女の言葉遣いに首を傾げる。
そこへ、久居班と習志野班が戻ってきた。
「残敵無し、周辺は安全です」
自動小銃を携えた久居と習志野が敬礼をする。富士も敬礼を返し、女を見る。
(絶対私よりあるわね……)
富士が女の胸元を睨む。女は、気付いていないか、気付いてても無視しているのか、富士に尋ねた。
「お主ら、自衛隊か?」
「それ以外に見られる事も多いですが、陸上自衛隊です」
「……じゃろうな」
女は、JKのような制服を着た隊員達を見る。富士自身も、OLか教師のようなスーツ姿だ。
富士は89式5.56mm小銃を負い紐で首から提げ、フードコートにいる人達に大声で話す。
「私達は陸上自衛隊 中央混成連隊です! これより、この近辺で戦闘が予想されます! ご迷惑をおかけしますが、後続の普通科連隊があなた方を保護しますので、指示に従ってください!」
富士はそう言う。フードコートにいた人達は素直に従うが、女だけは違った。
「お主、階級はいくつじゃ?」
「1等陸尉ですが」
「一緒じゃな。儂は霞目 ののか1等陸尉、輸送隊に属しておった」
女はそう言った。富士を始め、中央混成連隊の隊員達は驚く。
『こんな所に自衛官!?』
「何処かで似たのを聞いた事があるな。とにかく、用事があるので儂はこれにて」
女はフードコートを出て行こうとする。それを、富士と守山と久居が止める。
『いやいやいや』
「話、聞いてました?」
「私達の指示に従ってください!」
「とにかくここは安全です!」
3人の制止を聞かず、霞目は進む。
「行かせておくれ! 儂には行かなくてはならない所があるのじゃ!」
「ですから!」
すると、富山が口を開いた。
「あんたの用事って、何なんだ?」
「ほほぅ、小娘、少しは話が通じるようじゃな。救援物資輸送じゃ。鬼畜マグマ軍の駐屯地から盗んで、それを無料で運ぶ。以前は、儂の輸送隊総出でやっておったが、マグマ軍の所為で壊滅してな、同志を集めて継続しておるのじゃ」
霞目はそう言った。すると、富山は富士に意見具申した。
「富士1尉、我々の目的は東北解放の橋頭堡の確保です。ならば、現地に精通している霞目1尉に協力すれば作戦を有利に進められると判断します」
それを聞き、富士は額を押さえる。
「……確かに、富山士長の言う通りね。いい判断だわ、今すぐレンジャー訓練を叩き込みたいぐらいに。了解したわ、霞目1尉、我々中央混成連隊はあなたの物資輸送を援護します」
「おぉそうかそうか。かっかっかっ! ならば、マグマ軍に見つかりにくい抜け道を教えてやろう」
「一つお尋ねしますが、目的地は?」
「山形じゃ」
「分かりました。中混連、集合! これより山形に向かう!」
体がびくびくと震える。嫌だったのに、私の意志に反して体は感じ、あの人以外ので私はいってしまった。
「グギューギュギャ」
「何? 『まだしたい』だと? 偉大なる書記長様にお会いする予定の捕虜を殺す気か。我々第210近衛小隊を恥曝しにするつもりか?」
「ギュ……」
重戦車72號が、いきり立ったそれを私から引き抜く。ぽっかりと開いた穴は、物欲しそうにひくついているのだろうか。
「おら立て、地上人」
近衛兵が私の髪を掴んで引っ張る。なんとかついていくのに精一杯だった。
「ここで寝ていろ」
近衛兵が、私を牢屋に放り込む。ザラザラの床で皮膚が擦れる。
バタン、ガチャッという音と共に、扉が閉められた。部屋の中は暗く、寒い。土が剥き出しの壁に触れると、湿っていた。近くを地下水が流れているのか?
部屋を見渡すと、粗末なベッドがあるだけだった。神経まで染み渡る寒さで、体は勝手に震えてしまう。
ふと見れば、ベッドの上に変に盛り上がったブランケットがある。たまらなく寒いので、そのブランケットを持ち上げる。
「……誰?」
やたらと薄いブランケットに、見知らぬ全裸の男がうずくまっていた。
咄嗟に羞恥心でブランケットを羽織る。もう明日死ぬ運命なのに。
「……ぅぁ?」
男の頭が上がる。その目には、絶望しか見えない。
「あなたは、誰、ですか?」
私の口はそう言っていた。余りの寒さで、正しく言えたか分からないけれど。
「女……?」
男はそう言った。そして立ち上がって私を押し倒した。
嫌だ、最後に犯されるなんて! 最後くらい最愛の人に抱かれたい――
私の思い虚しく、犯されるのだろう。しかし、その気配は一向に無く、私の首が締められる。
「……!?」
気付いた時にはもう遅い。もう、意識は――
「佳……樹さ……」
最後の最後に、呼んでみる。ああ、会いたかったな。
すると、首を絞める力が弱くなった。
「愛……?」
聞こえる。誰かが私を呼んでいる。幻聴?
「愛!」
大きく聞こえる。ふと、目の前の男を見ると、何か見覚えがあった。
「佳樹……さん?」
「愛……すまない……」
男が涙を流している。間違い無く、土居内 佳樹1等陸尉だった。
中央混成連隊の車列は新発田駐屯地へ向かう。日は傾き、誰も何も言わない。
富士は、89式装甲戦闘車の車長用キューポラで外を見る。
「質問なんじゃが」
「はい?」
73式大型トラック(現名称・3 1/2tトラック)を運転する霞目が、助手席の金沢に問い掛けた。
「お主ら、どうして暗い顔をしておるのじゃ?」
「……指揮官が、行方不明なんです」
「富士1尉ではなかったのか?」
「ええ。富士1尉は代理です。土居内1等陸尉、レンジャー徽章を持ち、口は悪いけど優しい指揮官なんです……」
「じゃが、これが戦争じゃ。慈悲なんて無い。儂じゃって、隊の仲間をたくさん失った……」
車列はディーゼルの音を響かせ進む。