りっく☆じあ~す 中央混成連隊、前進す!   作:土居内司令官(陸自ヲタ)

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54話 灯火

 東北自動車道 某サービスエリア・フードコート――

 

「平等人民軍 東北軍団 第893師団の者だ! この中に非国民がいるとの連絡を受けた!」

 

 マグマ軍近衛兵が叫ぶ。周りの歩兵達はAKM自動小銃を手にして威圧的だった。

 

「お前か!?」

 

 近衛兵がマカロフ自動拳銃を突き付ける。拳銃を突き付けられた、ネコ耳の女は気にする事無くうどんをすする。

 

「おい聞いて――」

 

「聞いておる。それで、お主は儂が黒だった時、どうするのじゃ?」

 

 女はびびる事無くそう言う。すると、近衛兵はマカロフ自動拳銃の撃鉄を起こして言った。

 

「決まっている。銃殺だ」

 

 

 

 タァーーン!!

 

 

 

 フードコートに銃声が響く。他の利用客は咄嗟にテーブルの下に隠れた。が、女は倒れていない。

 

「……!?」

 

 近衛兵は、信じられないという顔を浮かべ、自分の右腕を見る。見事に、手首から先が無くなっていた。

 

「制圧射撃ぃ! 敵は撃ち殺せ!」

 

 別の女の声が響く。そして、5.56mm小銃弾と7.62mmNATO弾の銃声が轟いた。

 

 

 

 鯖江がスコープ付64式7.62mm小銃を単連射する。その横で、金沢が89式5.56mm小銃を撃ちまくる。

 

 そして、正面口から突入した富山と習志野、豊川、新発田が自動小銃を撃ちまくり、銃床で殴り制圧した。

 

「クリア!」

 

「クリアー!」

 

 まだ息のある歩兵に、止めとして2発撃ち込み、銃口を下ろす。

 

 富士は、89式5.56mm小銃のグリップの右側に右親指を回し、セレクターを「単発」から「安全」にする。そして指示を出す。

 

「久居班と習志野班は残敵掃討、残りは周辺を警戒」

 

『了解!』

 

 久居、新発田、豊川、習志野、富山、北富士は、サービスエリアにマグマ軍が残っていないか確認に向かう。

 

 余りの早技に、女は呆気に取られる。富士に話し掛けられ、ようやく戻った。

 

「お怪我は?」

 

「え、ああ、大丈夫じゃ」

 

(じゃ?)

 

 富士は、女の言葉遣いに首を傾げる。

 

 そこへ、久居班と習志野班が戻ってきた。

 

「残敵無し、周辺は安全です」

 

 自動小銃を携えた久居と習志野が敬礼をする。富士も敬礼を返し、女を見る。

 

(絶対私よりあるわね……)

 

 富士が女の胸元を睨む。女は、気付いていないか、気付いてても無視しているのか、富士に尋ねた。

 

「お主ら、自衛隊か?」

 

「それ以外に見られる事も多いですが、陸上自衛隊です」

 

「……じゃろうな」

 

 女は、JKのような制服を着た隊員達を見る。富士自身も、OLか教師のようなスーツ姿だ。

 

 富士は89式5.56mm小銃を負い紐で首から提げ、フードコートにいる人達に大声で話す。

 

「私達は陸上自衛隊 中央混成連隊です! これより、この近辺で戦闘が予想されます! ご迷惑をおかけしますが、後続の普通科連隊があなた方を保護しますので、指示に従ってください!」

 

 富士はそう言う。フードコートにいた人達は素直に従うが、女だけは違った。

 

「お主、階級はいくつじゃ?」

 

「1等陸尉ですが」

 

「一緒じゃな。儂は霞目 ののか1等陸尉、輸送隊に属しておった」

 

 女はそう言った。富士を始め、中央混成連隊の隊員達は驚く。

 

『こんな所に自衛官!?』

 

「何処かで似たのを聞いた事があるな。とにかく、用事があるので儂はこれにて」

 

 女はフードコートを出て行こうとする。それを、富士と守山と久居が止める。

 

『いやいやいや』

 

「話、聞いてました?」

 

「私達の指示に従ってください!」

 

「とにかくここは安全です!」

 

 3人の制止を聞かず、霞目は進む。

 

「行かせておくれ! 儂には行かなくてはならない所があるのじゃ!」

 

「ですから!」

 

 すると、富山が口を開いた。

 

「あんたの用事って、何なんだ?」

 

「ほほぅ、小娘、少しは話が通じるようじゃな。救援物資輸送じゃ。鬼畜マグマ軍の駐屯地から盗んで、それを無料で運ぶ。以前は、儂の輸送隊総出でやっておったが、マグマ軍の所為で壊滅してな、同志を集めて継続しておるのじゃ」

 

 霞目はそう言った。すると、富山は富士に意見具申した。

 

「富士1尉、我々の目的は東北解放の橋頭堡の確保です。ならば、現地に精通している霞目1尉に協力すれば作戦を有利に進められると判断します」

 

 それを聞き、富士は額を押さえる。

 

「……確かに、富山士長の言う通りね。いい判断だわ、今すぐレンジャー訓練を叩き込みたいぐらいに。了解したわ、霞目1尉、我々中央混成連隊はあなたの物資輸送を援護します」

 

「おぉそうかそうか。かっかっかっ! ならば、マグマ軍に見つかりにくい抜け道を教えてやろう」

 

「一つお尋ねしますが、目的地は?」

 

「山形じゃ」

 

「分かりました。中混連、集合! これより山形に向かう!」

 

 

 

 体がびくびくと震える。嫌だったのに、私の意志に反して体は感じ、あの人以外ので私はいってしまった。

 

「グギューギュギャ」

 

「何? 『まだしたい』だと? 偉大なる書記長様にお会いする予定の捕虜を殺す気か。我々第210近衛小隊を恥曝しにするつもりか?」

 

「ギュ……」

 

 重戦車72號が、いきり立ったそれを私から引き抜く。ぽっかりと開いた穴は、物欲しそうにひくついているのだろうか。

 

「おら立て、地上人」

 

 近衛兵が私の髪を掴んで引っ張る。なんとかついていくのに精一杯だった。

 

「ここで寝ていろ」

 

 近衛兵が、私を牢屋に放り込む。ザラザラの床で皮膚が擦れる。

 

 バタン、ガチャッという音と共に、扉が閉められた。部屋の中は暗く、寒い。土が剥き出しの壁に触れると、湿っていた。近くを地下水が流れているのか?

 

 部屋を見渡すと、粗末なベッドがあるだけだった。神経まで染み渡る寒さで、体は勝手に震えてしまう。

 

 ふと見れば、ベッドの上に変に盛り上がったブランケットがある。たまらなく寒いので、そのブランケットを持ち上げる。

 

「……誰?」

 

 やたらと薄いブランケットに、見知らぬ全裸の男がうずくまっていた。

 

 咄嗟に羞恥心でブランケットを羽織る。もう明日死ぬ運命なのに。

 

「……ぅぁ?」

 

 男の頭が上がる。その目には、絶望しか見えない。

 

「あなたは、誰、ですか?」

 

 私の口はそう言っていた。余りの寒さで、正しく言えたか分からないけれど。

 

「女……?」

 

 男はそう言った。そして立ち上がって私を押し倒した。

 

 嫌だ、最後に犯されるなんて! 最後くらい最愛の人に抱かれたい――

 

 私の思い虚しく、犯されるのだろう。しかし、その気配は一向に無く、私の首が締められる。

 

「……!?」

 

 気付いた時にはもう遅い。もう、意識は――

 

「佳……樹さ……」

 

 最後の最後に、呼んでみる。ああ、会いたかったな。

 

 すると、首を絞める力が弱くなった。

 

「愛……?」

 

 聞こえる。誰かが私を呼んでいる。幻聴?

 

「愛!」

 

 大きく聞こえる。ふと、目の前の男を見ると、何か見覚えがあった。

 

「佳樹……さん?」

 

「愛……すまない……」

 

 男が涙を流している。間違い無く、土居内 佳樹1等陸尉だった。

 

 

 

 中央混成連隊の車列は新発田駐屯地へ向かう。日は傾き、誰も何も言わない。

 

 富士は、89式装甲戦闘車の車長用キューポラで外を見る。

 

「質問なんじゃが」

 

「はい?」

 

 73式大型トラック(現名称・3 1/2tトラック)を運転する霞目が、助手席の金沢に問い掛けた。

 

「お主ら、どうして暗い顔をしておるのじゃ?」

 

「……指揮官が、行方不明なんです」

 

「富士1尉ではなかったのか?」

 

「ええ。富士1尉は代理です。土居内1等陸尉、レンジャー徽章を持ち、口は悪いけど優しい指揮官なんです……」

 

「じゃが、これが戦争じゃ。慈悲なんて無い。儂じゃって、隊の仲間をたくさん失った……」

 

 車列はディーゼルの音を響かせ進む。

 

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