りっく☆じあ~す 中央混成連隊、前進す!   作:土居内司令官(陸自ヲタ)

64 / 77
横浜デート

 海上保安庁 横浜防災拠点に停泊中のワスプ級強襲揚陸艦〈サラトガ〉艦内――

「司令、お話があります」

「キューマルか。珍しいな」

 司令官室に、キューマルがやってきた。土居内に敬礼し、用件を話す。

「装備についての事ですが」

「装備? レールガンが欲しいとか?」

「いえ……ミニガンが欲しいんです」

「はぁん、ミニガン――ミニガンだって!?」

 土居内が思わずコーヒーをこぼしかけた。

「ミニガンって、アメリカ製のM134 ミニガンだよな?」

「それ以外にありますか?」

「何だってミニガンが? ブローニングでは駄目か?」

「対歩兵能力を考えると、今の武装では力不足な気がするんです」

「.50キャリバーと言う事聞かん銃だけだもんなぁ」

「ヒトマルちゃんにはMINIMIもありますが」

「あいつ、敵陣に単身で飛び込むんだもん。マシンガンがいくつあっても足りねぇもん」

「とにかく、お願い出来ますか?」

「……上に言ってみるよ」

 

 

 

 そして、入れ替わり立ち替わりで朝霞が入ってきた。

「今度は? SCARが欲しいとか言うのか?」

「いえ、どちらかと言うとタボールが――ではなく、人員の拡充をお願いしたいです」

「人員の拡充? 小銃小隊の?」

「はい。以前の岬守学園との演習で、マンパワーが不足している気がして。調べてみた所、他の混成中隊より普通科隊員が少ない事が分かりました」

「だが、俺達は『先陣を切る』のが任務だ。人が多いとそれだけ厄介になる」

「それも、そうですが……」

「分かった分かった。上に話してみるから」

 

 

 

〔で、ミニガンの調達と人員補充? ミニガンなら、アメリカに何とか言えば何とかなるだろうが、人員補充は厳しいぞ〕

「承知の上ですよ。何も急にとは言いませんが、即戦力が欲しいですね」

 土居内は、津田沼陸将補に電話していた。

〔そういう即戦力は、他の連隊に回される。お前や俺の所にはよっぽどの事が無いと補充は来ない〕

「やはり、無理ですか」

〔話が出来る所にはしておく。ミニガンはいくつだ?〕

「予備含め、15って所です」

〔分かった。明日にはミニガンが届くだろう〕

「ありがとうございます」

 

 そして、通話が終了した。

 

 

 

 いくつかの書類を済ませると、また扉がノックされた。

「入れ」

「佳樹さん」

「愛か。どうした?」

「今日は暇ですか?」

「まあ、差し迫った仕事は無いけど」

「なら、デートしませんか?」

 

 

 

 私服に着替えた2人は、〈サラトガ〉を降り、赤レンガ倉庫に向かった。土居内はTシャツとGパンという平凡な服装で、ウェストポーチを身に付けていた。一方の市ヶ谷は白いワンピースに水色の薄着、そしてポシェットを首から提げていた。

「前の格好(市ヶ谷 愛 私服ver)じゃないんだな」

「あの時色々からかった癖に!」

「ははは、ごめんごめん」

 

 そして、赤レンガ倉庫 1号館に入った。色々な雑貨屋が入っており、その度に市ヶ谷の足は止まる。

 土居内には、何が可愛いのかさっぱり分からないので、辺りを見回してみる。すると、見覚えのある人物がいた。というより、背負っているそれが違和感を放ちまくっていた。

「おい鯖江」

「おや、司令官」

 それは、間違い無く鯖江だった。私服姿の鯖江は大人っぽいがしかし――

「背負っているそれは何だ?」

「何だって、香林から借りた」

 背負っているそれは、紛れも無く豊和工業の89式5.56mm小銃である。

「お前、64じゃなかったか? いやそうじゃなくて、自衛官がプライベートで銃器を携帯するのは違法だぞ」

「でも、警察官は何も言わなかったよ」

「そういう問題じゃねぇ……!」

「だとしたら、どういう問題なのかな?」

「…………!」

 何も言い返せなかった。激昂に震える土居内を、市ヶ谷が叩いた。

「何してるんですか佳樹さん。ほら、次行きますよ」

 

 

 

 食品サンプルの店にて、いちごタルトのキーホルダーを買った市ヶ谷は、早速スマートフォンに付けた。

「美味そうだな」

「食べられませんよ?」

「分かってる分かってる」

 

 そして2人はクイーンズスクエアへ向かった。何かのライブをやっているらしく、かなりの人だかりだった。

「佳樹さん、少し早いですが、お昼にしません?」

「そうだな」

 土居内は腕時計を見る。時刻は1058だ。

「だったら、ちょっと気になっていたお店があるんです」

「ここ?」

「ええ」

「じゃあ、そこにするか」

 

 

 

 強襲揚陸艦〈サラトガ〉 車両格納庫――

「ナナヨン」

 タイガーが、74式戦車の側で12.7mm M2重機関銃の整備をするナナヨンを呼んだ。

「何?」

「もうすぐお昼でしょ? どっか食べに行かない?」

「私はパス。キューマルなり呼べば?」

「何でそんなに邪険にすんのよ?」

「貴女とは馬が合いそうになさそうだから」

「酷いわね。同じ冷戦期なのに」

 そして、タイガーは車両格納庫を見回した。

「仲間もだいぶ増えたものよ。なのに、親睦を深めようとしないなんて」

「放っといてよ」

「そんなにひねくれているのは、時代の所為?」

 思わずナナヨンは、12.7mm M2重機関銃の銃身でこいつをぶん殴ってやろうかと思慮した。が、思い踏みとどまった。

「まあいいわ。ランドマークプラザ行ってくるわ」

「そ。なら早く行きなさい」

 タイガーは肩をすくめ、車両格納庫を出ていく。

「もう少し素直になれば、少しは可愛げも出てくるのに」

 そう言い残して。

 

 

 

「意外だな、肉が好きなんて」

「自衛官になってからですが。体力が要りますし、食べれる時に食べないと」

 市ヶ谷がステーキを頬張る。一方の土居内はビ○グマ○クに劣らぬ、というかそれより大きいハンバーガーを食べていた。

「やっぱり、自衛官になる前は普通の女子高生だったのか?」

「ええ。友達とふざけたり笑ったり――あ、やましい事はしてませんよ?」

「分かってるって。初めてをくれた相手にそんな事疑ったりしないって」

 市ヶ谷は赤面する。

「もう!」

「全くもー、愛は本当可愛いな」

「…………!」

 

 その後、土居内は市ヶ谷に痛いほど叩かれた模様。

 

 

 

 土居内と市ヶ谷の2人はランドマークプラザやコレットマーレを巡り、汽車道を通ってワールドポーターズへやってきた。

「映画見ません?」

「映画か。久し振りだな」

 その時、市ヶ谷が突然屈んだ。

「大丈夫か?」

「ちょっと靴擦れが……」

 なので、土居内は市ヶ谷をおんぶすると、近くにあったベンチへと向かった。

「ちょっと!? 自分で歩けますから!」

「怪我人は丁重に扱わないとな」

 そしてベンチにそっと下ろした。

「絆創膏は?」

「ありますよ」

「そっか。じゃ、飲み物買ってくる。何がいい?」

「じゃあ、緑茶を」

「分かった」

 

 そして、土居内は離れていった。市ヶ谷は左のヒールを脱ぎ、擦れた部分に絆創膏を貼る。

 すると、誰かが近付いてきた。

「やあお姉さん」

「誰ですか?」

 市ヶ谷はそっと顔を上げた。見覚えの無い2人の男が、市ヶ谷を囲むように立っていた。服装から、相当軽そうなのが分かる。

「お姉さん、靴擦れ? 大変だね」

「良かったら救護室まで運んでいこうか?」

「必要ありません」

 市ヶ谷はそっと、ポシェットを前に持ってくる。中には、護身用に忍ばせたタクティカルライト付USP自動拳銃が入っている(言わずもがな、自衛官でも非番時の銃器の携帯は違法です)。

「そう冷たくしないでよ。お姉さんの事を思って――」

「必要無いと言っているでしょう」

 すると、2人の男の後ろから声がした。

「おい餓鬼共。離れてもらおうか」

「佳樹さん!」

 市ヶ谷の視線の先には、2本のペットボトルを抱えた土居内がいた。

 

「んだよ、連れか?」

「ああ、そんな所だ。さっさと離れてもらおうか」

「恋人を放っとくお前の方が悪い」

 土居内がカチンときた。

「いい度胸だな。そいつの左薬指を見たか?」

 2人は見る。確かに、市ヶ谷の左薬指には指輪があった。

「諦めろ、糞餓鬼共」

「んだと! そんなので諦めると――」

 2人は土居内に殴りかかろうとする。が、土居内はある物をウェストポーチから取り出した。

「殴ったらどうなるか、分かるよな?」

『――!?』

 それは、陸上自衛隊の身分証だった。2人の男は思わず止まる。

「ああ、言っとくが、これでもレンジャー徽章を持っててね。彼女か俺に一回触る度、指の骨を1本貰うぞ」

 すると、2人は逃げ出した。

 

 

 

 そして映画を見、土居内と市ヶ谷の2人は屋上に来ていた。

「わー……」

 みなとみらいの夜景に、市ヶ谷はうっとりする。

「佳樹さん、助けていただきありがとうございます」

「何言ってるんだ。妻を守るのは夫の役目だろう?」

「ふふっ、そうですね」

 そして、市ヶ谷は頭を土居内に添えた。

「愛?」

「この先もずっと、私の側にいてくださいね?」

「当たり前だ。子供が出来ても、定年退職しても、墓場までずっと一緒にいよう」

「……はい!」

 

 

 

 数時間後、宮城県上空――

〔アルタイル01、現在高度2000フィート、マグマ軍領空に侵入〕

〔スカイワッチ、了解〕

 航空自衛隊のステルス戦闘機・三菱重工 F-35AJ ライトニングⅡが1機、マグマ軍領空に侵入した。速度マッハ1.2、機首下の赤外線センサーで海岸線を撮影する。

 

 新たな大規模作戦が、始まろうとしていた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。