りっく☆じあ~す 中央混成連隊、前進す!   作:土居内司令官(陸自ヲタ)

7 / 77
7話 離島上陸

 LCACは、無事にある島に上陸した。同乗していた第40普通科連隊の斥候隊が早速砂浜へと上陸、上陸地点を確保する。

 

「クリア!」

 

 斥候隊の隊員が手を思いっきり挙げ、敵がいないのを知らせる。それを見たLCACの乗員がランプドアを開け、そこから高機動車や軽装甲機動車が展開する。しかし、砂浜の奥へは行かない。

 

 土居内は高機動車の助手席の窓から身を乗り出し、第40普通科連隊の隊員に向かって叫ぶ。

 

「おい、どうして先に行かないんだ?」

 

「あくまで俺らは上陸地点の確保だ! 捜索救難は中混連の仕事だ!」

 

「ふざけんなよ・・・・・・」

 

 土居内はがっくりとする。中混連というのは、中央混成連隊の事だ。

 

「どうすんの?」

 

 運転席の霧本が話しかける。土居内はダッシュボードに立てかけておいた愛銃・89式小銃を持ち上げ、弾倉を挿入する。

 

「どうもこうもあるか。迷子のヘリパイロットを探すしかないだろ」

 

 

 

 ということで、土居内達は高機動車を降りる。

 

「こっからは徒歩で移動し、パイロットの捜索及び救助を行う。装備を確認しろ」

 

 土居内の命令に、富山と豊川は89式小銃のボルトハンドルを引く。豊川はあの水色のセーラー服の上に予備弾薬を入れるチェストリグを身に着けている。対し、富山はいつものガーディアンにミニスカート、そして110mm対戦車弾を背負っている。

 

 土居内は面々の装備に頭を抱える。

 

「お前ら、迷彩服と防弾チョッキ、あと鉄帽を身に着けろよ・・・・・・。あと、パンツァーファウスト(110mm対戦車弾)は必要ないだろ」

 

「ふざけんな。あたしにとってはお守りなんだよ」

 

「馬鹿か。13kgもする『空飛ぶ日産マーチ』のどこがお守りだ」

 

「あんたの89についてるドットサイトとおんなじだ。これが無きゃ気が引き締まらないんだよ」

 

 そう言う富山に、土居内はため息をついた。

 

「勝手にしろ。だが、俺が邪魔だと言ったら置いていけ」

 

 富山は無言でうなずく。土居内は89式小銃のボルトハンドルを引き、初弾を薬室に送り込む。

 

「さて、ピクニックの始まりだ」

 

 

 

 一向は銃を手に、森の中へと入っていく。

 

 霧本は高機動車に9mm拳銃を手にもたれ掛かっていた。

 

 つい先ほど、土居内が霧本に手渡した物だった。

 

「じゃ、俺らは森に入るから、お前はここで待ってろ」

 

「え、私はここで待ってるの?」

 

「当然だ、非戦闘員を連れていった所で足手まといになるだけだ」

 

「酷っ!」

 

「ま、餞別はくれてやる」

 

 そう言って、土居内は助手席の隙間から9mm拳銃を取り出す。

 

「駐屯地の武器庫で余ってた奴だ。ほら」

 

 土居内は9mm拳銃を霧本に投げ渡す。

 

「わ、わわ」

 

 霧本は慌てて9mm拳銃をキャッチする。

 

「装填数は9発、安全装置は無いから撃とうと思うまでは引き金に触れるなよ」

 

 土居内は簡単に説明する。そして霧本は思い出す。

 

「そういえば、あんたのは」

 

「気にすんな。ちゃんとあるから」

 

 そう言って、土居内は自分の右太ももを叩く。そこにはレッグホルスターが吊るされており、中にはしっかり9mm拳銃が入っている。

 

「そう。いってらっしゃい、くれぐれも死なないで」

 

「そう簡単に死んでたまるか」

 

 土居内は霧本に笑顔を向け、森へと向かった。

 

 

 

 それが数分前。霧本は自分の右手で握った9mm拳銃をしげしげと眺める。高校生の時、友人や土居内のモデルガンやエアガンを持たせてもらった事があるが、本物は初めてだ。想像していたよりもずっしりとした重みが伝わってくる。

 

 霧本は暇になった。

 

 

 

 一方、土居内達は森の中を進む。先頭は土居内で、その後ろから豊川、富山の順で進む。

 

 土居内の89式小銃の銃身には、アルミ製の個人識別タグ(ドッグタグ)が細い紐で結び付けられ、地面すれすれの位置にある。銃口には光り輝かない銃剣が装着され、土居内はその89式小銃を腰の辺りで構えていた。彼の右親指はグリップの右側に移っており、いつでも安全装置が外せるようにセーフティレバーに掛かっている。いざとなったら「安全」からすぐ下の「連射」にして銃弾を雨あられと浴びせるつもりだった。

 

「あの、司令官?」

 

「ん? 何だ?」

 

 豊川が土居内に話しかけると、土居内は厳しい目つきのまま、正面を見続けながら応える。

 

「どうしてドッグタグを銃に結び付けてるんですか?」

 

「これでブービートラップを見つけるんだよ。ベトナム戦争では米兵がよくやってた」

 

「じゃあ、銃剣がくすんでいるのは」

 

「泥を塗った。これで刃で光を反射させる事は無い」

 

「なるほど・・・」

 

 豊川は興味深そうに呟くと、自分の89式に着剣し、土を塗る。

 

 そして一行は森の中をどんどん進む。すると、土居内は何かを見つけて立ち止まった。

 

「何立ち止まってんだよ・・・?」

 

 富山が話しかけると、土居内は無言で地面を指差す。そこには足跡が残っていた。

 

「く、熊・・・?」

 

「いや、これはブーツのだ。この足取りからすると女だな」

 

「何で分かるんだよ。変態かよ」

 

「米軍の新兵マニュアルに書いてあるんだ。かかとよりもつま先の方が狭いだろ? これは女の足跡だという意味だ」

 

 そう言って、土居内は左右の足跡の幅を指で測る。確かに、かかとよりもつま先の間の方が狭かった。

 

「それに、足跡がくっきり残ってるってことは、1時間以内にここを通ったってことだ」

 

 土居内は立ち上がり、89式小銃を腰の辺りで構えながらゆっくりと進む。その後から豊川や富山が続いていく。

 

 ガサガサ。

 

 物音に反応し、土居内はその方向に銃口を向ける。そっとセーフティレバーを「安全」から「連射」に切り替える。そして引き金に指を掛ける。

 

「・・・う」

 

 茂みから声がする。土居内は話しかけてみる。

 

「誰だ? 両手を挙げてゆっくり出てこい」

 

 すると、そこから水色の長髪の女性が両手を挙げて出てきた。陸上自衛隊の迷彩服を着、腰にはホルスター。一瞬で自衛官だと判断できる。

 

「名前と所属を言え」

 

 土居内は89式小銃を構えながら、冷酷に言う。

 

「木更津 葵、第4対戦車ヘリコプター隊の陸准尉です」

 

「救難要請を出したのは君か?」

 

「いえ、姉が…」

 

「姉?」

 

 土居内は首を傾げる。

 

 

 

 その頃、木更津 葵の姉、木更津 茜は機首から地面に突っ込んだAH-1S攻撃ヘリに隠れていた。その隣には黒い長髪の女性がいた。

 

「あなた、一体どこから来たの?」

 

 茜が質問する。

 

「分かりません」

 

「分からない? じゃあ名前は?」

 

「それも……」

 

「記憶喪失? でも私の名前は分かるんだよね?」

 

「はい、茜お姉様」

 

「その呼び方止めて」

 

 すると、銃声が木霊した。AH-1Sの穴だらけの機体に、さらに穴が開き、コクピットを覆うキャノピーが割れる。

 

「あーもう! こんな時に!」

 

 茜は89式小銃を手に取り、様子を窺う。そこにはAK47を手にしたマグマ軍歩兵、さらには中戦車34號の姿があった。

 

 

 

 先程の銃声は、土居内達にも聞こえた。

 

「お姉ちゃんがいる方向!」

 

 葵は叫ぶ。土居内はメンバーに指示を出す。

 

「多分マグマ軍だ。このまま突っ走るぞ」

 

 そして4人は森の中を走った。

 

 

 

 茜は89式小銃で応戦していた。マグマ軍歩兵達は中戦車34號を盾に銃を撃つ。中戦車34號も機関銃を発砲する。

 

「誰か助けに来てよ!」

 

 茜は89式小銃の弾倉を交換しながら叫ぶ。その隣の女性は何故か謝った。

 

「申し訳ありません、茜お姉様」

 

「何で謝るの!?」

 

 そして茜は気付く。

 

「顔色悪いし、服が破けてるよ!?」

 

 女性は血色が無くなった顔で、言う。

 

「どうやら、もう終わりのようです…」

 

「え、ちょっと何言ってるの?」

 

 再び銃声、AH-1Sに弾が当たる。

 

 女性はそれに反応するかのように呻いた。

 

 茜はただ困惑するしか無かった。

 

 

 

「あれだな」

 

 土居内達は銃声のした所にたどり着いた。中戦車34號にマグマ軍歩兵達が隠れ、その先には地面に頭から突っ込んだAH-1Sの機体があった。

 

「よし、豊川は木更津准尉と共に右へ展開、富山は俺と一緒に左だ。富山がLAMをあの戦車野郎に撃ち込んだら俺が逃げ惑う歩兵を撃つ。そしたら豊川がトドメだ」

 

 土居内は指示を出し、4人は左右に散らばる。

 

 大木に隠れた土居内は、富山に向かって小声で話す。

 

「まさか、そのお守りを使うとはな」

 

「だから言ったろ?」

 

「ああ、素直に謝るよ。富山、思いっきりぶちかませ」

 

「もちろん」

 

 富山はそっと89式小銃を置き、背負っていた110mm対戦車弾を手にする。グリップや肩当てを広げ、弾頭のプローブを伸ばして構える。スコープを覗き、セーフティレバーを「安全」から「発射」にする。

 

 一旦後方を確認し、狙いを定めて引き金を引いた。

 

 爆発音、後方に向かってプラスチック片が吹き飛び、弾頭が撃ち出される。そして弾頭は空中でロケットブースターを点火させて中戦車34號の側面に穴を開けて貫通、そこで高性能爆薬が破裂し、中戦車34號は大破した。

 

「よしいいぞ!」

 

 土居内は叫びながら89式小銃を連射する。反対側にいる豊川達も89式小銃を撃つ。

 

 あっという間にマグマ軍歩兵は全滅した。富山がバックアップのために少し離れ、土居内が銃口を向けながら歩兵の死体を蹴る。そして武器を蹴り飛ばす。反応が無いので死んでいると判断する。

 

「お姉ちゃん! 生きてる!?」

 

 葵が穴だらけのAH-1Sに駆け寄る。その陰には、茜と見たことのない女性がいた。

 

「お姉ちゃんから離れろ!」

 

 葵は素早く89式小銃を構える。女性はそれに反応した。

 

「茜お姉様は離れて!」

 

 しかし、女性はがくっと倒れ、AH-1Sの短翼に吊された70mmロケット弾ポッドに頭をぶつけた。

 

「っ――!?」

 

 女性は声にならない呻きを上げ、頭を両手で抑える。

 

 

 

「一体全体何の騒ぎだ?」

 

 土居内が近寄ると、頭を抑える女性と、それに銃口を向ける葵、そして慌てふためく茜の姿があった。

 

「中央混成連隊の土居内だが、救難要請を出した木更津3尉はあんたか?」

 

 土居内がぶっきらぼうに茜に質問する。

 

「うん、そうだよ」「茜お姉様にため口とは!」

 

 先程の女性が立ち上がり、土居内を睨み付けた。

 

 が、土居内は気にしなかった。

 

「で、救助は2人のはずなのに、何でアメーバの如く3人に増殖してんだ?」

 

「そうだよ! お姉ちゃん、そいつ誰?」

 

 土居内と葵が質問すると、茜は困ったように頭を掻いた。

 

「よく分かんない・・・・・・」

 

 土居内は驚く。

 

「分からん? じゃあどこから来たのかは?」

 

「それも・・・」

 

 茜は口ごもり、土居内はお手上げだった。

 

「とにかく、お前らを連れて帰るのが任務だからな」

 

 そう言って、土居内は個人携帯無線機に向かってしゃべる。

 

「こちらマイク01。パッケージを保護した。タクシーを向かわせてくれ」

 

〔了解した。そっちにワゴンを2台向かわせた。あと10分だ〕

 

 すると、先程の女性が土居内に飛びかかった。が、豊川と富山が取り押さえる。土居内は89式小銃に着けた銃剣を女性の首にあてがう。

 

「あんた、よっぽど死にたいらしいな。名前は?」

 

「知らない。あったとしても、言う訳が無い」

 

「そうか。ま、捕虜として確保する。富山、こいつに縄かけとけ」

 

 富山が女性の手足を縄で縛った頃に、陸上自衛隊のCH-47JA輸送ヘリが2機到着した。




ようやく「木更津 茜救出作戦」ですね。話の都合上、葵も登場させました。

さ、あとは武器娘登場編と「市ヶ谷 愛救出作戦」だ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。