りっく☆じあ~す 中央混成連隊、前進す! 作:土居内司令官(陸自ヲタ)
夜、海の上を1艘のゾディアックが進んでいた。習志野が舵を取り、残りが周囲を警戒する。岩場に近付き、エンジンを切る。後は手漕ぎでひっそりと海岸に接近するだけだ。
夜間暗視装置を頭に着けた椎名と白根が海岸を警戒、誰もいないのを確認する。そして着岸、真っ先に2人が降りて制圧し、6人でゾディアックを持ち上げ、茂みに隠す。
上陸した目的は、沿岸に並ぶマグマ軍のシルクワーム地対艦ミサイル発射台と砲撃陣地の空爆支援である。8人は高台目指し、山道を進む。
揚陸艦〈サラトガ〉飛行甲板では、第1ヘリ小隊の4機の攻撃ヘリコプターが準備をしていた。70mmロケット弾ポッドとAGM-114 ヘルファイア対戦車ミサイル、そして固定装備の機関砲はフル装填だ。
〔さて皆さん、狩りの準備はいかがかしら?〕
〔何で貴女が仕切っているの? 私の方が経験長いのに〕
〔お高く止まった女の指揮とか、マジムカつくんだけど〕
〔…………後でスティンガー喰らっても知りませんわ〕
艦首から、AH-64D攻撃ヘリ、AH-64D攻撃ヘリ(3ah)、AH-1S攻撃ヘリ、AH-1S攻撃ヘリ(4ah)が並んでいる。このやり取りに、AH-1S攻撃ヘリ(3ah)のパイロット・木更津 若菜とガナー・木更津 茜は苦笑いした。
高台に移動し、8人は仮拠点を設営した。
「……見つけた?」
「そう簡単に見つけられたら苦労は無い」
「だよねー……」
白根と蓮星が、レーザー測距機能付双眼鏡でシルクワーム地対艦ミサイル発射台を探す。巧妙に擬装されており、中々見つけ出せない。
そんな中、西部が風呂敷を広げた。
「夜食あるけど、食べる?」
「戦場に一体何を……」
習志野が呆れる中、富山と照安が覗き込む。
「お、サンドイッチじゃん!」
「美味しそうね」
習志野がポカンとするが、2人は構わずサンドイッチを頬張る。
「「上手っ!」」
「マジ!? あたしにもちょーだい!」
感嘆する2人の声を聞いて、伏せていた蓮星が起き上がる。
「まだまだありますよ」
「西部さんマジ天使!」
蓮星がサンドイッチに釣られ、場を離れた。
「…………」
習志野、言葉が出ず。
軽装甲機動車(指揮車型)に、7.62mmNATO弾や5.56mm普通弾(B)、110mm対戦車弾を搭載する土居内の所へ、1人の少女がやってきた。
「土居内1佐! 配属になります有馬 官奈と言います! 県立西要第一高校 参謀科でした! よろしくお願いします!」
「威勢がいいなぁ。君にここに来てもらったのは、戦車隊を指揮してもらいたいからだ」
「戦車、ですか?」
「ああ。中隊なのに、最早大隊並みの戦力だ。俺だけの指揮では追い付かない。4個ある戦車小隊の指揮を頼む」
「了解しました」
ようやく、1基のシルクワーム地対艦ミサイル発射台を見つけた。所在地をタブレット端末で記録し、残りを探す。
上陸地点の砂浜の先には市街地があり、マグマ軍以外の人気は無い。割れたガラス、荒れた商店、事故った車、そして血溜まり。それらは、何があったのかを物語っていた。
照安と多賀城は、無言でシルクワーム地対艦ミサイル発射台を探す。
「…………」
「…………」
やがて、夜明けが近付く。
蓮星は地図を片手に、無線でF-35B ライトニングⅡを呼ぶ。
「富山さーん、レーザーでマーキングしといて」
「おうよ」
二脚を広げた89式5.56mm小銃を構える富山は、銃身に取り付けたAN/PEQ-16レーザーサイトを起動、夜間暗視装置で狙いを定め、シルクワーム地対艦ミサイル発射台を狙う。
「OK、マーキングしてやったぜ」
「エコー・ブラボーよりバルト1、マーキング完了」
〔バルト1、確認した。弾数1、マーベリックを使う!〕
低空飛行で進む2機のF-35B ライトニングⅡの内、片方の右ウェポンベイが開く。そして、1発のAGM-65 マーベリック対戦車ミサイルが発射された。
放たれたAGM-65 マーベリック対戦車ミサイルは、AN/PEQ-16レーザーサイトの赤外線レーザーを追尾、そしてシルクワーム地対艦ミサイル発射台に命中した。