りっく☆じあ~す 中央混成連隊、前進す! 作:土居内司令官(陸自ヲタ)
照安の放った銃弾は、外れた。
破壊力のある12.7mmNATO弾は、階下の窓を貫通し、机を破壊し、床に小規模なクレーターを作った。
「外れ、下5mってとこ」
「了解」
照安は更に上を狙う。セミオートの利点は、外してもすぐに修正射が撃てる所だ。
再び、12.7mmNATO弾の銃声が響いた。
やがて、砂浜に即応混成中隊が集合した。第2小銃小隊の隊員は、各車両に分乗する(AAV-7水陸両用装甲車は、あくまでも輸送用のため)。
戦車を先頭に、市街地へ突入する。
「下車戦闘! 敵兵を蹴散らせ!」
96式装輪装甲車と軽装甲機動車が、12.7mm M2重機関銃によって弾幕を張る中、隊員達が展開する。
当然マグマ軍も応戦してきた。PKM汎用機関銃の弾幕に、隊員達は動けない。
「誰か! グレネードで機関銃を黙らせろ!」
相馬原が、建物の陰に隠れながら叫ぶ。
89式装甲戦闘車に隠れた大庭菜が頷き、M79擲弾銃に擲弾を装填、PKM汎用機関銃の銃声がするビルの3階に撃ち込んだ。
命中、派手な爆破が起きた。
「ビンゴォ!」
「汚物は消毒だーっ!」
練馬と相馬原が撃ちまくり、隊員達がビルへ突入する。
「久居班、福島班は通りの向こう! 残りの班はあの交差点を確保! ヘリ小隊は適宜支援射撃!」
軽装甲機動車(指揮車型)の銃座から、土居内が叫ぶ。そして、74式7.62mm車載機関銃を連射する。
F-35B ライトニングⅡは上空で旋回していた。すると、赤外線センサーが何かを捉えた。
〔バルト1から近所のブラザー、8時方向より戦車隊接近中。数は16、その他の姿は認められない。注意しろ〕
〔エコー・ブラボー、了解。隊長、聞きました?〕
〔聞いたよ。1、2戦車小隊、対戦車戦だ。気、引き締めろ〕
『了解!』
直ちに第1・2戦車小隊が向かう。途中襲ってくる敵兵を、12.7mm M2重機関銃や7.62mm M134ミニガンで蹴散らし、敵戦車を迎え撃つ。
「さて、と」
戦車長用キューポラからナナヨンが降り、弾薬庫から120mmAPFSDS(装弾筒付翼安定対戦車徹甲弾)を引き抜き、抱えて砲身に押し込んだ。砲尾が閉まり、装填が完了する。
「タンゴ・アルファ1より全車! 弾種AP(徹甲弾)! 射界に捉えたら順次射撃せよ!」
『了解!』
8両の戦車は田んぼの周りに展開する。
〔ダックインします?〕
〔ダックインって……田んぼに?〕
〔Yes.〕
〔稲ありますよ、止めましょうよ〕
エイブラムスとヒトマルが話す。視線の先にある田んぼには、稲が植えられている。
「背に腹は変えられないわね。全車、田んぼにダックイン!」
〔マジですかナナヨンさん〕
「ほらヒトマル、ぐずぐずしない」
戦車達は田んぼへ入り、泥水をかき回して稲を踏みつける。そして敵を待った。
「来た!」
キューマルが叫んだ。90式戦車の赤外線サイトが熱源を捉え、照準する。
〔タンゴ・アルファ1より全車、戦闘射撃開始!〕
8門の120mm滑腔戦車砲が一斉に火を吹いた。
反動で砲尾が後退、薬莢底部が床を転がる。火薬で出来た焼尽薬莢とはいえ、底部は強度的問題から金属製だ。
ナナヨンは次弾を装填、照準を動かす。スコープ内に敵の重戦車72號を捉え、レーザー照射、距離を測る。
戦後第2世代戦車は、第1世代戦車とは全くもって異なる。第1世代は大戦中の中戦車を大きくしたようなものだが、第2世代戦車は「装甲を捨てた機動戦車」として開発された。この時代、対戦車ミサイルが謳歌しており、「飛んできたミサイルは機動でかわす」という風潮であった。そのため、74式戦車でも正面装甲が170mmしかない。が、それよりも重要なのは「ヴェロトニクス(車載電子装置)」の進化である。それまではステレオ測距器(戦艦とかにあるあれ)で目測をたて、あとは砲手の勘だよりだった砲撃が、レーザー測距器と弾道計算コンピューターにより格段に精度が上がったのである。加えて、74式戦車には砲安定装置が付いており、走行しながらの射撃、行進間射撃が出来るのだ。しかし、これら装置は全て手動操作であり、スムーズな戦闘を行えない。戦後第3世代戦車ではここが自動化されており、照準、発砲までの時間が大幅に削減されている。
ナナヨンが照準をつけ終わる時には、レオパルド2A6戦車が攻撃していた。
「あ」
ナナヨンは何も言えない。自由射撃許可を出したのは、他でもない自分であるため、文句は言えないのだ。
「マグマグなんて、HEAT(対戦車成形炸裂榴弾)でフ○○クしてやるわ!」
M1A2戦車の中で、水着姿のエイブラムスが叫ぶ。そして、照準ハンドルの発射ボタンを押した。
「Fire!」
44口径120mm滑腔戦車砲L44が唸り、薬莢底部が床を転がる。
超音速で飛んでいった120mmHEAT弾は見事重戦車72號に命中、モンロー/ノイマン効果で砲塔正面を溶かして穴を開け、高温の爆風を流し込む。戦車長用ハッチのスライム女を丸焼きにし、剥き出しの弾薬に火を付ける。そして、重戦車72號の砲塔が吹き飛んだ。
〔たーまやー〕
ヒトマルが吹き飛んだ砲塔を見て、そう呟いた。
大庭が擲弾をぶち込んだビルを、第2小銃小隊が占拠する。向かいのビルへ芙蓉と榮倉が銃撃を行い、久居班と福島班を援護する。
屋上では、沢城姉妹がスタンバイしていた。桐子がバイポッドを広げたM24 SWS対人狙撃銃を伏せて構え、その隣にレーザー測距機能付スポッタースコープを手に伏せる昌子がいた。
「320m、向かい風。撃ち下ろし4°、気温21℃」
「分かった」
桐子が応える。
スコープの中には、RPG-7対戦車ロケットランチャーを構えるマグマ軍歩兵の姿があった。