原作の流れそのままに想像してみたお話
わたしはシズ。シズ・デルタ、CZ2128・Δ。
ナザリックにおいて誇りある戦闘メイド、チーム「プレアデス」の1人だ。
この話の発端は自分の創造主である****様のお部屋を掃除していたときのことである。
至高の四十一人の方々の部屋の掃除は一般メイドの役割であるが、やはり自分を創造された方のお部屋は自分で掃除したいというのが心情である。
さすがに戦闘メイドである自分は頻繁に行うわけにもいかず仕事の合間など暇を見つけてになるが。
自分を創った****様は様々な重火器類をコレクションしていたため、飾りきれなくなった物で部屋が溢れかえっていた。
性能が低いものも気に入った外装であれば処分せずに手元に残すため、捨てるに捨てきれず貯まる一方であった。
一時は現実世界に存在する火器類の外装をありったけ再現したり、他のプレイヤーがフリーで公開していたり販売しているものがあれば手当たり次第に入手する、ユグドラシルのアップデートで新作が追加されればすぐさま入手していたため処分しきれなくなったものが積みに積まれ溢れかえっており、もはや部屋というより武器庫のような有様だ。
時折「多々買わなければ生き残れない!」などと自分の蒐集癖を自虐なさっていたが。
そんなお方の部屋である、一般メイドにはとっちらかりすぎてて掃除をやろうにも手を出すに出せないのだ。
極一部を残しすべて処分すれば済むのだが、何せ至高のお方のお部屋である。恐れ多くそんなことできるはずがない。
しかし掃除をしないわけにもいかず悩んだ末に、至高の方々のまとめ役であられるアインズ様に相談することとなり出た結論が
「部屋の持ち主が創造したNPCに掃除をさせよ」
というお達しであった。
最初の頃は自分の創造主のお部屋を掃除できるというだけで興奮したものである。
自分の創造主は入手したものをわたしに装備させては喜んでいた、あれこれ装備の組み合わせを考えたりしながら着せ替え人形のようにしてとてもとても愛でて下さった。わたしはそれが嬉しくてたまらなかった。
装備一つ一つにそのような思い出があり、一つ手に取っては思いを馳せるため片付けはなかなか進まなかった。
掃除をしようとして古いアルバムや漫画・雑誌が出てきたときにそれに囚われてしまうアレである。
(使わないなら処分されればいいのに……)
不敬であるが、ふとそんなことを思ってしまう。もっともそんな言葉とは裏腹に嬉しく感じてしまう自分がいるのだが
そうして何度も何度も部屋へ通っては片づけを行い装備品に思いを馳せを繰り返し大分片付いた頃である。
その日は机の周りを片付けていたが、ふと机の上に気になるものを見つける。
(……?)
(これは……写真?)
今までも片付けの途中、ミリタリー系の本や重火器が写された写真が出てくることは何度かあった。
しかし、これは違う。何故だか凄く興味を引かれるのだ。
(───)
それを見た瞬間、わたしの心は囚われてしまった……
・
・
・
アインズが執務室でユリから定時報告を受け取っていたときのことである。
「シズの様子がおかしい?」
「はい、いつもの****様のお部屋の片付けが原因だと思うのですが……」
「****さんの部屋を掃除していて興奮したんじゃないのか?」
「いえ、それにしては落ち込んでいるというか、心ここにあらずといった感じで理由を聞いても困ったようになりに話してくれないのです」
シズはプレアデスの中でも感情の起伏が薄い、全くないというわけでもなく、わかりづらいだけでちゃんと感情はある。6人の中ではユリと並び一般的な感性をもつ者といえる、他の4人が際立ちすぎているせいもあるが……。自動人形(オートマトン)という種族的な特徴を除けばごくごく普通といえる。
そして仕事は何事もなくこなし問題も起こさないためにナザリックにおいては異端でありながら何の心配もいらない子であったのだが
そんなシズが業務に支障をきたしているというのだ、プレアデスの副リーダーであるユリでも解決できないとなるとただごとではない
「となると原因はやはり****さんの部屋か」
「だと思われます。わたしにも話せないとなると至高のお方に関連することとしか」
アインズとしては当初、部屋の片づけを進言された際、別にそのままでもいいと思っていた。
もはやいなくなった仲間とはいえ個人のプライベートルームとなればうっかり見てはいけないものを見る可能性もあるため躊躇したのだ、そのため折衷案として子供とも言えるNPCに任せたわけだが……。
(失敗したかな、あの人のことだから部屋には武器満載で問題になるようなものは置いてないだうろと思ったんだが……)
思春期があるのかわからないが子供がショックを受けるとなると余程のことである。
これがペロロンチーノやるし★ふぁーであれば許可は出さなかっただろうことは想像に難くない。
(ユリでも解決できないとなると自分が探るほかないか……)
なにより愛すべき友人の子が困っているとなれば預かっている自分としては放っておけないのだ。
「わかった、この件についてはわたしが直々に調査しよう」
「申し訳ございません。アインズ様のお手を嗤わせてしまい……」
「構わん、片付けについてはわたしが許可を出したのだからな。その上でシズが変調をきたしたのならば責任はわたしにもあろう。ご苦労だったな、下がってくれ」
「はっ!失礼いたします」
さてどうしようかと思案する。
(うーん、とりあいず部屋を調べてみるか)
・
・
・
「うわぁ……」
****の部屋を調べに来てみたが第一声がコレである。
(これでも大分片付いてるってんだから、最初はどんだけ散らかってたんだよ……)
積むという行為がある、入手したものを使用せずにテトリスのようにそのまま積み上げていくものだ。
(これはまさしくそれだな、几帳面な人物だったと記憶してるが当人の部屋がまさかこうなってるとは……)
アインズも部屋を見るまで想像していなかったが源次郎に負けず劣らずではないだろうか。
(っと、いかんいかん)
圧倒されていたがこの部屋には調査に来たのだ、早速と探り始める。
ちなみに八肢の暗殺蟲たちやアインズ当番の一般メイドは外に待機させてある、間違ってシズが変調をきたしたものを発見でもされたら面倒になりかねない、なので無理を言って一人で調べている。
(はー、それにしてもすごい種類だな)
性能重視で蒐集していればそこまででないのであろう、ユグドラシルという世界で現実世界の重火器類を再現しようとしていった結果がこの有様なのだ。性能はたいしたことがないものが大半である。
外装のコピーという機能がある。
一点ものの性能を持った装備品に別の装備品の外装をコピーしたりするのだ。
そうやって気に入った外装があれば見た目の上では同じ装備を使い続けるプレイヤーもいた。
なにせ性能重視で装備をしていくと見た目がチグハグになり統一性が皆無なのだ。
さすがに格好が付かないため外装をコピーすることによってこの問題を解消していた。
アインズは魔法職であったため縁がなかったがジャンルが違うとはいえさすがにこれだけあれば圧巻である、古今東西の重火器類を集めに集め押し込んだこの部屋はまさに武器庫であろう。
(これは……手榴弾?こんなアイテムあったか?)
調べてみるとマジックアイテムに手榴弾の外装をコピーしたもののようである。
(ピンを抜くとカウントダウンが始まって発動するのか、凝ってるなぁ)
部屋中こういった品物だらけであった。おかげで蒐集癖のあるアインズの興味を引いて仕方がない。
(あーいかんいかん、こりゃシズが興奮するのも仕方ないな)
親の部屋に入ってみたら自分では手に入れることが出来ない宝物が所狭しと置かれているのだ、気が気でないのも当然である。
(しっかし、落ち込むとか困るような品は見当たらんな。シズが隠したのか?それとも何か壊してしまったのか?そうなると直接聞くしかないが……)
そうして机の辺りに来てふと気づく、写真を見つけたのだ。
そこには二人の人物が写っていた。
・
・
・
シズは食堂で超高カロリー飲料を飲んでいた。しかし、どうにも食は進まない。こんな気分は初めてだ、創造主のお部屋を片付けていた初期は興奮しっぱなしだったのに今はこれである、何故だろう、理由は分かってるあの写真だ、あれがどういうわけか頭から離れないのだ、気になって仕方ないのだ、冷静に勤めようと気分転換しようとしてもどうしても写真のことを考えてしまう、おかげで職務にまるで身が入らない、初めてのことだった。
様子がおかしいことに気づいた一般メイドたちから声をかけられるがそっけない対応しか出来ない。
姉妹たちからも声をかけられたが同様だ。
ぐるぐるぐるぐると思考を回転させていたとき、ふと気配を感じた。
「ユリ姉?」
「シズ、アインズ様がお呼びよ」
「───!」
写真ことで頭がいっぱいだったわたしは突然の呼び出しに真っ白になった。当然だ、変調をきたしていたことがアイズン様のお耳に入ったのだろう。けれどどうすることもできない自分の状態にほとほと困り果てる一方だった。
「大丈夫、アインズ様はお話をするだけと仰ってたわ」
「お話?」
(お話ってなんだろう?)
・
・
・
「アインズ様、シズをお連れしました」
「ご苦労、わざわざすまないな」
「いえ、ほらシズ」
「あ、も、もうしわけありませんアインズさま」
「よい、シズの様子がおかしいと聞いてなそれで呼んでもらったのだ」
「あの、その、わたし……」
「(これは重症か)ここへは話をするために呼んだのだ。ユリから聞いただろう?」
「あ、は、はい」
「ユリとシズ以外は下がれ」
「はっ!」
八肢の暗殺蟲たちとアインズ当番を下がらせる。
「あの、アインズ様……わたしはよろしいのですか?」
「シズ一人きりだと落ち着かないだろうしな。二人なら問題ないだろう」
「かしこまりました」
そうして小声でやり取りを終える。
『二人なら問題ないだろう』という言葉に妙な引っ掛かりを感じたが……
「さて、シズよ。おまえが****さんの部屋で見つけたのはこれだな?」
「あ……」
アインズが取り出したのは写真だ。そこには二人の人物が写っている。
「写真ですか?」
「よく見るといい」
「……?写ってるのはシズでしょうか?」
「そうだとも言えるし、違うとも言える」
主の妙な言い回しも気になるが、シズらしき人物の隣にいる者も気になる。シズにいたっては気が気でないようだ。となると変調の原因はやはりこの写真ということなんだろうか?
「この写真は一体」
「それはな、まず、シズらしい人物の隣に写ってるのは****さんだ」
「****様?!え、しかしこれはどうみても人間種では?!」
(…****様?)
「現実(リアル)という言葉に聞き覚えは?」
「それは何度か聞いたことがあります、至高のお方々が度々口にされてましたから。曰く、至高のお方々が住む世界だと我々の間では言われております。ただ、それ以上のことはあまり…」
「まぁ、ナザリックの者たち、41人に直接創造されたNPCであっても差異はあれ、皆同じような回答であろうな。そこに写ってる人物はな、現実(リアル)での****さんの姿だ」
「「?!」」
爆弾発言だった。
とてつもないことを聞いた気がする。
正直言って聞かないほうがよかったのではないかという後悔すらある。
NPCであれば創造主の話は気になって仕方がないので好奇心のほうが勝るのだが……。
不思議なもので写真の人物が****様だと言われても忌避感はなかった。むしろなんだかスッと受け入れられた、我々を創った方だからだろうか?
そして、そうなってくると気になるのはシズに似たもう一人の人物である。
先ほど『そうだとも言えるし、違うとも言える』と仰っていた、では彼女は誰なんだろう?
「これはわたしも****さんから聞いた話でしかないのだが、彼女は****さんの娘さんだ」
「「?!」」
なんだろう先ほどから爆弾発言ばかり聞いている気がする。地雷原に迷い込んだような気分になってくる…。
しかし、整理するとこの写真は****様とご息女の写った写真なのだろう。
問題は何故シズがご息女と同じ顔なのか、いや、さっきからずっと問題だらけだが……。
ここにいたってシズの変調の原因が分かってきた気がする。
シズの方はじっとアインズ様の話に聞き入ってるようだ。ボクは、あぁやまいこ様と自分の創造主になんだか祈るような思いである。
ふと、
『大丈夫大丈夫!』
サムズアップしながら笑顔のやまいこ様が浮かんだ。
………やっぱりダメかもしれない。
いや!ボクはプレアデスの副リーダー!しっかりしなくては!
どうにか自分を奮い立たせる。
「……大丈夫かユリ?」
「はっ、い、いえ大丈夫です!お続け下さい!」
「そ、そうか、うむ、っと。話はここまでにしてもいいのだが、シズよ、まだ聞きたいか?おまえの疑念が解消されたのならコレで終わりにしてもいい、****さんがシズを創造する際、娘に似せて創ったという話なのだ」
「わたしは……知りたい……です。****様のお話を聞けるのならばもっと知りたい、あのお方のことを、ううん、自分のことをもっともっと……」
「シズ……」
「わかった、せっかくだしな。さて、そうなるとどこから話したものか……」
───始まりは****さんが突然ログインしなくなった事だった。
・
・
・
現実世界(リアル)はもはや人間にとってただただ住みづらい環境にあった。上流階級の人間であればまだマシではあったがそんな者は極一部だ。そして****さんは一般的な階級の人だった。鈴木悟をはじめとしたほかのギルメンとそう変わらない階級層だ。
問題は娘さんが病持ちだったという事
よくある話である、自分とて両親を早くに亡くしており、ウルベルトさんなどもやはり同じようなものであった。
ただ、これから未来に残す者を先に失ってしまったという点では真逆であったが
ある日、いつのもようにログインしていた仲間が突然来なくなった。
メッセージを送ったが返事もない、最初はよかった、たまたま何かあってたまたま連絡できない状況なのだろう、そう思った、そう、たまたまなのだ……
しかし3日が経ち、さすがに焦った、まさかあってはならないことがあったのか?よくある話とはいえ知り合いがそうなったとあっては気が気ではない、最悪を想定して自宅を訪ねてみるかとも考えた頃、メッセージが届き安堵した、あぁよかったと思った、だが中身を見て絶句した。
───娘が死んだ
たった一文だけが刻まれていた。
・
・
・
娘さんが亡くなったという事はギルド長である自分だけが知りえることとして留めておくことにした。
ペットが亡くなって一週間来なくなった人物もいたのだ、来ない理由については濁しておいたが、察しのいい一部メンバーは気づいてたように思う。
1ヶ月が経っても****さんはまだ戻ってこない、もしかしたら2度と戻って来ないのかもしれない、そんな頃だった、ユグドラシルの大型アップデート「ヴァルキュリアの失墜」が実装された。
周りどころか自分も当然大賑わいである、(欠けてはいるが)ここ最近では久しいギルメン勢ぞろい、みんなで何をしようと盛り上がっていたときだ。
****さんがログインしました。
「皆さんお久しぶりです」
そのときのことはよく覚えている、バツが悪そうであったが盛り上がっていたところに久方ぶりのログインとあって皆からは歓迎されていた。そうして一通り皆で遊び、その日の活動を終了しようとしたときのこと。
・
・
・
「ご心配をおかけしました、モモンガさん」
「いえ、その、……娘さんが亡くなったことについては皆には明かしていません。察しのいい人はなんとなく気づいていたようですけど」
「そうですか……、正直ここに戻ってくるべきか思い悩みました、けれど先日モモンガさんからの誘いのメッセージを貰い一つ思いついたことがありました」
「思いつき?」
「ええ、ナザリックにはまだNPC製作の空きがありましたよね。あぁ、すでに埋まってしまっているのならそれまでなんですが」
「NPCを作るんですか?」
「はい、許可を頂けるなら、わたしの娘に似せたNPCを創りたい と」
「それは……」
「すみません、戻ってくるなりNPCを創らせろというのも乱暴だとわかっています、まして似せて創るなどと……」
一時の間が空く、そして
「……いいんじゃないですか?実際、茶釜さんやペロロンチーノさんなんかは欲望の丈をぶち込んでますし、恐怖公なんてのもいる、だったら娘さんにそっくりなNPCがいたっていいんじゃないでしょうか」
「モモンガさん……」
「ただし、妥協は許しませんよ?ナザリックに相応しい素晴らしいNPCを創らないとね、そうしてこのユグドラシルがいつか終わったとしてもどこか別の世界で元気に暮らしてくれているかもしれませんしね、んんっとなんかこっ恥ずかしいこと言ってますね……」
「ははっ、厨二病の再発ですかね?」
「あ゛あ゛あ゛あ゛、嫌なの思い出してきた……、と、とりあいず新NPC製作についてみんなに話してみましょう、まぁ大丈夫だと思いますけどね」
「ありがとうございます、ギルド長」
───それからはあっという間だった、あれよあれよと皆で盛り上がり、せっかくだから新しく追加された種族・職業にしようなどと、普段ならたっちさんウルベルトさんとで意見が割れるものだがこのときばかりは全会一致で41人勢ぞろいの一斉活動である、瞬く間にNPC完成まで漕ぎつけた。
AIなどの細かい部分の調整は専門に任せ、キャラクター名・容姿・性格設定などは****さんが愛情、あるいは魂を注ぎ込んで創り上げた。
こうしてシズ・デルタ、CZ2128・Δは誕生した。
アインズ様が現実世界のことを事細かに話すかなぁ?というセルフツッコミもあるんですがシャルティア達が楽しそうに話す場面もあるし、この二人なら大丈夫かな?という気も
一応、ミリオタの人がいたようですが、このへんは妄想の産物ってことでお許し下さい。