GIRLS und PANZERーーアンツィオ奮闘記   作:礼楽

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ー長い文章より、短いスパン投稿!ー
礼楽(なお、達成出来てない模様)


引越しとIV突

ガタンっ

 

「…ぅんむ?」

 

微睡んでいた意識が突然の揺れにより、覚めていく。

どうやら私は眠っていたらしい。

まだぼぉっとする目で辺りを見る。

どうやら私はトラックの助手席で寝ていたようだ。

 

「お?

お目覚めかい、嬢ちゃん。

もうすぐ目的地に着くよ」

 

運転席に座るつなぎを着たおじさんが、にこやかに教えてくれる。

 

……そうだった、私は高校(・・)に通うための引越しの途中だった。

 

窓の外を見るとトラックは、住宅街の中を走っていた。

サイドミラーを覗いて、後ろの牽引車(・・・)が来ているのが見える。

 

 

 

程なくして、とある建物の前に止まった。

パッと見はガレージといった様子だが、あの母のことだ。

どうせ中身はトンデモナイ程の金をかけているに違いない。

鉄で出来た扉を開くと、新品同様の設備や工具などが揃っていた。

クレーンや溶接用のバーナー、挙句の果てには製鉄用の設備まである。

 

「…お母さん、やり過ぎだよ」

「うっわ、全部最新のものじゃねぇか。

凄いな、嬢ちゃん」

「あははは……」

 

引越し業者のおじさん達もこの設備に唖然としていた。

どう考えても一端の女子高生には手に余るような代物ばかりだ。

 

そんな設備の間を縫うように進み、奥の階段を上がり、ドアを開ける。

 

…案の定そこに広がっていたのは高級マンション並の部屋。

大理石などは流石に無かったが、所々に無駄に豪華な物とかがあるのは最早諦めたようなものだ。

 

 

 

 

 

 

 

無事に荷物の運び入れが終わり引越し業者のおじさん達も帰ったあと、私は1人でガレージ部分にいた。

必要でない機材を脇に退けながらふと、それを見た。

 

 

艶消しされた黒い鋼鉄の車体

 

突き出た48口径75mm砲身

 

履帯横に付けられたシュルツェン

 

砲塔の無い比較的薄い車体

 

 

 

 

 

IV号突撃砲、通称IV突。

 

 

 

 

 

中学校時代の私の相棒が、ガレージに鎮座している。

 

私がここに入学するに伴い、前の学校から寄贈されたものだ。

 

私と先輩、2人で建てた偉業(・・)に学校側から報酬という形で頂いたのだが、その後学校に匿名で多額の寄付があったそうな。

 

…つまりそういう事だろう。

 

だが、後輩達からも是非貴女が使ってくれと笑顔で言われたものなのでその言葉に甘えさせてもらった。

 

私自身もコイツの事は気に入ってる。

こいつとはもう三年の付き合いになり、愛着が湧いていたのだ。

 

 

そう、あれは確か先輩に連れられて

初めて戦車道の見学に行った時だ…

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「…よぅし、着いたぞ!

ここが私達が使っている戦車道の練習場と倉庫だ!」

 

手を引かれ、走り続けること約二十分。

校庭抜け、通路を渡った先に広がっていたのは起伏に富んだグラウンドに、コンクリートで出来た的のようなもの。

そして入ってすぐそばの所にかなり大きな倉庫が並んでいた。

その倉庫の前には二種類の生徒が集まっていた。

 

前者は私と同じく、学校指定の制服に身を包み近くの友人と談笑している見学者と思われる人達。

 

後者は私を連れてきた先輩と同じく良くは分からないが制服でも、体操服でもない統一された衣装に身を包んでいる戦車道受講者と思われる人達。

彼女達は、なにかの打ち合わせをしながら見学者達を観察している。

 

「ん?やっと来たか!

ちゃんと見学者連れてきたんだろうな!?」

「連れて来ましたよ!ほら、一人!」

「どうせならもっと連れてこい!」「そんな無茶な!?」

 

突然、中央付近にいた上級生と思われる女子生徒がこちらを向き大声で叫んだ。

隣にいた先輩が受け答えをしているが先程の上級生が叫んだせいか、集まっていた人達がこちらを見ていた。

 

「…ねえ、あれって奈穂さんだよね」

「…あぁ、あの天才って言われてる?」

「…誰それ?」

「…え、知らないの?

なんでも、いろんな種目の大会とかで優勝したりしてる人で物凄い性格悪いって噂なんだって。

人を顎で使っているとか」

「…そんな人がなんで戦車道の見学に来てるんだろ」

「え、噂って。

直接話したとかじゃなくて?」

「…しっ!声が大きいって!

聞こえちゃうよ!」

「…嫌だなぁ、一緒にするの」

 

ヒソヒソとこちらを見ながら会話する人達だが、あいにく私には全て聞こえてしまっている。

 

……まあ、そんなものだろうな。

私の印象など。

ただし、私は人を顎で使った事などは一度も無い。

 

「よぉし、全員注目!

私がここの隊長をしている三年の岡田だ。

今日はよく戦車道の見学に来てくれた!

まずは礼を言おう」

 

先程まで先輩と話をしていた上級生…岡田先輩が声を張り上げ、喋り出す。

 

 

「戦車道とは文字通り、戦車の道を修める物語だ。

履修時には実際に、戦車と実弾を使用する。

車内は特殊なカーボンで覆われていて砲撃にも耐えうる事が出来る、が絶対に安全という訳では無い。

年に数度、事故により怪我人や重傷者もでる

 

…戦車道は危険と隣合わせの競技だ。

抜けたいなら抜けても構わん。

私達はその意志を尊重する」

 

 

 

ざわざわっ

 

 

 

岡田先輩はそこまで言うと、一旦話をやめて反応を促す。

聞いていた生徒達は近くの友人や、クラスメイトなどに話しかけ相談をしている。

そして1人、また1人と抜けていき、最終的に15人程が残った。

 

………私も残った内に入るのだが。

 

当初、一番初めに帰ろうとはしたのだが……

帰るそぶりを見せる度に、先程の先輩が悲しそうな顔をするのだ。

 

別に無視をして帰ることも出来たのだが、あれよあれよという間に周りが減って行ってしまい帰るに帰れない状態となったのだ。

…決して良心などで残った訳では無い。

そんなものは合理的(・・・)ではない。

 

「ふむ、まぁこんなもんだろうか。

よし!残ってくれた諸君!我々は君達を歓迎しよう!」

 

そうこうしている内に、岡田先輩がまた話し出した。

こうなってしまってはもはや帰るなんて事は出来ないので渋々私も残る事にした。

 

…だからその嬉しそうな顔をしないで下さい、先輩。

 

「さて、見学兼体験会と言ってもやる事なんて限られてるからなぁ……

まぁ、なんだ。

 

 

 

ここはひとつ、余ってる戦車に実際に乗ってもらおうか!」

 

「「「「「「「「「ええっ!!?」」」」」」」」」

 

と、突然岡田先輩がトンデモナイ事を言い出した。

これには私達だけでなく戦車道履修生も驚いていた。

つまり、元々予定に無い行動なのだろう。

 

「ちょっと先輩!?

流石にそれは……それに彼女達も操縦等の技術を知らない子だって…」

「大丈夫だ、ちゃんと考えたから!

一台に一人、我々履修生が乗り込みサポートをする。

そして一年生は自分の思うように戦車を扱う。

どうだ、簡単だろ?」

 

そう言ってニカッと笑う岡田先輩だが、反論していた履修生はえぇ…っと引いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、私達の前に四両の戦車が牽引されて来た。

どれもが艶消しされた鈍い黒色で塗装しており、エンジンの低い重低音が鳴り響いている。

 

 

先程岡田先輩により決められた、メンバーと共にそれぞれの戦車の前に集められる。

 

これが…私達が使う戦車………

 

「これはIV号突撃砲と言ってな。

通称四突と言われる戦車だ」

 

何の因果か、私達の担当はあの先輩だった。

そして先輩は私達にこの戦車の説明をしてくれている。

 

 

…が、何故かその時の私はその説明を余り聞いていなかった。

 

後になって気が付いたが、それ程までにこのIV突に私は知らず知らずの内に惹かれていたみたいだった。

 

 

「…さて、実際に習うより慣れろだ!

私が車長…つまりこの戦車のリーダーをするからお前達でそれぞれ何をしたいか決めてくれ。

役割はそれぞれ砲手、装填手、操縦手、通信手の4つだ」

「…ねえ、どうする?」

「私は操縦とかがしてみたいなぁ」

「私は…出来れば砲手!」

「えぇっと、どうしよう………

あ、奈穂さん!

……奈穂さん?」

「……あ、ごめんなさい。

何?」

「あの奈穂さんはどの役割をしたい?」

 

話を聴いていなかったせいか、突然名前を呼ばれて多少のラグがあったけどなんとか反応をすることが出来た。

それにしても役割と来たか……

私としては別に何でも良くて、どれをやっても恐らく私が足を引っ張るという事は無いとは思うのだが。

 

「…じゃあさ、もうくじ引きで決めない?」

 

そのうち、痺れを切らしたのか1人がそんな事を言い出した。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ふと空腹感を覚え、壁に掛けてあった柱時計を見ると時刻は午後一時を指していた。

 

移動中はひたすら寝ていただけだし、何も口にしていない。

 

コンビニで何か適当に買うのも良いが、先程のおじさん達の話によると学校の敷地内で盛んに出店が開かれていて更には美味しい物が沢山売られているらしい。

どうせなら美味しい物を食べたい。

よって私は財布と携帯電話を持ち、家を後にする。

壁にかけてあった包帯だらけのよく分からない熊のキーホルダー(お母さんの趣味と思われる物)の付いた鍵で施錠し、徒歩で学園へと向かう。

 

 

 

 

暫く歩いていると、周りの風景が段々と変わっていく。

具体的にはヨーロッパ圏、またはイタリアっぽい建造物がチラホラと建っているのだ。

それは学園へと近付くにつれて如実となっていき、ついには泉やら石柱やらが建ち並ぶ様になってきた。

 

 

更に進むと、石造りの立派な校門が見えてきた。

私は立ち止まり、校門を眺める。

 

 

 

その校門の校章には一枚のピザ(・・)が描かれており、その隣に学校名が書いてあった。

 

 

 

 

 

Anzio Girls` High School(アンツィオ高校)と。




なお、今後物語の展開の為にオリキャラが多数登場します。
ご了承ください。
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