GIRLS und PANZERーーアンツィオ奮闘記   作:礼楽

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この作品をご覧の方々。

こんにちは、礼楽でございます。

昨今寒い日が続いております中、いかがお過ごしでしょうか。

私はというと、仕事が一段落し、時間に余裕を持つことが出来るようになりました。

これから、もう一つの作品共々順次更新を行っていきたいと思っております。

では、皆様またお会いしましょう。



要約、幼女戦記はいいぞ。


入学式と最初の五人

鬼のパンツは いいパンツ

 

 

先程まで聞こえていた、どこかそんな言葉が脳裏に浮かぶ様な歌を頭の中でリフレインさせながら、私は周囲に悟られぬように小さく欠伸を噛み殺した。

どこの学園でもそうなのだろうが、所謂偉い人のご高説という物は兎角長い。

特に入学式などの目玉となるイベント事ではそれが如実に現れている。

 

加え、この春の麗らかな気候。

春先の陽気に眠気をお裾分けされるのも仕方のない事だと思う。

実際隣の黒髪の子なんて腕組んで涎を垂らしながら寝ているし。

 

私としても是非に意識を手放したい所ではあるが、様々な事柄によりそれを果たせずにいるのが現状である。

 

 

 

 

まず、何の因果か私が学年主席として挨拶をしなければならないという事。

まあ、これについては別に良い。

今更緊張なんてしないし。

 

 

次に教師陣の目。

先程から私とその隣に向けて、鋭い視線が幾つも飛んできている。

恐らくは私に隣を起こせ、との意味合いが強いのだろうが、私は努めてこれに気が付いていないフリをしている。

そんな中で私まで寝てしまったらどうなるか………怖いね?

 

 

そして最後なのだが、先程から教師陣の居る横からではなく、後ろの席からも視線を感じている。

 

…まあ十中八九、安斎先輩なのだろうが。

きっとあの先輩の事だ。早々に見つけ出してニコニコしながら見ているに違いない。

そんな先輩の期待を裏切らないためにも、もう少し頑張りますか。

 

 

 

しかし、隣の子はよく寝られてるなぁ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、以上でホームルームを終わります。

皆さんはこのまま帰宅するも良し、校内を散策したり部活動の見学に行くことも出来ますよ?」

 

 

 

童顔の女性教師がそう締めくくりホームルームを終える。

周りの生徒達は友達と喋ったり、黙って帰り支度をするなど思い思いの行動をしている。

 

そんな中私はというと、さっさと帰り支度をすませて教室を出る。

他の教室の前を通ると、既に人は疎らで数える程しかいない。

その前を、なるべく早足で歩く。

 

 

 

……おのれ、あのぽやぽや先生。

めちゃくちゃ時間かかったしゃないか。

 

 

 

何故私が急いでいるかというと、その答えは単純だ。

 

ホームルームが長くなった。

具体的には1時間ほど。

 

 

おかげで先輩との約束に大幅に遅れてしまっている状況だ。

一応メールはしておいたのだがそれでも、人を待たせるということは私の精神衛生上、そして常識的に考えて宜しくない事だ。

 

という理由で競歩レベルから小走りレベルへと移行し、指定されていた場所へ向かう。

 

校舎から少し離れたところにある戦車道部専用のプレハブ棟。

特有の鉄とオイルの臭いが漂うその一角に近づくと、数名の女性の話し声が部屋の中から聞こえてきた。

 

どうやらその内の1人は安斎先輩の様で頻りに楽しそうに笑っていた。

 

もしかして、他の履修生の人かな?

 

そう思った私は、息を整えてドアをノックする。

 

 

「ん?やっと凛がきたのかな?

すまんが開けてもらっていいか?」

「はーい、了解です」

 

 

中からそんな会話が聞こえ、ドアが開く。

出てきたのは長い金髪の大人しそうな少女で、私と目が合うと会釈をしてくれた。

 

そのまま中に入ると金髪先輩(仮)と安斎先輩の他にもう2人ほど生徒がいた。

 

「は、初めまして。

私は今年度入学してきた…」

「おぉ、やっぱり凛か!

待ってたぞ!」

「…先輩、人がなけなしのコミュ力を使って挨拶をしてるのにそれを遮るのは酷いと思うのですが」

「まあまあ、お前ら同じ一年生同士なんだし硬っ苦しい挨拶はなしにしようじゃないか」

「それとこれとは……へっ?一年?」

 

驚いてよく見ると、確かに入学式で見た顔だ。

 

「えっと、そうですね。

私は一年生の……えっと、カルパッチョと申します」

 

そう言って金髪の人、カルパッチョさんが挨拶してきた。

…てか、カルパッチョ?

本名、じゃないよね?

 

「次は私っスね。

一年生のペパロニだ、よろしくな!

ってかよく見たら同じクラスの奴じゃんかお前ー!」

 

その横からスッ、と出てきて笑いながら肩を組んできたのは入学式で爆睡していた少女、ペパロニさんだ。

彼女もまた本名ではない。

 

……となるとやはり。

 

「………先輩。

まぁた変な渾名付けたんですか…」

 

この人しかいない。

 

「変とはなんだ変とは!

私は各々の性格や容姿、それから己の直感によって渾名を付けているのでなぁ…」

「ほぼ100%ただの思いつきでしょうに…」

 

安斎先輩には困った癖がある。

それは人に勝手に渾名を付けることだ。

ちなみに私にも…一応ある。

 

「それのどこが問題なんだ?

…″ナポリ″たん?♪」

「だからそれやめてくださいってば!!」

 

 

…ナポリ、もしくはナポりん。

菜穂凛→なほりん→ナポリン→ナポリ

 

当初は別のナポリタンという渾名を貰っていたのだが…

当時の男子中学生共に″ナポリたん″という風に呼ばれていて本気で背筋に寒気が走ったので変えてもらったのだ。

 

余談ではあるが、その時の男子中学生共は総じていわゆるオタク系統が多かった事をここに留めておく。

 

 

「お、いいねぇ!

んじゃ、私もナポリって呼ぶわ!」

「じゃあ、私も」

「…分かりました、それでいいです。

ただし、″たん″付けだけはダメです」

「わ、わかったから」

 

恐らく今の私を他の人から見たら目にハイライトは無いに等しいであろう。

 

 

「フッフッフッ…

相変わらずその話題になると目が濁るのだな、凛。

いや、我が奏者よ」

 

と、ここで奥の方にいた少女が不意に声をかけきた。

……あれ?今の声って。

私が呆気に取られた表情をしていると、その少女はこちらへと歩み寄ってくる。

 

「どうした?

余がここにいる事が不思議か?

無理もない、余が秘密にしていたのだからな。

だがこの再開はいわば運命!

ならば奏者よ!

再び余と共に…」

「何でここにいるんですか音色(ねいろ)

「た、たわけ!私の真名を言うでない!

我はローマ第五代皇帝ネロ・クラウディウスであるわ!」

「キャラぶれてますよ」

「はうわっ!?」

 

キャラがぶれまくって涙目になっているこの子は、私の中学時代の友人…もっと詳しく言えば元IV突の操縦手(・・・)倉出(くらで)音色(ねいろ)

 

出会った当初は少々おどおどしていた地味メガネキャラではあったのだが、中学二年生の時に不治の病(中二病)を発症。

しかも当時、私が貸していたゲーム(私と言えど人並みにゲームはする。)のキャラクターにドハマリして、そのキャラを演じる様になってしまったのだ。

以来緑色のカラコンをし、髪を金髪に染め、ことごとく真似るという徹底ぶりだ。

…だが、そのキャラクターの元となった歴史上の人物に関しては全く知らないという、呆れた一面もある。

 

しかし何故彼女がここにいるのだろうか?

確か進路選択の時には聖グロリアーナ女学院を目指すとは言っていたが……

 

「んん!

ところで、何故音色「ネロ!」…音「だからネロ!」……ネロがここにいるんですか?」

「フッフッフッ…それはだな「あぁ、聖グロに落ちたからこっちに来たんだってさ」、って安斎先輩!?」ガビーン!

 

ああ、そう言えばこの子学問系がポンコツなんでしたっけ。

今も涙目になりながらカルパッチョさんに慰めてもらっている姿にどことなくポンコツオーラが漂っている。

 

「あ、そうそう。

お前ら、今後私の事はドゥーチェ、もしくはアンチョビと呼べ!」

「了解ッス姐さん!」

「えっと…」

「「どうしてですか、安斎先輩?」」

「だからアンチョビだ!

なんで誰一人として呼ばないのかなぁ…」

 

 

そうして先輩が落ち着いた頃にふと気になった事を聞いてみる。

 

 

 

「ところで先輩、他の戦車道受講者は何処なんですか?」

「あ、それ私も気になってたんスよ!」

「確かに…

先程から誰もここにいらっしゃいませんし…」

 

私たちがそう聞くと先輩は滝汗を流しながらそっと目を逸らし………まさか。

 

「…先輩」

「…なんだ」

「…戦車道の受講者は全部で何名なんですか?」

 

 

 

「………ここにいる事五人だけだ」

 

 

 

「「「「はぁ!?(ええっ!?)」」」」

 

 

 

 

 

 

………拝啓、お父様お母様。

どうやら私の戦車道はここまで見たいです。

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