GIRLS und PANZERーーアンツィオ奮闘記 作:礼楽
かくして。
優秀な?自称整備士兼世界最速ドライバーことフェラーリと、面白そうだからと着いてきた彼女の友人数名からなる整備班を無事に確保した私達は、本格的な戦車道の活動を始めた。
……彼女達が本当にCV33に対して、十二気筒エンジンなるゲテモノを積もうとしたのを無理やり阻止したが。
エンジンがはみ出るとか流石にシャレにならないから。
まず、CV33とセモベンテ全車両を再整備。
これには新生整備班含め全員で行った。
作業の効率化という面もあるが、一番の目的は全員の知識の共有だ。
フェラーリが忙しい時や作業出来ない時、代わりにしようにも誰も知らない分からないでは困るからだ。
次に先輩やネロといった経験者組の指導の元、基礎訓練を行う。
その間、私と整備班はというとスクラップの中から辛うじて使えそうなものを修理しようと奮戦する。
特にP40と装甲板が剥げていた戦車については時間を掛けて修理すれば何とか使えそうな事が判明した。
しかし、ノウハウとパーツがないために直ぐには手がつけられないのだ。
そのため、それ以外の物を発掘した。
出てきたものとしては色々なパーツが殆どで、これらは売却して新しい戦車を買うための資金にした。
他にも、アンツィオ高校伝統の屋台などを経営して資金の足しにした。
…その際、全員が戦車の技術よりも料理と接客のスキルの上達が早かったことには目をつぶろう。
「練習試合ですか?」
「そうだ。
現実、私達には実戦経験が足りない。
そこで他校との練習試合を行い、試合を
通して課題点を見つける。
それが目的だ」
ある日、部員全員のミーティングで先輩が突然練習試合をすると言い出した。
これには皆も最初は驚いていたが、次第にその表情は楽しそうに変わっていく。
「姐さん!
それ私聞いてないんスけども!」
「安心しろペパロニ、これはまだ誰にも言ってないことだからな。
お前が知らなくても当然の事だ!」
ちなみに私も聞いていない。
「相手は知波単学園だ!
電話で確認した所、たまたま
…ん?
私達の知り合い、の部分で私に視線を投げかけてきた先輩。
でも私自身、身に覚えがないのですが。
知り合いが特に知波単に行ったとは聞いてないけど…
「と、そこでだ。
練習試合をするにあたって、搭乗車両を決めようと思う!
だが皆、これはとても重要な事だ。
しっかりと入念に話し合って……」
「ハイハーイ!
私はCV33がいいッス!」
「お、ペパロニ気が合うじゃん!
だったら私と乗ろーよー」
「お、いいねぇそれ!」
「じゃあ、私はセモベンテで…」
「カルパッチョ、私達もいーい?」
「では余はナポリと共にIV突に乗るとするか」
「あ、ズルいぞ!
ウチだって操縦手で乗りたかったのに!」
「………本当に乗りたいの?
凛のIV突の操縦手ってすっごく大変なんだよ?
先輩や腕自慢の人達が揃いも揃って乗りたくないって駄々をこねるんだよ?
私だって嫌だったのに波長が合うって言われてからいつもいつも………」
「わあぁ!?
お、落ち着けって!?」
「………入念に話し合って決めて欲しかったなぁ…」
「仕方ありませんよ先輩。
だって
「…お前も大分感化されたな」
「…慣れないとついていけないんです」
みんなが何に乗るかではしゃぐ中、遠い目をした2人がいたそうな。
結局、そのままの勢いで決まってしまった組み合わせのまま戦車に乗ることになった私達であったが、そこは先輩。
きちんとそれぞれの役割に必要な事を叩き込み、何とか練習試合の日までに形にする事は出来た。
その分実際の戦闘における戦略やドクトリン、作戦などの細かいところまでする合わせる事が出来なかったがそれは仕方の無いことだろう。
ちなみに、ペパロニはCV33で、カルパッチョはセモベンテ、先輩はカルパッチョとは違うセモベンテで、私とネロは勿論IV突だ。
私が砲手兼車長。
ネロが操縦手。
その他に乗ってみたいと言ってくれた2人をそれぞれ装填手と代理車長兼通信手に。
こうして
セモベンテ四両
CV33四両
IV突一両
総勢九両の変則的なチームが完成した。
………どう見てもIV突だけが浮いているのはご愛嬌という事で。
「…えーと、被撃破が。
CV33四両
セモベンテ四両
それに対し撃破数が
計3両…いずれもIV突が撃破……。
一方的他の奴らは開始と同時に突撃、突貫してきた知波単と乱戦となり各個撃破。
………先輩、総評を」
「……匙を投げたい」
「…お気をたしかに」
まあこんなもんだよね、と隣でネロが笑ってはいるが頬が引きつっている。
まあ、物の見事に完敗したわけだがある程度の指針は決まったと目を濁しながらも先輩は言っていた。
曰く、絶対正攻法では勝てないと。
そうそう、安斎が含みを持たしていた事についてなのだが。
単純な事だった。
「…にしてもここまで吶喊が成功するとは。
おい安斎、お前の所本当に大丈夫か?」
「失っ礼な!
岡田先輩こそ颯爽と出てきた瞬間に凛に撃破されてたじゃないですか!」
「あ、あれはノーカンだ!」
中学時代の先輩兼元隊長、岡田夏希先輩が知波単学園にいたのだ。
それでその時のコネを使い、今回の試合に漕ぎ着けたのだろう。
「それにしても、久しぶりだな奈穂。
前に見た時と変わらん仏頂面だな」
「……先輩こそ相も変わらず吶喊がお好きな様で何よりです」
「ふっ、あれ無くしては私はただの地蔵よ」
そう、この人の持ち味は吶喊。
それもただの吶喊ではなく、状況を俯瞰し、その時を見極め最小限の被害で最大限のリターンをただの感でかっさらって行くある種の………天才である。
それも中学大会準決勝まで勝ち進めるほど。
「ともかく、大会まで残りあと僅かな訳だが。
お前らは出るのか?」
大会。
正式名称、戦車道全国高校大会。
一年に一度、全国より各校の戦車道チームがそれぞれ頂点を目指し競い合う大会。
現在、九連覇を成し遂げている黒森峰女学園や聖グロリアーナ女学院、プラウダ高校などの名門も集う中で我々はハッキリといえば相当弱い。
だけども……
「ああ、当たり前だ。
私はこいつらをベスト8…いやベスト4まで連れていくつもりだ!」
「……そこで優勝と言わないあたり、安斎らしいな」
先輩は出ると決めている。
ならば私がするべきことは一つ。
その夢を脅かすものを全力で討ち取るだけだ。
私の