Wrap up the lord of knight   作:影斗朔

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ステータスの話⑺

しばらく戦っているけれど、未だお互いに有効的な攻撃は入っていない。

・・・でも、そのおかげで漸くあいつがどんな戦い方をしているか段々とわかってきた。

 

目の前にいる敵はまるで見当違いな方向へと剣を振るっているように見えるけど、それは普通の剣とは違うからそう見えるだけであって、実際はちゃんと意味がある。

異常な形をしたあいつの剣は、複雑な軌道を描きながらもしっかりと私を捉えてる。

ただ、その剣戟が狙う先は喉元や肩骨だけじゃない。頭部から足元にかけて、身体の部位に合わせて的確な一撃を与えようと、複雑だけど角度や勢いを調整しているんだ。

 

正直、最初に切り掛かって・・・殴りかかってきた時は、あまり強めの一撃じゃないなと思った。でもそれは、私の胴体を狙ったからであって、壁剣で受け止められると思わなかったからだと思う。

でも、二回目の攻撃はそうなる事を予想したんだろうけど、壁剣で受け止められる事を考慮した一撃だった。

壁剣の腹でそれを受けとめた時、嫌な感覚に襲われたから勢いを受け流すことにしたけど、あのまま弾き返そうとしていたら、そう簡単に壊れない壁剣でも深刻なダメージが入っていたに違いない。

 

私が受け止めて反撃する戦法をとっている以上、必然的に相手に攻め続けられる事になるけど、ここまで執拗に搦め手を使ってくるのは初めてかもしれない。

だからこそ、あまり戦闘に詳しくない私でもわかった。目の前にいる敵は、ほぼ間違いなく、武装破壊や部位破壊を主にした戦い方をしている。

そして、そんな戦い方にぴったりな鉱物があることを、私はつい最近知った。

 

鈍延鑽(どんえんさん)・・・たしか、グローシュテイムとも呼ばれている鉱物。

それは発見されている鉱物の中では、()()()()()()()()()()()()()()()()らしい謎の物質で、新聞では空から突如として落ちてきた大岩の中心にあったと書いていたけど・・・実際に存在していて剣身として加工されているなんて・・・。

特徴も新聞と一緒で、光を吸い込んでいるせいで殆ど反射しない黒い石だし、剣を受け止めた時にわかったけど、とにかく硬かった。

そんな特注品を扱うとなると、敵はきっと私と同じ専属騎士・・・いや『十忠』かもしれない。

とにかく、あまりあの剣の攻撃を受けないようにしなきゃいけないんだけど・・・。

 

(だからっていっても、どうしたらいいの!? だって、私カウンターぐらいしかできないよ!? 相性悪すぎでしょ!!)

 

・・・って、ぐちぐち言っていても仕方がないんだけどね!

おそらく敵は動きが軽やかだから、たぶん鎧を着てなさそう。

それなら私が一撃入れるだけでも十分動きを止められるはず!

 

「・・・ふん!」

「っと!」

 

でも、私が攻撃しようとすればあいつは避けに徹するし、ただ攻撃が来るのを待っていると武装が壊されそうになる。

ああもう、じれったい! こうなったら攻める隙を与えないように、私の方から押していくしかない!

そんな焦りのせいか、無意識のうちに敵の剣戟圏内に入ってしまっていた。

 

「そこだ!」

「・・・っ!」

 

一瞬、剣が消えたように見えたけど、手先を見てどうにか把握する。

私の顔目掛けて掌底を打ってきたように見えたけど・・・。

―――そうか、顔面への突き!!

 

「うっ・・・!!」

 

体を思いっきり左へと傾けて、無理やりその一撃を避ける。

ワイングラスみたいに鍔を抱えて突いてくるなんて・・・!

完全にやらかしちゃった! これじゃ、隙だらけ―――。

 

「貰った!」

「うおっ!?」

 

あいつの右手はまだ私の真横に合ったのに、左手の下から強い衝撃を受けた。

左手で手首を殴りつけられたと気づくころには、左手に持っていた壁剣が指から滑り落ちる。

マズい・・・! と焦っている時間すらも、敵は与えてくれない。

傾いた体を引き戻して、襲ってくる剣戟へと身構えようとした瞬間、右足に強い衝撃が走り抜けた。

 

(うっ・・・! このっ・・・!)

 

右足に嫌な打撃が入ったけど、無視! これ以上やられない方がよっぽどいい!

落としてしまった剣を放置して、全身全霊の体当たりをかます。

バランスなんて整えられていないし、お世辞にもタックルとすら言えない私の体当たりは、それでも不意を突いた攻撃だったことは確かなようで、敵の体を吹き飛ばして壁剣を拾うぐらいの時間を得ることは出来た。

 

―――でも、やられた。

さっき受けた一撃のせいで足が上手く動かせない・・・。

それに痛みも酷くて、壁剣を拾うだけで転んでしまいそうになる。

ただでさえ足場が悪いのに、このまま攻められ続けたら圧倒的不利だ。

・・・だったら、その前に勝負を決めるしかない。

 

(この一撃で決める・・・!)

 

そう思って踏み出した右足は、()()()()()()()()()()、ぬかるみで大きく滑った。




今晩は。左之亜里須です。
両方短かったので一緒にしても良かったかもしれません。

6.5では現在に話が戻ります。
まだ手合いを続けているようでしたが、もうそろそろ終わりそうですね。
7ではまた過去に話を戻し、バリュー視点で戦闘が続行されています。
こちらもそろそろ決着がつきそうです。

・・・しかし、どちらが勝つのでしょうか。
そして、勝った者は敗者に何を語るのでしょうか・・・。

次回もまた見て頂いたら嬉しいです。

それでは、より良い日々を・・・。









『歯医者』って前に打ったせいで、『敗者』って出てこなくて一瞬焦りました。(-_-;)
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