映画 ジャスティスの誕生
主役の二人も格好いいですが、執事のアルフレッドも素敵


皆、独身一人身、設定です。

自サイトとpixivにマルチ投稿していますが。
部分的に手直し、削ったりしてあります。

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バットマン vs スーパーマン 執事参戦

バットモービル、スーツの点検が終わり、老紳士はほっと一息ついた。

メンテナンスに、たいした時間がかからなかったのは幸いだった、損傷は思ったほどひどくなかったからだ。

 ブルース・ウィルス、彼がバットマンとしてゴッサムシティの悪人と戦うようになってからというもの忙しい日々の連続だった。

戦いで負傷し傷を負うのはバットマンだけでない、使う道具もだ、しかし、ここ最近、ブルースは以前ほど無茶な行動を取らなくなった。

 悪人に対する制裁は容赦なく何度か窘めた事もあるがなかなか最初の頃は聞き入れようとしなかったこともある、それが純粋な正義感ではない故に老紳士は気になっていた。

 世間の目を誤魔化す為に、パーティで派手な馬鹿騒ぎをして女優と浮き名を流す事など珍しくなかった。

 だが、最近はその行動にも変わってきたと思うのは決して気のせいではない。

 分別と思慮深さが歳と共に多少なりとも加わったせいだろうか、一度は引退を決めてバットマンを辞めると言い出したこともあったが、スーパーマンという超人との関わりのせいかもしれない。

 この街、ゴッサムシティには悪が大きくはびこっている、それも普通の犯罪者ではない、凶悪という言葉の範疇を超えている。

 人間の力量と想像を超えた犯罪が街の人々を襲い始めた結果だ。

 アルフレッドは溜息をついた。

 

 クラーク・ケント、またの名をスーパーマンである男からの呼び出しにブルースは、おやと思った。

 近くに来ている、会いたいという呼び出しは簡潔でいかにも新聞記者らしい、待ち合わせ場所は会社からそう遠くないコーヒーショップだった。

 

 一ヶ月前に会ったばかりだか、そのときクラークは酷く落ち込んでいた、原因は一つ恋人ロイスとの決別だ。

 障害がありすぎるのだ、聞くと数年離れていた時期もあったらしい、多くは語らなかったが、男の表情から完全な決別を感じてブルースは、あえて多くの言葉をかける事はしなかった。

 

 下手な慰めをしたところで無駄だと悟ったからだ、若い恋人同士なら一時の喧嘩ですむだろうが、二人はそうではない。

 

 

 「元気そうだ」

 待ち合わせの場所に行くとクラークの様子は以前の時よりは明るい感じがした。

 内心、ほっとしながら用件を尋ねるとクラークは鞄の中から数枚の紙を取りだした。

 「最近、新聞社にきた投書だ、悪戯かと思ったが、気になってね」

 

 

 バットマン、死ね、俺は地獄から蘇った、トゥー、とぅー。

 顔、俺の顔。

 

 書き殴ったような文字のサインだ。

 

 「夜中にピエロが歩き回っている、女性を脅かしているらしいが」

 「なんだ、それは」

 「顔は白塗り、口が耳まで裂けたピエロのような顔で夜中の街を徘徊して人を脅かしているらしい」

 「まさか」

 「今は脅かしているだけだ、だが、これが本物だとしたら」

 二人はコーヒーショップを出た。

 しばらく歩いているとクラークが突然、立ち止まった。

 「君のところの執事じゃないか」

 言われてそちらを見ると確かにアルフレッドだ、だが一人ではない、自分の知らない、見た事のない黒髪の女性といつ書だった。

 正直なところ、普段とは違う執事の姿を見て彼は驚いた。

 「随分と楽しそうだな」

 クラークの言葉にブルースは思わず声をかけようと歩き出した。

 

 

 「まさか、あそこで出会うとは思いもしませんでしたよ」

 執事の言葉は明らかに、いや、責めているように聞こえる。

 だが、それを言葉にすると何故、そう思うのですと言われてブルースは返事に困った。

 長い付き合いなのでお互いに性格はわかっているつもりだった。

 だが、こんな時は、自分は彼から見れば若造、子供だと汗ためて実感せずにはいられない。

 「知り合いかい、それとも恋人とか」

 その問いかけに執事はにっこりと笑った、さあ、どちらでしょうと言いたげに。

 

 

 

 「なんだ、この記事は」

 上司の怒声はいつものことなのでクラークは反論した、そして、いつものように自分の書いた記事はゴミ箱行きとなった。

 溜息をつき、気分を変える為にコーヒーを飲もうとデスクを離れた。

 

 (貴方は真面目過ぎるのよ)

 ロイスの言葉を思い出す、彼女は仕方ないわねと苦笑していたが、実際のところは融通のきかない自分の性格に呆れていたのではないだろうか。

 今になって、そう思うのは彼女が側にいないからだ、恋人だった彼女が離れて、いや実際のところは別れたと言ってもいいだろう。

 改めてクラーク・ケントは自分の性格と落ち込みの激しさを実感した。

 超人的な体力と能力を持ち、地球上の悪と戦う男だが、実生活では、こんなにももろく弱い部分があるということを彼は今更のように実感していた。

 (あの男は、どうだろう)

 ふと脳裏に浮かんだのは自分と同じ立場であり、この街の悪人と戦っているブルース・ウィリスという男だ。

 ウェイン・エンタープライズの筆頭株主であり、誰からも一目置かれるプレイボーイだが恋愛はうまくいった試しがなく、最後はいつも破局だという話を聞いたとき、自分は酷く同情したものだ。

 両親を幼い頃になくしたせいか家族や人付き合いが少し苦手と言っていた。

 君が羨ましいと言われ、そのときは深く考えもせずさらりと受け流したものだ。

 同情は彼のプライドを傷つけるのではと思ったからだ。

 

 夕飯は何にしよう、超人である自分だが、仕事がうまくいかなくて上司からね頭ごなしに怒られても腹は減るものだ、自宅に帰るまで少しだけでも、この空腹感を見たそうとハンバーガーショップに入った。

 

 最近、できたばかりの店で一度は入って見たいと思っていたが、見回すと席は殆ど埋まっていた、トレイを持ち、躊躇していると声をかけられた。

 「ありがとう」

 クラークは礼を言って向かい席の相手を見た、外国人の女性だが。

 おやと思う、見覚えがあったのだ。

 (そうだ、たしか)

 ブルースの執事と一緒にいた女性だと思い相手の顔を見ると、女も自分の視線に何かを感じたようで、あれっという不思議そうな表情をした。

 

 

 窓の外に目を向けると日は暮れかけている。

 クラークは時計を見た、自分が新聞社を出たのは何時だったかを思いだす、そして、相手も気づいたようだ。

 いったい何を話したのだろう、この街のこと、今夜の夕飯のメニュー、自分は新聞社に働いていて、いつも没同然の記事を書いていると話すと彼女は吹き出した。

 普通なら、初対面同然の人間にそんな態度を取られたら、むっとするところだ。

 「今はインターネットの記事で事件や話題を知ることができるけど、文字で伝えることは大事だと思うわ」

 その笑顔に、はっとしたのは女性特有の、ロイスや母親のマーサに共通するものを感じ取ったからかもしれない。

 色々と話ができて楽しかったと言われ、クラークは少し躊躇した。

 女性と長く、こんな風に二人きりで話すのは久しぶりだった。

 しかも、とりとめのないものばかりで、自分ときたら仕事と最近の生活の張り合いのなさ、つまるところ愚痴と弱音、それも自分の事を知らない初対面同然の相手にだ、情けなくないか、おいと思わず自分を叱咤する。

 

 そういえばと、自分の事ばかり話してばかりだったことを店を出て思い出す。

 日本人だということはわかった、旅行者、ここに住んでいるのだろうか。

 いや、この街に来たのは最近のようなことを言っていた。

 ブルースの執事、老紳士とは知り合いなのか、頭の中で疑問が浮かんでは消えていく。

 そのとき、お客さんと店から出てきた店員に声をかけられてクラークは振り返った

 忘れ物ですよといって手渡されたのは手帳だが、自分のものではないことは明かだ。

 (もしかして、彼女の)

 確認の為に最初のページを開くと英語ではない文字が書かれていた。

 

 その夜、クラーク・ケントは電話をかけた。

 ブルース・ウィリスに、だが話したいのは彼ではなく、執事のアルフレッドだった。

 

確かにと老人はにっこりと笑い、持っていた手帳をテーブルの上に置いた。

 クラークは、ほっとして、受け取ろうと手を伸ばしたが、老人はお構いなくとにっこりと笑い、ミスター・クラークと呼びかけた。

 新聞記者というのもお忙しいでしょう、私から彼女に届けますよ、その言葉は至極丁寧な口調で普通の人間が聞いたら何も感じなかっただろう。

 ほんの少し返事に迷ったのは超人故の何かだったかもしれない、優れた感覚を持つスーパーマンといえど、ある事に関しては普通の人間と同じくらい鈍感ということかもしれない。

 

 「いや、僕は」

 おや、何か言いたげに相手が自分を見る。

 その視線にクラークは妙な居心地の悪さを感じた、自分の申し出を快く思っていないのが明らかにわかるからだ。

 そのとき、ドアが開き、館の主である男性、ブルース・ウィリスが入ってきた。

だが、一人ではない、女性が一緒だった。

 老人とクラーク・ケントは驚いたのも無理はない。

 

 アルフレッド、お茶の支度を頼むよと言われて老人はすぐには返事ができず、自分の主と女性の顔を交互に見た。

 どこか遠慮がちな女性の表情に比べてブルースはというと機嫌がいいようで二人は驚いた。

 お茶の用意を頼むよ、アルフレッド、という声まで普段とは違う響きに聞こえる。

 

 ほどなくしてテーブルに並んだ紅茶やティーケーキ、スコーンを見て三人の男達の態度は別に女は明らかに、いいのだろうかと少し恐縮気味だ。

 同時に本当にいいのだろうかと、戸惑っているようにも見える。

 

 「お渡しするのを忘れていました」

 アルフレッドが女の隣に立ち、どうぞといわんばかりに差し出したのは皮の手帳だった。

 「どうして、これを」

 すぐには返事がなかったが、このとき、まじまじと女の視線がクラーク・ケントに向けられた。

 「さあ、遠慮せず」

 女の態度に何かを察したのかブルースが声をかけた。

 

 和やかではないティータイムの始まりだった。

 


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