魔法はお前の魂だ(魔法先生ネギま✖天元突破グレンラガン) 作:アニッキーブラッザー
一週間が過ぎるのはあっという間だった。
その間に死に物狂いの者もいれば、自分のペースで修行する者もいた。
だが、それでも彼女達は確実に力がついていた。
更なる高みへと、気合のこもった少年少女たちが、己の成すべき事をしていた。
「プラクテ・ビギ・ナル 汝が為に(トゥイ・グラーティアー)ユピテル王の(ヨウイス・グラーティア)恩寵あれ(シット)“治癒(クーラ)”」
「見事ですお嬢様、この七日間で更に癒しの術が上達なされましたね」
「そら~、アスナも美空ちゃんもがんばっとるんや!! 将来はどんな怪我も心の傷も直せるお嫁さんになるんや!!」
アスナ、美空はこの場には居ないが、修行前のアスナの意気込みに感化された者達は、やる気を漲らせて着実に力を付けていた。
「ふふ、動機は何でアレ、とても素晴らしいですお嬢様。私もウカウカしていられませんね・・・」
「はっはっはっ、ならば相手をしてもらえないでござるか、刹那?」
「楓? 小太郎君や、古はいいのか?」
まだ気の扱い方や、戦い方の荒い小太郎と古のコーチ役として買って出た楓だったが、腕を鳴らしながら近づいてきた。
「あの二人は優秀でござる。しかし拙者自身の鍛錬もせねば追いつかれるでござるからな~」
「ふっ、いいだろう。私も魂が燻ぶっていたところだ。相手になろう!」
「二人共がんばってな~、怪我してもウチが治したるえ~~」
木乃香は簡易魔法や治癒呪文の修行。刹那は木乃香を気にしつつも、己の剣の鍛錬を絶やさない。幸いこの別荘には実践相手に申し分ない者達が揃っていた。
修行内容や、それぞれの能力が別なため、ネギや生徒たちは一箇所に固まらずにバラバラで修行しているが、どこに行っても気合のこもった瞳をした者達が努力をしていた。
「勝負よ、くーへ!!」
「おう! 勝負はいつでも受けるアルヨ!! 虎形拳!!」
己のアーティファクトの能力をとことん追求するハルナ。そして楓や刹那たちと同じように、気の扱い方を覚えた古も一般人のレベルから大幅に上がっていた。
異質な二人の戦いだった。
気を漲らせるガチンコファイターの古に対してハルナの使った手は・・・
「落書帝国(インペリウム・グラフィケース)・グレンラガン!!! ギガドリルブレイク!!」
「「「「それは反則だーーーーー!?」」」」
己の記憶に焼きついた学園祭に現れた巨大ロボを描き出したハルナ。
その姿に一同声を上げてしまうが、忠実なのは姿だけで、大きさも威力も異なった。
「上等ネ! 虎撲・六合天衝!!」
「ぎゃーー!?」
古の格段にレベルアップした攻撃力の前に、ハルナの召喚した絵は一撃で四散し、その勢いにハルナも吹き飛ばされてしまった。
「あたたたーー、やっぱこれには無理があったかー」
「それなりにパワーがあっても、当てられなければ意味なしアルネ。動きも単純アルし再生20秒に射程範囲まで3メートルというのも痛いネ」
「う~ん、いけると思ったけどまだまだ改良の余地ありか~~~」
吹き飛ばされて、己の弱点を指摘されて苦笑いを浮かべるハルナ。しかしその表情はまったく落ち込んではいない。
「うむ、まだまだということはこれからドンドンレベルアップするとゆうーことアル!!」
「おお~、いいねいいね~、たゆまぬ自己研鑽、ワクワクしてきたー!!」
「その意気アル!! 目指すは・・・・」
「そう、目指すは・・・・」
「「目指すは天元突破!!」」
インドア派とアウトドア派の二人の少女は共に肩を組み、目指す天に向かって指差した。
その光景に呆れながらも、自分達も負けて入られないと思うものたちが、訓練を続けていた。
「プラクテ・ビギ・ナル・・・倒れるです(セー・インウェル・タント)!!」
簡易詠唱を唱えながら杖を振るう夕映。すると床に並べていた文房具が一斉に倒れた。
「スゴイよ、ゆえーーっ!」
「スゴイじゃないですか、夕映さん、いつの間にここまで仕上げたんですか?」
「はい、私のアーティファクトから手に入れられる情報から、効率的な勉強方法を編み出して・・・・」
学校の成績は悪いものの、ここではとっても優等生ぶりを発揮する夕映。
その努力と心意気に負けないように、のどかも、そしてネギも初心を忘れずに自分もがんばらねばと改めて感じた。
「みんなスゴイな~、僕も気合入れないと・・・」
「おっ、だったらネギ、一勝負せんか?」
「いいよ、小太郎君! でも・・・僕は数日前の僕より進化しているよ!」
「はっ、それがどうした! 俺を誰だと思っているんや!」
あちらこちらで始まる戦いや、訓練を惜しまぬ者たち。
そこに、血反吐を吐くような悲惨な光景も無く、実に賑やかで楽しそうな雰囲気ではあるが、それでも皆確実にレベルが上がり、それを楽しみながら、更なる進歩を目指していた。
そんな光景が終わること無く続き、一週間はあっという間だった。
一週間という目安はアスナと美空の雪山滞在が終わる頃を示していた。
その時を見計らい、この別荘内に訪問客が現れた。
「やっほー、元気でやってるー? 新クラブって奴の様子を見に来たよ~~~~♪」
『お邪魔します~~』
手にスーパーの紙袋を大量に抱えて、朝倉が別荘内に声を響き渡らせる。
そしてその背後に幽霊らしき少女が顔を赤らめながら続いてきた。
「おい、逃げねえから離せよ・・・」
そして茶々丸に肩をシッカリと掴まれている千雨がブツブツ言いながら一緒に現れた。
「頼まれたバーベキュー用の肉、買ってきたよん」
「お疲れ様です朝倉さん」
「千雨ちゃんも来たん? やっぱ仲間やな~」
「ちっ、違ッ! このロボに拉致られて!?」
「気合を持て余していたのでお誘いしました」
「強引に連れて来たろうが!?」
朝倉達の登場に、修行に明け暮れていた者たちも一旦手を止めて集まり始めた。
そして朝倉に手渡されたスーパーの袋を手に取り、それぞれ準備に取り掛かる。
「いや~、それにしても話には聞いてたけどこりゃあスゴイな~、ここでバーベキューしたら気持ちよさそうだね~~」
『スゴイ広くてキレイですゥ~~』
初めて見るエヴァの別荘に感激する朝倉と幽霊のさよ。
そして二人がぐるっと景色を眺めている間に、着々と他の者達がパーティーの準備を進めていた。
「でもさ~。これって何のパーティー?」
「アスナさんと美空さんの七日間修行完遂パーティーです、そろそろ戻る頃なんですが・・・」
ネギはそう言ってゲートの入り口に視線を送る。
そして準備を終えた生徒たちは紙コップを手に持ち、乾杯の合図を待つ。
「アスナたち、大丈夫なんかな~」
「大丈夫です。アスナさんも美空さんもスゴイ人です」
不安そうにアスナたちの帰りを皆が待つ。だがネギだけはパートナーのことを信じ、速く帰ってくることを願った。
そしてその状態のまま、皆が口を閉ざして数分後、ゲートがようやく光、その光の中から人が現れた。
現れたのは三人の女だった。皆がその三人を凝視する。
一人は少し顔を俯かせたボロボロの服を着たツインテールの少女。そしてシスター服を身に纏った少女。そしてその隣に幼い姿をしたゴスロリ姿に身を包んだ金髪の少女が現れた。
「アスナさん! 美空さん! マスター!」
現れた三人にネギが声を上げる。
すると俯いていたツインテールの少女とシスター服の少女が顔を上げて満面の笑みを浮かべた。
「耐え抜いてやったわよ!! 文句ある!?」
「いや~~、楽しかったーー!!」
たった七日で人はそこまで変わらないだろう。事実アスナと美空の明るさはいつも通りだった。しかしこの時の二人からは妙な頼もしさを感じさせるものだった。
感極まった者達は駆け足でアスナの元へ走った。
「「「「アスナ、美空ちゃん、お帰りーーー!!」」」」
「お疲れ様です、アスナさん! 美空さん!」
「やるやないか、姉ちゃん達!」
「どんな修行か知らないけど、お疲れさん!」
一斉に皆が二人を出迎え、もみくちゃにする。
アスナと美空はそれに苦笑いしつつも、ようやく帰ってきたことを実感し、うれしくなった。
「ふん、たかがこの程度で調子に乗るなよな? これはまだまだ遊び程度だ。これしきで困難などと言えば、先が思いやられるな?」
「その割には機嫌がよろしいですね、マスター・・・」
「むっ、・・・・だが・・・二人に退屈はしなかったな」
特に労いの言葉を二人に送ったりはしないが、エヴァとしては十分満足しているようだった。
そしてもみくちゃにされた二人も解放され、紙コップを手渡される。
ようやく主役が揃ったことにより、皆で一斉に声を上げてコップを鳴らす。
「「「「「カンパーイ!!」」」」」
まだまだ先は長いが、とりあえずこの場は一息ついて、皆が肩の力を抜いて笑顔を見せた。
そして次の瞬間二人の少女が肉に群がった。
「肉~~~~!! うめ~~、超うめ~~!」
「ああ~~、最高!! 冷凍魚もおいしかったけど、やっぱお肉は焼かないと~~」
そこには少し汚れた服で涙を流しながら焼いた肉を腹に入れていく美空とアスナがいた。
皆本当は肉に手を出したかったが、二人の勢いと涙に少し遠慮をしながら、箸を突付いていた。
「二人共そんな慌てなくても肉一杯あるよ?」
「甘いわよ、ハルナ! 蓄えられる内に幸せを噛み締めておかないと、人間どうなるかは分からないのよ!」
「そうそう、食事は人の心を豊かにし、エネルギーと明日への活力を生み出してくれる。 ここに速さは必要ない。 味を堪能するために歯で噛み砕いて食べ物を胃へと流し込むそして・・・「いいよ、そのネタ知ってる奴いないから・・・」・・・しかし、千雨ちゃんは分ったか・・・それは神秘だ~~」
バクバクと肉を頬張る二人。そんな二人を見て朝倉は冗談半分で二人をからかった。
「しっかしま~、そこまで大変な思いまでして修行するなんて、二人共惚れた男のためにがんばるね~~~」
ニヤニヤと顔をさせながら、朝倉が食事の最中に爆弾を投下した。
「「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」」」
この何気ない爆弾に生徒達は箸を一斉に止めた。
その沈黙を破ったのはネギだった。
「ええ~~!? アスナさんが強くなるのはタカミチのためなんですか!? それに美空さんも好きな人いるいるんですか~~!?」
「「「「ブッ!?」」」」
あまりにもずれた発言をするネギに、のどかや夕映は飲んでいるものを噴出した。
すると唯一その発言に興味を示さなかった美空は何事も無いかのように箸を動かしながら、口を開く。
「えっ、う~~~ん、まあ・・・私は兄貴かな? 兄貴は好きっちゃ好きだけど・・・(家族としてだけど・・・つうか修行は自分のためだけど・・・)」
特定の異性に恋をしていない美空は、肉を頬張りながら、大して考えることもせず適当に答えた。
すると次の瞬間、未来の大剣豪と未来の東洋最高の魔術師候補と、現時点最強の魔法使いクラスの覇気が迫り、美空の肩を掴んだ。
「ひいっ!?」
「「「家族として・・・ですね(やろ)(だろ)?」」」
「もも、モチロンです・・・(速い!? 恋する乙女の前では私がスロウリィ!?)」
三人の高速の動きに反応できずに、肩を掴まれて壁に押し当てられる美空は、カタカタと震えながら何度も頷いた。
そしてもう一方で、ネギの質問に対して肩が震えるアスナ。その様子が気になってネギが顔を覗き込む。
「あの・・・アスナさん?」
「・・・・何かしら? ヨーコさんが好きな色男さん?」
「へっ?」
するとアスナは血管を浮かべながら、怒りを込めた笑顔で拳を握り締め、ネギを殴り飛ばす。
「アホなこと聞くなーーー!? なんでそこで高畑先生なのよーーー!?」
「ええ~~!? 僕はアスナさんも木乃香さんたちのようにあきらめないのかと!?」
「このバカーー!? 天の向こうまでふっとべーーー!!」
「へぶう~!?」
パワーアップしたアスナのパンチに、高らかとネギは殴り飛ばされた。そしてアスナは出した拳を突き上げながら、人には聞こえないような大きさでブツブツ文句を言った。
「ったく・・・別に好きとか嫌いじゃなくて・・・なんで分かんないのよ・・・私はアンタのため・・・ううん・・・そうじゃなかった・・・それは止めたんだ・・・その・・・・」
「いつつ・・・あの・・・アスナさん?」
「・・・そう、自分のためよ!」
「へっ?」
「だから~、ホレたハレたじゃなくて、自分のためよ! 分かった!?」
顔を赤くしながらネギに文句を言うアスナ。しかしネギ以外の者達は、なんとなくアスナの素直で無い気持ちを感じ取っていた。
「あの~・・・やっぱりアスナさんは・・・」
「そうじゃない? ぷぷぷ、美空ちゃんは別にしても、女が考えなしに雪山修行なんてやらないでしょ? ラブよ、ラブ♡」
「そこーーーッ!! ラブじゃないって言ってるでしょうがーーーッ!」
呂律が回らず、不安そうなのどかに追い討ちをかける様に朝倉は告げる。
そして調子に乗った朝倉は更に爆弾を投下していく。
「つうかアンタ達も、そうでしょ? ラブラブな人がいるからこんなとこで、引きこもって時代錯誤に修行とか、がんばってるんでしょお?」
「「「「「「なにっ!?」」」」」」
「ええ~~、そうなんですか~!?」
「なんや、姉ちゃんたち、動機が不純やな~~」
「アンタたちは黙ってなさい!!」
「「ぶほお~~!?」」
今度は小太郎と共に再びアスナに鉄拳制裁されたネギ。
そして二人が高らかに舞っている頃、朝倉の言葉に心当たりのあるものは考えていた。
「なな、何を言っているですか朝倉さん。私は自分の探究心のために・・・」
「私は自分のために修行アル」
「ウチは・・・それもあるけど、やっぱ自分のためでもあるな~~、」
「わ、私は剣の道も極めると誓ったので・・・」
中々明確な答えを出さない一同。すると朝倉の落とした爆弾を不発にさせないように、コイツが動き出した。
「フッフッフッ、お嬢さん方、そういう事なら、ここらで俺っちの作った物で、状況整理と行こうか?」
「ちょっ、エロガモ、・・・何する気よ?」
「ここは宴の席だ、ここらでハッキリさせとこうか?」
不気味な笑みを浮かべるかカモが、あるものを取り出した。それは何やら巻物のような物で、それをカモは一気に広げた。
「とくとみ見やがれ!! これが今現在の別荘内における兄貴への好意度ランキングよ!」
「ギャアアアアアアアアアアッ!?」
巻物がカモの声と共に開かれそうになった瞬間、奇声を上げた夕映がダイビングキャッチしてカモから巻物を奪い取った。
「何々、どういうこと?」
「言ってなかったが、オコジョ妖精には人の好意を計る嬉し恥ずかし超能力があるのさ」
「「「「何いィ!?」」」」
カモの能力に、別荘内がどよめき出す。すると興味津々の者。そして異常に慌て出すもので反応が二つに別れた。
「ちなみに予備がまだまだあるから安心しな」
そう言ってカモは、どこに持っていたのか分からないほど、大量の巻物をテーブルの上に出した。
すると慌て出したものが高速の動きで巻物へ飛び込んだ。
「やめてくださいですうぅぅッ!?」
「だだ、ダメええ!?」
「やめんかこのアホーー!」
夕映やのどか、そしてアスナを中心に、ランキングを公開されたくない者達は自分の数値を恐れて、カモに襲い掛かり、巻物を勢いよく奪い取る。
「あ~ん、そんな慌てんでも~」
「そうそう、別にネギ君への好意度ぐらい別にいいじゃん。そんなよっぽど数値が高い人以外・・・ね~~~?」
ニヤニヤと笑いながら分かっていてあえてアスナたちをからかう朝倉。その言葉にアスナたちは視線を逸らしながら、奪い取った巻物を腕の中で握り締めた。
すると慌てて奪い取ったものだから、全てを回収しきれずに、巻物が床に一つ転がっているのを発見した。
そしてそれはそのまま転がり、エヴァの足元にぶつかって止まった。
「あっ、エヴァちゃんパーーース!」
「いやあああああ!!」
「エヴァちゃん、渡しちゃダメぇ!」
するとエヴァは軽くため息をつきながら巻物を拾い上げる。
「ふん、つまらん。好意度なんぞの順位で慌てるとは・・・・」
「見ちゃダメぇ!!」
「この程度のことで真っ赤になるとは、やはりまだまだキサマらは子供・・・・・・んっ?」
アスナたちに呆れながらも、拾った巻物を開けようとした瞬間、エヴァの顔つきが変わり、ピタッと手が止まった。
「・・・エヴァちゃん?」
急に顔つきが変わったエヴァに首を傾げつつ、皆がエヴァの手に持っているものを覗き込む。
するとその巻物には、ネギではない人物の名が書き込まれていた。
「何々? シモンの旦那、好意度ランキング? ・・・・へっ?」
「なっ・・・」
「「「なんですとォォーーー!?」」」
それはネギでなくシモンの物だった。どうやらカモがシモンの物も紛れて入れてしまった様だ。
「ほ・・・ほ~う」
「へ~、そりゃあ、面白そうだね~~」
キュピーンと怪しい目を光らせるのはハルナと朝倉。
すると何故かいつもはノリノリのはずのカモは急に慌て出した。
「しし、しまったーーーー!? ダダダ、ダメだ! ソイツは見ちゃいけねえ!」
「ど、どうしたのよアホガモ?」
「エヴァンジェリンさんよお、ソイツは見ちゃいけねえ、ソイツは封印しておかなくちゃならねえ! ソイツは・・・ぐふっ!?」
ネギの時とは違って異様に慌て出すカモ。そしてカモは慌ててエヴァから巻物を取り返そうとするが、その前にエヴァに掴み取られた。
「前言撤回だ。おもしろいことを出来るではないか!」
その瞬間膨大な魔力の嵐が別荘内を包み込んだ。そしてその背後から・・・
「は・・・は~~、シモンさんのか~~」
「なな、・・・そ・・・それは・・・・」
当然木乃香と刹那が身を乗り出した。二人は互いの顔とカモの持っている巻物を交互に見る。
そして一息遅れで他の者達も興味を示し興奮し始めた。
「うっひょ~、何々? そんなウエポンさんまであるの~~? それじゃあ100歩譲ってネギ君のはあきらめるとしても、こっちは見るしかない!!」
「そだね~、どうせ木乃香と刹那さんがランキング上位に居るのは分かってるんだし、現時点でトップは誰か知るのもいいんじゃない?」
「ハルナも朝倉さんも待つです。やはり人の気持ちを勝手に順位にして見るなど・・・」
「じゃあ、やっぱネギ君のほうを見る?」
「・・・・・・・・・・いえ、シモンさんの方で・・・」
興奮するハルナと朝倉は、顔をニヤけさせながら、巻物の開示を求める。そして急に他の標的が現れたことに、夕映たちもシモンの方を生贄に捧げて逃れようとした。
ネギへの好意度ランキング上位のものは、シモンとは関係ないと思い、夕映たちはシモンの方の開示を強く咎めることが出来なかった。それだけでなく、シモンへの好意度ランキング上位候補者も興味心身なのが、決め手となった。
しかし何故か意外なことに、カモだけは必死に止めようとする。
「待ってくれ! その~、申し訳ねえが、俺っちの魔法はエヴァジェリンさんには効かなくてよ~、・・・入ってないぜ?」
「・・・むっ、それはつまらんな・・・」
「だろ? だから・・・「しかし!」」
「ここでトップがどちらか知るのも悪くは無い」
異様に止めたがるカモだが、聞く耳持たずに、エヴァは木乃香と刹那の両方を見る。
「どちらが一番の邪魔者かを知るのもいいだろう、だから読むがいい!」
そう言ってエヴァはカモに巻物を渡した。
「む~~~~~っ」
「うっ、やはり・・・私も入っているのでしょうか・・・」
「慌てるって事は、刹那さんは上位に入るって自分でも思ってるんだ~~」
「うっ、それは・・・その・・・」
ニヤリと笑みを浮かべながら睨むエヴァに対して木乃香は負けずに睨み返し、刹那は顔を赤くしながらうろたえる。
すると木乃香はギュッと刹那の手を握り締める。
「自信を持つんやせっちゃん! ウチらの野望のためにはここで退くわけにはいかん! ウチらのワンツーフィニッシュや!」
「お、お嬢様・・・・・・分かりました・・・」
気になるようで見るのが恥ずかしい気に襲われていた刹那だが、親友の揺らぎ無い瞳と言葉にようやく頷いた。
「よっし、一位と二位は分かってるようなもんだし~、本人達がいいって言ってんだし。カモくん読んじゃえ、読んじゃえ!」
「いや・・・だがよ~・・・」
「ってゆうか、何でアホガモ、ネギの時と違って見せたがらないの? 何かまずいことでもあんの?」
「いや・・・そうでも・・・いや・・・そうなんだが・・・、だ~~もういい! その代わり俺っちには怒らないでくれよな!」
「「「「「?」」」」」
カモの態度に首をかしげながらも、拒み続けたカモはようやく観念して、手渡された巻物を開いていく。