遊☆戯☆王THE HANGS   作:CODE:K

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●前回のあらすじ

 私の名前は鳥乃 沙樹(とりの さき)。陽光学園高等部二年の女子高生。
 そして、レズである。

 今回の依頼人はエキゾチックな褐色お姉さんのイリス・ダ・ソンブラ。
 しかし、彼女はあの憎き牡蠣根 水一の娘。そんな彼女の依頼は、親の罪、そして母の代で積み上げてきた会社の罪を公表し、償いと被害者への支援を兼ね会社を慈善事業として再スタートすること。その為の情報収集と護衛を行ってくれというもの。

 どうやら彼女は本気の御様子。私たちはイリスが善人であると確信し依頼を受諾。
 任務の最中、私は妙子の遺体から作られたプライドの作品、ガルムと色々ありつつ、私たちはNLTの霞谷さんという協力者を得て、ついに記者会見の日を迎えるのだった。


MISSION23-2年越しの遺言(残光 Part2)

 記者会見当日。

 会見は市内の某ホテルでホールを一室借りて行うことになり、現在、私、木更ちゃん、イリス、高村司令の4名は控え室に借りた客室で最終調整を行っていた。

 なお、本番の2時間前である。

「失礼致します」

 と、戸を開けて入ってきたのは、NLT霞谷さんと、特捜課の永上さん。

「ちっす」

 高村司令が横目で対応する中、木更ちゃんはひとり彼らの前に立って、頭を下げた。

「ありがとうございます。当日の警備にまで人員を割いてくださって」

「お気になさらず。元々こういうのも我々の仕事ですから」

 やんわり微笑み、霞谷さんはいう。

「しかし、驚いたな」

 永上さんが、まるで「おおっ、本物だ」と言いたげにイリスを眺めながら、

「まさかハングドが彼女のような超大物から依頼を請けていたとは」

 どうやら、深海ちゃんの件で突入したときは彼女が目に入ってなかったらしい。もしくはイリスと分からなかったか。

「ま、まあね」

 加えて、例の改ざんの真実を知ったら永上さんはどう反応するのだろうか。そう思うと、こちらは下手な反応できず苦笑いするしかない。

 永上さんは続けて、

「とりあえず、先に会場を覗いたが準備は万全だったぞ」

「そ」

 高村司令は軽く返事し、

「なら、後は本番を成功させるだけね。ホテルの内外に不審な人物は?」

「その件ですけど」

 霞谷さんがいった。

「すでに、こちらで黒山羊の実、フィール・ハンターズ双方の構成員を何人か発見し捕えております。それでも、本番直前もしくは本番中に何かアクションを起こされる可能性は高いかと」

「やっぱりきたわね」

 私は机に座り、手鏡でイリスか木更ちゃんの下着を覗けないかしつこくチャレンジしながら、

「捕まえた人たちだけど、こちらで尋問って許可取れる? 特に高校生以上の女性とか」

「申し訳ありません。そちらの役割はすでにハイウィンドの方々に任せてしまいまして」

 と、断る霞谷さん。畜生!

 そこへ木更ちゃんが訊ねる。

「ハイウィンドとなると、アンさんですか?」

「それとフィーアさんですね」

 と、霞谷さん。なるほど。アンちゃんは言わずもがな危険人物だし、フィーアは私たちみたいな独学じゃなくて、ちゃんと本家本元のプロから仕込まれた技術があるのだろう。さすがに、ふたりを相手に尋問の役目を勝ち取るのは難しい。

「とはいえ、現在捕えた構成員たちから有力な情報を得ることは難しいでしょう。恐らく、彼らは囮を兼ねた偵察部隊。私たちに簡単に掴まる程度の方が作戦の全貌を知ってるとは」

「寧ろ、わざと掴まって手間取らせるのが目的って可能性もあるわね」

 私が返すと、霞谷さんも同意見なのか「ええ」となり、

「我々は引き続きホテル内の警戒に入りますので、何かありましたら連絡をお願いします」

「分かりました」

 木更ちゃんに見送られる形で、ふたりは部屋を後にする。

「ごめんなさい。ここまで大事にさせてしまって」

 イリスが不安と疲労を顔に出し、いった。私は努めて微笑み、

「気にしないで、それぞれ仕事で関わり合ってるだけだから。それに、大きければ大きいほどイリスさんには嬉しい流れって話でしょ?」

「それは……」

 イリスは否定できないようだった。彼女がやろうとしてる公表は、大々的にできればできるほど効果があるはずだから。

「私としては、むしろあなたの体が保つか心配って所ね」

 恐らく、彼女は母親を失った瞬間からひと時も気を休める事無く今日を迎えたに違いない。私の目には、いつ倒れてもおかしくないように映っていた。

 勿論、それはイリス自身が一番よく分かってることだろう。

「大丈夫です。必ず、役目は果たします」

 イリスはいった。が、すでに自分の限界を否定するだけの余裕さえ無いのが分かる。仮に気晴らしとか理由をつけてセクハラに及ぼうものなら過剰反応のあまり銃で眉間を撃たれそうだ。

「先輩、イリスさん。一度本番前のリハーサルを行いませんか?」

 木更ちゃんがいった。ちなみに、このリハーサルはすでに昨日から通算2桁は行っている。

「そうね。イリスさん行ける?」

 しかし、私たちは恐らく回数が3桁に突入しようとも、このリハーサルを続けることだろう。すでに、イリスは休ませることのほうが危険な精神状態に入っている。こうやってイリスを動かし続けることしか、彼女の体を保ち続ける手段が浮かばないのだ。

「ええ、お願いします」

 イリスはカフェイン剤を飲んだ。

 

 事態が動いたのは、本番の15分前だった。

「イリスさん、伏せて!」

 あれから更に回数を重ねたリハーサルの最中、私は咄嗟にイリスに覆いかぶさり、その場に倒れ込む。直後、1発の弾丸が窓ガラスを割り床に突き刺さったのだ。

「皆、無事?」

 私が訊ねると、

「はい。ありがとうございます」

 と、イリス。

 続けて、木更ちゃんが望遠鏡片手にそっと外を確認し、

「ビルの屋上に緒方さんを確認しました。さらに10名を超える黒コートとフィール・ハンターズがハンググライダーで空から接近中」

「もしかして、フィール・ハンターズと黒山羊プライド派が手を組んだ?」

 可能性としてはありえると思ってたけど、しかしまさか空から襲撃とか目立つことしてくるなんて。

「藤稔、ちょっとどいてくれる?」

 高村司令が壊れた窓の前に立っていうと、両の掌から白く光るフィールの圧縮を溜め込み、

「波〇拳!」

 マ〇カプ版だろうか、その名を呼ぶにはあまりに巨大なビーム砲撃を飛ばし、ハンググライダーを数体ほど撃ち落とす。さらに、窓から外へジャンプするとフィールで武空術か何かを再現したのか生身で空を飛び、デュエルを仕掛ける赤外線を避けながら拳と蹴りでどんどん敵を倒していく。

 しかし、私たちの見える方角以外からも空の襲撃はあったのだろう。ホテル内のあちらこちらから窓ガラスを割る音が聞こえた。

 そして当然、私たちのいる部屋の扉も蹴破られ、数名の男が入ってくる。

 しかし、

「た、助けてくれ!」

 何故か男たちは私たち向かってそう叫び、直後、背後から攻撃を受け男たちはカチンコチンの氷漬けに。

 そんな男たちの間を割って入ってきたのはひとりの女児。

「プリベェット! やあ、ヴェーラだよ。みんな無事かい?」

 まさかのヴェーラだった。

「あなたは……」

 と、驚くイリスに、ヴェーラは。

「ハラショー。別に君を助けにきたわけじゃないんだ。ただ、君がついに行動を起こすらしいからね、情報を仕入れに来たら予想通りこの様だよ」

 言いながら、ヴェーラは親指でクイッと部屋の外を指し、

「それより、ここは危険だから移動するのをお勧めするよ。ハラショーな事に、君が会見を開こうとしていたホールが現在NLTや警察の誘導で緊急避難場所になっているんだ。いまは下手に動いたり、ここに留まるより余程安全だよ」

「分かったわ。木更ちゃん、移動中索敵をお願い。イリスさん立てる?」

 私はイリスに手を差し出す。

「はい、大丈夫で……ぁっ」

 イリスは手を受け立ち上がるも、直後くらっと立ち眩み。私はすぐさま肩を貸して支えてあげ、

「悪いわね。もうちょっと踏ん張って」

 と、声をかけながら、片腕はイリスのお尻に。

「先輩、いまなら扉を出て左に進むのが安全です」

 木更ちゃんがいった。イリスへのセクハラはスルーする模様らしい。本人も気づいてない様子だしね。

 そんなわけで、私たちは部屋を出てお尻さわさわしながらホールへと向かう。途中、氷漬けになった黒山羊の実やフィール・ハンターズの姿を何人も見かけ、ヴェーラがリアルファイトとしても非凡な強さを持っていたことを再認識する。

 実際、移動中も何度か敵構成員とエンカウントしてしまったものの、

「ここは私に任せて貰えないか?」

 と、ヴェーラは前に出ると、フィールによる冷気を纏って鳥が羽ばたくような不思議な舞を踊り、

「はあああっ! ホー〇ドニースメルチ!」

 どこかの白鳥座の聖闘士が使いそうな技をフィールで完全再現。腕の一振りから冷気の竜巻を放ち、相手を壁に叩きつけながら瞬時に氷漬けにし、

イズヴィニーチェ(悪いね)。命は奪わないから安心して欲しい。さて、行こうか」

 なんて涼しい顔して私たちに言うのだった。

 というか、フィールで漫画やゲームの技をパロディするのが最近の流行りなのかな? 高村母娘もそういう事やってたし。

 加えて、NLTの構成員たちも何度か「ここは俺に任せて先へ行け」してくれたのもあって、私たちは無事ホールへと到着。

 中に入ると、沢山の警察や警備員、NLTの方々が警備に入る中、現在進行形でひとりまたひとりと宿泊客が避難する様子が見られた。部屋には無数の《安全地帯》や《フィールドバリア》がNLTの手によって発動され、この一帯が巨大なバリアに覆われた一種の異空間になってるのが分かる。

「皆、無事か?」

 永上さんが駆け寄ってきた。私は「まあ何とか」と答えつつ。

「さすがNLTね。襲撃は止められなかったけど、その中で万全の対策を行ってるわ」

 加えて、私がネオスズカカップでやって貰ったように、NLTには記憶処理、つまり“記憶を消してなかった事にする”技術がある。実際、いまも警察に扮したNLTが宿泊客の瞳孔に光を当てる姿が見られた。宿泊客は眠るように倒れる。そして次に目を覚ましたとき、この恐怖の体験は全て忘れている事だろう。

 これだけ世間ではフィール事件があふれてるのに、表舞台では未だフィール・カードが都市伝説として扱われてるのには、世間を混乱に陥れる事件をもみ消す組織が幾つも存在してるからに他ならない。もちろん、これはフィール問題のみならず、未確認動物(UMA)や妖怪、魔術に宇宙人といったものも記憶処理によって表舞台から隠蔽されてる可能性も十分ある。

「鳥乃さん、藤稔さん。待ってました」

 霞谷さんがやってきた。私たちが振り返ると、

「実は、あなたがたに会いたいという方がおりまして。襲撃直前に捉えた黒山羊の実の捕虜なのですけども」

「黒山羊の実の? 分かったわ。会わせてくれる?」

 私がいうと、

「分かりました。彼女を連れてきてください」

 と、霞谷さんは別のエージェントに指示する。こうして呼び出されたのは一本の三つ編みに眼鏡姿の見た目文系の女の子。

「フェンリルさん」

 木更ちゃんが反応する中、霞谷さんは、

「知り合いだったのですか。実は彼女、わざと私たちに捕ったと供述しておりまして、おふたりに伝えたいことがあると」

 フェンリルは私たちに気づくと、小走りで駆け寄り、ほっと一安心した顔で、

「良かった。ギリギリだったけど何とかふたりに接触できたよ。ありがとう、無理を呑んでくれて」

 と、霞谷さんに一言謝礼を述べてから、私に向かっていった。

()は確かに受け取ったよ。たぶんプライドにも見つかってない」

「紙ですか?」

 訊ねる木更ちゃんに私は、

「ん。昨日作品組にちょっとね」

 とは、昨日ガルムに渡したコンビニ袋にこっそり入れた紙のことである。実はあの時、真にガルムと接触する用事が別にあって、それがガルム・フェンリル・ミストランの3人にメッセージを送るという任務だったのだ。

 紙には、こう書き記していた。

『ハングド及び研究施設は、君たちの生命維持を受け入れる準備がある』

 つまりは作品組3人に宛てたヘッドハンティングである。

「鳥乃さん、その上でひとつ頼んじゃってもいいかな?」

 と、フェンリル。

「何?」

 私が訊ね返すと、

「もうすぐこのフロアに向かって襲撃の主力部隊がやってくるはずだ。その中にはガルムもいる。君には彼女と合流して一緒に主力部隊をやっつけて欲しい」

「それって」

「うん」

 フェンリルはうなずき、

「ボクとガルムは、君の誘いに乗ることにしたよ」

「すみません、どういうことですか?」

 訊ねる木更ちゃんに、フェンリルは続けて、

「ボクとガルムはふたりの味方についたんだ」

「って話」

 言いながら私は懐から拳銃を取り出し、ここに来るまでに消費した弾丸を詰め直す。

「その様子だと、早速向かわれるのですね?」

 訊ねる霞谷さんに私は、

「ん。その間、木更ちゃんと一緒にイリスさんをお願いしちゃってもいい?」

「勿論です。任されました」

 私はみんなを残し正面出入口に向かって歩き始める。そこへイリスが駆け寄ってきて、

「鳥乃さん」

 と、私に自分のデッキを差し出してきた。

「フィール・カード目当てだけでも持って行ってください。いまの私では、フィールがあっても自己防衛さえできそうにありませんから」

「分かったわ」

 私はデッキを受け取り、改めてホールの外に出た。

 すると、

「事情は通信機で聞かせて貰ったよ」

 と、そこには王子様ポーズで壁にもたれかかるアインス・ハイの姿が。さらに、

「さっさと片付けてしまいましょ」

 私の悪友にしてハイウィンド司令の神簇 琥珀までもが待ち構え、私を待っていたのだ。

 一回、私は予想外の増援に驚くも、ふっと笑い、

「できればフィーアとアンちゃん辺りが良かったわね」

「生憎フィーアは別作戦中だよ」

 アインスが笑い、

「それに、アンは直接戦闘は苦手分野よ」

 と、呆れる神簇。

「だからって、戦闘中にナンパしそうなアインスと、土壇場で致命的なミスしそうな神簇が一緒だとね」

「我慢しなさい、全く」

 神簇は私の耳を引っ張りながら、

「そのフィーアとアンからの報告よ。黒山羊の実のグラトニー派が私たちに増援を送ったって」

「グラトニー派が?」

 確かに、アンちゃんはグラトニー派は味方だって言ってたけど。

 続けてアインスが、

「加えて、シュウからの報告でボブとバイブルを名乗る双子の牧師が助太刀をしてくれたらしい」

「え、ゲイ牧師がきてるの?」

 私は感嘆しながら、

「どうやら、本当にグラトニー派は味方みたいね」

 正直、私個人はあまりグラトニーを信用してなかった分、まさかここまで協力してくれるなんて思ってなかったのだ。

 で、最後に神簇が私の耳を放し、いった。

「私たちが主力部隊を落とすことができれば、この闘いはこちらの勝利でほぼ確定するわ。アインス・ハイ、鳥乃 沙樹、行きましょう」

 

 間もなくして、非常口で主力部隊との交戦が始まったと伝えられた私たちは、急いで戦場に向かう。

 途中、同じく非常口に向かっていたNLT構成員と何名か合流し、十数人体制で非常口に続く廊下を走っていた所、

「避けてっ!」

 奥からガルムの声、そして銃弾の音が響き渡り、

「うわああああああああああああっ!!」

 直後、ガルムが悲鳴をあげる。

「鳥乃!」

 異常事態に、アインスが私に視線を向ける。

「ガルムの声よ」

 私がいうと、アインスは私たちを庇うように先頭に入り、程なくして声のした場所へとたどり着く。

 そこで見えたのは、

 NLTの構成員を相手に、ガルムが泣きながら殺戮の限りを尽くす様だった。

 床には、すでにNLTの死体が数名分。さらに、今まさに私たちの目の前でガルムはグラトニー派と思われる黒コートの腹に拳を突き入れ、贓物を引き抜き、ぐしゃっと握りつぶす。

「サキ!」

 ガルムは私に気づくと、泣きすがる声でいった。その間にも彼女の足は倒れたNLTの頭を踏み抜き、頭蓋骨を割って脳みそを破裂させながら、

「助けて! カラダがいう事を聞かないの! こんなの望んでないのに、こんな惨いことしたくないのに!」

 と、言ってる間にも内臓銃を発砲。()()のフィールを纏った銃弾は、私の横をかすめ、

「ぐわっ」

 後ろに立っていたNLT構成員に命中。フィールの防壁は張ってただろうけど、その防壁ごと構成員の心臓を貫通。刹那、ガルムは肉薄し、たった一撃の拳で構成員の顔を破裂に至らせた。

「ガル――」

 僅かな間の思考停止。私の声がガルムを呼ぶ間に、彼女の別の拳が私の腹目掛けて振りかぶる。

「止まって、止まってよおおお!」

 嘆きと裏腹に私に一撃が入る寸前、神簇が間に入り、ガルムに向けてライトセーバーで一突き。

 ガルムは咄嗟に避け、アインスが追い打ちにショットガンを発砲するも、ガルムはフィールの防壁を張りながら後ろに跳んで避けた。

「あれは、間違いなく闇のフィールだね」

 アインスが、二丁のショットガンを構えながらいった。

「闇のフィールって、あの」

 訊ねる神簇に、アインスは「ええ」と続けて、

「先日、シルフィを蝕んだあの力です。どうやら、彼女の場合は意識だけ無事のようですけど」

 しかし、その技術はフィール・ハンターズのもののはず。今回共闘した際に、こっそりフィール・ハンターズはガルムに手を加えたのか。それとも、もしやそれ以前から。

 が、これ以上考える暇は与えてくれず、ガルム以外の敵構成員が機関銃でフィール込みの弾幕を撒く。見ると、彼らの銃弾にも闇のフィールを纏っており、加えて目が正気ではない。

「くっ」

 私たちはフィールの防壁を張って防ぐ。しかし銃弾の威力は思ったよりずっと重く、防壁に込めたフィールが足りなかったNLT構成員が何人か蜂の巣になって倒れた。が、やはり想定より火力があれど弾幕は牽制。後ろには、

「駄目! 避けて!」

 嘆きながらも跳びかかるガルムが控えていて。

「鳥乃、神簇さん。少し離れて貰って構わないかな?」

 と、ここでアインスがいった。私と神簇はうなずき、生き残った他のNLTと共に後ろに下がると、アインスは舞うようなステップでガルムの突き出した腕を避け、カウンターで彼女に向け至近距離からのショットガン二丁同時掃射。

「――っ!」

 直後、ガルムの顔が苦痛に歪んだ。アインスの銃撃が命中したのである。

 ショットガンとは、漢字で散弾銃と書くように多数の小さな弾丸を散開発射する銃だ。それをアインスはフィールを用いて広範囲に拡散させるように発射していた。それも二丁とも。結果、動物みたいな動きをするガルムでさえ避けきれず、フィールの防壁がなければ全身が蜂の巣になるような銃弾の雨を浴びてしまったのだ。

 しかし、ショットガンをこんな使い方をしてしまうと、当然近くの味方にも少なくない被害が及ぶ。だからアインスは離れろといったのだ。とはいえ、僅かな時間で距離をとった程度。さすがに散弾の雨はこちらにも飛び火したものの、そこはアインス。至近距離を過ぎると威力が落ちる仕様のようでNLT含め全員フィールの防壁で防ぐことができた。

 即座にアインスは回り込み、正面から先ほどの射撃をガルムに再度放ち、後ろに飛び退かせる。

 アインスはいった。

「さて、君たちの相手は私が請け負おう。その間に鳥乃たちはガルムに強制デュエルを仕掛けるタイミングを探って欲しい」

 なるほど。確かにガルムを相手に赤外線をぶつけることは困難。だからといって放射線タイプを使おうなら他の敵を、最悪味方を巻き込んでしまう危険性がある。

「わかったわ」

 神簇がうなずき、私と並んでデュエルディスクを構える。他のNLTたちも同様に。

「テメエひとりで全員相手にするだァ? ヒヒヒッ、ナメるな!」

 アインスの言葉に敵構成員が数名反応し、ヤクでもキメたようなニタニタ笑いでアインスに向かってくる。

「ふっ」

 が、アインスは小さく笑うと、軽やかなステップでダンスを踊るように敵を避け、同時に先ほど同様のショットガンによる拡散射撃で纏めて撃ち抜く。

「Shall We Dance? でしたら、あなたがたを素敵なダンスにご招待致しましょう」

 アインスによる無双が始まった。

 現在、戦場となってる廊下は人が数名通り抜ける程度の横幅しかない縦長の空間になっている。そしてアインスは近距離限定とはいえ、先ほど敵が数人態勢で行った弾幕を遥かに超える銃弾を雨をたったひとりで振らせてしまう。それこそ、真正面に撃つだけで後ろにしか逃げ場のない散弾の壁を作ってしまう程に。

 しかも、なら防壁を張って肉薄すればと思うだろうが、アインスのショットガンは先端に刃物をつけたパヨネット仕様。彼女の軽やかなステップもあって簡単な白兵戦ならこなせてしまい、最悪ショットガンの零距離射撃なんてものを披露してくる。実際、ガルムでさえ接近はできてもアインスを突破することができず先ほどのように前後の反復運動を繰り返させられる。

 アインスは1対複数の近接銃撃戦を最も得意としていた。

 特に、四方から襲い掛かる有象無象を相手に、まるで踊るようにオールレンジ射撃をまき散らす様は、いつしか業界で「バレット・ワルツ」と名付けられる程。そんな形容に負けないほど、今日も彼女は優雅で美しくキザったらしく、倒れる敵も舞台演出に映すように殲滅する。伊達ではないのだ。女性にして、そして裏業界をして呼ばれる“王子(プリンス)”の名は。

「凄い……」

 初めて見たのだろう。神簇は、自分の部下の魅せる戦闘を前に息を呑んで佇んでいた。

「どう? 自分がとんでもない逸材を部下にしたと知った気分は」

「百聞は一見に如かずね。まさかここまでなんて」

 私は「でしょ」とうなずくも、続けていった。

「だけど、いまのアインスではガルムを仕留められない」

 それどころか、他の敵構成員も普通ならとっくに全滅してそうな程の弾丸を浴びてるというのに、流血しながらも殆どが倒れず、それどころかガルム以外苦痛を訴える様子も見られない。先ほどヤクでもキメたような、とはいったけど本当にモルヒネやエンジェルダストでも投与したかのような狂人を相手にしてる感じだ。

 ともかく、彼女の銃撃では、奴らに明確なダメージを与えられてないのだ。1対1の闘いにシフトすれば勝敗は分からないが、それをしたらガルムがこちらに向かってきてしまう。さらにガルムはデュエルよりリアルファイトを得意としてるようで、彼女の意思なら痺れをきらせて赤外線を飛ばしてくることもありそうだけど、闇のフィールに支配されてる影響でそれもない。

 恐らく、アインスの手持ちの弾丸が全て尽きたとき、彼女の敗北という形でガルムを先頭に敵構成員はこちらに向かってくるだろう。しかし、私たちは未だガルムに赤外線を当てるタイミングを掴めずにいた。

 そんなときだった。私のデュエルディスクに木更ちゃんから通信が入ったのは。

 私が通信に出ると木更ちゃんは、

「先輩! 良かった」

 と、まず私が生存していたことにほっとし、

「現状の報告をお願いします。ガルムさんは大丈夫ですか?」

 と、名指しで確認してきた。

「ってことは、もしかしてそっちでフェンリルも?」

 私が訊ねると、

「ということは、やはりガルムさんも同じだったのですね」

 と、木更ちゃん。

「はい。先輩が非常口に向かわれてすぐ、フェンリルさんが闇のフィールに支配されて攻撃を開始しまして」

「意識は?」

「え? いまフェンリルさんは鼻血を出し過ぎて失神してますけど」

 鼻血で!? 私はつい本来の目的を忘れて、

「待って、木更ちゃん何したの? むしろナニかされたの?」

「せ、先輩落ち着いてください」

 通信先から慌てる木更ちゃん。そこへ。

「貸して」

 と、神簇がデュエルディスクを装備した私の腕を引っ張り、

「こちら神簇 琥珀。現在ガルムは体の自由を闇のフィールに支配され、意識が無事なまま攻撃を開始しています」

「は、はい。フェンリルさんは意識も闇のフィールに支配されました」

 答える木更ちゃん。

「そう」

 神簇はうなずき、

「現在、私たちはガルムの身体能力の高さ故にデュエルを仕掛けることもリアルファイトで仕留めることも困難な状況にあるわ。そちらではどうやってフェンリルを対処したのか、教えてくれると嬉しいのだけど」

「は、はい。あの、えっと……」

 言葉を詰まらせる木更ちゃん。で、そんな様子に神簇はすぐ余裕をなくし、

「お願い! 早く教えて。こちらではNLTに死人も出てるのよ」

「え!? は、はい。ごめんなさい」

 木更ちゃんは、怒声に一回怯えてから、

「こちらでは、フェンリルさん本人の強い衝動を刺激すれば本能が闇のフィールに勝ってくれるのではないかと思い、彼女に私の生乳を揉ませました。そしたら鼻血を噴き出して」

「な、生乳?」

 今度は神簇が顔真っ赤に硬直してしまったので、私は神簇からデュエルディスクを奪い返し、

「ありがとう木更ちゃん。生乳は後で私も揉むから、何かあったら報告するわ」

 と、私は通信を切る。

「ちょっと鳥乃! 貴女なに言ってるのよ」

 顔真っ赤にぎゃーぎゃー騒ぐ神簇。――の胸を、服の上から一回鷲掴みにし、

「神簇、一回生乳揉ませて? うらやまけしからんが強すぎて、いま頭の中がそれ一色って話で」

「夢の中でやりなさい!」

 私はライトセーバーで居合抜きの逆袈裟斬りにされた。

「かふっ」

 と、私は一回倒れるも、おかげで生乳への欲求から半歩抜け出すことができ、

「助かったわ神簇。おかげでガルムを倒して生乳揉めばいいと気づけたわ」

「そもそも生乳から離れなさいっ!」

 ヒステリックな返事を聞きながら私は立ち上がり、私はデュエルディスクから自分のデッキを抜き取ってホルダーに戻す。

 神簇は驚き、

「ちょっと、鳥乃。貴女いったい何を」

「名案が浮かんだのよ。ガルムから強い衝動を刺激する、っていうね」

 言いながら私は、掌から光の粒子を出し一束のデッキに姿を変化させ、そこに別のカードの束を混ぜてデュエルディスクにセット。

「ガルム! ちょっとこれを見て頂戴」

 私はいい、モンスターをデュエルディスクに差し込んで召喚する。

 出てきたのは牡蠣根のエースモンスター、《紅貴士(エーデルリッター)-ヴァンパイア・ブラム》。ガルムは、そのモンスターを見て足が止まった。

「あ」

 呟き、ガタガタと全身を震わせるガルム。今だ! 私は赤外線を飛ばし、ガルムに強制デュエルを仕掛けることに成功する。

「鳥乃? いまのって」

 訊ねる神簇をいまは無視し、私は続けてガルムにいった。

「ガルム、ううん妙子、見たでしょ? いま私の手には牡蠣根のカードが入ったデッキがここにあるわ。倒したくない? あなたの全てを奪った男のデッキを」

 私はガルム本人ではなく、その体にこびりついた妙子の残留思念を刺激することにしたのだ。そして、私の策は成功した。

 ガルムは、半ば妙子の衝動に支配されたみたいに意識のトリップした目で私を見て、

「タオス……タエコの仇、やっつける!」

 吠えるように叫んでデュエルディスクを構えた。ここで、

「あ」

 ガルムはハッと正気に戻り、

「サキ。ありがとう……私を止めてくれて」

「まだ止めれたわけじゃないわ。デュエルであなたに勝って、闇のフィールを全て抜き取らないとって話だもの」

「うん。……だけど」

 ガルムは、うなずきながらちょっと辛そうに、

「今度は、私の中のタエコも暴れてる。サキ、ごめん、私手加減できそうにない」

「大丈夫よ。心配しないで頂戴」

 私はいった。

「それでも、必ず勝って全て救い出すから」

 言って、私はデュエルを開始した。

 ガルムの生乳のために!

 

 

沙樹

LP4000

手札5

[][][][][]

[][][][][]

-[]-[]-

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[][][][][]

ガルム

LP4000

手札5

 

 

 現在、私のデュエルディスクに搭載されてるデッキは60枚構築になっている。そのため、デュエルは久々のマスターデュエルで開始された。

「私のターン」

 ガルムは辛そうに、しかし首から下はやる気満々に構えていい、

「まずはカードをセット! そして永続魔法《インフェルニティガン》を発動!」

「インフェルニティか」

 他の敵構成員を倒し終えたアインスが私の傍まで下がっていう。って、ガルムを相手にしなくなった途端あのヤバそうな敵構成員を圧倒しちゃったよ。しかも殺さず。

「鳥乃、あのデッキの爆発力は中々侮れないよ」

「分かってるわ」

 私はうなずく。その間にガルムは、

「《インフェルニティガン》の効果。手札から《インフェルニティ・リベンジャー》を墓地に送り、さらに《インフェルニティ・ネクロマンサー》召喚、効果で自動的に守備表示になるわ。さらに手札がこのカード1枚のみの場合、このカードは手札から特殊召喚できる。《インフェルニティ・ビショップ》! これでハンドレスよ。どうして成功させちゃうのよ」

 と、ガルムは自分のデッキの回転を嘆きながら、

「《インフェルニティ・ネクロマンサー》のモンスター効果。1ターンに1度、手札が0枚の場合に墓地のインフェルニティを特殊召喚できるわ。私は墓地の《インフェルニティ・リベンジャー》を蘇生。そしてレベル4《インフェルニティ・ビショップ》レベル3《インフェルニティ・ネクロマンサー》に、レベル1《インフェルニティ・リベンジャー》をチューニング」

 1体の髑髏の顔をしたガンマンが1つの光の輪にかわると、2体のモンスターが潜り、混ざり合う。

「地獄と天国の間、煉獄よりその姿を現して! シンクロ召喚! 来て、レベル8《煉獄龍 オーガ・ドラグーン》」

 こうして出現したのは、大きな鉤爪を持った一匹のドラゴン。その攻撃力は3000。

「私はこれでターン終了よ」

 ガルムはいった。

 

沙樹

LP4000

手札5

[][][][][]

[][][][][]

-[]-[《煉獄龍 オーガ・ドラグーン(ガルム)》]-

[][][][][]

[《セットカード》][《インフェルニティガン》][][][]

ガルム

LP4000

手札0

 

「気をつけて。オーガ・ドラグーンは私がハンドレスのとき、1ターンに1度だけ魔法・罠の効果を無効にする効果を持ってるのよ」

 なるほどね、インフェルニティ同様ハンドレス時に。

「了解。私のターン、ドロー」

 なんとも奇妙な話ながら、相手からアドバイスを貰いつつ私はカードをドロー。

(となると)

 私は、ただ手札を3枚ディスクに読み込ませ、

「モンスターをセット。さらにカードを2枚伏せてターン終了」

「私のターン。カードをドローしてスタンバイフェイズよ。サキ!」

 呼びかけるガルム。わざわざスタンバイフェイズを宣言した所から分かってたらしい。私は伏せカードを1枚オープンし、

「罠カード《ヴァンパイア・アウェイク》を発動」

「ヴァンパイア?」

 ここでアインスが反応する。そういえば彼女は私がデッキを替えたのも、ヴァンパイア・ブラムを出したのも見てなかったのだ。

「鳥乃、このデッキは一体何なのよ」

 と、続けて神簇がしつこく訊ね続ける。私は小声で、

「いま使ってるデッキは、以前私が地縛神の生贄に取り込んだ牡蠣根の使ってたマスターデュエル用の40枚デッキに、イリスから借りたスピードデュエル用の20枚デッキをひとつにした60枚デッキよ」

 実際、いま発動した《ヴァンパイア・アウェイク》は牡蠣根ではなくイリスのカード。そして、

「《ヴァンパイア・アウェイク》はデッキからヴァンパイアを1体特殊召喚するカード。私は《ヴァンパイアの眷属》を特殊召喚。守備表示。この効果で特殊召喚したカードはターン終了時に破壊されるわ」

 と、呼び出した一匹の白狼もイリスのカード。

「待ちなさいよ、そんな調整もしてないデッキで勝てるつもりなの?」

 神簇がいい、続けてアインスも、

「そもそも、同名カードの枚数制限は大丈夫だったのかい?」

「枚数に関しては問題なかったわ。ふたりのデッキ、同じヴァンパイアデッキなのに投入カードが1枚も被ってなかったんだもの。勝てるかどうかは、フィールで何とかするわ」

 つまりこのデュエルでフィールを使い切るつもりでいくって話だ。

「仕方ないわね。アインス、デュエルが終わったらふたりをホールまで護衛するわよ」

「仕方ないね」

 諦めた様子でふたりはいった。

「と、待たせて悪いわねガルム。私の行動はまだ終わってないわ。500ライフ払い《ヴァンパイアの眷属》の効果を発動。このカードは特殊召喚に成功した場合にライフを払うことで、デッキのヴァンパイア魔法・罠カードを1枚サーチする。私はデッキから《ヴァンパイア帝国》を手札に」

「《ヴァンパイア帝国》!? あ、あああっ、うああっ」

 

沙樹 LP3500→3000

 

 ガルム、というより彼女の中の妙子が反応したらしい。このカードは牡蠣根のカードだからだ。

「はあっ、はあっ、ヴァン……パイ、ア、ぁぁっ……か、カードをセット。そして、オーガ・ドラグーンで……セットモンスターに、こう……げ……き……かはっ」

 息を切らせ、ガタガタと全身を震わせ、しかし闇のフィールにデュエルを続行させられるという、二重の支配に翻弄されるガルム。

 大丈夫よ。これが終わったら全て私色の快楽で上書きしてあげるから。

 私はセットモンスターを墓地に送りつつ、

「戦闘破壊された《ヴァンパイア・ソーサラー》の効果。デッキから闇属性のヴァンパイアか、ヴァンパイア魔法・罠カード1枚を手札に加える。私は《シャドウ・ヴァンパイア》を手札に加えるわ」

「ソーサラー……シャドウ……ううっ」

 そういえば、これはどちらも牡蠣根のカードだった。呻くガルムに私は訊ねる。

「大丈夫? いけそう?」

「があっ!」

 と、直後ガルムは吠え、

「大丈夫。ターンエンドよ」

 衝動を振り払ったのだろう。言いながら、少しずつ息を整えていくガルム。けど悪いわね、次のターン再び激しいトラウマを刺激することになりそうって話なのよ。

 

沙樹

LP3500

手札5

[][][][《セットカード》][]

[][][《ヴァンパイアの眷属》][][]

-[]-[《煉獄龍 オーガ・ドラグーン(ガルム)》]-

[][][][][]

[《セットカード》][《インフェルニティガン》][《セットカード》][][]

ガルム

LP4000

手札0

 

「ターン終了時、《ヴァンパイアの眷属》は破壊されるわ。そして私のターン」

 私はカードを引いて。

「墓地の《ヴァンパイアの眷属》の効果を発動。このカードは手札またはフィールドからヴァンパイアカードを墓地に送って特殊召喚できる。私は手札から《ヴァンパイア・ロード》を捨てて特殊召喚。守備表示」

 私は再び白狼を場に出し、

「さらにライフを500払ってデッキから《ヴァンパイアの支配》をサーチ。セット」

 

沙樹 LP3500→3000

 

 色々サーチを駆使してるせいか、現時点で私の手札はいまだ5枚。物凄い回転力と安定性だ。もしかしてこのヴァンパイアデッキ、60枚の時点で本来の私のデッキより強かったりするんじゃないだろうか。

「手札からフィールド魔法《ヴァンパイア帝国》を発動」

 ここで私は、先ほどサーチした魔法カードを使用。

「駄目! いまは《煉獄龍 オーガ・ドラグーン》の効果が発動しちゃう。私の手札は0枚だから無効よ」

 しかし、この《ヴァンパイア帝国》は防がれてしまう。まあ、このカードは囮だったのだけど。

「大丈夫よ。なら続けてリバースカードオープン。《ヴァンパイア・シフト》を発動。このカードは私のフィールドカードゾーンにカードが存在せず、表側表示の私のモンスターがアンデット族の場合のみ発動可能。私の場には《ヴァンパイアの眷属》がいるから条件は満たしてるわ」

 オーガ・ドラグーンの効果は1ターンに1度。だから一度使わせてしまえばこのターンに無効にされる危険はなくなるのだ。

「あ、サキ! 上手い!」

 驚き、感嘆にガルムは目を輝かせる。その様子から、いまは衝動を完全に抑え込んでいるようだ。

「《ヴァンパイア・シフト》の効果で、私はデッキから《ヴァンパイア帝国》を発動し、その後墓地から《ヴァンパイア・ロード》を守備表示で蘇生」

 そして、ガルムが上手いといったのは、恐らく結局このフィールド魔法の発動を許してしまったことにあるだろう。しかも蘇生のおまけ付きで。最初の《ヴァンパイア帝国》を無効にしてなければ、ここまでの状況には至らなかったのである。

「続けて墓地の《ヴァンパイア・ソーサラー》をゲームから除外。このターン、私は1度だけリリースなしでレベル5以上のヴァンパイアを通常召喚できる。《シャドウ・ヴァンパイア》を通常召喚。このモンスターは召喚成功時にデッキのヴァンパイアを特殊召喚できる。《ヴァンパイア・デューク》を特殊召喚」

 《ヴァンパイア帝国》によって辺りは紅い月の照らす夜の街のビジョンに切り替わり、私の場には、巨大な吸血鬼の影と吸血鬼の公爵が一気に並び立つ。2体のモンスターのレベルはいずれも5。さらに、

「《ヴァンパイア・デューク》は特殊召喚した時にモンスター・魔法・罠のいずれかを宣言し、相手はデッキから宣言した種類のカードを墓地に送る。私は罠カードを宣言するわ」

「《インフェルニティ・ロスト》を墓地に送るわ」

「了解。続けて相手のカードがデッキから墓地に送られたことで《ヴァンパイア帝国》の効果を発動。手札・デッキからヴァンパイアを墓地に送って、フィールド上のカードを破壊する。私は《ヴァンパイア・グレイス》を墓地に送って、《煉獄龍 オーガ・ドラグーン》を破壊」

 直後、巨大な《ヴァンパイア・グレイス》の幻影が姿を現すと、オーガ・ドラグーンの喉に噛みつき、破壊する。

 すると、ガルムの体から紫色のフィールが弾け飛ぶのが見えた。どうやら闇のフィール・カードだったらしい。

「ガルム!」

 私は彼女の名を呼ぶ。しかし、ガルムは膝をついて、

「まだ駄目!」

 と叫んだ。

「ちょっとだけ体は自由になったけど、まだ支配されたままみたい。むしろ、タエコの暴走がさっきよりダイレクトにきて、キツい」

「残りの闇のフィール・カードの数は?」

 私が訊ねると、ガルムはいった。

「ゼロ。与えられたのはオーガ・ドラグーン1枚だけよ」

「そういえば」

 ここでアインスがいった。

「フィール・ハンターズの闇のフィールはソンブラ社のドラッグを併用して真価を発揮するって情報があったね。もしかしてだけど、生前の鱒川さんの体に残ったドラッグの跡のせいではないでしょうか」

「ありえるわね。そもそもプライドの作品自体ドラッグが必要なんでしょ? そこからすでに遺体に残ったドラッグが流用されてる可能性は十分あるわ」

 と、続けて神簇も。

「なるほどね」

 とりあえず、いまのガルムはフィール・ハンターズの闇のフィールの真価を発揮している状態で、フィール・カードを倒しただけでは助けられないらしい。

 もっとも遺体が買収された時期を考えると当時はまだ供給がストップしてなかった為、ドラッグが遺体の残りなのか後から投与されたものなのかは分からないけど。

「ってことでいいの? Chacu Challhua?」

 一応、私は訊ねてみるも、残念ながら地縛神からの返事はない。まあ仕方ないって話ね。

 私はデュエルを続ける。

「なら、続けていくわ。私はレベル5《シャドウ・ヴァンパイア》と《ヴァンパイア・デューク》でオーバーレイ。2体のアンデット族モンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築」

 紅い月が渦を描いて歪み、2体のヴァンパイアを霊魂にして取り込む。刹那、月は膨張をはじめ私たちの視界を紅一色に染め上げる。せっかくだから、口上も。

「仮初のシャドウを捨て、いまここに高貴なる騎士皇が目覚める。吸血鬼を統べ紅き夜に繁栄をもたらせ。エクシーズ召喚! 出でよランク5《紅貴士-ヴァンパイア・ブラム》!」

 紅い視界に1体の《シャドウ・ヴァンパイア》が浮かび上がり、周りの紅を取り込みはじめる。

 視界から完全に紅が消えた時、先ほどの《シャドウ・ヴァンパイア》は、肉体を取り戻し、攻撃力2500の吸血鬼の騎士になった。

「ヴァンパイア・ブラム!」

 ガルムの目が見開く。

「ヴァンパイア・ブラム……カキネのエース……私タチノ仇……はっ」

 意識がトリップした様子で呟いていたガルムは、我にかえると、

「サキ、どうしよう。私ついに私じゃなくなってた」

 と、ショックを受ける。

「心配しないで。さっきのは闇のフィールというより、妙子の残留思念に引っ張られてって感じでしょ?」

「うん。でもあんな凶暴なタエコは見たことが」

「そうね」

 私はうなずき、

「もしかしたら、それだけ牡蠣根に強い怨念を抱いてたのかも」

 地味に、ガルムがずっと待ち望んでたはずの残留思念が表に出てきて喋った事例だったわけだけど、残念ながらお互い余裕のなさ故に、たったいま起きた奇跡はスルーしてしまう。

「ならガルム、悪いけどもう少し妙子を追い詰めるわ」

 そういって私は、

「オーバーレイ・ユニットを1つ取り除き、ヴァンパイア・ブラムの効果を発動。オーバーレイ・ユニットを1つ取り除き、相手の墓地からモンスターを私のフィールドに特殊召喚する。私は《煉獄龍 オーガ・ドラグーン》を私のフィールドに特殊召喚」

 とりあえず私は、エース級モンスターを奪うというトラウマ刺激も込みで闇のフィール・カードを私の場に出してみる。事実上、一時的に闇のフィール・カードをガルムから完全に引き剥がしたわけだけど、依然としてガルムは解放されない。ということは、やはり原因は別にある。

「ガルム、妙子。これであなたたちのエース級モンスターはヴァンパイア・ブラムの支配下よ。これ以上大切なものを奪われたくなければ倒してみなさい、このカードを」

「あ、ぁぁっ」

 私の言葉に呻くガルム。効果はあるようだ。これで次のターン、彼女に敵討ちをさせて解放できればいいのだけど。

「《シャドウ・ヴァンパイア》の特殊召喚効果を使ったターン、私は攻撃を行えないわ。カードを1枚セットしてターン終了」

 

沙樹

LP3000

手札2

[《ヴァンパイア帝国》]

[][][《セットカード》][《セットカード》][]

[《ヴァンパイアの眷属(守備)》][《ヴァンパイア・ロード(守備)》][《煉獄龍 オーガ・ドラグーン》][][]

-[]-[《紅貴士(エーデルリッター)-ヴァンパイア・ブラム(沙樹)》]-

[][][][][]

[《セットカード》][《インフェルニティガン》][《セットカード》][][]

ガルム

LP4000

手札0

 

 私はターン終了を宣言してから、ふうっと一回息をついた。

 いまのところ、そこまでフィールを消費せずともデッキは回っている。現在、相手の場には《インフェルニティガン》1つとセットカード2枚。対してこちらはフィールド魔法の《ヴァンパイア帝国》に、カウンター罠の《ヴァンパイアの支配》を含めた2枚のセットカード。さらに4体のモンスターがいる現状、ヴァンパイア・ブラムは倒して欲しいとはいえ、いくらインフェルニティ相手であっても簡単に突破はされないと思いたい。

「鳥乃」

 そこへ神簇がいった。

「貴女、大丈夫だとは思うけどさっき息を整えたとき、変な説明フラグ立ててないでしょうね?」

「……えっと」

 言われて私は「あ」となる。

 しまった、私がさっきやってたの、半ば遊戯王恒例の駄目なやつじゃない。どうやらイリス分で緩和してるとはいえ牡蠣根のデッキを使った影響で悪影響を及ぼしてるらしい。――と、私は牡蠣根のせいにしておく。

「くるよ」

 アインスがいった。直後、

「私のターン。ドロー」

 ガルムはカードを引く。直後、「げっ」て顔になり、

「サキ、ごめん。私が引いたカードは《インフェルニティ・デーモン》よ」

『あっ』

 今度は私たち三人がステレオで「げっ」て反応をしてしまう。

「手札が0枚の場合にこのカードをドローした時、相手に見せてこのカードは特殊召喚が可能。さらに特殊召喚した《インフェルニティ・デーモン》のモンスター効果。手札が0の場合、デッキからインフェルニティを1枚手札に加えるわ。私はチューナーモンスター《インフェルニティ・ビートル》を手札に加えて通常召喚、さらにビートルをリリースして効果発動よ。デッキから《インフェルニティ・ビートル》を2体特殊召喚」

 ついに、インフェルニティが完全に回りだしてしまった。

「私はレベル4《インフェルニティ・デーモン》に、レベル2《インフェルニティ・ビートル》をチューニング!」

 一匹の昆虫が2つの輪にかわり、内側を《インフェルニティ・デーモン》が潜り、混ざり合う。

「現世と冥界の狭間開くとき、死者の嘆きが奈落の王を招き寄せる。シンクロ召喚! きて、レベル6《デーモンの招来》!」

 こうして出てきたモンスターは、当時の妙子の切り札だった《デーモンの召喚》そっくりのモンスター。いや、正にそれのリメイクモンスターなのだろう。実際、ガルムの口上もそれを意識したものと思われる。奈落の王とは《デーモンの召喚》の元ネタとされる別のカードゲームのモンスター、いやクリーチャーの名前であり、死者の嘆きというのはそのまま妙子の嘆きを指してるのだろう。

「妙子……」

 つい、私が呟く中。

「さらに私は奈落の王に煉獄の力を重ねるみたい。レベル6《デーモンの招来》にレベル2《インフェルニティ・ビートル》をチューニング!」

 すると今度は、いつものシンクロ演出とは違い、2体のモンスターが光の粒子となって消えると、彼女の前方に8つの扉が並んで出現する。

「死者と生者、ゼロにて交わりしとき、永劫の檻より魔の竜は放たれる! シンクロ召喚! きて、レベル8《インフェルニティ・デス・ドラゴン》 !」

 扉は放射線を放ちながら、奥から順に開かれ、最前部の扉が開かれたとき、中から不細工な竜が飛び出してきた。その攻撃力は3000。

「サキ! 気を付けて、嫌な予感がするの。もしかしたら、このターンに決めにかかるかも」

 と、ガルムは叫んだ。しかもその言い方は本人にとっても不明確な要素が入り込んでくるとでもいいたげな。

「わかった」

 私は言うしかなかった。

「お願いよ。《インフェルニティ・デス・ドラゴン》のモンスター効果! このカードは1ターンに1度、相手モンスターを破壊して、攻撃力の半分だけダメージを与えるわ。私はこの効果でオーガ・ドラグーンを破壊! インフェルニティ・デス・ブレス!」

 《インフェルニティ・デス・ドラゴン》が、オーガ・ドラグーン向けて火球を放つ。なら、私は伏せカードを1枚オープンし、

「罠カード《デストラクト・ポーション》! その前にオーガ・ドラグーンを破壊し私のライフに加算するわ」

 すると、ガルムも伏せカードをオープンし、

「駄目、サキ! カウンター罠《インフェルニティ・バリア》よ。その発動を無効にするわ」

「っ」

 このターンで決めるつもりなら、《デストラクト・ポーション》は通さないといけない気がする。

「カウンター罠《ヴァンパイアの支配》! 無効を無効に」

 ガルムからもう1枚の伏せカードはオープンされなかった。結果、《インフェルニティ・バリア》の無効に成功し、《デストラクト・ポーション》が発動。

 

沙樹 LP3000→6000

 

 オーガ・ドラグーンは破壊され、その攻撃力分、私のライフが回復された。同時に、対象を失ったことでサクリファイス・エスケープが成立。《インフェルニティ・デス・ドラゴン》の効果は不発に終わる。

「《インフェルニティ・デス・ドラゴン》は効果を使ったターン、自身は攻撃できないわ」

 ガルムはいった。

「けど、まだ動けてしまうのよ。永続魔法《インフェルニティガン》を墓地に送って効果発動。墓地から《インフェルニティ・デーモン》と《インフェルニティ・ネクロマンサー》を特殊召喚。さらに手札0枚で《インフェルニティ・デーモン》が特殊召喚したことで効果発動。デッキから《インフェルニティ・リゾネーター》を手札に加えるわ」

 リゾネーター。ということは恐らくそれはチューナー。

「私の手札がこのカードのみで、場にインフェルニティSモンスターが存在する場合、《インフェルニティ・リゾネーター》は特殊召喚できる。さらに特殊召喚した《インフェルニティ・リゾネーター》のモンスター効果! 手札が0枚の場合、墓地のインフェルニティ・チューナー1体を特殊召喚するわ。私は墓地から《インフェルニティ・リベンジャー》を特殊召喚」

 場に出現する2体のチューナー。この時点でガルムのメインモンスターゾーンは4体のモンスターが。スピードデュエルでは不可能な布陣である。

「さらに」

 刹那、床から突如8つの炎が噴き出し、それは1つのリンクマーカーへと姿を変える。

「リンク召喚か!」

 アインスがいった。直後、

「アローヘッド確認。召喚条件はモンスター2体。私は《インフェルニティ・リゾネーター》と《インフェルニティ・デス・ドラゴン》をリンクマーカーにセットよ。リンク召喚! きて、リンク2《魔界の警邏課デスポリス》」

「え、いくら攻撃できなくても、毎ターン破壊とバーンができる《インフェルニティ・デス・ドラゴン》を?」

 驚く神簇。しかし、いま現在において更に展開しようと思うとEXモンスターゾーンに突っ立ってるインフェルニティ不細工ドラゴンは邪魔でしかない。だったらリンク素材にしてしまうのは十分アリといえる。特にインフェルニティみたいなデッキだと。

「《インフェルニティ・ネクロマンサー》の効果で《インフェルニティ・デス・ドラゴン》を蘇生。効果で今度は《紅貴士-ヴァンパイア・ブラム》を破壊よ」

「あ」

 なんてレベルじゃなかった。ネクロマンサーで蘇生してしまえばメインモンスターゾーンに置けれる上に、再び効果を使うことができる。

 《インフェルニティ・デス・ドラゴン》が今度はヴァンパイア・ブラムに向けて火球を放つ。今度は防ぐことはできず、牡蠣根のヴァンパイアは破壊され、

 

沙樹 LP6000→4750

 

 といった具合に、私のライフは削られる。

「ヴァンパイア・ブラム!……牡蠣根のカードを、破壊!」

 思わず握り拳をつくるガルム。が、すぐハッとなって、

「ごめんサキ。私」

「別にいいわ」

 私はいった。

「むしろ覚えておいて。ガルムと妙子、あなたは確かに牡蠣根の切り札を倒した。牡蠣根に一矢報いたんだって」

「サキ……」

 ガルムの頬に一粒の涙が伝うのが見えた。しかし、闇のフィールは止まらない。

「けどまだカキネは倒してないわ! まだいくよ。っていけるの!? それにサキはカキネじゃっ」

 自分の、闇のフィールに言わされた台詞にガルム自身が慌てながら、彼女はエクストラデッキからカードを出し、提示する。それは2枚目の《インフェルニティ・デス・ドラゴン》だった。

「まさか2体目?」

 実際、ガルムの場にはネクロマンサー、デーモン、リベンジャーとレベル8シンクロする素材は揃ってる。しかし、ガルムがやろうとしてることは違ったらしい。

 2枚目の不細工ドラゴンのカードは、デュエルディスクに置かれるまでなく彼女の指の中で発光。別のカードへと変わっていく。

 ガルムはいった。

「嘆きの遺志を闇が歪めるとき、世界を絶望の悪夢に再構築する。リ・コントラクト・ユニバース!!」

「それって」

 ミストランが使う能力と同じもの。しかも、いまガルムがいった台詞が意味することって。

「なるほど。そういう話だったのね」

 私は、血の気が引く思いをしながら呟いた。

「どういうことかい、鳥乃」

 訊ねるアインス。私はいった。

「分かったのよ。闇のフィールの中でガルムの自我が無事なわけが。肩代わりしてたのよ、彼女の中にある妙子の残留思念が。ガルムの魂は闇のフィールに侵蝕されてない、彼女の中の妙子だけが闇のフィールに支配されてたって話だったのよ」

 だから、残留思念の妙子はあれだけ凶暴化していた。

「そう、みたい」

 うなずいたのはガルムだった。

「やっと分かった。タエコは、いまも私を助けてくれてたんだって」

 ガルムはその場で涙を流し全身を震わせながら、

「嫌だ。もう動かしたくない。タエコにこれ以上酷いことをさせたくない。止まって、止まってよ!」

 今まで以上に踏ん張り、床を踏み抜き、必死に闇のフィールに抵抗するも、

「うわあああああああああっ」

 抑えきれず、絶叫をあげながらガルムはフィールドからカードを3枚墓地に送り、2枚目の《インフェルニティ・デス・ドラゴン》だったカードをディスクに叩きつけた。

「レベル3《インフェルニティ・ネクロマンサー》、レベル4《インフェルニティ・デーモン》に、……れ、レベル1《インフェルニティ・リベンジャー》をチューニング! 漆黒の帳下りし時、め……冥府の瞳は開かれる。舞い降りろ……闇よ! シンクロ召喚! で、出な……出て! レベル8《ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン》!」

 禍々しい口上、そして痛々しい苦し気なガルムの声で出現したのは、全身に目を持った禍々しいドラゴンの姿。攻撃力はやはり3000。

「はあっ、はあっ……デスポリスのモンスター効果。《インフェルニティ・デス・ドラゴン》をリリースし、効果はつ……どうっ」

 ここでガルムは再び不細工ドラゴンを墓地に送り、

「1ターンに1度、このカード……は、モンスター1体をリリースし、別のカード1枚に警邏カウンターを1つ置くわ。そのカードが破壊される場合、かわりにこの警邏カウンターを取り除く。私は、《ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン》にカウンターを」

 これで、《ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン》は1度きりの破壊耐性を得たことになる。

「さらに《ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン》のモンスター効果。このカードは墓地のレベル6以下の闇属性モンスターを除外して、ターン終了時までそのカード名と効果を得る。私は《インフェルニティ・ネクロマンサー》 を除外。そして《インフェルニティ・ネクロマンサー》 となった《ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン》の効果!」

 ネクロマンサーって、もしかして。

「《インフェルニティ・デス・ドラゴン》を蘇生!」

 今回3度目の特殊召喚、過労死レベルの登場を果たす不細工ドラゴン。なるほど、そこまで考えてガルム、いや闇のフィールはデスポリスをリンク召喚してたらしい。

「《インフェルニティ・デス・ドラゴン》のモンスター効果! 《ヴァンパイア・ロード》を破壊するわ」

 そして同じく3度目の火球が今度は《ヴァンパイア・ロード》を灰にする。

 

沙樹 LP4750→3750

 

 さらに私がダメージを受けたところで、

「バトルよ! 《魔界の警邏課デスポリス》で《ヴァンパイアの眷属》を戦闘破壊。さらに《ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン》でサキに直接攻撃。インフィニティ・サイト・ストリーム!」

 口ではなく胸の辺りから禍々しいビームを放つ《ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン》。フィールで実体化してるのが分かったため、こちらもフィールの防壁を張って防御。なんとか肉体的には事なきを得るも、

 

沙樹 LP3750→750

 

 私のライフは回復して尚3桁に。本当にこのターンを悠長に構えてたら一気に決められてる所だったのだ。

「私はこれでターン終了よ」

 宣言するガルム。彼女のほうも、すでに抵抗が全然利かなくなり、再び嘆くしかできなくなってる様子だった。加えて、

「サキ、ごめん。段々と闇が強くなってきた。このままじゃ私も」

 って。

 恐らくなまじ自覚して抵抗したせいで闇のフィールを刺激してしまったのかもしれない。早くしないと、ガルムの意思も完全に乗っ取られてしまう。

 しかし、私は現在の場を確認する。

 

沙樹

LP750

手札2

[《ヴァンパイア帝国》]

[][][][][]

[][][][][]

-[《魔界の警邏課デスポリス(ガルム)》]-[]-

[][《インフェルニティ・デス・ドラゴン》][《ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン(警護C1)》][][]

[《セットカード》][][][][]

ガルム

LP4000

手札0

 

 正直、絶体絶命のピンチだった。

 手札こそ2枚あるものの、私の場には《ヴァンパイア帝国》が1枚だけでライフもたった750。対してガルムはデスポリスに加えて攻撃力3000のドラゴンが2体、それも《ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン》には警護カウンターで1度だけ破壊を無効にし、《インフェルニティ・デス・ドラゴン》も1度だけ墓地の《インフェルニティ・ビショップ》が破壊を肩代わりする。さらにそれでもこの不細工ドラゴンを倒した所で、墓地の《インフェルニティ・リベンジャー》が自己蘇生して壁になる。しかも伏せカードが1枚敷かれてるときた。

「私のターン」

 と、私はカードを引きかけ思った。このターンで勝負をしかけるしかない。例え更に次のターンがきたとしても、ガルムと妙子を救える機会はなくなってるのではないかって。

「神簇、アインス」

 私は傍の戦友に呼びかける。

「なに?」「どうした?」

 反応するふたりに、私はいった。

「このターンに決めれなかったら、後はお願い」

 すると、神簇は諦めた顔で。

「仕方ないわね。いいわ、任されたから安心して頂戴」

 続けてアインスも、

「だから、もしもなんて考えず最善と思うことをすればいい」

「ありがと」

 私は、この先の全てをふたりに預け、ドローする手に私の持つ闇のフィールを纏わせる。

「サキから、闇のフィールが」

 驚くガルム。私はいった。

「暗き力はドローカードをも闇に染める!――ダークドロー!」

 そして、カードを引き抜く。直後、私は間違いなく確認した。ある嫌な想い出のある魔法カードが、現状を打破する最高のカードに書き換わるのを。

 その効果を見て。

「なるほどね」

 私は、カードから強いインスピレーションを貰い、気づけばガルムに聞こえるほどはっきりした声で呟く。

「妙子、悪夢は終わったわ。牡蠣根が遺した闇は今日この日をもって終焉を迎え、全ては光に変わっていくのよ」

「え?」

 と反応するガルムを前に、私は引いたカードを手札に加え、牡蠣根が持っていた2枚のカードを場に戻す。

「スタンバイフェイズ時に《ヴァンパイア・ロード》と《紅貴士-ヴァンパイア・ブラム》の効果を発動。このカードを墓地から自己蘇生させるわ」

「ヴァンパイア・ブラムが。……っ」

 途端、ガルムは強い敵意をモンスターに向けるも、

「そして」

 私はダークドローで引いたカードをディスクに差し込んだ。

「魔法カード発動! 《RUM-ヴァンパイア・ノーブル・フォース》」

「ヴァンパイアのRUM!?」

 ガルムが驚く中、

「この効果で、私はアンデット族モンスター1体をランクが1つ高いヴァンパイアにランクアップさせる。私はランク5《紅貴士-ヴァンパイア・ブラム》1体でオーバーレイ・ネットワークを再構築」

 私が宣言すると、ヴァンパイア・ブラムは光の霊魂となって《ヴァンパイア帝国》の紅い月に吸い込まれる。

「牡蠣根の遺志、いまここにイリスの手により転換する。血の呪いよ、新たな指導者の下、光の時代へと切り開け! ランクアップ・エクシーズチェンジ! 出陣せよ、ランク6《交血鬼(アルダンビール)-ヴァンパイア・シェリダン》!」

 紅の月より舞い降り出現したのは、金の髪と紅い瞳を持つ、新たな吸血鬼の貴族。これはイリスのエクストラデッキに入っていたカードである。

「《RUM-ヴァンパイア・ノーブル・フォース》の効果はまだ続いてるわ。この効果でX召喚した後、相手の墓地からモンスター1体を、このヴァンパイア・シェリダンのオーバーレイ・ユニットにする。私は墓地の《インフェルニティ・リベンジャー》をオーバーレイ・ユニットに」

 これで、私はイリスのエースを出しながらガルムの墓地から脅威をひとつ排除することに成功した。

 あのRUMは、元のカードは《洗脳-ブレインコントロール》だった。

 《洗脳-ブレインコントロール》はライフを800払って、相手の場から通常召喚可能なモンスターを1体のコントロールをターン中得るカード。現在このカードでコントロールを奪えるカードはないし、そもそも私のライフも750だから使うことさえできない。そんな八方塞がりなカードから、こんな逆転のカードに変ったのだ。……でも、それだけじゃない。これは、そんなレベルの話なんかじゃない。

 《洗脳-ブレインコントロール》は、あの日ロコちゃんを洗脳して手を血に汚させたカードだ。私は、真の意味でロコちゃんを護りきれず、これからずっと背負わなくちゃいけない私とロコちゃんの暗い過去を増やした1枚。そんなカードが、牡蠣根の切り札をイリスの切り札に進化させるカードに変ったのだ。

「ガルム、妙子、聞いて?」

 私は静かに呼びかけた。

「今日、この先のホールで、大きな一歩を踏み出そうとしてる人がいる。彼女の名前はイリス・ルース・マリア・ダ・ソンブラ・カキネ。牡蠣根の被害者を母に持つ、牡蠣根の実の娘よ」

「カキネの娘!」

 ガルムが強く反応する。元々彼女の任務自体イリスの誘拐だったのだけど、今日までその事実を知らずにいたのか、それとも闇に侵蝕されかけた中でワードに反応したのか。

 私は廊下を塞ぐように両手を広げ、

「彼女は、父の罪を償い、そしてロコちゃんたち被害者を救うために、いまある会社を畳んで慈善事業に乗り出そうとしているわ。私はいま、そんな彼女を護るためにここにいる。イリスさんの命を狙うプライド派やフィール・ハンターズを彼女のいるホールに向かわせないために。ねえ、ガルム、妙子。ふたりも彼女を信じてみない? 彼女もあなたたちも同じ牡蠣根の被害を受けた仲間よ」

「イリスを、信じる……? カキネを、カキネの娘を信じる?」

「このデュエルだってそう。あなたたちは、このデュエルで牡蠣根の切り札を倒した。牡蠣根に一矢報いたのよ。でも結果、私では覆せない盤面をあなたたちは創り出してしまった。負けるはずだったのよ、私ではあなたたちを助けられなかったのよ。このデュエル」

「サキ……」

「だけど、いまそんな私のダークドローを借りて、イリスさんは牡蠣根のカードを、彼女の切り札ヴァンパイア・シェリダンに進化させ、私が負けるはずだったデュエルからあなたたちを助けようとしてる。ガルム、妙子、一度だけでいい! あなたたちに差し伸べられた手に応えてあげて頂戴」

「そんな、の……」

 言いながら、ガルムは葛藤しながら俯く。全身を小刻みに震わせ、何度か首を横に振り、小さく唸り声をあげる。

「妙子、信じてるから」

 最後に私はガルムではなく妙子のみに向けて伝え、私はデュエルを続行。

「私は《ヴァンパイア・ロード》を除外して、手札から《ヴァンパイアジェネシス》を特殊召喚。さらに《ヴァンパイアジェネシス》の効果! 手札からヴァンパイアを1枚捨て、それよりレベルの低いヴァンパイアを特殊召喚するわ。私は手札の《ヴァンプ・オブ・ヴァンパイア》捨てて墓地から《ヴァンパイア・グレイス》を特殊召喚」

 これだってそうだ。《ヴァンパイアジェネシス》こそ牡蠣根のフィールカードだけど、牡蠣根の女ヴァンパイアを捨ててイリスが所有する女ヴァンパイアを特殊召喚する流れ。まるで世代交代をみているかのように。

「そして、《交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン》の効果。このカードのオーバーレイ・ユニットをひとつ取り除き、相手フィールド上のカードを1枚墓地に送る。私は」

 と、《インフェルニティ・デス・ドラゴン》を指す。が、直後。

「《ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン》をお願い!」

 俯いたままガルムが叫んだ。それも、叫びの中にも品と優しさを感じる、どこか彼女らしくない喋りで、

「このカードは破壊させちゃ駄目。破壊以外の方法で墓地に行かせないといけないの」

「分かったわ」

 私はうなずき、

「ヴァンパイア・シェリダンの効果で、私は《ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン》を墓地に送る」

 直後、シェリダンの紅い瞳が輝くと、《ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン》の無数の目が紅く染まり、バタンと倒れて消滅する。

「続けて《ヴァンパイア・グレイス》のモンスター効果。1ターンに1度、モンスター・魔法・罠のいずれかを宣言し、相手はデッキから宣言した種類のカードを墓地に送る。私は罠カードを宣言するわ」

「《インフェルニティ・バリア》を、墓地に」

 ガルムがカードを墓地に送った所で、

「これにより《ヴァンパイア帝国》の効果を発動。《ヴァンパイアの使い魔》墓地に送りつつ《インフェルニティ・デス・ドラゴン》破壊」

「墓地の《インフェルニティ・ビショップ》の効果。インフェルニティが破壊される場合、このカードをかわりに除外するよ」

 これも想定内。

「ならバトル!」

 私はいった。

「《ヴァンパイアジェネシス》で《インフェルニティ・デス・ドラゴン》に攻撃。お互いの攻撃力は3000だけど、《ヴァンパイアジェネシス》は《ヴァンパイア帝国》の効果でダメージ計算時のみ攻撃力が500アップ」

「っ」

 ガルムは腕を盾に身を護りながら、モンスターの破壊を受け入れる。

 

ガルム LP4000→3500

 

「《ヴァンパイア・グレイス》で《魔界の警邏課デスポリス》に攻撃」

 

ガルム LP3500→2000

 

 これで、ガルムのモンスターはいなくなった。後は!

「《交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン》でガルムに直接攻撃」

 ヴァンパイア・シェリダンがマントをなびかせ飛び上がる。彼の身が紅の月で逆光を放つと、牙をキランと光らせガルムに向けて急降下。

「墓地の《インフェルニティ・ロスト》を発動!」

 ここでガルムは宣言した。ここは、私の知るガルムの声で、

「私の手札が0枚の場合、墓地のこのカードを除外し、墓地からカードを3枚対象にして発動。同じ数だけデッキからインフェルニティカードもしくは煉獄と名のついた魔法・罠カードを墓地に送り、対象のカードをデッキ・エクストラデッキに戻す。私は、《ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン》《煉獄龍 オーガ・ドラグーン》《インフェルニティガン》を対象に発動。デッキから《インフェルニティ・ポーン》《インフェルニティ・クイーン》《インフェルニティ・ルーク》を墓地に送って、最初に選択した3枚をデッキに戻すわ」

 と、デッキと墓地からカードを3枚ずつ入れ替える。そのまま巻き戻しは発生せず、ヴァンパイア・シェリダンはガルムを攻撃し、

 

ガルム LP2000→0

 

 ガルムのライフは0に。直後、

「ここで罠カード発ど――」

 言いかけた所で、

「さ……。させない!」

 ガルムは叫んだ。先ほどみせた少し違う喋りで、

「私の最後の伏せカードは《煉獄の零門(ゼロ・ゲート)》。このカードは私のライフが0になったときに発動し、私の敗北を無効にして《煉獄龍 オーガ・ドラグーン》を呼びだすの。そして、《煉獄龍 オーガ・ドラグーン》がフィールドを離れるまで私はデュエルに負けない。さらにポーンは墓地にある限り私のドローを封じ、クイーンは私のモンスター1体に直接攻撃を与え、ルークは除外しているビショップを墓地に戻す。……はあ、はあ、ギリギリ、間に合った……みたい」

 と、ガルムは膝をつく。彼女のいう通り、《煉獄の零門(ゼロ・ゲート)》は発動されずデュエルは終わりを告げた。

 彼女は、肩で息をしながら、苦しそうにいう。

「ありがとう。このデュエル沙樹ちゃんの勝ちよ」

「っ」

 私は、ここでやっと気づいた。ガルムは私のことをサキと呼び捨てる。ってことは、いまの彼女は。

「妙子? 妙子なの?」

「うん。といっても残留思念のほうだけど」

 ガルム、ううん妙子は顔をあげて、懐かしい微笑みを私に向けいった。

 息は段々落ち着いて行ったのか、立ち上がりながら穏やかな声で、 

「久しぶりね、沙樹ちゃん」

「1年ぶり、いや中3の後半はお互い視界に映す余裕もなかったし、殆ど丸々2年ぶりね」

「うん」

 って、妙子はうなずいて、

「でもごめんね。せっかくまた会えたのに、もう時間がないみたい」

 って。

「え?」

「《煉獄の零門(ゼロ・ゲート)》を通すわけにはいかなかったから、全力を振り絞っちゃって。もうすぐ私、消えるみたい」

「消滅って、待って、それって」

「でも最後に沙樹ちゃんと話せて良かったと思ってるよ」

「妙子!」

 私は駆け寄り、彼女の肩にしがみつくも、

「ごめんね。段々“私”が消えてきちゃった。ガルムには聞こえてると思うけど、私はもう沙樹ちゃんの声聞こえなくって」

「っ」

 彼女の言葉に、私は固まる。そんな様子も、すでに妙子には伝わってるのか伝わってないのか、

「沙樹ちゃん。イリスさんって人にも言ってあげて、ありがとう、応援してるって」

「分かったわ」

 私は、妙子を強く抱きしめる。すると、

「ありがとう。沙樹ちゃん、私はお空でずっと見守ってるから、ロコちゃんところちゃんのこと、お願い」

 耳元で、かすれるような声で妙子はいい、すっと目を閉じた。

 

「危ない!」

 

 彼女が意識を失った所で、早速服の内側に腕を潜り込ませようとしたその時、アインスが私の上方にショットガンを放った。同時に、天井から一筋の火花が飛来し、アインスの散弾と衝突し爆発してみせる。

「あれって、フィーアのドラゴンブレス弾」

 私が驚くと、アインスは私とガルムを庇うように前に立って、

「いや、フィーアと同じ技だけどフィーアじゃない」

 と返事し、

「誰だい?」

 と、天井に向けてショットガンを構える。すると、

「へえ。最近、処分人と王子がつるんでるって噂は聞いたけど本当だったんだね」

 言いながらひとりの男が降り立った。歳は私と同じくらいか。ヴィジュアル系の髪型で、顔もまあ恐らくイケメンに分類されると思われる。

「君は……?」

 アインスが訊ねかけた所、

「うわあああっ!」

 直後、外から突き飛ばされたらしいシュウが非常口のドアを突き破り廊下へと倒れ込んだ。

「シュウ!」

 叫ぶアインス。神簇は駆け寄り、

「大丈夫? しっかりして」

「悪ぃ、デュエルでフィールが減った所を狙われた」

 と、神簇に支えられて半身起こすシュウのフィールは、確かに殆ど残ってないようにみえる。で、破壊された非常口の先にはふたりの少女が倒れたゲイ牧師を引きずりながら立っていた。

「ボブ! バイブル!」

 私が叫ぶ中、少女は歩いてこちらに接近し、

「えー? もう終わり、絶対正義っていうからもう少し期待してたのに」

「しょうがないよ。……あの人、もうあれだけフィール……消耗してたから」

「だけどさー」

 恐らく双子だろう。ふたりは瓜二つな容姿をしていた。私の性欲が反応しないことから間違いなく中学生以下だろう。どちらもボディスーツを着用しており、幼児体型から大人の体に変ろうとする時期特有のボディラインが露になっている。髪形はショートヘアだけど、細かな特徴がふたりの間で左右逆になってるのが見られた。加えて性格も片方は活発でもう片方は大人しいと正反対に映る。

 で、今度はイケメンのいた場所から少し離れた辺りから天井がガタガタ音を出すと、壁が破壊され上からフィーアがシルフィを抱えて落ちてきた。姉を護るのに全力だったようで背中から床に叩きつけられると、

「ぁっ」

 と、フィーアは呻き声を出す。

「フィーア! シルフィ!」

 よろけながら駆け寄るシュウ。フィーアは彼女に気づくと、

「シュウ。問題ありません、シルフィは無事です」

「馬鹿野郎! お前が問題有々だろうが」

 叱咤するシュウに、シルフィが。

「ごめんなさい。襲われた所を処分人に助けられて、でも相手は私を庇いながら戦える相手じゃなかったみたいで」

「テメェらを殺ろうとした奴は誰だ」

「上に」

 シルフィが破壊された天井に指を伸ばす。その先には、木更ちゃんを一回り幼くした感じの子、藤稔 深海ちゃんがメイスを握った姿で見下ろしていた。

「あいつ、深海じゃねえか!」

「なにいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!!!」

 直後、ホール側から誰か、いや声からして永上さんがこちらに猛スピードで向かってきた。

「きさらちゃんじゅうよんさいことリアル深海ちゃんだとっ!」

 瞬時にシリアスさんが終了した。

 かと思いきや、深海ちゃんは永上さんに反応することなく、その場から飛び降りつつ落下の勢いを利用しシルフィ・フィーア両方の心臓をメイスで貫こうとし、それを勘一発で到着した永上さんが全力疾走の勢いのまま深海ちゃんに飛び掛かり、抱きかかえつつ床に転がる形でふたりを救う。

 永上さんはいった。

「おおっ! 本当に木更ちゃんをロリにした子じゃないか! スーハースーハー、非処女か」

 なんで匂いで分かるのこの人。おまわりさんこのひとです。いや、このひとおまわりさんだった。

「放してください」

 深海ちゃんは抵抗するも、

「嫌だ。放さない、放してなるものか!」

 と、永上さんが深海ちゃんにしがみつき続ける。

 すると、深海ちゃんはメイスを逆手に握り直し、抱きしめられたままメイスを永上さんの背中に突き刺そうとしたので、私は彼女のメイスを取り上げ、逆に彼女の脳天に突き付る。

「永上さん。そのまま彼女を抑えといて。……というわけで、この子殺されたくなかったら退いてくれない?」

 私は残りの3人に要求する。

「へえ? じゃあ殺しなよ。俺はこいつが死んでも痛くも痒くもないしね」

 と、イケメンは逆に深海ちゃんに銃を向けるも、

「待って! ストップストップ!」

「ここで彼女を失うのは……痛手、だと思う」

 双子はそんなイケメンを制止。

 活発なほうの双子がいった。

「分かった。どっちにしてもガルムがやられた時点で作戦は失敗したようなものだし、要求を呑むよ」

 続けて大人しい双子が、

「だから、この子は……助けてあげて」

「なら条件があるわ」

 ここで話に入ったのは神簇。

「いますぐ貴方たちにはフィールを全損して貰って、名前と所属を吐いて貰うわ。そしたら《ワーム・ホール》でこの子と一緒に安全圏に逃がしてあげる」

「へえ、そんな話に俺が乗るとでも?」

 イケメンはいい、数秒の間の後、

「イーグルだ。俺の名はイーグル・フレイムショット。所属はフィール・ハンターズだ。じゃ、俺はこいつがどうなってもいいからこのまま撤退させて貰うよ。君たちがフィール全損された俺を生かす理由も《ワーム・ホール》で本当に安全圏に送ってくれる保証もないしね」

 と、いってイーグルは回れ右し非常口から外へと出て行った。

「確かにイーグルの言う通りだよね」

 活発な双子はいった。直後、大人しいほうの双子が爆弾を投擲。

「きゃっ」

 と、神簇が反応。皆がそれぞれフィールで身を護る中、

「がはっ」

 永上さんの呻き声。その間に深海ちゃんが彼女の拘束から抜け出すのを気配で感じた。

「しまっ」

 爆風で視界を塞がれる中、私は気配だけを頼りに銃を構えるも、

「さっきも言ったけど、今回は私たちの負けにしてあげるよ」

 と、活発なほうの双子。続けて大人しいほうが、

「私たちは……黒山羊の実、正義の敵(エネミー・オブ・ジャスティス)。私は姉の伊藤 美代子(いとう みよこ)

 で、活発なほうが、

「妹の詠華(よみか)

 と、それぞれ名乗る。

 爆風が消え視界がクリアになったとき、すでに敵の姿は見られなかった。アインスが倒した敵構成員も全員回収されてしまったらしい。むしろ、もしかしたらそちらが真の目的だったのかもしれない。

「大丈夫、このふたりはまだ息があるわ」

 神簇がゲイ牧師の脈を確認し、ほっと息をつく。見たところ永上さんも気を失ってるものの大きな外傷は見当たらない。

 私は銃を内ポケットに戻し、

「良かった。みんなは大丈夫? 他に被害は出てない?」

「大丈夫です。見たところシュウが肩を、私が腰と背中をやられた程度です」

 フィーアがいった。そんな彼女をアインスはさらっとお姫様抱っこし。

「ありがとうフィーア。おかげでシルフィが助かった」

「いえ」

 フィーアはいうも、僅かな溜めの後、

「……アインス」

「何だい?」

「誰かを護りながら戦うというのは、難しいことなのですね」

「ああ」

 アインスはうなずき、

「確かに、とても難しい。でも、いま私たちはそれをしなくてはいけない場所にいるんだ。そして、フィーアは見事にやり遂げてくれた」

「いえ、これでは足りません」

 フィーアは首を振り、

「それで倒れてしまっては護りきることはできません。確かに相手は強敵でしたが、必ず勝てない相手でもなかった。護りながらでも、普段と同等に近い戦いをしなくては」

「全く。相変わらずストイックだなおい」

 ここでシュウがシルフィの肩を借りながらふたりに近寄り、

「そうだ。おまえもうすぐ学校行き始めるだろ。あっちでは試しに正反対のキャラを作っていけ」

「正反対のキャラですか?」

「ああ。例えばそうだな、テメェは白か黒かはっきりしねえと駄目な奴だから、逆に白か黒かを決めるな、無理なら白か黒と思った選択を両方避けヘンテコな選択を常にしろ。ついでに真面目でビシッとするのをやめてけ、先生に怒られるくらいふざけたキャラでいけ。ただし、スイーツ好きだけは隠さなくていいむしろ全開いや全壊にしろ。目指すはシルフィが抱きしめたくなるようなうざ可愛いガキンチョだ」

「え、私?」

 ここで話に巻き込まれたシルフィが変な声をだして驚くも、

「ああ、おまえも白黒はっきりしないと駄目な糞真面目キャラだからな。っつうか、シルフィもフィーアも根がそっくりなんだよ。ここらでふたりとも常識ぶっ壊して少し柔軟覚えやがれ」

「でも、どうして私が抱きしめたくなるような、なの?」

「そりゃあ、あのシルフィが元殺人鬼を可愛い可愛いって抱きしめたら天変地異物の大事件だろ。しかもお前の大嫌いな不真面目キャラなら余計だ」

 シュウは笑いながらいった。

 一方、アインスは私や神簇に向けて。

「ところで、先ほどの4人。ふたりはどう見るかい?」

「実力? それとも、なんであの4人が主力部隊にいなかったのか、とか?」

 私が訊ね返すと、アインスは、

「両方さ」

 と、いったので、私はいった。

「とりあえず、ガルムの所が一応の主力部隊であることは間違いないと思うわ。でなければ正義の敵はともかくイーグルも撤退するのはおかしい。ただ、4人がそれぞれ別行動してた所から主力の人員自体は各部隊に分散させてたみたいね。多分、名目上の主力部隊含め全部隊が私たちサイドの主力をホールの外への対処に回らせる為の陽動部隊だったんだと思う」

「なら敵は何を狙ってたのよ」

 訊ねる神簇に私は、

「たぶん、作戦の要はフェンリルね。どこまで私の作戦を把握してたかは知らないけど、恐らく相手はわざとフェンリルに裏切らせて私たちに接触させ、主力部隊の討伐に私たちを向かわせた所で闇のフィールで操り、イリスを殺す。実際、フェンリルはイリスさんを殺せる距離まで接近してたわけだし、彼女は鋭角と別の鋭角をゲートのように繋いで行き来できる。しかも本人が行き来できるだけじゃなくて、攻撃自体を鋭角を通って別の鋭角に飛ばすこともできるって話だし」

「つまり藤稔さんが機転を利かせなかったら見事にやられてたわけか」

「そうなるわね」

 私はアインスに同意しうなずく。

「で、敵側の実力もまだ未知数もいい所とはいえ、間違いなくかなりのものだと思うわ。さすがにどちらが一方的に負けるって話はないと思うけど、あのまま総力戦になれば双方に犠牲が出ていたのは間違いないわね。フィーアが動けるならって条件付きだけど」

「フィーアが万全でないとこちらの不利か。原因は深海さんかい?」

 アインスがいった。私は「ええ」と返し、

「本人はああ言ってるけど、誰かを庇いながらでもフィーアを倒すなんて相当なレベルよ。いまの私たちでそこまで出来る程の凄腕はこの場にいないわ。あえていうなら」

 私は自分の胸の中で眠る少女に視線を向け、

「白兵戦勝負ならガルムにも目があるくらいね」

 実は、同じく白兵戦勝負なら神簇も可能性はあるとは思った。しかし、彼女はハイウィンドの大将。いま正に前線に出てしまってはいるけど、本来はそう頻繁に最前線に出てもらっては困る立場だ。加えて彼女に「あなたなら勝てるかもしれない」とか言っちゃったら、最悪猪みたいに突っ込みかねない。

 だから私は伝えないし、意識して視線ひとつ向けないようにした。

「鳥乃様、ハイウィンドの皆様、ご報告があります」

 同行していたNLTのひとりが私たちの前に立った。

「先ほど霞谷から報告がありまして。敵組織のメンバーが撤退を開始したそうです」

「そう」

 私はガルムを抱っこしながら立ち上がり、いった。

「じゃ作戦成功ね。お疲れ様」

 ガルムの生乳を揉みながら。それをみた神簇にライトセーバーで斬られながら。

 

 結局、この日は記憶処理や施設の修繕が優先され、記者会見は翌日行なわれた。

 イリスは大勢のマスコミの前で嘘偽りない事実を告白し、ソンブラ社を慈善事業として再スタート()()ことを発表。そう、会見が翌日に延びてしまったせいで、彼女の新たな事業はすでに現地で始動してしまったのである。

 その為、イリスは会見を終えてすぐ空港へ向かわなくてはいけなくなった。

 

 ――現在時刻17:00。

 私たちはいま、母国に帰るイリスを見送るため空港のターミナルにいた。この場には私とイリスの他に、木更ちゃんに鈴音さん、そして丁度次の任務で別の便に乗るらしい霞谷さんがいる。

「皆さん。この度は本当にありがとうございました」

 頭を下げるイリスに、私は「いいっていいって」と返し、

「こちらはやるべき仕事を果たしただけだもの」

「でも、あれだけ危険なことを幾つも」

 イリスが言いかけた所を、木更ちゃんが彼女の唇に指を添え、

「私たちは、ただ安全な宿泊先を提供し、当日何事もなく終わった会見を護衛した、ですよね?」

「あ」

 そうなのだ。今回、私たちが情報収集と情報隠蔽の為に行ったネット犯罪は霞谷さん協力の下、警察上層部に手をまわしておいたし、当日の交戦はNLTの記憶処理で事実が闇に葬られている。公式上では私たちは「何事もなく護衛任務を終えた」ことになってるのである。

「ですから、あれだけ平和に終わったのに相場の何倍も報酬を頂いてしまって私たちのほうが頭が上がりません」

 いつもの笑顔で木更ちゃんはいう。

「そう、でしたね」

 イリスも木更ちゃんが言いたいことは理解したので口を合わせる。

 続いて鈴音さんが、

「何かありましたら、また連絡を下さいませ。ハングドは可能な限りアフターフォローもさせて頂きますわ」

「はい。その時はまたよろしくお願いいたします」

 その時、空港内でアナウンスが鳴り響き、

「お別れの時がきてしまったようですね」

 と、霞谷さん。鈴音さんも「ええ」とうなずき、

「お行きなさい、遅れてしまわれる前に」

 なんて促す。

「はい」

 イリスはいい、背を向けて歩き出す。と、そこで私は「あ」と思いだし、

「ごめんイリスさん、忘れ物」

 と、私は追いかけ、借りたままだったデッキを彼女に差し出す。

「あ。そういえば渡したままでしたね」

 イリスは振り返り、デッキを受け取ると、

「? 私、これだけ多くのカードを渡してはおりませんけど」

「牡蠣根のデッキも一緒にしといたわ。2枚だけど天然のフィールカードも混ざってる」

「えっ」

 驚くイリス。私は続けて、

「私が持ってるより、イリスさんが持ってたほうがいいでしょ。カードだって罪はないから、今度は正しい持ち主に使われたいだろうし」

「そう、ですね。ありがとうございます」

 イリスはデッキを外していたデュエルディスクにセットし、

「ところで、そろそろ、その手はやめてくれませんか?」

「ん、なに?」

「カードを渡すついでに私のお尻を触りまくってるあなたの手です」

 なんて掴み上げられる私の手。

「仕方ないじゃない、結局最後までベッドインできなかったんだから。その素敵なお尻とか美脚とか堪能したかったのに」

「鳥乃さん、後ろ」

「え?」

 言われて振り返ると、そこには素敵な笑顔で録音に興じる木更ちゃんの姿。

「あ、木更ちゃんそれ待って! 梓にだけは送信しないで」

「そうですね、どうしましょうか?」

 なんて楽しそうにいう木更ちゃん。しかも私がそっちに気を取られてる間に、イリスは改札口の奥に。

「あ、ちょっと待ってイリスさん行かないで」

 慌てて今度は改札口越しにイリスを呼び止めようとすると、

「鳥乃さん、また会いましょう。私が全ての罪とトラウマを克服したときにでも」

 そういって、イリスは行ってしまった。

「全ての罪とトラウマを……」

 償うではなく克服。

 彼女は、父の問題以外にも、過去に妹をキメセクで潰してしまったことに対して、強いトラウマと罪悪感を負っている。それらが解決したときにまた会おうってことは、イリスさんは――。

(わかったわ)

 すでに声の届かない距離にいる彼女の後ろ姿に、私は心の中で返事する。

 本当なら私の手で克服させてあげたかったけど。それが彼女の決めた選択で、私の誘いに対する返事なら仕方ない。きっと、その時を素直に待ってからのほうが、より素敵な一夜を過ごせるはずだから。

 私の任務はここまでだけど、彼女の闘いはここからなのだ。

「では、私はいまから娘への土産を買っていきますわ。おふたりはどうされますか?」

 見送りが済み、今回の依頼が完遂した所で鈴音さんがいった。

「あ、同行します」

 と、木更ちゃん。

「沙樹は?」

「私は、ちょっと用事がひとつあって。後で時間残ってたら合流するわ」

「わかりましたわ」

 鈴音さんが木更ちゃんを連れて歩き出す。

「では、私もここで」

 続けて霞谷さんも改札口を通って自分の便へと足を進める。こうして、この場に私はひとりになった所で、

「で、隠れてないでそろそろ出てきたらどう?」

 私は近くの柱に向けて声をかける。すると、

「気づいてたんだ、サキ」

 と、顔を出したのはガルム。今回はマフラーをネックウォーマーみたいに口元で巻き、サングラスと帽子で変装してるも、例の黒コートを着てないのでまだ素顔を晒している。

「まあね。ていうか、どうやってこんな所にいるのよ。私たちは鈴音さんの車だけど」

「フェンリルについてきたのよ、ほら」

 なんてガルムが指さす先には、鈴音さんと一緒に歩く木更ちゃんの後ろをストーキングするフェンリルの姿が。

 ということは、彼女の鋭角と鋭角を繋ぐ能力できたということだろう。

 私は呆れながら、

「相変わらずね、あの子も」

 ガルムとフェンリルは昨日をもって黒山羊の実を抜けた。ふたりが今後ハングド入りするのか別の道を進むのかは分からないけど、しばらくは検査やメンテナンスを兼ねて研究施設が預かることに決まっている。

「ねえ、サキ。私お願いがあるんだけど」

 ガルムがいった。

「なに?」

 私が訊ね返すと、

「タエコのこと、もっと教えて」

 って。

「サキとデュエルさせられたあの日から、私の中にタエコはいなくなっちゃったのよ。本当は、それってとても嬉しいこと。やっとタエコが本当に救われたってことなんだもの。でも、私はずっとずっとタエコと一緒だったから寂しくて」

「だから、せめて妙子との想い出を忘れないように、もっと沢山のこと知りたいって話?」

「そう」

 うなずくガルム。

「分かったわ。じゃあ、とりあえずどこか人気のない、ゆっくり休める所にでも移動しない?」

 私はいった。もちろん、暗に手を出す気満々で。しかしガルムは、

「人気のない所? じゃあサキ、バトル! リアルファイトしましょ! 初めてサキと会った日の夜の続き! 今度こそ教えてもらうから、闘いの中で、タエコのこと!」

 なんて別方向で興奮しだす。というかそれ、殴り合いしたいのが第一で妙子はついでなんじゃ。私は思ったけど、

「ま、いいか」

「ホント? 闘ってくれるの?」

「その代わり、私が勝ったらちょっと一晩付き合って貰うって話だけど」

「わふ? いいよ、私負けないから!」

 数回ほどぴょんぴょんと跳ねてから、天真爛漫かつ好戦的な瞳を向けて笑うガルム。

 そういえば、最後に妙子はいっていた。

 

 ――ロコちゃんところちゃんのこと、お願い。

 

 って。

 もしかしてガルムの正体というのは。

「サキ、何してるの? 早く早く」

 ちょっと衝撃的な推測を頭が過ぎるも、直後私はガルムに手を引かれハッと現実に戻る。

「分かった、分かったから引っ張らないで」

 ガルムの足に合わせる為、小走りでターミナルの外に向かいながら、私の頭はすでに「ガルムにどんなスケベしようか」と欲望いっぱいになっていた。

 

 

 あ、リアルファイトは負けました。




●今回のオリカ


インフェルニティ・リゾネーター
効果モンスター・チューナー
星3/闇属性/悪魔族/攻 800/守 800
(1):自分フィールドに「インフェルニティ」Sモンスターもしくは、レベル8・ドラゴン族・闇属性Sモンスターが存在し、
手札がこのカード1枚のみの場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
(2):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。墓地から「インフェルニティ」チューナー1体を特殊召喚する。
この効果は自分の手札が0枚の場合に発動と処理ができる。

RUM-ヴァンパイア・ノーブル・フォース
通常魔法
(1):自分フィールドのアンデット族Xモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターよりランクが1つ高い「ヴァンパイア」モンスター1体を、
対象の自分のモンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
その後、相手の墓地からモンスター1体をこの効果で特殊召喚したXモンスターの下に重ねてX素材とする。
(2):フィールドの「ヴァンパイア」Xモンスターが戦闘または相手の効果で破壊された場合に、このカードを除外して発動できる。
次のターンのスタンバイフェイズに、そのモンスターを表側守備表示で特殊召喚できる。

インフェルニティ・ロスト
通常罠
(1):手札が1枚のみの場合に、その手札を捨てて発動する。デッキから「インフェルニティ」カードもしくは「煉獄」魔法・罠カード1枚を墓地に送る。
(2):自分の手札が0枚の場合、墓地のこのカードを除外し、墓地からカードを3枚まで対象として発動できる。
同じ数だけデッキから「インフェルニティ」カードもしくは「煉獄」魔法・罠カードを墓地に送り、対象のカードをデッキ・エクストラデッキに戻す。

インフェルニティ・ポーン
効果モンスター
星1/闇属性/悪魔族/攻撃力 0/守備力 0
自分の手札が0枚でこのカードが墓地に存在する限り、
自分はドローフェイズにカードをドローできない。
(漫画遊☆戯☆王5D's/種族・属性は推測)

インフェルニティ・クイーン
効果モンスター
星3/闇属性/悪魔族/攻撃力 300/守備力 900
自分の手札が0枚でこのカードが墓地に存在する場合、
自分フィールドのモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターは相手に直接攻撃できる。
(漫画遊☆戯☆王5D's/種族・属性は推測)

インフェルニティ・ルーク
効果モンスター
星3/闇属性/悪魔族/攻撃力 0/守備力2000
(1):自分メインフェイズ時、このカードを手札から捨てることができる。その後、自分の手札が0枚の場合、デッキから「インフェルニティ」カード1枚を墓地に送る事が出来る。
(2):このカードが墓地に存在し、自分の手札が0枚の場合、このカードは以下の効果を得る。
●自分または相手のターン終了時に発動する。このターンにゲームから除外された「インフェルニティ」カードを全て墓地に戻す。
●自分フィールドのレベル8以上・攻撃力2700以上のドラゴン族・Sモンスターは「インフェルニティ」モンスターとして扱う。
(本格的に使用される際にはテキストが変更されてる可能性があります)

煉獄の零門(ゼロ・ゲート)
通常罠
手札と自分フィールド上にカードが存在しない時に自分の墓地のこのカードが存在する場合、自分のライフが0になるダメージを受ける直前に発動できる。
ライフが0になった事による敗北を無効にし、エクストラデッキから「煉獄龍 オーガ・ドラグーン」1体をS召喚扱いとして特殊召喚する。
この効果で特殊召喚した「煉獄龍 オーガ・ドラグーン」が表側表示で存在する限り、あらゆる条件での敗北を無効にする。
また、「煉獄龍 オーガ・ドラグーン」がフィールドから離れた時、自分はこのデュエルに敗北する。
(漫画遊☆戯☆王5D's)
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