間違いながらそれでも俺は戦車に乗るのだろう。 作:@ぽちタマ@
アンツィオ高校。
外国人が初めて作った日本の学園艦とも言われており、コロッセオなどのイタリアの観光スポットを模した建物が多く、テーマパークみたいになっているため観光客に人気が高い(が、地味なため生徒からの評判はイマイチ)。
他にも日伊友好の記念として贈られたポンペイの巨大宮殿の石柱(本物)、パンテオン(イライラした時に思いっきり叫ぶ用らしい、なんじゃそりゃ。ついでにオペラ上映もやるとか。……普通逆じゃね?)やコロッセオ(戦車道訓練兼運動場兼舞台兼お祭り広場)もあり、街並みもローマのそれなため、学園長曰く「ローマよりローマ」とのこと。
さて、なんで俺がこんなにもアンツィオ高校のことを説明しているかと言うと。あれですよ、小町のやつに押し付けられたからである。
もともとアンツィオ高校は小町が行く予定だったのに、あの妹直前になって俺に押し付けてきやがった。
小町に「ちゃんと安斎さんとあって来てね」と言われたが、こっちだって遊びで来ている訳じゃないんだからそうそう会えんだろうと思っていたのだが、意外にも意外、俺を案内してくれる隊長と言うのが安斎だった。
「全員気を付け!」
そしてスペイン階段風階段と呼ばれている場所にアンツィオの戦車道のやつらが集められている。
ここでなにが行われるかと言うと……。
「きっとやつらは言っている! ノリと勢いだけはある、調子に乗ると手強い!」
安斎のやつがなにやら演説を始め出した。
「おぉー」
「強いってー」
「照れるなー」
いや、お前らの耳にはその前の言葉は聞こえてないの? 決して褒めてるだけじゃないからな?
「でも姉さん、だけってのはどういうことですか?」
さすがに疑問にもつやつが一人はいたか。
「つまりこういうことだ。ノリと勢い以外はなにもない、調子がでなけりゃ総崩れ」
「なんだとー!?」
「舐めやがってー!」
「言わせといていいんすか?」
「戦車でカチコミ行きましょう!」
お前らのそのノリはなんなの? もはやどこぞの不良と言わんばかりの気の短さである。というかもう少しまともなやつはこの中にいないのかよ。
「みんな落ち着いて、実際言われたわけじゃないから」
いかん、どうにもこの人の声には抵抗を感じてしまう。だってあれだぜ? 声が雪ノ下にそっくりなんだよ。最初聞いたときは正直ビックリした。
アンツィオ高校、副隊長のカルパッチョ。気軽に「ひなちゃんて呼んでね」と言われたが、ボッチに愛称呼びとか無理なので丁重にお断りした。
そして好きな食べ物はラザニアらしい。名前がカルパッチョなのにこれいかに。いや、べつにいいんだけどさ。
「あくまでドゥーチェによる冷静な分析だ」
で、こちらがもう一人の副隊長ぺパロニ。
ちなみにドゥーチェとは安斎のことであり、これはソウルネームではなく安斎はここではアンチョビと呼ばれている。ドゥーチェの意味としては日本語で統師になる。テストに出ないから覚えなくていいぞ。
「そう、私の想像だ」
「なんだー」
「あービックリした」
もうツッコむのもめんどくさいんだが、分析した結果お前らの隊長がそう思ってるってことには気づいてないんだろうな。むしろ他のやつらに言われるよりダメな気がする。
「いいかお前たち、根も葉もない噂にいちいち惑わされるな!」
いや、噂を言った張本人がなに言ってるんだよ。
「私たちはあのマジノ女学院に勝ったんだぞ!」
「「「オォーーー!!」」」
「苦戦しましたけどね……」
ふむふむ、そうなのか。
「勝ちは勝ちだ!」
「ノリと勢いはなにも悪いことだけじゃない、このノリと勢いを二回戦に持っていくぞ! 次は西住流率いる大洗学園だ!」
「西住流ってなんかやばくないっすか?」
「勝てる気しないっス……」
「心配するな! ……いや、ちょっとしろ?」
おい、本音が漏れてるぞ安斎。
「何のために三度のおやつを二度にしてこつこつ倹約したと思ってる」
いや? え? しょぼくない? それってもうちょっと我慢できなかったの? というかこの学校おやつが出るのかよ。
「なんででしたっけ?」
「前に話しただろ! それは、秘密兵器を買うためだぁ!」
「「「オォー!!」」」
「ごほんっ……。秘密兵器と諸君の持ってるノリと勢い、そして少しの考える頭があれば必ず我々は悲願の三回戦出場を果たせるだろう」
少しの考える頭ね、あの安斎がよくそんなセリフを言えるようになったな。さすがにあの時からだいぶ経ってるからな、成長したんだろう。たぶん。
「みんな驚け! これがアンツィオ校の必殺秘密兵器だぁー!!」
安斎の高らかな宣言と共に昼の鐘がゴォーンと鳴る。
それと同時に話を聞いていたやつらが一斉に走り出す。
「ごはんごはん!」
目的は昼飯かよ。
「おい、まて、こらっ! お前らそんなんでいいのか!?」
「今の季節、食堂のランチ売り切れ早いっすよ?」
まさに花より団子とはこのことだな。
そして俺たちを残して誰一人としていなくなった。俺はビミョーな表情の安斎と二人で見つめあう。
「………」
「………」
まぁとにかくあれか。
「安斎、あの時の俺の気持ちがわかったか?」
「なっ!? 私はあそこまで酷くなかっただろ! というか比企谷! なんで小町じゃなくてお前がいるんだ!」
もうこれで何度目だよ……。
「それは最初に説明しただろうが、俺は小町の代理なんだよ」
「それはそうだけど……、こ、心の準備と言うのがあってだな……」
どうしたんだ? いきなりもじもじしだして。
そしてなんか最後の方がぼそぼそ言ってて聞こえなかったんだが。
「もう姉さんも照れなくていいじゃないですか、この兄さんがあれなんでしょ? 姉さんの初こ―――」
「わぁ~、ばか馬鹿バカァ!! お前は一体なにを言おうとしてるんだ!?」
なんかぺパロニが言おうとしたら安斎のやつが遮った。こいつまさか俺の悪口でも言ってたのか? それだとこの慌てようも納得いくな。
「いや、だから姉さんの―――」
「言わなくていい! 今はそのことは言わなくていいから!! というかどこでそのことを!?」
「なんか姉さんがつぶやいてたのを誰かが聞いたって話ですけど」
「はあ!? じゃあ全員知ってるのか!?」
「大丈夫っすよ、みんなどうせもう忘れてますから!」
「食事のほうが優先度高いからか……。喜んでいいのか悲しむべきなのか」
なんかにぎやかな学校だなここは。
「とりあえず、私たちもお昼に行きましょうか?」
「お、おう……」
ダメだ、まじでこの声に慣れない。若干どころか過分に反応してしまう。
「そんなに私って怖いかしら?」
「……いや、そういうんじゃないんで気にしないでくれ」
「そう?」
「あぁ……」
「おい比企谷、ささっと行くぞ!」
「あ、待ってくださいよ姉さん!」
とりあえず情報収集に来たのに、今わかってるのがノリと勢いと食事が好きなことだけって……。俺来た意味あるのだろうか?このままなにもわかからずに終わらないよな?
そんな一抹の不安を抱えながら俺は食堂へと足を動かすのだった。
====
そんでもって食堂。
そこは普通の学校と同じで食券を買って食堂のおばちゃんに食券をわたすらしい。
俺が食券を渡すとすごく驚かれたが、それは俺の目の腐り具合ではなく単純に男子が珍しかったのだろう……と思いたい。
とりあえず一番人気のなさそうな場所に座るか。
だが俺がわざわざ人から離れたところに座ったのに安斎たちがやってきた。
「比企谷、なんでお前はそんな端っこで食べようするんだ……」
「一人で食べたいからに決まってるだろ」
そのくらい察してくれ、なんで女子の多い場所で俺が飯を食わないといけないのか。
視線が気になって飯どころじゃなくなるんだよ。
なんか他のやつらから見られてる気がするんだが、なんでだ?
「でも兄さん、みんなで食べた方がうまいっすよ?」
「いや変わらんから、あと俺のことは放っておいていいぞ別に」
あと兄さん言うな。
「それなら私たちと一緒に食べようよ」
あのカルパッチョさん? 話聞いてました?
「私、比企谷君にはいろいろ聞きたいことがあるから、ね? いいでしょ?」
なんでこの人こんなにぐいぐいと来るの?
「……まぁ好きにしたらいいんじゃないですかね」
「本当? ありがとう!」
笑顔が眩しい。ボッチにその笑顔は効果抜群なんでやめてもらっていいですか? 主にメンタルポイントがガンガン削られる。
「というか比企谷、よくこの食堂でそれをチョイスできたな……」
なにやら安斎が俺の昼飯に文句はあるようだ。
「今日の気分はこれだったんだよ」
俺はこの食堂で一人イタリア料理ではなくうどんを食べている。あ、ちなみにきつねな?
「むしろよく頼めたな。食堂のおばちゃんが驚いてたぞ」
あぁそういうことか、なんで驚かれたかと思ったら和食なんて頼むやつが滅多にいないからか。
「食券があったんだから別にいいだろ?」
「まぁそうなんだが、他の子たちがお前が頼んでいるのを見て食べたくなったんだろうな今行列ができている……」
「は?」
まじあいつら食事に関しては徹底的にブレんな、ある意味感心するわ。
というかランチさっき食ったんじゃないのか? それにまた食うのかよ、その意欲をもうちょっと戦車に向ければいいものを。いや、それができたら安斎が苦労してないか。
そして安斎たちが俺の座ってるテーブルに座ってきた。
「それで比企谷くんに聞きたいことなんだけど……」
「俺に答えれることなら答えるぞ」
「比企谷くんって大洗で戦車道やってるって本当?」
またよくわからん質問が飛んできたな。なんか関係あるのか?
「あぁ、でもなんでそんなこと聞くんだ?」
「えっと、大洗に私の親友がいて、最近戦車道始めたって聞いてたからうまくやれてるのかなと思って」
それでどうしてるか気になったって感じか。
「名前は?」
「鈴木 貴子、私はたかちゃんって呼んでるんだけど」
「たかちゃんねぇ……」
そんなやつ大洗の戦車道にいたか? ちゃんと全員の名前は覚えてるし……。いや待てよ? そういやあいつらソウルネームで名乗ってたな。
ということはあの中の誰かだろう、たぶん。
「心当たりがありそうなやつはいるな。普通に戦車道を楽しんでるぞ」
「そう? よかった……。まぁ明日会うんだけど」
じゃあなんで聞いたの? え? いやまじなんで?
「聞きたいことはそれだけか?」
「あとはそうだなぁ。比企谷くんとドゥーチェの話が聞きたいかな?」
「俺と安斎?」
「そう、それだよ。比企谷くんの方が年下なのに敬語は使わないし呼び捨てだし」
と言われてもな。
「別に俺と安斎はそういう関係じゃないぞ? 今日会ったのも小学生の頃ぶりだし」
「そ、そうだぞ! なんにもないからな!」
おい安斎、不必要にキョドるな。余計に怪しいわ。
「えー、でもそれにしては二人とも普通に話してるし」
「安斎だしな」
「どういう意味だ、比企谷!?」
もちろんそのまんまの意味である。
「強いて言うなら俺が安斎に戦車のことを教えたってだけだな」
「戦車を?」
俺は小学校での出来事をカルパッチョたちに話した。
「なるほど」
「だから姉さんいつも頭を使えって言ってたのかぁ」
「こいつ馬鹿だったからな、教えるのに相当苦労したんだよ」
「もういいだろう比企谷、その話は……」
もうこの辺で勘弁しといてやるか。
「というかお前らは俺が気持ち悪くないのか?」
安斎は置いといて、カルパッチョとぺパロニは不思議そうな顔をする。
「たしかに目は少し怖いけど、それでも気持ち悪いは言い過ぎじゃない?」
そんなこと思ってたのね。
「いや、男で戦車っておかしいだろ?」
「え? そうなの?」
まぁペパロニはそこらへん深くは考えてなさそうだもんな。
「たしかにそう思ってる人はいると思うけど、少なくとも私たちはそんなこと思ってないよ?」
「………」
「ふふーん、どうだ私の後輩たちは」
安斎のどや顔が鬱陶しかったのでチョップをかます。
「いたっ! なにするんだ比企谷!」
「なんとなくだ、気にすんな」
「なんとなくでチョップするな! まったくお前は昔から……。まぁいい。そんなことより昼からはコロッセオで秘密兵器の公開だ!」
おいおい、秘密なのに公開しちゃって大丈夫なの?いやダメだと思うんだが。
というかこいつらのノリと勢い、思った以上やばそうだな。あの食事への情熱が一瞬でも戦車のほうに行ったら手が付けれそうにもない。
まあ、秘密兵器を見せてくれるってんなら見せてもらうとするか。てか、俺が次の対戦相手ってのはわかってんのかね? なんかそれすら怪しいぞ。
====
大洗学園生徒会室。
私たちは今ここでアンツィオ高校の対策会議を行っています。
「河嶋~、次のステージどこ?」
「はっ! アンツィオとの対戦は山岳と荒地ステージに決まりました!」
「はーい質問! アンツィオってどんな学校?」
「あぁ~、たしか創始者がイタリア人だったはず」
会長さん、その答えはいくらなんでもざっくりしすぎだと思います。
「イタリアの文化を日本に伝えようとしたイタリア風の学校だ。だから戦車道もイタリアの戦車が中心。先の一回戦で使用した車両はCV33とセモベンテM41」
「CV33、わたくし大好きです! 小さくてかわいくてお花を活ける花器にぴったりです!」
「いくらなんでも花器には大きすぎない? ひまわりでも活けるの?」
いくら華さんでもさすがに戦車をそのまま花器に使ったりは……しないよね?
「新型戦車が入ったと聞いたが……」
「どんなの?」
「ちょっとわからないです」
「一回戦には出なかったもんね」
「だからこその秘密兵器か……。ま、いっか。そのうちわかるし」
それは一体どういう意味なんだろ?
「え? なんでわかるの?」
沙織さんが会長さんに尋ねたと同時に勢いよく生徒会室の扉が開きました。
そこには優花里さんと……八幡くん? なんか前にもこんなことがあったような?
「秋山 優花里、ただいま戻りました!」
「……うす」
「おかえりー」
「おぉ、待っていたぞ」
「お疲れ様~」
「ていうかその格好、まさか……」
「優花里さん、ひょっとしてまた?」
「はい!」
そして優花里さんは前と同じように映像を流しだす。
タイトル名は……、秋山 優花里のアンツィオ校潜入大作戦。なんか前よりも凝ってる……のかな?
『はい、今日はアンツィオ校に来ています。ワンパターンですいませんが、今回もコンビニ船を使ってうまく潜入することができました』
前も思ったけど、着替えのシーンはいるのかな? これって八幡くんも見てるし恥ずかしくないのかな優花里さん。
『それにしても平日なのに屋台がたくさん出ていますが学園際かなんかでしょうか?』
優花里さんの言うとおり、出店が所せましと並んでいる。
『あのぅ、私転校してきたばっかりでよくわからないんですけど、今日ってなんかのイベントでしたっけ?』
『いつもの日だよ』
『随分と出店多いですね』
『うちはいつもこんなもんだって、いろいろな部や委員会が片っ端から店だしてるの。うちの学校ビンボーだからね、少しでも予算の足しにしないと』
『そうでしたか、どうもであります!』
そして画面が優花里さんに切り替わる。
『なんともこれは賑やかで楽しそうでありますね!』
優花里さん楽しんでるなぁ、なんか私もアンツィオ高校に遊びに行きたくなっちゃった。
『はっ! 戦車を飾ってるお店があります!』
『アンツィオ名物鉄板ナポリタンだよ~。おいしいパスタだよ~』
わぁー、ホントにおしいそう。
『あ、そこの彼女、食べていきな』
これって何の動画なんだっけ? 私たちはたしかアンツィオ高校の戦車のことを知りたかったはずなんですけど……。いつの間にか違う何かに変わってるような?
『ますオリーブオイルはけちけちしなーい。具は肉から火を通す、今朝とれた卵をとろとろになるくらいに……。ソースはアンツィオ校秘伝トマトペースト、パスタの茹で上がりとタイミングを合わせて……はい、300万リラ!』
『え、えぇ~! いつの為替レートですか!?』
優花里は慌てて財布の中身を確認してます。
『いや……300円』
どうやらあちらの冗談だったようです。
『ではさっそく、……おいしいです!』
『だ~ろ~』
『ところで戦車って言えば新型が入ったって聞いたんですけど』
『なにいぃ? どこで聞いた?』
『あ……すみません』
『おめぇ通だね~。ここだけの話っつうか超秘密なんだけど……重戦車を手に入れたんだ!』
超秘密なのに言っちゃうんだ……。
『聞いて驚け! ……えぇっと、イタリアのなんだっけ?』
『イタリアの重戦車といえばP40ですか?』
『そう、それそれ! P40をそれはもう気の遠くなるぐらい貯金しまくって、私らの代でようやく買えたんだ。アンチョビ姉さん……、ああうちの隊長なんだけど、もう喜んじゃって。コロッセオのあたりを走り回ってるよ!
燃料もあんまねーのに!』
『ありがとうございます! ……なんかすごい街ですね。あっ、カルロベローチェです! 箱乗りしてますよ! まるで小さいかばさんチームであります!』
そして優花里さんはさっきの人が言っていたコロッセオのほうに向かったみたい。
『わぁ~、コロッセオの中広いですね~』
たしかに優花里さんの言う通り中はすごく広い。この中で練習とかやってるのかな?
『これが我々の秘密兵器だぁ!』
『おぉ!P 40の本物初めて見ました!』
私も始めてみたけどすごい迫力……。これは相当手強そう。
『まぁこれさえあれば大洗など軽く一捻りだ!』
『現場は大変な盛り上がりです!』
『『『ドゥーチェ!ドゥーチェ!ドゥーチェ!ドゥーチェ!』』』
『以上、秋山 優花里がお送りしました!』
動画終わってテロップが流れ出す。最後のみんなが掛け声してたやつ、なんか優花里さんの声が混じってたような? 気の所為かな?
「ちょっと強そうですね」
「ちょっとじゃないだろ!」
「私P40始めてみました……」
「こりゃもう少しガッツリ考えないとだめだね~」
「そうだ! 比企谷はまた行ってたの?」
「ん? あぁ、結局また秋山のやつが来てたみたいだから意味なかったけどな」
「なら比企谷、貴様はなにしに行ったんだ?」
「強いて言うなら……」
「強いて言うなら?」
「飯がうまかったです」
「誰も味の感想等聞いとらんわ!」
そっか八幡くんアンツィオ高校の料理食べたんだ。いいな~。
「そうか、ならまだ元気があり余ってるな……。西住、比企谷、お前たちに頼みたいことがある」
====
ということで俺と西住はカエサルたちが住んでいる下宿先に向かっている。
なんでもP40の資料があるとかで、それを取りに行けとのことだ。
「ここらへんか?」
「うん、たしか住所はここだと思うんだけど……あっ」
西住が指さす方を見ると表札があり、そこにはあいつらのソウルネームが書かれていた。
「ここもソウルネームなんだ」
なんかここまでくると感心するものがあるな。
「ごめんくださーい」
西住が呼びかける。そうして一時待っていたら玄関が開いた。
「「「いらっしゃい」」」
カエサルたちが住んでいる下宿は純和風のザ・日本とでもいうような木造建築二階立てだな。
俺と西住はその畳の客間にいる。
「お茶入ったよ」
なんとも個性的な湯呑だ。そこまでこだわるか、お前ら。
「ありがとうございます」
「わざわざすまんな」
「P40の資料はあまりないが……」
「こんなにたくさん」
資料を持ってきてもらったのはいいんだが日本語で書かれていない……。
「英語じゃないぜよ」
「イタリア語……?」
そしてカエサルが本の表紙のタイトルを読みあげる。
「「「「えー!?」」」」
「イタリア語読めたんだ!?」
「びっくりぜよ……」
「イタリア語とラテン語は読めて常識だろ」
いやどこの常識だよそれは。
「常識じゃない!」
ほら、左衛門佐さんもいってるだろ?
「図面やスペックはわかるからコンビニコピーをしよう。きりがないけどこんなものかな」
「どうもありがとう」
「ホントは知り合いがアンツィオ校にいるから聞いたほうが早いんだけど」
「あぁ、たしかにその手があったか」
「そんなのいたのか?」
「初耳ぜよ」
「八幡もいるんだな、アンツィオに知り合いが」
「ん? まぁな、知ったのが最近だが」
「どんなお友達なんですか?」
「小学校の同級生でずっと戦車道をやっている子だ」
「俺もなんか似たようなもんだな」
「え? 八幡くんも? ってことは知り合いって女の子……」
なんか西住が考え出したんだが、どうしたんだ?
「そんな情報源があるなら最初から聞けばよかったのに」
なんだろうか、エルヴィンのやつ拗ねてんのか?ちょっと言い方がツンツンしてる。いや、俺の勘違いかもしれんが。
「いや、敵が友達だからこそ正々堂々と情報を集めたいな私は」
なんか耳が痛いな。俺なんて正々堂々からかけ離れているし、使えるもんはなんでも使うからな。
「なるほど友情は友情、試合は試合ぜよ」
「八幡くんもそんな理由なの?」
「俺か? いや、俺は根本的にできないからやってないだけだ」
まぁ聞いたとして安斎が教えてはくれんだろうが。
「どういうこと?」
「連絡先を俺は知らない」
「え?」
「知り合いじゃないのか?」
「思いだしたのが最近でついでに名前も知ったのも最近だ」
ついでに付け加えるなら昨日だ。
「それはどういう関係なんぜよ……」
「いやだから、知り合い?」
「なんで疑問形……」
「それで今日アンツィオ高校に行ったときに会ってな」
「「「今日!?」」」
「まさか隊長になってるとは思わなかったけどな」
「「「隊長!?」」」
「八幡くん、今さらっとすごいこと言ったよね?」
ん?そうか?
「そうだ八幡、お前に聞きたいことがあるんだが」
「俺にか? なんだ?」
「いやあのボードゲームのことについてな」
「あぁ、あれなら私も聞きたいぜよ」
「なにが聞きたいんだ?」
「えっとだな―――」
とりあえずカエサルたちの質問に答えて、俺たち戦車道の練習のために大洗学園に戻るのだった。