間違いながらそれでも俺は戦車に乗るのだろう。   作:@ぽちタマ@

9 / 56
彼らは試合前に互いを知る

「明日は試合か……」

 

 気付けば、あれよあれよとこんなところまで来てしまった。

 正直俺が戦車に乗って、ましてや試合に出ることになるとは。今でもドッキリかなんかじゃないと疑っているよ、まじで。

 今日の練習は試合前ということもあり午前中に終わっているのでゆっくりできる。小町と久しぶりに外食に出かけるのもいいかもな。最近は戦車ばっかりであんまりかまってやれなかったし、そうするか。

 

「小町、今大丈夫か?」

 

「どうしたのお兄ちゃん? いきなり」

 

「いや、暇だし久しぶりに外食でもしないか?」

 

「外食かー、お兄ちゃんのおごりなら小町行ってもいいかな~」

 

「別にそれでもいいぞ俺は」

 

「え、ホント!? それなら……」

 

 小町がそう言いかけた時、小町の携帯が鳴りだした。

 

「電話か?」

 

「ううん、メール」

 

 そしてメールの確認が終わったのか再び会話に戻る。

 しかし武部もそうだが女子ってなんであんなに携帯の操作が早いの?メール返すのさえ俺はやっとこさなのに、見ていて不安になるレベルであいつらはすぐに返信してるよな。あれだ、携帯検定なんてあったら絶対に一級取れそう。

 

「ねえお兄ちゃん、小町が今から行くところ決めても大丈夫?」

 

 小町は突然そんなことを言いだした。

 

「高いところじゃなきゃどこだっていいぞ別に、なんならサイゼでも構わん」

 

「それはお兄ちゃんが行きたいだけでしょ? 別に小町が今から行きたい場所は高いところじゃないから大丈夫だね」

 

 サイゼの何が悪いのだろうか? 安くて旨くて学生の財布にも優しいと三拍子揃ってるのに。

 

「それよりどこに向かうんだよ小町」

 

「それは着いてのお楽しみってね!」

 

 なんだろうか、今の小町の笑い方が会長さんのやつと被った。いや、ないわー、いくらなんでもあの会長と小町の笑顔がダブるとか……戦車道のしすぎで疲れてるのかもしれん。今度休みでも申請したら許可でも下りるかしら? いやないな、なんせあの会長だし。

 そして小町に連れてられたのはなんとも見覚えがある場所だった。

 え? 目的地ここなの? 嘘だろ?

 

「おい、小町」

 

「なーに、お兄ちゃん」

 

「なにって……ここで本当に目的地あってんの?」

 

「うん♪」

 

 いや、うん♪て、ここどう見ても学校にしか見えないんだが、もちろん大洗学園である。

 なんか道に見覚えがあると思ったらそりゃそうだ、だってもろ通学路だったし。しかもそのまま進んで行くと思ったら生徒会室前で止まったよ小町のやつ。

 おいおいまじでなんでここなの? のこのこ付いてきた俺も俺なんだけどさ。

 そして小町と一緒に中に入っていく。

 

「いやーよく来たね、比企谷ちゃん、小町ちゃん」

 

 会長に出迎えられて中の様子を見ると戦車道の面々が全員いた。

 なんだろうか、異様に不安になってきたんだが、別に大丈夫だよな?小町もいるし。逆に今ここに小町がいなかったら俺は即座に帰るまであったな。

 

「なんの集まりですかこれ? しかも試合前日なんかに全員集まって」

 

 ホントなんでこいつら集まってるんだろうか? 暇なの? いや、俺も人のことは言えないけどさ。

 

「いやー原因は比企谷ちゃんにあるんだよね、一応」

 

 なんてことを言われるが、身に覚えがないな全然。

 

「その顔だとわかってないね。じゃあ質問するけど、戦車道の時に他の人と話したりした比企谷ちゃん?」

 

「西住たちとはちょこちょこ喋ってた気がしますね、あとは……」

 

 自動車部の人たちくらいか。そう考えると俺ってまったく他のやつらと会話らしい会話をしてない。

 いやでも、これは俺悪くないだろ。基本的に練習は別々だったし、女子に自分から話かけるとか無理だし。

 

「気づいたみたいだね、比企谷ちゃん」

 

「や、でもこれ何も問題ないですよね?」

 

「比企谷、貴様本気で言ってるのか?」

 

 いや、そんなに睨まんで下さい恐いです。

 

「じゃあ、比企谷ちゃんに聞くけど、この中で名前がわかる人は何人いるのかな?」

 

「ほとんどわかりませんね」

 

 俺は悪びれもなくそう答える。だってわからないものはわからないのだ。

 

「そこだよ、比企谷ちゃん。戦車道はあくまで集団戦なんだから、それだといろいろ困るでしょ?」

 

「それは……」

 

 たしかに言われればそうだな。

 いくら俺の戦車が偵察ばかりといっても連携するときはしないといけない、その時に意思疎通が上手くいかず作戦失敗など目も当てられない。

 

「話はわかったんですけど、なんでこのタイミングなんですか?」

 

「いやー、単純に戦車道の練習が忙しかったのと、比企谷ちゃんが予想以上に誰とも関わらなかったからねー」

 

 つまり俺のボッチ力が想像以上で大変困っていると、そういうことか。

 

「兄は昔から人と関わることを避けてきましたからね、そりゃもう筋金入りですよ」

 

 いや小町さんよ、そこは少しでもフォローするとこじゃないの? なんで俺のことディスってるの? 八幡的にはポイント低いよ。

 

「なあ小町、さっき来たメールはもしかして……」

 

「うん、会長さんからだよ」

 

「だって比企谷ちゃん普通に呼んだんじゃ絶対来なかったでしょ?」

 

「全力で拒否しますね」

 

 当たり前だ。なんで女子の集団に自ら突撃しないといけないのか。

 

「即答か! 比企谷!!」

 

「まあまあ。とりあえず今各チームごとに分かれてるから、比企谷ちゃんは自己紹介も兼ねて話をしてきてねー」

 

 しかしこの生徒会室あらためて見るとまじで広いな。今西住たちも含めて5チームもいるのに普通に入りきれているし。なにやったらこんな部屋使えるんだろうか?

  謎だわ。

 俺がまったく話していないのは西住たちと生徒会を除けば3チーム。歴女チーム、バレーボールチーム、一年生チームだ。

 正直話す内容なんてまったく思いつかんが必要なことだからやるしかないか。

 

「じゃあ最初は歴女チームから行こうか比企谷ちゃん」

 

「……はあ、わかりました」

 

「お兄ちゃん、頑張ってね!」

 

「なにを頑張れと……」

 

「お姉ちゃん候補を増やしてきてね!」

 

「いや、無理だから。あきらめてくれ」

 

 小町は小町で趣旨を勘違いしてるだろ。俺がやるのは自己紹介だから、婚活とかそんなんじゃないからな。

 

「えっと、比企谷 八幡だ」

 

「ほう八幡か、いい名前だな。私はカエサル」

 

「エルヴィンだ」

 

「左衛門佐」

 

「おりょうぜよ」

 

「は?」

 

 初っ端からアクセル全開なとこに当たった。まじかよ、こいつらどう考えても本名じゃないだろ、この名前。

 

「ん? なにかおかしなところでもあったか八幡?」

 

 とりあえずなんで名前呼び? ていうかこいつら見た目のわりにはコミュ力高いな。

 

「いやいや、おかしいもなにもなんで偽名なんだよ」

 

「偽名じゃない!魂の名前(ソウルネーム)だ!!」

 

「いやどっちも俺的には変わらないんだが……」

 

「そういうな八幡、お前も一緒だろうに」

 

 ああ、そういうことか。なんでそんなに親しげかと思ってたが理由がやっとわかった。

 

「いや、別に俺の名前は本名なんだが」

 

「なんと!?」

 

「それはうらやましいぜよ」

 

「名前付けた理由聞いたらがっかりするぞ?」

 

「そうなのか?」

 

「ああ、なんせ八月八日に生まれたから八幡と名付けたらしい」

 

 いやホントうちの親はテキトーすぎない? 絶対これ真剣に考えてないだろ。

 

「だが安易に八と名付けられるよりはマシなんじゃないか?」

 

「そう言われるとそうなんだが……」

 

「正直うらやましいぞ、その名前」

 

「そうか? 別にそんないいもんでもないけどな」

 

 なんか自分の名前が褒められるとか経験したことがないから正直むずがゆいな。

 

「というかお前らの本名教えてくれよ」

 

「え?」

 

「い、いやそれは……」

 

「なんというか」

 

「は……」

 

「は?」

 

「「「は、恥ずかしい」」」

 

 顔を真っ赤にしながらカエサルたちはそう言う。

 いや、ソウルネーム名乗ってる方がよっぽど恥ずかしいと思うんだが。俺がおかしいのか? 価値観が違い過ぎて理解出来ないんだが。

 

「まあ、それはいいや。じゃあ戦車を見つけた時のこととか話してくれ」

 

「戦車を?」

 

「ああ、聞いた話ではお前らの戦車、池の中にあったんだろ?どうやって見つけたんだ?」

 

「どうといわれてもな」

 

「なあ?」

 

「えらくもったいぶるな、言えないことなのか?」

 

「いや、そういうわけではないのだが、簡単に言うと」

 

「簡単に言うと?」

 

「カエサルが八卦で場所を特定し、左衛門佐が池に潜って見つけたぜよ」

 

「まじで?」

 

「まじもまじ、大まじぜよ」

 

 いやこいつらなんで戦車道なんかにいるんだろうか?

  この才能を別のところに活かした方がいいんじゃないのか? まあ今更あの会長が手放すとも思えんが。

 

 その後はカエサルたちの歴史の話を聞いたりして会話終了となった。意外とあいつらのする話は授業なんかより詳しくてちょっとびっくりした。俺も別に歴史は嫌いではないので話していて普通に楽しかったしな。

 

「会長さん、次はどこですか?」

 

「次はバレーボールチームだね」

 

 バレーボールチームか、なんというかバレーボール部に限らず運動部というのはどうも苦手だ。俺たちは青春してるんだぜー、って感じで近寄りがたいんだよな。俺の勝手な偏見ではあるんだが。

 

「えっと、比企谷 八幡だ…よろしく」

 

「磯辺 典子だ、よろしく」

 

「近藤 妙子です」

 

「河西 忍です」

 

「佐々木 あけびです」

 

 このバレーボールチームなのだが、磯部が二年生でそれ以外は一年生らしい。

 磯部の身長が低い所為か周りの一年のやつらが高すぎるのか、なんともあべこべな感じがする。

 それとこいつらが戦車道を取った理由が、会長に戦車道の大会で優勝をすればバレーボール部を復活できると言われたんだと。

 そもそも優勝できないと学校そのものがなくなるだけどな、いらぬプレッシャーを与えてビビらせてもしょうがない。

 

「それで比企谷はどこか部活でも入ってるのか?」

 

「いや、入ってないぞ、帰宅部だ」

 

「そうなのか? その割には体が結構鍛えられてると思うんだけど……」

 

 そう言いながら磯部は俺の体をぺたぺた触ってきた。

 ちょっ、なにやってんのこの人!?

 

「お、おい、何をしてるんだお前は! いきなり人の体を触りだして」

 

「え? いや、どんなふうに筋肉が付いてるんだろうなと思って」

 

「せめて本人に了解を取ってからそうしてくれ。いきなり触られてびっくりしたわ」

 

「あ、ごめんごめん、つい気になっちゃてね?」

 

 気になっちゃってねじゃねーよ。これあれだからな?

  逆の立場だと確実に男はセクハラで訴えられる。

 いやまあ男の方は絶対とは言わないが触るとしたら確実に下心があるだろうし仕方がないか。

 それと早めに磯部のやつ止めてよかった、他の一年も気になって触ろうとしていたからな。こいつら男に対してもうちょっと危機感を持った方がいいんじゃないの?

 

「お前、俺じゃなかったら勘違いされてるぞ」

 

「大丈夫! バレーボールやってるし!」

 

「いやバレーボールは万能じゃないから」

 

「それなら根性で!」

 

 いかんな、どんどん明後日の方に話が向かっている気がする。

 

「根性でもどうにもならんから、とりあえず男にこういうことはするなよ? 危ないから」

 

「わ、わかった」

 

 いかん、少し睨み過ぎたか。ただでさえ俺の目は腐っているのにそれが睨んだりすると余計やばいらしい。

 ちなみにこれは小町による情報だ。できれば俺にそのことを言わずに胸の内に秘めていて欲しかったよ。正直、実の妹に言われるとショックがデカい。

 とりあえず変な空気になったし話変えるか、気になっていたこともあるし。

 

「なあ、なんでお前らバレーボール部の格好してんの?」

 

 この生徒会室に入ってからずっと気になってんたんだよな。

 

「このあとバレーボールの練習するからね!」

 

 そう磯部は答える。まじで?

 

「おいおい、明日は戦車道の試合だぞ?」

 

「大丈夫大丈夫、いつも私たち戦車道の練習のあと練習してるし」

 

「いくらなんでも頑張り過ぎだろ」

 

「バレーボール部復活の為だから!」

 

「「「キャプテン!一生付いていきます!!」」」

 

 そうして四人でハグしあう。

 なんというかこいつらはこいつらで事情があるんだな。このまま戦車道を続けて戦車道を好きになったらどうするんだろうか? 優勝して戦車道に残るかはこいつらの選択だし俺が気にすることでもないか。

 

「そうだ比企谷、結局なんでそんなに鍛えてるんだ?」

 

「……ん? ああ、戦車動かす為だよ」

 

「戦車を? 男なのに?」

 

 やっぱり疑問に思うよな。男が戦車にの為に鍛えてるなんて言ったら気持ち悪がれるか引かれるかのどっちかなんだよな基本的に。

 磯部たちもてっきり同じ反応が返ってくると思ったんだが。

 

「意外と根性があるんだな、比企谷!」

 

 その言葉にほかのやつらもうんうん頷ている。

 

「は? なんでそうなるんだ?」

 

 少なくとも根性は関係ないと思うんだが。

 

「だってそうじゃないか、いつ乗れるかもわからないのに今まで頑張ってきたんだろ?」

 

「……まあ、そうだが」

 

「なら私たちと一緒だ! 私たちもバレーボール部復活のために頑張っているからな!」

 

 正直、全然違う気がするんだが、これ以上はなにを言っても一緒だな。

 

「じゃあ、比企谷ちゃん最後は一年生チームだね」

 

「やっと最後ですね」

 

「……そうだね、比企谷ちゃん」

 

「なんですかその間は……」

 

「気にしなーい気にしなーい」

 

 いやすごく気になるんですけど。

 この会長のことだからなにか企んでいるのか? とりあえず何もないことを祈るしかないか今は。

 

「ほんじゃ始めますかね、比企谷 八幡だ」

 

「せんぱーい、私たちの時だけ雑じゃないですか?」

 

「気にするな」

 

「えー、澤 梓です」

 

「山郷 あゆみです」

 

「阪口 桂利奈です!」

 

「宇津木 優木です」

 

「大野 あやです」

 

「…………」

 

「どうした?」

 

 なんだろう、最後の一人がしゃべらないな。

 

「ほら沙希、自己紹介しないと」

 

「どんどん先輩の目が怖くなるよ?」

 

 いや、ならないからね? 俺をなんだと思っているんだろうか。

 

「……紗希」

 

 聞き取れるか聞き取れないかのレベルでボソッとそうつぶやいた。

 

「すいません先輩、この子、丸山 紗希って言うんです」

 

「ん? ああ、俺は気にしてないからいいぞ別に」

 

「……先輩って意外と優しいんですね」

 

「意外とってなんだ、意外とって」

 

「あはは、最初はちょっと目が怖いなーなんて思ってたんですけど」

 

 そんなこと思われたのか、でもこの目は今更どうしようもないし、どうしたもんか。

 

「紗希はいつもこんな感じなんで怒る人とかいるんですよ、ちゃんと話せ! って」

 

「まあ人には人のペースがあるし、あんまり気にしない方がいいんじゃないか」

 

 俺なんて自分のペースで行っていたらいつの間にか周りのやつらがいなくなるなんてことがあったが、丸山のやつはこいつらがいるし大丈夫だろうな。

 すると丸山のやつが俺に近づいてきて手を差し出してきた。

 

「どうした?」

 

「たぶん紗希は先輩と握手したいんじゃないんですかね?」

 

「俺と? なんで?」

 

「仲良くなりたいんですよ、先輩と!」

 

 なんだろうか、武部といい丸山といいなんで握手=仲良くなるなんて方程式が成り立ってんの? 俺にはそれが不思議でたまらない。

 だって俺の小学生時代に握手なんてしたことがなかった。人と触れようとしたら比企谷菌が移るだのなんだの言われてたからな。別に意味なんてなかったんだろう。ただなんとなく言ってみただけ、子供なんて単純故に残酷だ。

 だから正直にいうと俺は握手なんかで仲良くなれるなんて思ってはいないが、こいつらにとっては違うんだろうな。

 

「ほれ、丸山」

 

 そういって俺が差し出した手を丸山は握ってきた。

 いや握るのはいいんだが、これはいつまでやるの? 丸山のやついっこうに離す気配がないんだが。

 

「なあ、いつまでこの状態なんだ?」

 

「ほら紗希、手離さないと先輩困ってるよ?」

 

 丸山のやつはしぶしぶといった感じで手を離した。なんだったんだ?

 

「先輩は彼女とかいるんですか?」

 

「いるように見えるか?」

 

「意外と顔は悪くないと思うんですが、いかんせんその目で台無しになっていると思います」

 

「褒めるか貶すかどっちかにしてくれ……」

 

「えへへ、すいません」

 

 なんで俺こんなに言われてんの? 正直に言いすぎな気がするんだが……それだけ遠慮がなくなったってことか。それがいいのか悪いのかさておいて、これで全部終了だな。

 

 

 ====

 

 

「ふう、とりあえずこれで終わりか」

 

 いやー疲れたわ、普段人と話さないから余計だな。

 

「どうだった比企谷ちゃん? 話してみて」

 

「思った以上に疲れましたよ」

 

「でも楽しかったでしょ?」

 

「……悪くはなかったですかね」

 

「さすが捻くれてるね~比企谷ちゃん」

 

「これで終わりですよね? そろそろ帰っても大丈夫ですか?」

 

「最後にイベントやるから、ちょっと待っててね」

 

「イベントですか?」

 

「うん。とりあえずみんな集まってくれる?」

 

 そして西住たちが近づいてきた。

 

「大変だったね、比企谷くん」

 

「まあな」

 

「えー、でも比企谷なんやかんやで楽しんでなかった?」

 

「いや知らない女子と話すとか俺にとって苦痛でしかないから」

 

「ふーん、じゃあ私たちは?」

 

「お前らか?」

 

「そうそう結構よく話してるじゃん!」

 

 言われるとそうだな、こいつらはなんだろうか?

 

「手の掛かる問題児?」

 

「問題児ってなによ、比企谷!」

 

 いや、自分で言っててなんだが、だいぶお前らはお前らで問題児だと思うのは俺の気の所為じゃないだろ。正直個性が強すぎるのだ、ここの戦車道にいるやつらは。

 

「自分のこと棚に上げ過ぎじゃない?」

 

「俺のどこが問題児なんだよ」

 

「いやいやどこからどう見ても問題児でしょ! ねえミホ!」

 

「あはは……」

 

「比企谷殿、ときにはあきらめも肝心ですよ!」

 

 いや、秋山それフォローになってないから、むしろ傷つけてるからな?

 

「それじゃ今日の最後のイベントを始めるよー」

 

「会長なにをやるんですか?」

 

 小山さんたちも聞かされてないのか、なんか不安になってきたんだが。

 

「王様ゲーム」

 

 は? 今なんて?

 

「今から王様ゲームを始めまーす」

 

 聞き間違えじゃなかったよ、何言いだしてるんだこの人は。

 

「王様ゲームってなんですかー?」

 

 そうか、知らないやつもいるんだな。会長の説明次第ではどうとでもなるかもしれない。

 

「簡単に言うと、王様のかかれたくじを引いた人がなんでも好きな命令を言えるんだよ」

 

「な、なんでもですか?」

 

「でも、ここには男子もいるんですけど……」

 

 いいぞ武部もっと言うんだ。そうしたら必然とお開きになるはず。

 

「そこは安心していいよ、比企谷ちゃんには引かせないから」

 

 あれ? 俺いらないんじゃね? そう思っていたのだが甘くはなかった。

 

「でも今回は比企谷ちゃんの親睦会だからね、王様になった人は比企谷ちゃんになにかしてもらうかを命令して欲しいんだよねー」

 

 え? まじ?

 

「具体的にはどんなふうに命令したらいいんですか?」

 

「例えば10番が比企谷ちゃんと握手するとか、コーラ買ってきてもらうとかそんな感じだねー」

 

 なるほどつまりはみんなで俺をいじめようってことですねわかります。ねえ、これ帰っていい?

 

「さすがにそんなにやるものでもないから2、3回ぐらいやって終わろうか」

 

 これを2、3回もやるのかよ。というかみんななんでそんなやる気なの? 俺ってそんなに嫌われてるのだろうか。

 

「よかったね、お兄ちゃん」

 

「これのどこがいいように見えるんだ? 小町」

 

 正直もう帰りたいんだが……。

 

「たぶんお兄ちゃんが思っているようなことにはならないと思うよ?」

 

「なにを根拠に……」

 

「お兄ちゃんだって本当はわかってるんでしょ?」

 

「…………」

 

「沈黙も答えだからねお兄ちゃん」

 

 なんだろうか、今日の小町に俺は勝てそうにないな。

 

「じゃあみんな、くじを引いてみようか」

 

 俺以外の全員が配置に着きくじを引こうとしているのだが……ちょっと待て。

 

「おい小町、なんでお前もそっちにいるんだ」

 

「え? なんでって、小町も引くからだよ?」

 

 なんで至極当然みたいな顔でこっちを見てるんだあいつは。

 

「いやいや、お前は関係ないだろ」

 

「えー、会長さん小町も参加していいですか?」

 

「面白そうだからいいよ、小町ちゃん」

 

「ありがとうございます!」

 

 はい、そういうことで小町の参加が決まった。

 さっきお姉ちゃん候補どうのとのたまっていたので正直不安でしかない。いくら小町でも非常識なことは言わないと思いたいが……。

 あれだ、小町が王様引かなければいいんだよな。大丈夫だろ、こんなに人数がいるんだし。

 

「じゃあ、いくよ」

 

 会長の掛け声と共にくじが引かれる。

 

「「「王様だーれだ?」」」

 

 結果から言おう、王様は小町だった。

 まじなんなのあの子? このタイミングで運を使わんでもいいだろうに。

 というかまじ変な命令はするなよ小町、常識の範囲内で頼むぞ。

 

「あ、王様は小町ですね」

 

「じゃあ小町ちゃん命令をどうぞ!」

 

「……えっと、11番の人が兄に頭を撫でてもらうでお願いします」

 

 よかった、思った以上に普通だった。てっきり小町のことだから俺では考え付かないようなことをぶっこんで来ると思ってたからな。

 さてと、問題は11番が誰かなんだが。

 

「……私だ」

 

 声のした方を見てみると、11番のくじを持った冷泉がいた。

 

「冷泉ちゃん、比企谷ちゃんのとこに行って頭を撫でてきてもらってね」

 

 そして冷泉のやつは渋々といった感じでこちらまでくる。

 

「優しく頼む」

 

 いや、頭を撫でるのに優しいも何もない気がするんだが。

 

「まあ、出来るだけ痛くないようにはするつもりだが……」

 

 なんかここだけセリフを切り抜いたらいい感じに誤解されそうだな。

 そんなどうでもいいことを考えつつ俺は冷泉の頭の上に手をもっていって撫ではじめる。

 最初は少し冷泉のやつも抵抗していたが、今は完全に俺の手になすがままである。

 なんか撫でてて思ったのだが、冷泉のやつはなんとなく猫っぽいな。

 

 

「なんか麻子、すごく気持ちよさそう」

 

「う、うん」

 

「なんででしょうか?」

 

「それは小町が説明しましょう!」

 

「こ、小町ちゃん!?」

 

「はい! みんなの小町です!」

 

「そ、それで説明ってどういうことなの?」

 

「それはですねー。兄は自覚してないんですけど、あのなでなではそれはもう恐ろしいほどにやばいんですよ!」

 

「そ、そんなになの?」

 

「もうあれはゴッドハンドと言っても過言ではないですね。小町も時々撫でられてるんですが、一度撫でられると抗えなくなっちゃうんですよ、あれ」

 

「比企谷殿のなでなではその領域までに!?」

 

「というか小町ちゃんはそれがわかってて命令の内容をあれにしたの?」

 

「はい!」

 

 

 なんかあっちが騒がしいな、なにやってるんだ?

 

「比企谷、少し雑になってるぞ」

 

 いや、こいつはこいつでなんで注文つけてきてんの?

  てかもういい加減やめていいだろ、かれこれ五分ぐらい撫でてるし。

 

「もういいだろ? そろそろやめるぞ」

 

「あ……」

 

「どうした?」

 

「い、いや、なんでもない……」

 

 なんだったんだ? 冷泉のやつ。

 

「それじゃあ比企谷ちゃん次に行こうか」

 

 なんか会長は会長でニヤニヤとこちらを見てきてるし、俺が知らない間に何かあったのか?

 

「それじゃあ」

 

「「「王様だーれだ?」」」

 

 まあなんでもいいが早く終わらせてもらいたい。

 

「あ、私だ」

 

 今度王様を引いたのは一年生チームの澤だった。

 なんかあれだ、見ただけで名前がわかるようになっただけ今回のやつはやった意味があるみたいだな。正直王様ゲームはいらなかったけど。

 

 一年のやつだしそんな変なこともいわないだろう。

 

「えっと、4番の人の質問になんでも答えるでお願いします」

 

「あ、私か」

 

 どうやら今度は磯辺らしい。

 

「じゃあ、最初は軽く誕生日あたりからで」

 

「軽くって、質問は一回じゃないのか?」

 

 そんな俺の疑問に会長さんが答える。

 

「回数の指定はされてないから質問する人の采配だねこれは。とりあえず比企谷ちゃん、ジャンジャン答えていこうか」

 

 それから身長、体重はたまた好きな食べ物などいろいろ質問をされた。質問の内容が一般的で助かる。これが武部だとしたら恋愛関係の質問とかになるだろうし、秋山なら戦車関係になるんだろうな。西住だとなんだろうか?ボコ関係を質問してきそうだな。

 

「じゃあ最後の質問に行こうか」

 

 やっと最後か、なんか長いようで短かった。

 

「戦車道やってる今は楽しい?

 比企谷」

 

 なんだそんなことか、なら俺の答える言葉は決まっている。

 

「別に嫌いじゃないな」

 

「やっぱり素直じゃないねー比企谷ちゃん」

 

 さて、なんのことでしょうかね。

 

「それじゃ、次で最後にしようか」

 

 もう大丈夫だろここまで来たら、あとは消化試合だな。

 

「「「王様だーれだ?」」」

 

 そして最後の最後で王様になったのは。

 

「ありゃ、わたしだ」

 

 はい、会長さんが王様になりました。

 いやーホントなんでここで引くの? いろんな意味で小町以上にやばい人が王様になっちゃったよ。

 

「そんなに警戒しなくていいよ、変な命令はしないから」

 

「本当ですか?」

 

「信用ないなー」

 

「いや、今までが今までなんで簡単には信用できないですよ……」

 

「まあ、そんな比企谷ちゃんは置いといて、さっそく命令の方に行こうか」

 

 そういうところが信用できないところなんですけど。

 

「比企谷ちゃんが13番の子を名前呼びするでよろしくー」

 

 なんか思った以上に普通だな。

 

「なんで名前呼びなんですか?」

 

「だって比企谷ちゃん、基本的に人のこと名前で呼ばないからねー」

 

「名前呼びなんて仲のいいやつらがやるもんでしょ? だから俺には関係ないですよ」

 

 リア充どもはすぐ名前呼びしたがるからな。あれはなんの意味があるんだ?名前呼びしたぐらいで仲がいいアピールとか片腹痛いんだが。

 

「ところで13番は誰なのかな?」

 

「あ、私です」

 

 本日最後に選ばれたのは西住だった。

 

「えっと、よろしくね?比企谷くん」

 

「それじゃあさっそく言ってみようか、比企谷ちゃん」

 

 俺は今になって重要なことに気づく。

 いわずもがな俺はボッチた。だから名前呼びなんてしたこともされたこともほとんど経験がないのだ。

 だいぶこの王様ゲームで感覚が麻痺してたらしい、名前呼びなんて俺にとって超難関じゃねーか。5分前の能天気な自分を殴りたくなってきた。

 

「どうしたの比企谷ちゃん?」

 

「あ、あの、他のやつに変えてもらうってのは?」

 

「変えてもいいけど、それは西住ちゃんの名前を呼びたくないってことでいいのかな?」

 

「えっ……」

 

 会長さんの発言で西住の顔が曇る。

 その言い方は卑怯すぎるだろ。今にも泣きそうな西住の前でノーと言えるわけがない。

 

「すいません、変えなくて大丈夫です」

 

「遠慮しなくてもいいんだよ?比企谷ちゃん」

 

 この人ホントいい性格してるな。

 

「ごめんごめん意地悪が過ぎたね、気を取り直していこうか」

 

 そして俺は西住の前に立つ。くそっ、もうどうにでもなれ!

 

「…み、みほ」

 

 ぐわーっ!なんだこれ!?リア充のやつらこんなのを毎日やってるのか?ありえないだろ、無理無理無理こんなのボッチの俺が耐えられる訳がない。

 これで終わりだと思ったのだが……。

 

「ほら、西住ちゃんもちゃんと返さないと」

 

「え、えっと、比企谷くん」

 

「違うよ西住ちゃん。名前で呼ばれたら名前で呼ばないと」

 

 ちょっ、なにいってるんだこの人。

 

「え?そ、それじゃあ…は、八幡くん…」

 

 この世界はいつからラブコメになったんだろうか?

 気づいたら女子が目の前で顔を赤らめながら俺の名前を読んでるんだが…これなんてギャルゲー?

 

「…いちゃん、お兄ちゃん!」

 

 はっ!いつのまにか意識が飛んでたみたいだな。

 

「大丈夫?八幡くん」

 

 どうやらまだ夢の中らしい、西住がまだ俺の名前を呼んでるよ。

 

「小町、俺の頬を思いっきり引っ張ってくれ」

 

「いいの?お兄ちゃん」

 

「ああ」

 

 俺の要望通り小町は俺の頬を引っ張った。

 いや、確かに思いっきり引っ張ってくれとは言ったがもう少し手加減してくれても良かったんじゃないか?まだヒリヒリするんだが。

 というか夢じゃないのか。

 

「西住、なんでまだ名前呼びなんだ?」

 

 たしか会長の命令はもう終わってるはずだが。

 

「比企谷くん、ううん、八幡くんだけ名前で呼んでなかったからちょうどいいかなって」

 

 なるほどそういうことか。

 

「えっと、迷惑だったかな?」

 

「いや、西住の好きなように呼んだらいいと思うぞ」

 

「そう?じゃあこれから八幡くんて呼ぶね」

 

「ああ」

 

「そ、それで、八幡くんは私のことなんて呼ぶの?」

 

 西住もじもじしながら言わないでくれ、勘違いしそうになる。

 

「すまん西住、さすがに名前呼びは今すぐには無理だ」

 

「今すぐってことは、いつかは呼んでくれるの?」

 

「気が向いたらな」

 

 ちなみにこの気が向いたらな、は一度も訪れたことがないのは内緒だ。俺が西住を名前で呼ぶ機会なんてもうないだろうしな。

 

「それじゃあ、今日はこれでお開きにしようか」

 

 会長のこの言葉で今日は解散となった。

 

 

 ====

 

 

 そうして日曜日がやってきた。

 やってきてしまったなこの日が、俺は前日からワクワクし過ぎて少し寝不足だ。理由が小学生の遠足前並みにしょぼいがそこはあれだ勘弁してくれ。

 んでもって俺は今、冷泉の家の前にいるのだがどうしたもんだろうか。迎えに来たのはいいのだがその迎えを頼んだ本人が一向に出てくる気配がない、呼び鈴を何回か鳴らしたがこれも反応がなかった。

 

 途方に暮れていたら俺の携帯が鳴りだした。

 

「もしもし」

 

「あ、繋がった。もしもし私だけど?」

 

 ふむ小町以外からの女性の電話か、イタ電だな。

 

「すいません、人違いです」

 

 そう言って俺は携帯を切った。どこかで聞いたような声だった気がするが気のせいだろう。

 そうしたらまた掛かってきた、意外としつこいな。

 

「だから人ちが、」

 

「比企谷!なんで電話途中で切ったの!!」

 

「いです」

 

 耳が物凄く痛いんだが声デカすぎだろ。まあいいとりあえず会話するか。

 

「いや知らない女の人からの電話は詐欺だと疑えという親父の教えがあってだな……」

 

「いや私のこと知ってるでしょ比企谷!ていうか携帯の方に登録してるんだから私の名前が表示されてるはずだから!」

 

 言われて自分の携帯を見てみる。

 おお、確かに表示されてるな。なんせ俺の携帯に掛けてくるやつなんて妹の小町かキャッチセールスぐらいだったからな。

 

「すまん気づかんかったわ、普段俺に電話を掛けてくるのが小町ぐらいなもんでな」

 

「それはそれで理由が悲しすぎるよ……」

 

「そこはほっとけ。で、どうした?」

 

「麻子起きてる?」

 

 ああ、そういうことね。

 たぶん武部のやつはこうなることを予想していたんだろうな、正直助かる。

 

「それが呼び鈴鳴らしても一向に出る気配がなくてな、正直困ってた」

 

「やっぱりそうなってるのね……今そっちに向かってるからもうちょっと待ってて。あと一応ミホにも電話しとくから」

 

「あいよ」

 

 数分後武部がやってきた。

 

「比企谷、一緒に麻子ん家入るよ」

 

「いや、男の俺が勝手に入ったらいかんだろ、いろいろと」

 

「そこは私が許可するから、そもそも起きない麻子が悪いんだから!」

 

 それはそうかもしれないが、後からになって言いだしたりはしないで欲しいと切に願うしかないか、すまんな冷泉。

 

「も~!麻子起きてよ~!試合なんだから!!」

 

「ねむい…」

 

「単位はいいの!?」

 

「よくない…」

 

「だったら起きてよー!」

 

 いやー凄まじいな。布団を剥ごうとする武部とそれに抗う冷泉。ていうかもう起きてないか冷泉のやつ?そこまでして布団から出たくないのか。もうこれは意地と意地の戦いだな、時間が時間だからのんきなことは言ってられないが。

 

「今比企谷もここにいるんだから早く起きて……って、きゃっ!」

 

 その言葉に冷泉はすごい勢いで布団から飛び出し、武部は引っ張っていた反動でそのまま倒れそうになる。

 さすがに危なかったので俺が抱きかかえる形で武部を受け止める。

 

「っと、大丈夫か?」

 

「え?あ、ありがとう…」

 

「どうした?顔真っ赤だぞ?」

 

「な、なんでもない!」

 

 そう言って武部はすごい勢いで俺から離れた。

 そんなに俺に触れられたくなかったのだろうか?俺が勝手に助けたとはいえさすがに俺でもそれは傷つくぞ。

 そんな俺の視線に気づいたのか。

 

「別に嫌だったとかそういうわけじゃ…だからっていきなり近づくのは無しだから!」

 

 俺にどないしろと?まあ別に俺は気にしてないからいいけどな、ホントダヨ?ハチマンウソツカナイ。

 というか冷泉のやつを放置しすぎだな。

 

「な、なんで比企谷が私の家に…」

 

 なんでって。

 

「いやそもそもお前が俺に迎えを頼んだんだろうが」

 

「だがそうだとしても家に勝手に入るのはどうなんだ?」

 

「いや、それは俺も思ったんだが……」

 

「私が許可したの、麻子がいくら待っても起きないから」

 

「ぐぬぬ…」

 

「ほら唸ってないで早く着替える!」

 

 パパパ、パパパ、パッパパパー!と甲高い音がなり響く。なんだ? なにか始まるのか?

 武部が窓を開けると秋山がそこにはいた。

 

「おはようございます!おや?冷泉殿はもう起きてらっしゃるんですね」

 

「ああ、今さっきな」

 

 ドン!!

 

 すると今度は地響きが聞こえてきたと思ったら戦車の空砲の音が聞こえた。さすがにこの音には近所の人たちもざわつき始めている。

 

「すいません!空砲です!」

 

 西住はそのまま戦車で冷泉の家の前まで来た。

 五十鈴のやつが運転しているのか。

 

「「おはようございます」」

 

「ああ、おはよう」

 

「おはようございます!西住殿、五十鈴殿!」

 

「おはよう!ミホ、華!」

 

「西住たちは戦車でここまで来たのか?」

 

「うん、沙織さんから電話があったから、これなら麻子さんも起きるかなって思って」

 

 ついでに言うと近所の人も起こしているんだが、そこは西住らしいというかなんというか。やっぱりどこか抜けてる気がするな。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。