不真面目なボディーガード訓練生が幻想入り   作:橘恵一

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はじめまして橘 恵一と申します。

初めての小説ですが護衛ファン、そうでない方に呼んでもらえたら嬉しい限りです。

探り探りですが、どうぞよろしくおねがいします!

●2014年7月26日 文字数が少なかったので1、2、3話の3話分を合わせて修正投稿致しました。第3章までで本文の文字数が少ない話は引き続き修正していきます。


共通ルート【第1章】初めての幻想入り編
第1話 「魔法関連ってことはファンタジー系か、たまに読んでみるのも悪くないな。」


7月1日

 

「ようやく近くまで来たぜ薫、いよいよ明日にはお前の婿選びがはじまるんだな。」

 

 そう呟いてオレはこれまでの1年間を少し思い出す。

 

「……今みたいにまともな人格が出来たのはやっぱりお前がいたからなんだ、だからお前の望んでいる道に連れ戻してやる。ボディーガードの道に。」

 

 他の奴らから言わせてみればオレは今でも充分おかしい性格だそうだが、同じ部屋になる前を考えると相当面倒だったはずだ。だからこそここで借りを返す。

 

「それに侑祈や尊も待ってるからな。」

 

 オレは今、元ルームメイトの南条薫を学園に連れ戻すために行動している最中だ。え、なんでかって? 強いて言うなら友達を助けてやりたいと思ったからだな、それに原因がオレみたいだし。早いトコ終わらせて馬車馬の如くコキ使ってやるぜ!

 

「なぁ? こういう時って誰かが変わりにオレの紹介とかするんじゃないのかよ。ま、しろってんならしてやるさ。」

 

 朝霧海斗、憐桜学園という生徒が資産家の娘とボディーガード訓練生ってとこに通ってる学生だ。暁東市って都会で貧乳お嬢様を護衛してるんだが、新幹線に乗って漸く森に着いたとこだ。他の詳しい説明はおいおい分かっていく事になると思う、気になるなら勝手に調べるのも手だ、以上。

 

「でもなんで山ん中に家建ててんだよ、不便だろ。」

 

 辺りを見回す。

 

「1日前に来てなかったら道に迷って婿選びに出られなかったかも知れん。そういや神崎の爺さんが屋敷まで一本道だって言ってたな。」

 

 神崎の爺さんってのは薫の警護対象者(プリンシパル)神崎萌の爺さんで、かなりの権力者らしく今回の件に協力してもらっている。

 

「今歩いてる道がそれっぽいよな。」

 

 目の前には人の手で整備されたと思われる一本道がある、その道以外は木々が生い茂って道とは呼べない程だ。

 

「けど誰かが敷いたレールの上を歩くなんてご免だってよく言うもんな。」

 

 言うと同時に道ではない方向に進み、ちょっとした崖を降りる。

 

「かなり時間があるんだし、回り道でもしてギリギリ登場ってプランに変更するか。」

 

 そう言いその時の事を妄想しながら荒れた山道を進んでいく。

 

………。

 

……。

 

「いかん、いかん。オレとした事が昆虫採集に夢中過ぎて時間を忘れてたぜ。」

 

 山道を進んでいくと大量の虫と出会い、いつの間にか興味を奪われて気がついたら夕方になっていた。

 

「集中力が良すぎるのも考え物だな。」

 

 でもギリギリ登場するには丁度いいだろう、今から薫の家へ向かうとしよう。

 

「あれ? 薫ん家に繋がってる一本道どこだよ?」

 

 周囲を見回すがそれらしき道は見当たらない。

 

「やれやれ、これだから一本道の奴は困るぜ。」

 

 腕を組み、目を瞑りながらどうしたものか考える。

 

「…………。」

 

 急に背後から違和感を感じる。その違和感は人の気配でもなく、視線でもない。表現しずらいが、その空間全体? に違和感を感じた。オレはすぐに目を開き、後ろを向く。するとそこは木々が生い茂っていた森ではなく、暗い竹林の光景が広がっている。

 

「……竹なんて無かったよな?」

 

 明らかに異常と言えるほどおかしい現象を目撃しつつも、オレはある物に対しての興味を強く持ってしまっていた。

 

「竹は見た事あるが、ここまでの竹林ははじめてだな。」

 

 持ち前の好奇心が押さえられず、手が勝手に竹を触る。

 

「自然に生えてる竹はこうなってるのか、もっとも人工の竹なんて触った事ないが。」

 

 生えている竹を触ったり、少し力を入れて握ってみる。

 

「って、それよりも……。」

 

 いまさらな気もするが再度後ろを見る。

 

「オレが向いてた方は森のままか? いや違うな、別の森になっていやがる。」

 

 森という点は変わってはいないが育っている植物が違う。それに、キノコなんて生えてなかったはずだ。

 

「とりあえず歩いて様子を見るか……もちろん森の方な。」

 

 竹林に行くのも悪くはないが一応オレにはやらなくちゃいけない事がある。なら僅かでも南条邸にたどり着きそうな方を選ぶのは当然。

 

「退屈が嫌いなオレにとっては願っても無い状況なんだがな。」

 

 他に優先するべきことがあるのをわかっていても心が踊っている自分が居る。森を歩いて数分、ぐぅ~っと腹の虫が鳴る。

 

「そういや、朝から何も食ってねぇな。」

 

 昔は結構食わなくても平気だったが、今じゃ3食食べてるし胃がでかくなってるのだろう。

 

「最悪その辺のキノコで我慢すればいいだろ。」

 

周りにはさっきよりも大量のキノコが見える。ここだけ育ちやすい環境なのか誰かが養殖してるかを考えようとした時、微かな音と気配を感じる。

日も沈んできて、すぐにあたりは暗くなるだろう。森に野宿でも構わないが、現在地の情報が無いまま1日過ごすのはよくない。

 

「情報はあるにこしたことはないか。」

 

 少し小走りで気配の場所へ。そして到着したと同時にある方向へ目が惹かれた。

 

 目立つ白と黒の尖った帽子で三つ網が部分的にある金髪の少女。服装は童話や絵本で良く見かける魔法使いのような格好で、これまた白と黒。小柄で年はオレより下だろう。その容姿からは活発な少女だと感じさせるほどの雰囲気があった。

 

「退屈じゃないのは嬉しいが、タイミングが……。」

 

 薫を連れ戻すだけだと思ったらこんな事になるとは誰も想像出来なかっただろう。

 

「とりあえず第一村人発見! ってやつだな。」

 

 そう言いながら少女と言葉を交わせる距離まで近づく。

 

「う~ん、見つからないなぁ。」

 

 近くで見ると中々ファンタジーな服だと分かる、雷太辺りが喜ぶかもしれない。

 

「なぁ、話を聞きたいんだが良いか?」

 

 少女はオレに気付いたようで振り向く。どうやら言葉は通じるらしい、面倒にならずに済みそうだ。

 

「ん? 別に良いけどって、見ない顔だな。」

 

 警戒した様子も無く、少女はオレと目を合わせる。

 

「当然だ、オレほどのイケメンはそう簡単に出逢えるわけ無いだろ。ツイてるぜお前。」

「……自分でイケメンって言う奴、初めて見たぜ。」

 

 どうやらファーストコンタクトは成功したようだ。

 

「それで本題なんだが、南条邸の場所を知らないか?」

「南条邸? 聞いたこと無いぞ、ソレ。」

 

 嘘を言ってる……わけじゃないか。人間が嘘を吐くときは何かしら身体の信号で判断できる。良くあるのは目が泳いだり、突然挙動不審になるとかだ。

 

「マジか?」

「ああ。」

 

 南条もそれなりの家で知名度もあると思うが、田舎なら知らないのも仕方ないのか?

 

「まいったな……二階堂、倉屋敷って名前も知らないか?」

「それも聞いたことないぜ。」

 

 二階堂を知らないとなるとオレがいた所とかなり違う場所って事になる。運悪く県境を越えたか、んでもってすげぇ田舎で都会の情報が来ないのか。

 

「じゃあ、この場所について教えてくれ。」

「ここは幻想郷。そんでもって多分お前は外来人だな。」

 

 言葉通りなら不法入国と扱われてもおかしくない。オレには身分を証明する物が無い。一応、偽造の証明書はあるけどそんなことはその時になったら考えればいい。因みにもう一つの単語は推測出来ないような言葉だ。

 

「元居た場所に帰る方法を教えてくれ。」

 

 すると金髪の少女は目を大きく開いて驚いた表情になった。

 

「驚かないのかよ? お前がいた世界と違うってのに。」

「オレが居た場所と雰囲気が違いすぎる。それに二階堂、倉屋敷は結構有名な資産家であんたが知らないならオレがいた場所とは違う場所、あるいは情報に疎いだけだが、口ぶりからして後者は考えにくい。しかも、外来人なんて言われたらある程度予想できるだろ。世界が違うとは思わなかったけどな。」

 

 少女の驚いた表情は変わらない。ここまで驚かれたのは生まれて初めてかもしれな……いや、最近はそうでもないか。驚かれる事が頻繁になってきた気がする。

 

「何人か見てきたけど、来たばかりの奴はそこまで考える余裕を持たないんだけどな。」

「オレもそいつらと何も変わらない。今にも不安で挫けそうだ。」

「そんな風には見えないけど。」

 

 少女は目を細め、一瞬考えるそぶりを見せた。

 

「……帰り方、教えてやるよ。博麗神社に行って霊夢に頼めばいいんだぜ。」

 

 また聞き覚えの無い単語。だが表情には出来るだけ出さないようにする。只でさえ知らない土地で情報が何も無い。しかも世界? が違うらしいとなると何が起こってもおかしくはない。少しは臨戦態勢にしとく必要があるかもしれない。

 

「それだけ?」

「あぁ。でもそろそろ夜になるから明日博麗神社に案内してやるよ。」

 

 なんだか、知らんが帰る手伝いをしてくれるようだ。世界が違くてもお人好しはいるんだな。

 

「そうか、じゃあ明日。」

 

 軽く片手を挙げ振り返る。

 

「おいおい! ちょっとどこ行くんだよ? お前寝るとこないだろっ。」

 

 焦った様子でオレに言った。

 

「どこって、その辺の茂みにでも野宿しようと思ってたんだが。」

「野宿って……夜は妖怪が出やすいのに何言ってんだか。」

 

 呆れた様子で何か呟く。

 

「出会ったのも何かの縁だろ? 家に泊まらせてやるよ。」

「良いのか?」

「あぁ、遠慮すんな。」

 

 泊めてくれるなら利用しない手は無いか、腹も減ってるし。

 

「じゃあ、そうさせてもらうぜ。」

「よし、じゃあ私の家に行くか。え~とっ……。」

 

 少女は困った様子だ。ま、名乗ってないし当たり前か。

 

「海斗だ、朝霧海斗。」

「海斗だな! 私は霧雨魔理沙だ、宜しくな。」

 

 そう言った、少女の表情は笑顔になっていた……オレには勿体無いと感じてしまうほど、眩しい。赤の他人で世界も違う、なにが起こるか油断は出来ない。

 

「ああ。」

 

 それにお互いのことを何も知らない。それでも、心が惹かれそうになる。

 

「早速行くか。魔理沙。」

 

 その笑顔は嘘ではないと思えてしまうほどに。

 

………。

 

……。

 

「着いたぜ!」

 

 魔理沙の家に着くと日は完全に沈み暗くなっていた。でも不思議とそこまで暗いとは思わない。周りは森、街灯なんてものは無い。ただ単に星が強く、光輝いている。オレが今まで見た中ではまちがいなく一番だろう。

 

 そして目の前にあるのは洋風でなかなか大きな家、サンタクロースが入るような煙突もある。周りには様々なガラクタ、それも昔のポストや白い銅像のヒゲじじぃが置いてある。壁は白く、手入れをしていないのか? かなりのツタが絡まっている。正直、全然綺麗では無い。

 

「どうせ部屋の中も汚いんだろうな。」

「なんか行ったか?」

「いや、なんでもない。」

 

 魔理沙に続いてオレも家に入る。

 

「へぇ、広いじゃねぇか。」

 

 想像してたよりは片付いている、ただし一箇所を除いて。

 

「アリスのヤツ来るって言ってたし、部屋が片付いてるって事は来てたのか。」

 

 ぶつぶつと喋りながら、頭を抱えている。

 

「なんか予定でもあったのか?」

「特に用事って程じゃないかな、明日にでも会いに行けば良いだろうし。さぁ、海斗は風呂に入ってきな。その間に夕飯の準備しとくぜ。」

「そうさせてもらう。」

 

 案内された風呂は多少昔の品を使っていて、新鮮に感じた。浴槽は一人で入るには十分すぎる広さ。恐らく三人くらいなら入れるだろう。それに女だけあって風呂は日頃から掃除しているようだ。

 

「ふぅ。やっぱり気持ち良いな、さっぱりしたぜ。」

 

 風呂を上がると魔理沙の家にあった男性用のパジャマを受け取り袖を通す。男性用の物ってことは彼氏の物だろうか? そうそう、言っておくが魔理沙もちゃんと風呂に入ったから。安心しろよ。

 

 あ? なんで一々言うかって? オレはどこまでもリアルを追い求めるからだ!

 

「じゃあ、食べるか。」

「和食か。最近は洋食ばかりだったから、すげー美味そうだ。」

 

 食卓は家や外見とは違い、和食で統一されている。キノコご飯にキノコの味噌汁。それにキノコのお浸し、キノコと野菜の炒め物。どんだけキノコ好きなんだよ! 末期だなコイツ。

 

「その言い方だと洋食食べて無かったら美味そうじゃないってことか?」

「さぁな、勝手に判断してくれ。」

「……。」

「早く食べろよ、冷めちまうぜ?」

「なぁ魔理沙、なにか言うことあるだろ。」

「なんの事だか……。」

 

 その時目が泳ぐ、実にオーソドックスで分かりやすい信号だ。

 

「オレの持っていたキノコが無いんだが?」

 

 森を彷徨っている時に食料として1つ、スーツのポケットに入れていたはずが見当たらない。着替えのパジャマを用意している時点で少しおかしかったしな。魔理沙はだんまりを続ける、もしかしたら騙し通せるとでも思っているのかもしれない。

 

「おおよそ、オレが気付かなかったらそのままで。気付かれても飯を食わせて取引させるってとこか。」

「……お前はさとりかっ!!」

 

 さすがに騙しきれないと分かった途端に叫ぶ。

 

「さとりってだれだよ。」

「なんでバレたんだ?」

「ポケットに入れてたキノコが無くなれば誰でもわかるだろ。それに、汚い部屋が一箇所あるがキノコの実験? してそうだしな。」

 

 汚い部屋には実験で使うような道具と資料の山。キノコや試験管? だったか、ソレが置いてある。

 

「ま、そのキノコはやるよ。飯の代わりにしようと思ってただけだからな。」

「本当か?」

「ああ。そこまで欲しがるってことは貴重なキノコだったか。」

 

 なんせこのオレが何かを感じ取るほどのキノコだからな! そう思い自然と笑みがこぼれる。

 

「実験で必要だった、猛毒キノコだぜ!」

 

 ……急に寒気が。わ、わかってたもんね! 猛毒だって事は。

 

「魔理沙の称号が魔法使いから命の恩人に進化した!! ……食うか。」

 

………。

 

……。

 

「ふぅ、食った食った。」

「なに言ってんだ? 1時間前に食べ終わっただろ。」

「こうした方が会話が伸びて文字数稼げるだろうが!」

「文字数? なんの事言ってんだよ?」

「もういい、なんでもない。」

 

 ってなわけで1時間前には飯を食い終わってる。その後は食器を片付け、寝るための布団を敷いた。寝る場所はオレがソファーで魔理沙がベッドだ。

 

「なぁ、何か本ないか? 寝るまでの暇つぶしに読みたいんだが。」

「本か。何冊くらい読むんだ?」

 

 実験室? で本を探しながら聞いてきた。

 

「4冊で良い、ジャンルも問わない。あ、マンガはパスな。」

「ほい、こんなんでいいだろ。」

 

 近くの机にドシッっと音が聴こえるほどの本を置く。文庫本サイズを期待していたんだがちょっとした参考書程度だ。

 

「さてさて、ジャンルはなにかな?」

「家には魔法関連と料理の本しかないぞ。」

 

 持ってきた本は3冊が魔法関連、1冊が料理関連。

 

「料理か、作った事は無いがこの機会に見ておくのも良いだろう。」

 

 とは言っても優先順位は低いため、別の本を手に取る。

 

「魔法関連ってことはファンタジー系か、たまに読んでみるのも悪くないな。」

「ファンタジー系? 魔術関連の本だぞ。」

「あ? あ~、オカルトってこと?」

「これだから一般人は……読んでも理解出来ないと思うけど言葉の意味は分かるだろうぜ。」

 

 魔理沙はヤレヤレと言った様子でため息を吐く。

 

「あれ? オレ、バカにされてる?」

「じゃ、私は寝るからな。」

 

 オレの目の前が急に暗くなる。

 

「うぉ! 急に明かりがっ。」

「今電気消したから当たり前。」

 

 それから数分。ベッドからは寝息が聞こえてきた。オレはと言うと本を読んでいる。明かりが無いから読めないと思うだろうが意外にも月明かりでなんとかなるもんだ。

 

 ……オレは暗闇では眠れない。夜に本を読むときは当たり前だった。今も昔も、周りには誰も居ない。守ってくれる人も、守るべき人も。でもあそこの住人には関係ない、むしろ格好の獲物だ。そんな奴らが住み着いてる場所では満足に寝ることすら出来ない。

 

 自分を守れるのは自分だけ。そう教えられた……自分以外は信用するなと。




いかがでしたでしょうか?

今僕は心臓がバクバクしちゃってます。

今後はこの作品を続けていく事、読みやすくする事、文章のおかしなとこをなくす事の改善をしながら進めたいと考えていますのでご意見、ご感想がありましたらご指摘お願いいたします。
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