もちろん、良いことは信じて、悪い事は信じない。
それがオーラ、前世、守護霊でも。
ようは気の持ちようだと思う。
何事も明るくポジティブに考えていれば明るい未来がきっと見えてくると。
もちろん、適度なネガティブも必要ですけど。
それと注意です!!
アンケートの回答は活動報告かメッセージにください。
感想欄に書くのはNGらしいので。
それではお楽しみください。
●2014年10月23日 文字数が少なかったので31、32、33話の3話分を合わせて修正投稿致しました。第3章までで本文の文字数が少ない話は引き続き修正していきます。
7月14日
昨日から降りだした雨が止むことも無いまま最終審査の終了時刻が迫る。幸いなのは雷が鳴り止んだこと。昨日は雷が嫌いな薫に寝ているところを無理矢理起こされて面倒だった。しかも、これまた面倒だったのが近くの木に雷が落ちたことだがあんな間近で雷を見ることなんてそうそう無いことだし良しとしよう。
極めつけは龍との戦いか。久々に骨のある奴と戦えるかと思っていたが手を抜かれるなんてな。紫が遠くで見ていたこともあって力をセーブしたと考える事もできるが龍の様子を見る限り気付いてなさそうだった。身体が勝手にそうなったと考えられなくも無いか。
それより武志の姿が見えない。投票前に確認したら部屋にも戻ってないらしくおまけに薫と母親は居ないときた。こんな時、オレの胸騒ぎは良く当たる。ここ何日も続いた大雨のせいで土は柔らかくなり、川は増水しているだろう。武志の姿を見なくなったのは親父とケンカしてからだ……流石に誰かの命と誰かの未来は天秤に掛けられない。一般的に考えれば命と未来は似た意味にもとれる。どちらかしか取れないのであればオレは迷わず命を取る。生かすとしても、殺すとしても。いや、どちらも大切だったら両方選ぶか。未来は死ななければ余程のことが無い限り失いはしないだろう。でも命は失えばそれきりだ。気がつけばオレは屋敷から激しい雨の中を駆け出していた。
………。
……。
武志を探しに川まで来たは良いが審査に必要な紙は既に濡れているだろう。一応携帯の間に挟んでいるが、濡れてる度合いが違う。確認しようとポケット漁る……どうやら流されてしまったようで、影も形も無い。
「まさかこの短期間で川を見る、飲む、潜る、ダイブを経験できるとは思わなかったな。」
そう武志はオレが見つけた時には流されかけていた。何とか助ける事は出来たものの、タイミング悪く大木が流れてきてそれを庇いお互い流される。さすがに足場が無ければ人一人を岸に投げる事も出来ず、滝から落ちたわけだ。
「ったく、なんでオレが他人の為にこんな事しなくちゃいけないんだよ。」
そんな事を呟く身体は全身ずぶ濡れで、スーツのいたるところは破れている。それだけじゃなく赤い液体も流れている。当然、滝から落ちれば重力には逆らえず下にある岩に身体がぶつかってしまう。普通ならガキは死ぬだろうが、オレをクッションにする事で回避したわけだ。
「……昔のオレならここまでしないだろうな、全部あいつ等の影響か?」
頭の中に浮かんでくるのは数人の顔。貧乳お嬢様やその妹、アンドロイドだったり、ルームメイトだったり。最近出逢った、魔法使いや巫女、人形遣いも思い浮かぶ。
「なんともまあ、お人好し連中に毒されたもんだ。」
先ほどまで降り続いていた雨も止み、自分の身体を確認する。
「屋敷に戻った方が良いな。武志をこのままにしとくわけにもいかないだろうし。」
大木に寄りかかっていたオレは立ち上がり、気を失っている武志を担ぐ。
「思ったより軽いじゃん。」
そのまま川を後に屋敷へ向かう。
「良くそんな身体で動けるわね。」
姿は見えないが声色から驚いている事が分かる。
「アンドロイドだったりするからな。」
「それにしては凄く血の匂いがするけど。」
「鼻が利くとは予想外だ。」
「左足骨折に背中の裂傷、軽く見ただけでも重傷よね。」
「これしきオレにとっちゃあかすり傷なんだよ。」
歩けたり、物を運べるならそこまで酷くは無い。
「ほんと人間とは思えないわ、表情に変化も見られないし。普通は悶絶しない?」
どうやら余程、不思議なようだ。
「こんなんで悶絶するほど人間は弱かねぇよ。」
「その基準は可笑しいと思うけど。」
確かに基準としては行き過ぎているか。それでも禁止区域の連中なら何人かオレみたいな奴が居るだろう……少なくともそんな男をオレは一人知っている。
「そんな行き過ぎたクレイジーな男の方がモテそうじゃね?」
「私としては大歓迎よ。」
「そんなお前はチェンジで。」
「……もっと若くてピチピチのほうが良いの?」
「ピチピチっていつの時代だよ。見た目だけなら別に問題なしだ。」
「それが聞けて安心したわ。じゃあ疲れてるだろうからまた後日お見舞いにでも来るわね。」
そう言うと紫の気配は消える。
「面倒だな、まったく。」
そんな言葉を知らずの内に呟くオレの目の前には屋敷が見えてきた。
………。
……。
「海斗っ!!!」
戻ってきたオレに気付き薫は近付いてくる。屋敷に入ると目の前には婿候補、父親、メイドがいた。どうやらオレが川に行ってる間に出かけていた母親と薫は戻ってきたみたいだな。
「おい、一応まだ審査は終わってないんだ。やめておけよ。」
「そんな事言ってる場合じゃないだろっ!!」
なにを言っても無駄だな。
「なら武志を先に手当てしてくれ。なぁ審査は終わったのか?」
薫の父親に尋ねる。
「あ、あぁ終わったばかりだ。」
「そうか。んで、合格者はいるのか?」
流石に間に合わなかったか。仮に間に合ったとしても紙が無い以上どうすることも出来ない。
「……合格者は居ない。」
その言葉に婿候補たちは驚く。
「アンタが仕組んだ偽者なんて居なかったって事か。」
「そうだ。まさか本物の偽者が居るとは思わなかったがね。」
婿候補と薫の父親は揃ってオレを見る。
「居ないなら良いさ、詳しい話は後でする。少し休んでもいいか?」
流石に人一人を担いで山を降りるのは骨が折れる。骨折なだけに。
「ああ、話は後日聞かせてもらうから今は身体を休ませなさい。」
それを聞いたオレは薫に肩を借りる。
「ありがとう海斗、武志を助けてくれて。」
「感謝なんてされる覚えはない。こうなったのはおまえ等のせいだからな。」
「すまない。」
どうやら冗談を言っていると判断されていないようだ。
7月15日
空はこれまでが嘘のような青色。それはまるで人間の心みたいで。悩んでいたりすれば曇り、進む道がはっきりしていれば青空に。
昨日はあの後、医者が来て治療を施された。医者が言うにはこの程度で済んだのは奇跡らしいが奇跡なんて根拠の無いことはあまり信じない。この程度で済んだのはオレ自身が被害を抑えるために動いたからだし。何はともあれ薫の婿選びも白紙になり、学園に戻る許可をもらい少なくともこれで南条邸にいる理由は無くなった。
今日の朝には婿選びに参加していた候補者も既に帰宅している。その中でも中国風の服を着ている龍とボディーガード家系の直人はいい奴等だった。龍は冗談を交えた話も出来るし、多少だが互いの実力を認識している。それに聞いた話だと紫の視線までは気付かないものの、何かは感じたらしいからな。直人に関しても同様だ。ただ同級生である尊の兄貴と言う事もあって思いの外なじみ易かった。まさか妹を紹介されるとは思わなかったけどな。恐らく二階堂に戻れば二人に会うことも無いだろう。
そうそう、武志も訪ねて来たが怪我はそこまで酷くないようだった。今回の件でアイツ自身、良い方向に変わればいい。それだけでもオレが助けた甲斐があったってもんだ……これで後は薫だけだな。一応学園に戻れるまでの舞台は用意できたが、最後の最後は本人の覚悟次第だ。こればかりは関与してやる事は出来ない。薫が本当にボディーガードを目指すのか。それとも男を捨て、女として生き直すのか。明日までには答えを出すと先ほど言われたがどうだろうな。
「待ってやりたいが時間があるわけじゃない。」
今日まで時間が掛かりすぎた。
「過ぎた事を考えても仕方ないか、とりあえず今は身体を休めよう。」
そう言いオレは横になる。
7月16日
さすがにあれだけ寝れば自然と目も覚める。
「なんで目が覚めたらお前がいるんだよ。」
寝たままの体勢で問う。
「なんでってお見舞いに決まってるじゃないですか。」
寝ている間気付かず、誰かに近付かれるほど熟睡するのは何年振りだろうか。それほど体力を消耗していたのだろう。
「どこの世界にカメラと録音機持って見舞いに来るやつがいるんだ?」
「海斗さんの目の前に居るじゃないですか。」
射命丸はインタビューの時と同様の荷物でスキマから喋っている。さすがに屋敷の中で他の人間には知られたくないからか、身体は出さず見える程度だ。
「そういえば当分の間来るなって紫に伝えたのか?」
「えぇ、もちろんですとも。」
オレはこの前ちゃんと伝えたはずだ、ついでに紫にも言えと。
「じゃあなんで一昨日から来てるんだろうなぁ?」
「え!? 紫さん来てたんですか? いや、私は関係ありませんからね。ちゃんと伝えたんですから。」
どうやら射命丸にも知らせず独断で来たようだがそんな事は関係ない。
「結果が伴っていない以上お前の責任だ。」
とは言ったが実際そこまで気にしていない。
「そんな……横暴です。」
紫のほうもそれが分かった上で目立たないようにしていたんだろう。
「そうだな、オレばっかりインタビューされてもつまんねぇし今度までに幻想郷の資料を用意しておけ。」
恐らくこれなら目立つ事もなく退屈することもないだろう。
「……そんな事でいいんですか?」
「そんな事と言われてもオレ自身幻想郷についての情報はまったくと言っていいほど持ち合わせてないから退屈凌ぎには丁度いいんだよ。」
霊夢から異変に関しては触りだけ聞いているが場所に関しての情報は無い。
「わかりました。それなら後日来たときにお教えしましょう。」
「なら今日はもう帰れ。」
「もちろん今日は失礼しますけど、幻想郷の医者が診察に来るみたいですよ。」
「これなら私たちが来た意味は無いのかしらね。」
射命丸の他に二人の女性が姿を現す。一人は頻繁に会話をするようになった胡散臭い妖怪。もう一人は初見だな。
「だれだよ。」
女性の髪型は長くて銀色の三つ網で服装は赤と青の二色で成り立っている。上は左が赤で右が青、スカートはその逆だ。頭には帽子を被っている、たしかナースキャップって言うんだっけか?
「はじめまして私は八意永琳。幻想郷で医者をしているの。」
感じる雰囲気は紫と同様でどこかミステリアス。
「紫に頼まれて診察に来たんだけど、その必要は無いみたいね。」
「幻想郷の住人にしては珍しく物分りがいいじゃねぇか、その医者が言うとおり必要ない。おとなしく今日は帰れ。」
かろうじて会話をしてはいるがまだ体力は戻りきっていないようでまだ少しばかり眠い。
「でも念のため見たほうがいいんじゃないんでしょうか?」
近くで聞いていた射命丸が医者に尋ねる。
「見た限り一通りの処置は終わっているようだし。今は安静にした方が良いわね。」
「永琳がそう言うなら仕方ないわね、今日のところは帰りましょうか。」
紫も普段これぐらい物分りがよければいいんだけどな。
「それじゃあお大事にね。」
「ああ。」
そう言うと三人を映していたスキマはすぐさま閉じる。
「騒がしくならないで良かったぜ。医者の言っていたとおり今日は安静にさせてもらおうか。」
人の気配が部屋からなくなると再び瞼を閉じて眠りに着く。
7月17日
早朝、薫の母親である雪江と会話をした。どうやらオレが思っていた以上に親父のヤツは顔が広いようだ。話によると雪江は親父と知り合いのようでオレの身分もある程度わかっているようだった。親父が禁止区域に住むことになった経緯も知っているようだが、あまり多くは語らない。二階堂のおっさん、倉屋敷の社長、ボディーガードの佐竹、学園の理事を務める神崎の爺さんたちも同様だ。だが、最近はそいつらだけじゃなく。幻想郷に居る妖怪までもが親父を知っているときたもんだ。
「まったくどこまで存在をちらつかせれば気が済むんだか。」
紫と親父。おっさんたちと親父。印象としては別々の交友関係を持っていると推測している。
「今ある情報で考えても恐らくこれ以上の収穫は無いだろう。」
「……んっ。」
「おっと、起こさないようにしないとな。」
あー、言い忘れていたが薫の答えは先ほど聞くことが出来た。学園には戻りたいがその志を折ったのがオレだということ。そして一度で良いから抱いて欲しい、と。男のオレからすれば簡単な話だが女にとっては覚悟のいる話だ。相手がどうでもいいヤツならそこまで考えないが、薫は違う。女として見たこともあるがどちらかと言うと友達として、親友としての想いが強い。だからオレは友としてアイツに答えたい。心が折れそうなとき、助けが必要になったときアイツを支える。それぐらいの責任ならいくらでもとるさ。それが今のオレから出せる答えだった。
しかも薫の家柄は有名で、それにくらべて禁止区域で生まれたオレは戸籍も無ければ資産も無い。あるのはこれまでおかした数々の罪だけ。そんなオレに薫を抱く権利なんて無い……それを聞いても、アイツはこんなオレの身分など気にしないと。母親である雪江と同じ事を言いやがった。
「親子そろって凄いヤツだよ。」
隣で寝ている薫の頭に手を置く。
「それに比べてオレってヤツは酷い男だよな。」
そんな事を思いながら時間が過ぎていく。
7月18日
「海斗ってば、意外に大人の階段を登ってたのね。それに中々可愛い子じゃない。」
「今は気分が良いから助言をしてやる。」
入り口辺りからスキマを通して紫の姿が映っている。
「コイツは堅物だから、いま他人がいたら容赦なく痛めつけられるぞ。」
「それは怖いわね、なら邪魔者は退散しましょうか。良いネタを仕入れたことだし。」
面倒ごとは嫌なようでスキマを閉じる動作を始める。
「早いトコそうしてくれ、それと……明日にはココを出る。」
「伝えてくれるとは思わなかったわ。」
紫は意外そうな表情に変わる。
「言ったろ今は気分が良い。ただココより会える機会は少なくなるが。」
「それは考えがあるから何とかなるわ。」
「考え、か。それはそれで嫌な話だな。」
考えがあるという事はここを出ることを知っていた事になる。スキマの能力があれば音声を拾うことは容易なのだろう……音声を拾う、か。
「なぁ、霊夢に腋のツッコミしたとき声が届かなかったのってお前の仕業だったりするのか?」
「えぇ、そうよ。下手したらケンカになってたかもしれないからね。」
思い出したかのように紫は答える。
「ってことは、もっと早く帰れたことになるじゃねぇか。」
「お互い退屈しなかったんだから良いじゃない。それじゃあ失礼するわね。」
そう言いスキマは閉じていく。
「随分と勝手なヤツだな。オレもだいぶ勝手だろうけど。」
7月19日
「来たときは新鮮だったが新幹線ってのは退屈だな。ぶらりと途中下車でもしてみないか?」
「そんな事をして学園に戻れなかったら両親に会わせる顔が無くなるじゃないか。」
座っている席は隣同士。もちろん隣に座っているのは薫だ……今朝、薫の家族に別れを告げた。ボディーガードの訓練を嫌がっていた武志も訓練を続けるようで、一件落着。あとは出席日数さえ間に合わせればすべての問題にカタがつく。
「そうだな、こんだけ無断欠席したら当分は私用でなんて出かけられないだろうな。」
「何度も言ってしまうが、ありがとう海斗。私なんかを連れ戻しに来てくれて。」
薫はオレの方を向き、言ってくる。
「オレの方こそ何度も言うがそんな事は気にしなくていいんだよ。借りを返しただけに過ぎないし、むしろそんな事言ってる暇があるならしっかりとボディーガードになってくれ。」
オレなんかが何もしなくてもコイツにはボディーガードになれるほどの覚悟がある。それに実力や才能なんかも。
「ああ、みんなと一緒になってみせるさ。」
「……そうだな。あっ、ケータイ貸してくれ。」
「いったい誰にかけるんだ?」
「麗華だよ。オレのケータイは流されてたし帰る日伝えるの忘れてた。」
行く前は電話かけろとか言ったが色々あって一度も話していない。
「麗華お嬢様の番号は知らないから屋敷でも構わないか?」
「ああ。」
ま、メイドとは話したけど。
「そう考えると一日中、説教かもしれん。朝霧海斗だ、麗華に代わってくれ。」
アイツ自身が嫌がる事を我慢して、今こうなっている。少しぐらいは気遣ってやっても良いのかもしれないな。
「あ~、麗華か? 電話に出れなくて悪かったな。とりあえず明日には帰る。」
今見ている外の景色みたいに日常での時間の過ぎ方は早い。それが非日常でもさほど変わらない。恐らく体感が違うだけ。人間の一生を考えれば今までの行動も一瞬の出来事なのかもしれない。それでもそのときに生じた想い、感情、出来事はかけがえのないものになるだろう。少なくとも、これまでの数週間は忘れるような出来事じゃない。良い思い出ってヤツなんだろうな……この先どんな未来が待っていようとも。
いかがでしたでしょうか?
第2章は来週中に終わる予定です。
これまでは全然「暁の護衛」キャラを出しませんでしたがそろそろ数人は出てきそうです。
1章、2章は海斗及び幻想郷より。3章は護衛メンバーよりなんで当たり前か。
なお引き続き活動報告にて「ルート分布」のアンケートを実施しています!!!
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