不真面目なボディーガード訓練生が幻想入り   作:橘恵一

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遂に東方ヴォーカルも、聞きなれの時期が来てしまった。

かといって特に聞きたい曲も無いので、なにを聞こうか迷っています。

これは無音を使えということなのか。

それではお楽しみください。


第18話  「もう夕方じゃん。」

7月28日

 

「遂に読みきってしまったか……ふぅ。」

 

 読んでいた小説を閉じ、大きくため息を吐く。なぜ、ため息を吐いているのか。それは新しい小説を読み終えたことにある。射命丸に買ってもらった本を読もうとすればスグに読み終わることは明白だった。そこで、今まで読んだ本を再度読みきった後で読むことにしたのだ。

 

「でも、徹夜で読んでたら意味ないよな。」

 

 他のやつらがどうか知らないが、オレは何回も読んだ本でも飽きることはない。

がその分、熱中しすぎて寝ずに読むことがしばしばある。特にやることも無く、部屋を見回してみる。

 

「仕方ない、尊か亮にでも本を借りに行くか―」

 

 退屈を凌げそうな物なんてないだろうと思いながら眺めていると一つの袋に目が止まった。

 

「……そういえば射命丸に買ってもらった本がまだあったんだっけ。」

 

 確か5冊ほど買って貰い、3冊は小説でもう2冊が料理関連だったはずだ。オレは退屈に対する新たな道具になりうるかもしれない袋から中身を取り出す。

 

「やっぱ料理本だな……とりあえず読んでみるか。」

 

 早速、手が動き本をパラパラと捲っていく。小説とは違い文字ばかりではなく、写真を載せてあるレシピ本のようなもので見終わるのに時間は掛からない。当然、料理をしたことがないオレは単純に美味そうな写真を見つけては読んでを繰り返すだけ。

 

「写真を見て美味そうと思うのは結構当たり前だよな。美味そうに見えるよう撮ってるんだし。」

 

 そんなこんなで流して見ているとすぐに本は最後のページを迎えてしまう。

 

「まずいな、これじゃあ結局本を借りる事になってしまうぞ。」

 

 別に本を借りるのは良いが、なんだかパターンのような気がする。ここいらで、新しい娯楽への道を開くのもいいだろう。

 

「……そういや、ルーミアはまだ食い歩いてるのか?」

 

 最後に話しをしたのは南条のとこで藍に頼んだ時だな。

 

「それに魔理沙のとこでも料理の本は読んで一応興味はあったし……作ってみるか?」

 

 やることも無く、まだ飯前というのもあって創作意欲が少しづつ溢れてくるのが分かる。

 

「なにはともあれ、行動してみなきゃなにも分からないか。幸いにも食材や機材は一流だし、使わない手はないな。」

 

 そう思うと2冊の本を手に持ち食堂へ向かうためドアを開ける。

 

「おっ、何かようか?」

 

 ドアを開けるとその前にはツキが立っていた。

 

「私の気配を察知して扉を開けられてしまうとは……メイド長失格です。」

「どうやら腑抜けになっていたようだな、なんならオレの奴隷にしてやっても良いぜ?」

 

 本に夢中だったから気付かなかったんだけどな。

 

「そうですか。なら早速練習をしないといけませんよね、朝霧さま。」

「うぉぉぅう!」

 

 どさっ。なぜだか知らないが急に背筋が凍りつき、持っている本を落としてしまう。

 

「うん、お前は奴隷なんかには勿体無い。すぐさまメイド長に復帰しなさい。いや、してください。」

「そう言うなら仕方ないですね、ところでこの本は?」

 

 ツキは落とした2冊の本を拾う。

 

「読む本も無くなって退屈だったんで、料理でも作ってみようかと思ったんだ。」

「……誰かに改造手術でもされた?」

「されてねぇよ。調理器具って勝手に使っていいのか?」

 

 この屋敷では専属のシェフが取りまとめている、恐らく材料や調理器具も管理しているだろうから使えない可能性がある。

 

「特に許可を取る必要は無いけど、高価なものは許可が必要。」

「なら適当に使わせてもらうとするか。ほれ、早く本を返せ。」

 

 奪われている本を取り返そうとするとヒラリとかわされる。

 

「おそらく、海斗がこの先自分から料理をするなんて転生するまであり得ない。」

「それ、もうオレじゃねぇからな。」

「じゃあ今日は何の日か知ってますか?」

「なにが、じゃあなのか知らないが、菜っ葉の日だな。」

 

 因みに728でなっぱ、な。ういきで調べればすぐ出てくる程度の情報だ。

 

「は、ナッパの日? 全然違います。」

「ナッパじゃねぇから! 菜っ葉だから!」

「どっちにしろ全然違います、掠りもしません。自称雑学王が聞いて呆れますね。」

「そいつは聞き捨てなら無いな、オレ以上の雑学王はあまり居ないはずだ。」

「なら、もう一度回答権を与えてあげる。」

 

 ツキ如きに回答権をわざわざもらうのは癪に障るが、それよりも雑学王であるオレが答えられないってのが屈辱だ。そうとなれば、ここはなんとしてでも答えを導き出さなければならない。ちゃんと考えればわかるはずだ、問題を出す以上答えは必ずある。菜っ葉の日が掠りもしていないという事は語呂合わせや国の記念日ではないと考えられる。

 

「となると自身の記念日か何かか?」

 

ツキ自身がなにを記念とするのか。この屋敷に仕えた日か、それとも……。

 

「もう、待ってるの面倒なんで答えていい?」

「ずばり、山田くんと―」

「私の誕生日です。」

「……確か、ツキの誕生日だよな。ふん、オレには簡単すぎた問題だった。」

「もろ山田くんって言ってたやん。」

「山田って誰だよ? 聞いたこと無いぜ。」

「はぁ。とりあえず私に何か料理を作ってくれるなら本を返します。」

「なに? オレの手料理が食べたいならそういえよ。」

 

 まさか、ツキに慕われていたとは夢にも思わなかった。

 

「それだけは無いですから安心して。因みに聞くけどもし作ったら誰に食べさせる予定だった?」

 

 料理をするのはいいが、食わせる奴までは考えてなかったな。

 

「……多分、麗華とかじゃね?」

 

 作ったからには自分で食うより、誰かの感想を聞きたいのが当然だろう。

 

「それを阻止するためです。何かしらの劇物を仕込む可能性がある。」

「屋敷の材料使うんだから無いだろ。」

 

 組み合わせ次第で出来たりしそうだが……それに、探せばありそうだな。

 

「いいえ、海斗なら外で入手していてもおかしくない。」

「それお前が食ったら死んだりするかもな。」

「大丈夫、私は英才教育によってある程度の毒なら抗体が勝手にできるから。」

「マジかよ!? つか、そんな英才教育あんのかよ。」

「実はエリートだったのです。」

 

 エリートでも毒の抗体は作れないと思うが。冗談を言ってるとツキは本を差し出してくる。

 

「ま、気が向いたら作るかもしれないから一応希望を聞いておこう。」

 

 オレはツキの気が変わらないうちに受け取る。

 

「そうですね、卵賭けご飯で。」

「それ、料理じゃなくね?」

「なら、デザート系で。」

 

 両手の人差し指オレに向ける。

 

「そうか、わかった系だ。」

 

 オレも同じように両手の人差し指をツキに向け、意志の疎通を終わらせる。互いの理解が終わるとすぐさま、調理場へ移動する。

 

「さて、とりあえずレシピ本から適当に簡単そうなのを選ぶか。」

 

 初心者が作るのは何故だか卵を使うイメージがあるから、ここは海鮮系にするか。

 

「まてよ、料理を作るのはいいが材料を確認してからのほうがいいな。」

 

 冷蔵庫を見ると大体の材料が揃っている。

 

「さすがに魚は無いか、となるとオムライスあたりでいいか。」

 

 卵焼きだと料理っぽくないし、かといって茶碗蒸しだと使う機材が良く分からない。

 

「フライパンを使えば出来るオムライスなら妥当だろう。」

 

 作る料理が決まれば次は準備だ。

 

「おし、実践用の本を読むとしよう。」

 

 もう一つの本を手に取る。タイトルは機械オンチでも簡単に料理をはじめられるモン、だ。料理の仕方自体はレシピ本に載っているやり方を真似れば良いだけだが、機材の使い方はまったくと言っていいほどわからん。火の点け方もわからなければ、フライパンのちゃんとした使い方もわからん。

 

「たまにフライパンで殴ってくる奴もいたから、人間を殴る道具だと勘違いしてた事もあったしな。」

「あら、随分と物騒な場所に住んでたみたいね。」

「少なくとも料理とは無縁のところだったぜ……って不法侵入で捕まるぞ?」

 

 何事も無かったかのように紫がキッチンに現れる。

 

「大丈夫、玄関に言ったらツキちゃんに案内されたから。」

「ツキちゃんって……つかアイツならさっき廊下を掃除してたんだが。」

 

 客人に対してちゃんと対応するツキがほったらかしにするとは思えない。

 

「じゃあ麗華ちゃんにしといて頂戴。」

「麗華ちゃんって……ま、バレなければ大丈夫だろう。」

 

 どうやら本当に不法侵入のようだ。

 

「丁度良い、今から紫はオレの第一助手だ。」

「助手って、料理なのに大袈裟ね。一人で作る事も出来ないのかしら?」

「助手と言っても作るのはオレだけだ。お前にはこの本を読みながらサポートしてもらう。」

 

 持っている本を紫に手渡す。

 

「ふ~ん、藍でも呼びましょうか?」

 

 パラパラとページをめくりながら案を出す。

 

「いや、ダメだろ。尻尾生えてるし、さすがに不審に思われるぞ。」

「お呼びでしょうか、紫様。」

 

 唐突にスキマを開くと九尾の藍が現れる。

 

「いやいやいや、そんな簡単に出てきちゃダメだろっ!」

 

 とりあえずこの状況にツッコミつつも、食堂の扉にカギをかける。

 

「海斗が料理を覚えたいらしいから手伝ってあげて。」

「そうですか、わかりました。」

 

 藍は紫に軽く頭を下げる。

 

「金持ちは相当ぶっ飛んでると思ってたけど、おまえらの方がぶっ飛んでるよな。なぁ、ルーミアはどうしてるんだ?」

 

 思い出した事もあり、藍に状況を尋ねる。

 

「あの後、数回は作りましたがまだ探しているようですね。最近はアリスの家を拠点にしているようです。」

「そっか、そう簡単には見付からないよな。」

 

 料理でも代わりになる食材はあるだろうが、人間の代わりになりそうな食材を探すのは時間が掛かるだろう。

 

「ところでどのような料理を作るのですか?」

「オーソドックスにオムライスを作ろうと思ってる。もちろん、その為の材料も確認済みだ。」

「なるほど、思ったよりシンプルですね。」

「思ったよりって、なにを想像してたんだ?」

「てっきり、料理初心者の癖に魚介類を使った料理でもするのかと。」

 

 首を傾げて真顔で言ってくる。

 

「……んな、わけねぇだろう。」

「なんとか、二人で出来そうね。藍、作り終わったら呼んで頂戴ね。」

「はい、わかりました。」

 

 そのまま、紫は姿を消す。

 

「紫は前から単独行動をしてたのか?」

「はい、少なくとも私が知ってる紫様は大体単独で動く事が多いですね。」

「だけど、目的まではわからないってか。」

「たとえ知っていたとしても、紫様の許可が無ければ話せませんけど。」

 

 式神ってのはアンドロイドみたいに何かしらの命令が組み込まれているんだろうな。

 

「いいさ。それより、来たからにはとことん教えてもらうぜ。」

 

 そう言いながら、汚れないように一応袖をまくる。

 

「では、早速作りましょうか。」

「まずは使う物の用意だな。」

「朝霧さん、それがなにかお分かりですか?」

「フライパンみたいなもんなら、何でもいいんだろ? 中華鍋で作ったら中華風になりそうじゃん。」

「雰囲気はそうかも知れませんが、味付けによるかと。それとフライパンのほうが楽だと思いますよ。」

「あっそう。」

 

 確かにフライパンで済むのにわざわざ、重い中華鍋を使う必要もないか。

 

「では早速卵を割りましょう。」

「ふふふ、ついにオレの手先が器用って設定が生きるときが来たな。」

 

 両手に生卵を掴み、ボールの淵にぶつけてヒビを入れ同時に割る。

 

「どうやら生卵を割るだけならプロの料理人クラスのようだ。」

「プロの料理人は卵の殻まで入れませんけど。」

「これはだな……新しい食感を生み出す目的なんだ。」

 

 見事に割ることは出来たが、殻が少し入ってしまった。

 

「少なくとも料理が下手な人間は勝手にアレンジを加える場合が多いみたいですよ。」

「これはお前の為に設けた試験に決まってるだろう。助手なら早く殻を取りやがれ。」

「やれやれ、先が思いやられますね。」

 

 藍は呆れながらもボールに入った卵の殻を取り除いていく。さらに追加で卵を二つ割り、ボールの中に入れる。

 

「かき混ぜるときはオリーブオイルを入れるんだよな?」

「入れません。一体どこの情報なんですか。」

「朝の情報番組で有名らしい、なんにでも使ってるらしいぜ。」

 

 もっとも最近は頻度を減らしているらしいとか。

 

「塩、こしょう、牛乳を入れて、普通にかき混ぜてください。」

 

 いつの間にか皿に分けられていたのでそれらをボールの中へ。

 

「これで卵の準備は出来ました、次はライスの部分ですね。ごはんだけじゃ物足りないので、たまねぎと鶏肉を使いましょう。」

「小さめに切ればいいんだろ?」

「はい、たまねぎはみじん切りでお願いします。」

 

 言われたとおり、特にボケることも無く切り終える。

 

「そんで油をフライパンに入れて、炒めるんだよな。」

 

 火を点けて、油を入れた後に切った材料をフライパンへ入れる。

 

「火が通れば、次はケチャップを入れて水分を飛ばしましょう。」

「なんで水分を飛ばすんだ?」

「水分を飛ばさないとご飯が水っぽくなってしまいますので。」

「なるほど、べちゃべちゃだったらオムライスには合わないか。」

 

 水分を飛ばしたので、ご飯を投入してかき混ぜる。

 

「もう、この時点で十分食べれるよな。」

 

 料理は不思議なもので、既に食べられる状態から一工夫を加えたりすることで別の料理になったりする。オレ自身、食にそこまで強いこだわりを持ってないからその部分が分からない。口に入って、たいして不味くもなければそれで良いだろうと思うんだが。そりゃ、美味しいに越した事はないんだけどな。炒めたライスを別の器に移し、新たなフライパンに油を入れる。

 

「ここが上手く出来れば味はともかく、見栄えは綺麗になりますよ。」

「味はともかくじゃダメだろ、オレは味重視なんだ。」

「複雑な料理ではないので、余程の事が無い限り味は平気だと思いますよ。」

 

 たしかに、味付けは塩とコショウくらいだしな。

 

「おし、じゃあ入れるぞ。」

 

 温めたフライパンに卵を入れて、半熟になるまで中火にする。

 

「なぁ、これって盛り付け方は何か方法があるのか?」

「卵でご飯を閉じた継ぎ目を少し炒めれば、多少やりやすいです。」

「なるほどな、だが男は料理にワイルドさを求められるはずだ。」

「そんなことないと思いますよ。」

 

 卵が出来たのでその中に先程炒めたライスを放り込む。テキトーに卵でライスを包みながら形を整える。

 

「これで完成だ!」

 

 フライパンに皿をくっつけるようにしてひっくり返す。

 

「うん、初めてにしては上出来じゃなかろうか。」

 

 とりあえず見た目だけは形が崩れずにオムライスと呼べる物になった。

 

「あとは味だが、工程がシンプルな以上問題は無いだろう。ほれ、食ってみてくれ。」

「え? 私がですか?」

 

 藍は自分が食べるとは予想していなかったようで驚いている。

 

「お前以外に誰が居るんだよ、それにいなり寿司食わせてもらったし。そういや何かケチャップで書いたりするらしいが別にいらないよな。」

 

 特に書きたい文字や絵が無いので、波線になるようにかける。

 

「誰かに料理を作ってもらう事がないもので、新鮮です。」

「見た目から想像できるが、紫は自分から料理しないんだな。」

 

 引き出しからスプーンを取り出し、藍に渡す。

 

「私が生まれる前は作ってたかもしれませんけど、それでは戴きます。」

「おう、因みに言っておくけど過度なリアクションはいらないぜ。回想に入られても困るからな。」

 

 オレが言う事を気にした様子もなく、オムライスを食べる。

 

「……うん、美味しく出来てますよ。」

「どうやら料理の腕は悪くないみたいだな、練習をすればそれなりのものが作れそうだぜ。」

「ご自分で作った料理ですし、朝霧さんも食べたらどうです?」

「もちろん、食うさ。」

 

 既に取り出していたスプーンでオムライスをつつく。

 

「……普通だな、とりあえず最初にしてはまぁまぁか。だが、これで料理を作るヤツの気持ちが少し理解出来た。」

「手の込んだ料理を作って美味しいと言ってもらえたら、作りがいがあるよな。」

「よし、次はデザートを作ってみよう。丁度、藍もいることだしいなり寿司にするか。」

「いなり寿司なら取りに行けばありますよ。」

 

 料理の練習だと言うのに既に作っているとは。いや、もしかしたら常備しているのかもしれないな。

 

「……だったらそれでいいや、ツキにもそれをやれば良いだろう。」

「はい、いなり寿司持ってきたわよ。」

 

 オレが言い終わるとすぐに紫が皿に乗せて持ってくる。

 

「早速戴こう。」

 

 紫が皿をテーブルに置く前に一つつまんで頬張る。

 

「やっふぁ、ふめぇな。」

「海斗のオムライスも十分食べられるじゃない。」

 

 気付くと勝手に俺が使ってたスプーンを使い食べる。

 

「勝手に食うんじゃねぇよ、別に良いけど。」

 

 口の中が空になり、指を舐める。

 

「それじゃ用事も済んだことだし、私たちは帰らせてもらうわね。」

「おう、ありがとな藍。」

「いえ、全然手伝っていませんので気にしないでください。」

「そんなことないぜ、十分手伝ってもらったさ。次に会うときまでには上達しておく。」

「そうですね、精々卵の殻を混ぜない程度にはなっててください。」

 

 今まであまり表情を変えなかった藍が優しく微笑む。

 

「言ってくれるじゃねぇか、それじゃあな。」

 

 軽く手を振ると紫は手を振り替えし、藍は軽く頭を下げながらスキマの中に消えていく。

 

「少なくとも創意工夫が施せるようにはなりたいよな。」

「……って、片付けはオレだけかよ!」

 

 その後はえっちゃんとみっちゃんにオレのオムライスと引き換えに掃除をしてもらった。もちろん、藍や紫が食べた部分は切り取ったので見た目がかなり怪しかったんだけどな。

 

「つうわけで、ほらいなり寿司だ。こんなんでいいだろう。」

「出来れば洋風がよかったんだけど。そうだ、今からケーキを買ってきてください。」

 

 とか言いながらもちゃっかりといなり寿司を受け取る。

 

「もう夕方じゃん。」

 

 オレは窓の外を指差す。

 

「それは私がケーキ好きだからです。」

「仕方ねぇな、だったらシェフとおはなししてくるから待ってろよ。」

「海斗が言う、おはなしほど怪しい言葉はない。仕方が無いからこれで我慢する。」

「我慢つう割にはもう三個目だよな。」

「洋風だろうが和風だろうが美味しいものは何でも食べるのが私ですから。」

 

 要するにこだわりが無いんだな。

 

「だったら素直に食っておけよ。」

「食べ終わったし食器を戻してくる、それと作った人にお礼を言っといてください。」

「はやっ!! つか、やっぱりオレが作ってないってわかるか。」

「料理初心者の出来損ないには出来そうも無いくらい丁寧なつくりだし、当然。」

「言うじゃねぇか、なら今度テメェの手料理をよこせよ。そんな事言うくらいなら相当美味いんだろうな。」

「別にいいけど、時間があれば。かならず天国に連れてってあげる。」

 

 天にも昇るほど美味いのなら食ってみたいが、違うのなら尊にでも処理を頼むとしよう。部屋に戻り休もうとすると携帯が光っているのに気がつく。

 

「なんだメールか、なんかか?」

 

 携帯を開くと着信履歴が2件、それも知らない番号からだ。

 

「朝に2回か、どうせしょうもない事だろう。誰だったか気にはなるがわざわざかけ直す必要もない。」

 

 携帯を閉じ、適当な場所に置く。

 

「忘れないうちにイメトレでもするか。」

 

 目を閉じると先程の工程を再び再現するかのようにイメージする。是非とも次は最強の万能調味料であるポン酢を活用してみたいものだ。




いかがでしたでしょうか?

今回は藍が登場しました。

今のところこの作品の料理担当は藍くらいしかまともなのが居ないので妥当かと思います。

それと文章の改行を今まで2行だったのを1行に変更してみました。
流石に文字数が多いと間が空きすぎて読みにくいかなと思ったので試しに変えてみました。

それにしてもマジこいやるにしてもPCスペックが……。
大人しく最新作の無双OROCHIでも買ってこようかな。

ご観覧ありがとうございました。
ご意見、ご感想がありましたらりょりょりょりょりょふだぁぁとお願いします!
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