中には台詞がない小説があるかも知れないですが自分は見た事ないです。
オリジナル小説なら台詞での口調は比較的自由ですが、版権キャラとなるとイメージを損なわない台詞を想像するのは難しい。
僕の小説でも「らしさ」を感じていただけるよう頑張りたいです。
それではお楽しみくださいませ。
●2014年7月28日 文字数が少なかったので4、5、6話の3話分を合わせて修正投稿致しました。第3章までで本文の文字数が少ない話は引き続き修正していきます。
7月2日
私は部屋の隙間から差し込む太陽の日差しで目を覚ます。そして寝衣から普段着に着替えながら、不意に昨日の出来事を思い出す。
「外来人を家に泊めるなんてな。」
魔法の森で出会ったのは青い髪の男で背格好から想像するに年上。たまに独り言を呟いたり、意味の分からない事を言ったりしてるしお調子者といった部類なんだろう。
「それでも初対面の男を泊める理由にはならないよな。」
今までも何人か幻想入りした人間と会って来たが帰るために霊夢のところに案内はしたものの、泊めた事は一度も無い。
「……時間が遅くて暗くなってたってのが原因かな?」
はっきりと分からないけどこのままってのも気に障るので、一応それっぽい事を適当に決める。
「さてと起こしてやるか。」
自分でも明確な答えがわからないまま、魔理沙は寝ているであろう外来人を起こすために自室の扉を開けた。
………。
……。
「おわっ!? なんだ起きてたのか。朝早いんだな。」
「まぁな。」
途中から月明かりにしちゃ、明るすぎると思ったが。
「朝になってたわけか。」
「……寝ないでずっと本読んでたのか?」
「ああ。違う世界の本なんてそう読めないだろ。」
しかも魔術関連なんて古本屋にすらあるか微妙だ。多分、無いだろうな。
「本をこよなく愛する愛本家のオレとしては読破しないわけにはいかん! ただ、心残りがあるとすれば応用編じゃなくて基礎編が読みたかった。」
魔理沙が持ってきた本はなぜか魔術の応用編だけ。降霊術なんかも霊を自分に降ろしたあとの制御の仕方しか載ってなかった。幸いにも料理の本はどの品についても1から手順が書かれていたので気が向いたら作ってみるのも良いかもしれない。
「紅魔館の大図書館のこと言ったらスグにでも行きそうだぜ。」
「何か言ったか?」
「なんでもない、なんでもない!」
魔理沙は大袈裟に首と手を振る。怪しいが、今はオレの目的を優先しよう。
「今日は博麗神社ってとこに案内してくれるんだろ? 早いとこ行こうぜ。」
「そ、そうだったな。とりあえず朝食食べてから行くか。」
朝食は昨日の残り物。そうキノコのフルコースだ……当分の間はキノコ料理はいらねぇな、尊にでも分けてやろう。こうして朝食を食べた後、オレたちは博麗神社に向かうのであった。
………。
……。
「なぁ、海斗。気になってることがあるんだけどさ。」
森を歩いてる最中、神妙な面持ちで聞いてきた。
「急になんだ?」
「海斗が幻想郷に来たときって目玉模様のスキマ見たいのに吸い込まれなかったか?」
目玉模様ねぇ。違和感があったことは黙っておくか。
「いや、全然。」
それにしても目玉模様って気持ちわりぃな。
「じゃあ今回はスキマ妖怪の仕業じゃないのか。」
「ソイツが原因なのか?」
オレは少し声のトーンを落として聞いた。
「目玉模様に覚えが無いならその線が無くなったけどな。」
「ま、帰れるなら原因なんてどうでもいいんだが。」
そう言うと魔理沙は急に視線を外す。
「え、帰れないパターンなんてあるのかよっ。」
おいおい、冗談じゃない。どんな事をしてでも薫を連れ戻すが、時間がかかるのは良くない。オレたちが通ってる学園は理由が無い欠席を3週間続けたら退学になってしまう。すでに薫が居なくなって約1週間。連れ戻しても学園に戻れないと意味が無い。
「多分帰れるぜ、5割くらいだけどな。」
それだけあれば十分か。
………。
……。
歩くこと数十分。周りは木々ばかりだったが進んでいる方向に木製の神社? が見える。神社には参拝に来る人がいるって聞いたことがあるが、見た限り人はいない。
「着いたぜ。」
なんだかんだ考えてる間に神社の近くまで来た。神社自体はオレでも時間をかければ壊せそうなほど……ボロい。それでも周りの清掃はしているようだ。
「霊夢ー! 外来人連れてきたぜー!」
大声で誰かを呼んでいる。
「コレが神社ってやつか。実際に見たのは初めてたがテレビで見たのよりボロいな。」
「見たこと無かったのか、海斗は。一体どんな家庭にいたんだよ。」
「どんな家庭って言われてもな……。」
住んでいたところはアパートだったが、あの辺に神社なんて無かった。それにあの頃のオレは生きるだけで必死だったし、神社なんて言葉は知らないし……困ったときの神頼み、なんて言葉があるが生憎とそんなことをした事もない。
「かなり貧乏だったんだ。」
「ふ~ん。貧乏でも神社見るくらいはできるだろ?」
首を傾げながら言う。
「って、そうじゃない! 霊夢の前では神社がボロいって言うなよ?」
ネタを振ってる訳じゃ、なさそうだな。
「もう少し早く言えよ……気が向いたらな。」
「それだけ大きい声で言われたら、嫌でも聞こえるんだけど。」
気だるそうな声が神社の中から聞こえた。そういえば神社には巫女ってのがいるんだっけっか。巫女の情報を得た後はお淑やかで大人の女とかを想像してたもんだ。出てきた巫女? らしき女はオレの想像とは違い少女。年は魔理沙と同じくらいか。黒髪に大きな赤いリボン、服も赤を基調にしている。
「ゲッ! 霊夢、聞こえてたのか?」
霊夢と言われた少女から……アイツに似た雰囲気を感じる。他人との線引きが強く、意志が強い。そんなイメージ。
でも確か巫女の服装ってあんまり肌を露出してなかったよな? 本で見ただけだが。目の前にいる巫女、霊夢は部分的に違った。なぜだか知らんが肩と腋の部分が露出している。芸人としてはツッコまずにはいられない、だがタイミングが重要になる。見極めなければならないのだ。
「そいつは良かった。言わないようにするのは大変そうだからな。」
「アンタ、次そんなこと言ったらどうなるか分かってんでしょうね?」
まさか善良な市民を睨んでくる巫女が居るとは……。
「わかんねぇな。本当のことだろ? 生憎オレは嘘を吐かない主義なんでな、ボロいのをボロいって言って何が悪い?」
どうやら魔理沙は我関せずといった様子だ。
「外来人の癖にいい度胸じゃない。」
「褒めても何も出ないぜ?」
「褒めてないけど。」
どうやらオレに恐れをなして退いたようだ。
「はぁ。」
深いため息を吐く。今しかないっ、チャンスだ!
「なぁ、なんで腋を部分的に露出してるんだ? 羞恥プレイか?」
「で、魔理沙なんの用? 私は忙しいんだけど。」
無視か……だがオレはあきらめない。
「なぁ、なんで腋を部分的に露出してるんだ? 趣味なのか?」
「外来人連れて来たら理由は一つだろ?」
会話が始まっただと!? 魔理沙も無視か。いや、オレの発言が届いていないのか……。
「海斗を元の世界に戻してくれよ。」
ダメだ、オレが今持っている情報じゃあ解決できん。このネタはまたの機会にしよう。
「ソイツの事?」
そんな事を考えてたら勝手に話が進んでいた。霊夢はオレを見る。
「あぁん?」
オレは必殺技「悩殺スマイル」で迎え撃つ。
「…………。」
「ダメね。」
睨みすぎたか……?
「おいおい、なんか異変でも起こってるのか?」
「違うわよ。今は結界の調整中だから空間が不安定なの。」
異変、結界、聞きなれない言葉だ。
「じゃあ、調整が終わるまでは――」
「えぇ。その間私には帰らせることが出来ない。」
調整が終わるまでか。
「調整ってのはどれくらい時間がかかるんだ? 1日くらいか?」
「なに言ってんの? 幻想郷全体に関わることだから1週間くらいは必要よ。」
さっきの気だるい様子から真面目な表情になる。
「……他のヤツならなにか手があるんだろう? 目玉模様に関係してるヤツとかな。」
それを聞いた霊夢は表情を崩してはいない。それでも反応をした程度は分かる。人間は普段からやって習慣にしていなければ、いざと言う時対応出来ない……何事においてもだ。
「アンタ、紫に連れてこられたの?」
コレで紫と言うキーワードを手に入れた。
「違うぜ、海斗は偶然幻想入りしたみたいなんだ。」
おい、ネタばらしするの速いんだよ。
「えっ、じゃあなんで……。」
さすがに驚いたのか、さっきと違い表情を表に出している。
「目玉模様に覚えがあるか魔理沙に聞かれたからな。外来人に聞くってことはココに来る為に関係があるんだろ? それに幻想郷全体の事なんだ、ガキ一人じゃ荷が重い。他に関係者がいても不思議じゃないって思っただけだ。」
「要するに、カマかけたって事?」
顔は笑っているが、イラついてる様子だ。
「さぁな。」
「何が嘘を吐かない主義よ、吐いてるじゃない!」
「主義にしてるだけで、実践してるとは限らないだろ。」
何か気に食わない様子だ。
「何笑ってんのよ、魔理沙。」
「だってよ、外来人に霊夢がカマかけられるとこなんて見れないし、ぷぷっ。」
何がおもしろいのか、笑い声を出さないように手で押さえている。
「勝手に笑ってなさいよ!」
まぁいい。思ったより情報が少ないが見つけられないほどじゃないだろう。1週間も待つとなると出席日数がギリギリ……いやアウトくさいな。だったら自分で行動するしかないか。
「んじゃ、行くわ。」
そう言ってオレは振り返り、来た道を引き返そうとする。
「おいおい、海斗どこ行くんだよ。」
「アンタ、どっか行く当てあんの?」
二人は驚きつつも聞いてくる。
「その紫ってヤツを探すだけだ。このまま1週間待つより、1週間探し回ったほうが帰れそうじゃねぇか。」
どうやら二人とも呆れた様子だ。
「あのスキマ妖怪を探すのは至難の業だぜ?」
「この世に100%と0%は存在しない。オレがいた世界と幻想郷だって同じだと思うぜ? それに紫って名前、目玉模様、スキマ妖怪って情報があるだけマシだろ。」
それを聞いた霊夢は腕を組み、何やら考えながらオレを眺める。
「……ふぅん。アンタだったら1週間以内に紫見つけちゃいそうで怖いわ。」
「霊夢がそんな事言うってことは可能性が高いってことだな。」
魔理沙は本当かよって顔で霊夢を見るが、たかだか女が言う発言でそんなの分かるわけ無いだろ。
「でも2、3日後ここに来るって言ってたから待ってれば来るわよ。」
やれやれと言った様子で答える。つか、聞いてたなら早く言えよ。
「なんだよ霊夢、知ってるなら早く教えてくれてもよかったんじゃないか?」
まったくその通りだ。
「底の、海斗が急ぐからでしょ。」
「おや? 急に名前で呼んでないかい?」
「……名前で呼んでなんか悪い?」
「おい、魔理沙! 「底の」ってのには触れないのかよ、どう考えても字が違うだろうがっ!」
「なんで?」
話が変わったからか、霊夢は安心した様子に変わる。
「やっぱ世界が違うと笑いも違うんかね?」
生まれて初めて笑いに関して挫けそうだ。
「で、どうする。探しに行くの?」
「紫ってヤツが来るんだよな。」
「えぇ。」
なら答えは決まってるか。
「魔理沙ん家じゃ距離があって面倒だし、この辺で野宿するさ。」
魔理沙はまた笑いを堪えてる。
「野宿って……アンタねぇ、ただの人間でしょ? 夜は妖怪が出やすいから襲われて死ぬんじゃない?」
「はぁ? 妖怪って人間でも食うのかよ。なぁ、魔理沙?」
「…………。」
訪ねても一向に答える気配がない。仕方なく魔理沙を見るとなにやら笑いを堪えているふうに見える。
「……え、食うの?」
なぜだか視線を合わさない。
「魔理沙、幻想郷の説明してないの?」
「だって、帰り方しか……聞いてこないし。ぷふっハハハッ! ただの人間が野宿ってやっぱ笑えるぜ!」
まさかここまでバカにされるなんて。昔のオレだったら速攻でぶっ飛ばしてたな。そう思うと随分丸くなったもんだと実感する。
「オレはこんなガキに遊ばれてたのか……もうお嫁に行けない。」
「それを言うならお婿じゃないの?」
呆れた表情でツッコミされた。
「まぁ、良いわ。紫が来るまでここに居なさい。」
「ああ。そうする。」
とりあえずこれで一段落か。
「おし。じゃあ海斗のことは任したぜ霊夢。またな、海斗。」
「おう。」
魔理沙は手に持っている箒に跨る。箒に跨って歩いて帰るとか、余程頭が弱いのか。と同時に箒と共に浮かび上がった。
「いやいや、なんで箒で空飛んでんの?」
「だって魔法使いだし。」
白黒の魔法使いは何事も無かったかのように飛んでいった。おそらくアリスってヤツのところにでも行ったのだろう……それにしても「ただの人間」ってこういうことか。とんでもない世界に来てしまったと今頃になって実感してきた。
「そうそう、泊まらせてあげるんだからお賽銭くらいしてよね。」
「なんで催促してんだよ、頭のネジでも錆びてるんじゃないか? 普通、こういうのは気持ちなんじゃねぇのかよ?」
「私はそんなこと言ってられないの! お金が無きゃ生活出来ないし。」
普通ならそうだろうな。金が無きゃ住むところも食事もままならない……でもそれはあそこじゃ、通用しない。あそこで通用するのは力か食料。通貨なんて意味を成さない。
「ま、金なんていらねぇからやるよ。一応聞くがいくらほしいんだ?」
確かご縁があるように5円玉が基本なんだっけか。5万くらいで十分だろう。
「有り金全部置いていきなさいっ!!!」
気のせいか? 瞳が円マークに。
「怖っ! ただのカツアゲじゃねぇか! いやちょっとまて、世界が違うのに使えるのか?」
そうだ、日本と外国ですら通貨は違う。ならオレの世界の通貨が幻想郷で使えるとは限らないはず。
「その辺は大丈夫! 幻想郷にはいろんな世界の住人が来るから対応可能よ!」
さいですか。
「ほらよ。」
「おおぉ、海斗ってば意外に持ってるじゃない。」
原作とは違いホテルにでも泊まれるよう、神崎の爺さんから50万ほど受け取ってある。使わないより、必要としてるヤツにやったほうが良いだろ。
「じゃ早速このお金で食材の買出しに行きましょ。荷物持ち宜しくね。」
荷物持ちをオレに頼む霊夢の顔は笑顔だった。
「荷物持ちか……。」
そういや貧乳お嬢様の護衛になった後も行ったっけ。
………。
……。
「思ってたより人多いな。」
オレたちは神社から森を歩いて人里までやってきた。当たり前だが森とは違いそれなりの活気に溢れている。八百屋や雑貨屋。どれも店は古い作りで木造、屋根は瓦……コンクリートや街灯は見当たらない。日本の時代劇でありがちな風景だ。
「くれぐれも逸れないようにね、荷物持ちなんだから。」
活気はあるが駅前ほどじゃないし、逸れることはまず無いだろう。
「ああ、本読んでるから終わったら呼んでくれ。」
「本読むなんてスグ分かる嘘言わないで、一緒に居なさいよって居ないし!」
さっきまで近くに居たわよね? にしても一緒に居なさいって私らしくないわ。会話も終始リードされてる気がする。
「ま、買い物しましょ。」
本屋に向かうときに霊夢が何か言ってたようだ。聞こえなかったからどうでもいいか。
それにしても古い本が多い、こりゃ読み応えがありそうだぜ。魔理沙のとこじゃ魔法関連だけだったし、この幻想郷に関しての情報が欲しいところだな。オレは笑っていた。
知識が無いものを知ることほど楽しい事はない。禁止区域から出てきてオレが最初に思ったことだ。ボディーガードの訓練も初めてのことばかりで充実した日々を過ごした……だが一年も経つとどんなに厳しい訓練でも退屈に感じる。オレにとっては厳しくもない。ましてやボディーガードを目指してるわけじゃないしな。
それでもアイツの護衛を始めてからは不思議と退屈を感じていない。護衛を始めてまだ数ヶ月だからと言ってしまえばそれだけだが。でも一つ分かっていることがある。現時点でオレは退屈を感じていないという真実だ。
「買い物も終わったし、帰って晩御飯の準備しなくちゃ。」
帰ろうとした時、本屋が目についた。幻想郷では見慣れないが、前にいた場所では見慣れた。そんな格好をしている青年を見つけた。
「あれ? スーツ着てるってことは外来人、ですよね。」
気付いた時にはその青年の元に向かっていた。
………。
……。
辺りは綺麗なオレンジ色ですっかり夕方になっていた。
「やはり何かが引っかかる。」
何冊か今まで読んできた本より字が難しいのがあるし、言葉も複雑だ。それに町並みが気になる。時代劇のような町並み、まるで昔の日本に来たような――。
「あっ、あの!」
後ろから女が声をかけてくる。気分が乗らん。誰に声をかけてるか特定しないなら無視しよう。
「スーツ着てるし、外来人の方ですよね?」
瞬く間にオレが設けたルールを突破されたようだ。仕方がないから振り返る。
声を掛けてきたのは、またしても少女。今度は緑の髪に蛙の髪飾り。服装は白と青が基調になっている。
「ま、外来人らしいな。なにか用か?」
少女はすでに笑顔。恐らく誰と接しても変わらないだろう……だがその笑顔の裏になにかを隠している。誰から見ても明るく元気ハツラツな子と見られてもおかしくはない。眩しい笑顔だと。
……でもオレは違った。少女の笑顔から微かだが、寂しさを感じた。
いかがでしたでしょうか?
今回は感想でご指摘をいただき台本形式を止めてみました。
なに形式って言うんだろうか?
台詞は口調さえなんとかすれば多少錯覚させる事が出来ますが、なんて言うのか?
心の声?みたいなとこは大変ですね。
経験を積んで良くしたいものです。
さぁて5話書きましょうか。
ご観覧ありがとうございました。
ご意見、ご感想がありましたらドゥビドゥビお願いします!