不真面目なボディーガード訓練生が幻想入り   作:橘恵一

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忘れてたって現段階では魔法の言葉なのかしれない。

何をやっても忘れてたと言ってしまえば事実は隠れていく。仮に音声やメモがあってもそれは過去の物。結局は今忘れてたんだからと言い訳出来てしまうのです。

と理屈ではこう考えたりも出来ますが現実では気持ちや感情が関わることで様々な変化が起こりますから不思議ですね。

それではお楽しみください。


第34話 「言おうと思ってたんだが忘れてたんだ。」

「なぁ海斗。」

 

 地下に降りてから図書館に向かう途中、ゆっくりと歩いている魔理沙が口を開く。

 

「あん?」

「霊夢に聞いた話だと紫が住まわせるように動いてるかもってことみたいだけど今回はいつまで居るつもりなんだ?」

 

 一体いつ霊夢とそんな会話をしたのか気になるところだな。紫が霊夢に言うとは考えにくいし、動いているかもってことは直接聞いたわけじゃなさそうだ。

 

「ちょっとした理由で暇が出来ちまってるから当分は楽しませてもらう予定だ。」

「だったらその間に一回は霊夢に会って来いよな。」

「ま、考えて無い事も無いが。」

「まさかとは思うけど金持って無いから迷ってる、なんて事ないよな。」

 

 図書館の入口についたが、そう言われたオレは立ち止まり魔理沙の方を向く。

 

「いや、そのとおりだ。だってそんなんで行けば何をされるか想像もつかないだろう?」

「……否定出来ないのが悲しいぜ。」

 

 魔理沙は少し考え軽くため息を吐いてから、開き直りながら目の前の扉を開ける。

 

「まさか朝霧が黒いのを連れてくるとは予想外だったわ。」

 

 扉を開けると近くには小悪魔ではなく、意外にもパチュリーが浮かんでいた。

 

「ならどう予想してたんだ。」

 

 魔理沙に続いてオレも入りつつ、パチュリーに声をかける。

 

「レミィか、それとも懲りずにフランでも連れてくるのかと。」

「誰か連れてくること前提かよ。」

 

 フランはまだわかるがレミリアは無いだろう。

 

「残念ですが勝者無しってことですね、パチュリー様。」

 

 そう言いながら奥で本の整理でもしていた様子の小悪魔が姿をあわらす。

 

「しかも賭けてやがったのか。」

 

 こいつらは暇つぶしにオレを賭けの対象にしていたらしいが、どうやら読みが外れたようだ。

 

「そいじゃ私は勝手に物色させてもうぜ。」

 

 元々必要な書物を探しに来たって事もあってか、ズカズカと奥にある本棚に向かう。

 

「で、前に話したとおりの盗人だけどどうして連れてきたの? 本を盗られるのは朝霧にとっても不利益よね。」

 

 声が聞こえないくらい距離が離れると不思議に思ったのだろう、理由を聞いてくる。

 

「ま、暇つぶしさ。」

 

 そう一言呟いてからオレは魔理沙が向かった方向へ歩き始める。

 

「なにをするんでしょうかね海斗さんは。」

「さぁ?」

 

 気にしても無駄だと判断したのか、パチュリーは普段通り本に視線を落とし読書を始めた。

 

「おい魔理沙、どんな本読もうとしてんだ?」

 

 本の内容を軽く眺めている後ろから声をかける。チラッとだが魔法に関すると思われる文章が見える、魔法使いであれば当たり前か。

 

「別になんでもいいだろ、どうせ海斗に言ってもわかんないし。」

「これでも降霊術の後編は読んだんだ、わからないって事は無いだろ。」

 

 一度しか読んでないから完全に覚えてなかったりするが。

 

「すごく怪しい……さては借りるのを邪魔する気だな。」

「オレが読書を邪魔するわけ無いじゃないか、ただの好奇心だ。」

「どうだかね。まぁ今日は属性魔術の書物を借りようと思ってさ。」

 

 疑いは晴れていないが喋りながら手にとっていた本を戻し、次に目をつけていた本を取り出し中身を確認する。

 

「本を借りるとは聞いていていたがちゃんと中身を確認するんだな。」

 

 魔理沙の家では本が雑に置いてあったし、適当に見繕って持って行っているのかと思ってたが違ったようだ。

 

「あったりまえだろ。」

「てっきり虱潰しに調べてるのかと思ったが違ったか。」

「そんなに馬鹿じゃないからな。」

 

 本を閉じてオレにその本を差し出す。恐らく持っておけってことだろう、それを受け取り一応中身を読んでみる。

 

「みたいだな。」

 

 知識が無い以上わからないのは当然、だが書いてある字からはそれなりの年季は感じられる。

 

「それで要件はなんだよ?」

 

 渡された本を少し見ている間に二冊目を見つけたらしく、今度は向き合いながら差し出してくる。

 

「一つは本についてだ。」

 

 二冊目の本を受け取り、答える。

 

「借りて行くなってことか?」

「お前がそうしてくれるなら話は簡単なんだが。」

 

 言っても治りそうも無いのはわかっていることだが一応言ってみるに越したことはない。

 

「じゃあ難題ってわけだな。」

 

 何度も言われているのか? とぼけた表情で振り返ろうとする。

 

「出来ることなら借りる際は誰かに一言、声をかけろ。そうすれば後は小悪魔が勝手にやるさ。」

「まさか私が言った言葉通り、死んだら取りに来るってことか?」

「ああ。死んでしまえば物理的に拒むことは出来ないだろうし構わないだろ。」

「面倒だけどそれくらいだったら考えてやる、あくまで考えるだけだけど。」

 

 話を聞きながらも魔理沙は本を物色し続ける。

 

「考えてくれるだけマシだ。」

「それで二つ目は?」

 

 三冊目が見つかったようで、再び向かい合ってから本を差し出す。

 

「今日帰るとき咲夜に伝言を伝えてくれ。」

 

 先ほどと同じように本を受け取りながら話を続ける。

 

「は? そんなもん自分で言えばいいだろ、今は同じ屋敷の住人なんだし。」

 

 思ったよりも重要な話じゃないと感じたようで本を探す方に集中し始めた。なんの話をすると思ってたいたんだか。

 

「少し訳ありで、その時間は咲夜に会えないんだ。」

「なんだそれ? メイドに秘密で囚われの姫でも救い出すってか?」

 

 魔理沙は笑いながら冗談交じりに言う。利用させてもらう以上は少しくらい本当の事を言っておく必要があるし良いだろう。

 

「そんなところだ。」

 

 ドスンっと持っていた本を落としながら、ゆっくりと振り返ってくる。

 

「おいおい、正気かよ!?」

 

 顔を見ると目を見開いていて、誰が見ても驚いているのだと分かるような模範的な表情をしている。

 

「そこまでのリアクションするような事でも無いだろうに。」

 

………。

 

……。

 

「パチュリー様よろしいですか?」

 

 あれから数時間が過ぎて小説を呼んでいると咲夜が訪ねてきたのだがその声が届く範囲に図書館の主は居ない。結局のところパチュリーに聞きながら目当ての本を探すほうが手っ取り早いとのことで魔理沙と一緒に探している。

 

「堅物のことだし返答が無いなら入らないんだろうな。」

 

 どうせ本人に聞いても同じ答えが帰ってくるなら声さえ似ていれば問題無いだろう。そう判断したオレは持ち前の特技を準備して声を出す。

 

「ええ。」

 

 恐らくどんな声かすごく気になる奴がほとんどだろう、そういう奴のために仕方がないからオレが伝えてやる。そう。それはそれは、パチュリーらしさが満ち溢れる声さ!

 

「……えっと朝霧くん、パチュリー様は?」

 

 咲夜は入ってくるなり辺りを見回してから近くで座りながら小説を読むオレに声をかける。

 

「奥に居る。」

「奥からここまで声が届くとは思えないんだけど。」

 

 さすがにそれぐらい見て分かるか、仮に大声でしゃべるような侑祈ならば届きそうだが。

 

「別にいいじゃねぇか、どうせ許可出すんだろうし。」

 

 オレが声帯模写したと言ってもいいが咲夜には知られていない方がいいだろうし黙っておこう。

 

「そういう問題じゃないけどあとで直接聞いてみるからいいわ、今用があるのは朝霧くんの方だから。」

 

 こいつは予想外、てっきり魔理沙を追い出すのかと思ったんだが違ったか。となると考えられるのは――。

 

「あのメイドめ、チクりやがったか。」

 

 読みかけの小説を閉じて机に置きながら呟く。

 

「ええ、帰ってきたときに報告を受けたの。」

「あれは腹が減ってイラついてたとこに鼻歌歌ってる奴が居たのが悪いんだ。」

 

 そうだ、誰だってあんなタイミングであんな奴がいたらイラつくよな?

 

「それでメイドに何かしたの?」

 

 おかしい、メイドに聞いたのならここはなんでそういうことをしたのか? と経緯を聞いてくるはず。まさかとは思いつつも尋ねる。

 

「報告を受けたんじゃないのか。」

「受けたのは美鈴から客人が一人来たってことだけ。」

「そうかよ。」

 

 どうやら勝手にオレが墓穴を掘ってしまったようだ。

 

「それで何したの。」

 

 咲夜は微笑みながらもう一度言う。その微笑みは怒りからでは無く、口車にオレが乗ったことを純粋に楽しんでると見える。この状況を打破するには意外性のある言葉を選ぶ必要があるはずだ。

 

「頭を掴んで揺さぶっただけだ、文句あるか。」

 

 いっその事開き直ったほうが優位に立てると思い、腕を組み上から目線で答える。

 

「そんな態度で言う台詞じゃないわよ? それよりも食堂に生ごみを置きっぱなしにしてた事は許されないわ。」

 

 コイツもツキ同様、屋敷が汚れると怒るなんて予想外……じゃあ無かったな。確かに生ごみを置いたのはオレかもしれないがそれを決定づける証拠は無い以上、反撃の手はあるはずだ。少なくとも図書館にいる連中は除外しても構わないだろう、となると考えられるのは――。

 

「なんでオレだと決めつける、レミリアかもしれないだろ。」

 

 屋敷の主であれば従わなければならない従者は強く言えないだろう。

 

「果物を食べる住人はごく一部だけでお嬢様は血液を好むのよ。」

 

 マズイ……わざわざ交友関係の深い相手を言うとはオレのミスだ。

 

「そういえば妖精メイドが食ってたとこを見たかもしれない。」

 

 メイドは大勢いるんだし長い時間一緒に居なければ全員の事を把握しているはずが無い。

 

「おかしいわね、あの子たちも食事をする必要が無いんだけど。」

 

 交友関係が低そうなのを選んだがそこまで低くなかったようだ。

 

「待て……今思い返せば美鈴がこそこそと何かしてた気がしなくもない。」

 

 大雑把そうな性格っぽいアイツならおかしな話じゃないはず。

 

「美鈴なら皮ごと食べるわ、あのバナナの一番美味しい部分は皮だから。」

 

 実にわかりやすすぎる嘘だ、そんな嘘じゃああの妙でさえ引っかからない……はず。

 

「んなわけ無いだろ、出荷する際は農薬に浸すって言うぜ?」

「通常であればそうかもしれないけど、スキマ妖怪から直に取って来てもらった物なのよ。」

「紫にっつうとあれか? 産地直送ってことか。」

「そんなところね。」

 

 それを聞いて小説が置いてある机を両手でおもいっきり叩く。

 

「オレとしたことが中身の味だけで判断し、一番美味いところを見逃していたなんて。」

 

 いままで色々な物を食べてきたがオレは常識に慣れてしまっていたようだ。見た目や味が同じなら食べらる部分も同じなのだと。そのまま少し硬直してから急に立ち上がり、図書館を出ようとする。

 

「ちょ、ちょっと何処行くの?」

 

 すると咲夜は少し戸惑いながら腕を掴み引き止める。

 

「やらなきゃいけない事が出来たからそれをやりに行くだけだ。」

「それってまさかとは思うけど皮を食べに行くのかしら?」

「そうに決まってるだろう!」

「はぁ。もう捨てたから無いわよ。」

 

 大きなため息を吐いて呟く。

 

「捨てただと?」

 

 咲夜の方を向き、そのまま突き当りの壁まで進む。そのまま後ずさり壁が背中についた咲夜の頭上に手を思いっきり叩きつけ、顔を近づけて怒鳴る。

 

「世間では今でもエコ、エコうるさくしてるってのに食べられる部分も捨てるのか!」

「……何から言えばいいかしら、とりあえず皮が美味しいって言うのは冗談なの。」

「何を今更。オレを騙そうたってそうは行かないぜ。」

「実際に食べてみないと収まりそうにないわね。」

 

 何かを諦めたような表情に変わり、そのまま食堂へと案内された。

 

「はい、食べてみて。」

 

 捨ててしまった皮は無いようで同じバナナを1本持ってきてそれを受け取り食べる。

 

「おいおい、これが一番美味い部分なのか? 明らかにマズ……いや、この渋さが癖にな――」

「変な事考えないで率直に味の感想を言ってみて。」

「実にマズイ、こんなもん食ってられるか!」

 

 ビターンと鳴り響くかと思えるくらい激しく床に叩きつける。

 

「だから冗談って言ったでしょ、まさかここまで悪ノリすると思わなかったけど。」

 

 すると咲夜は叩きつけた皮を拾い捨てに行く。

 

「オレを騙した罪は重いぜ? 咲夜。」

「ゴミを捨てなかった罪も重いわよ? 朝霧くん。」

「何を言ってるんだ? お前はそんなちっぽけな事を気にする器じゃないだろう? オレにその寛容さを見せてくれ。」

「それを言うなら私も朝霧くんの懐がどれだけ深いか、見せてもらいたいわね。」

 

 色々試行錯誤して切り拓こうとしたがなんだかんだでオレが犯人だと自供してしまったようだ。だが相手は消耗しているようだしここがチャンス。

 

「仕方ない、ならお互いにこの事は無かったことにしよう。」

 

 あえてここで一歩引くことにより咲夜も漸くこんな馬鹿げた話を終わらせられると思い同意してくるはずだ。

 

「わかったわ。」

 

 ほらな?

 

「それでもまだ朝霧くんには妖精メイドをいじめた罪が残ってるけど、どうする?」

 

 まさかここまで根に持つとは……。

 

「身に覚えがないな。」

「そこまで言うつもりは無いけど今後は屋敷内を汚さないように。」

「わかった、気をつけるとしよう。」

「じゃあこれから私は夕飯の準備を始めるから好きにしてていいわよ。」

「ああ。」

 

 今なら部屋の前で鉢合わせすることもないし、気になっている事を直接聞きに行くのに丁度いいかもしれない。そう思いオレは食堂を出てある一室へ向かう。

 

「ちょっといいか?」

 

 ドアの前に立ちノックはせずに声だけで伺う。

 

「ええ。」

 

 突然の来訪者にも関わらず取り乱す様子は感じられない。了解を得たのでドアを開けて部屋の中へ。

 

「まさか朝霧が私の部屋に来るなんて思いもしなかったわ、来るとすれば咲夜に連れて来いと命じた時ぐらいかと。」

 

 レミリアは以前と同じような状況で紅茶を一口飲んでから言い放つ。

 

「それは同感だ、オレ自身も来る気は無かったくらいだしな。」

「で、そんな朝霧が何のよう?」

 

 近くによると座りなさいといった様子で片手を椅子へ向けながら理由を聞いてくる。

 

「フランについてだ。」

 

 こちらとしてはそこまで話し込むつもりも無いので無視して来た理由を言う。フランやパチュリーから話を少し聞いたが聞くなら監禁を実行している首謀者に聞いたほうが手っ取り早い。

 

「驚いた。何一つ情報を喋っていないにも関わらずフランにたどり着くなんて。」

 

 言葉では驚いたと言ってはいるものの、肝心の表情は変わらず余裕を持ったまま。そして今の反応と魔理沙から屋敷内が狭くなっていると聞いてから考えていた事が確信に変わる。

 

「全然驚いてるようには見えねぇな、寧ろ計画通りって感じの悪どい顔してるぜ?」

「そういう顔の方が朝霧好みなんじゃない。」

 

 屋敷の広さが咲夜の能力によるものでそれを自由に命令出来るのは主であるレミリアだけ。仮に咲夜の独断だとしても、それを気づかないってことは無いに等しい。

 

「表情だけならな、だがこうなるために仕組んでたのは気に入らねぇ。」

 

 そう、恐らくフランに出会ったのは必然。どうやったのか? それはレミリアの能力によるものなのかもしれない、もし違いがあるとすれば時間と出会い方くらいだっただろう。

 

「仕組んだというよりは信じてみたって方が正しいわ、スキマ妖怪が気にかける程の人間かどうかをね。」

「そうかよ、ならオレがこれから何をしようと容認するってことだな。」

「その判断でいいわ、私が朝霧を助ける事も邪魔をする事もない。ただこれからどう足掻くのかを精々楽しませてもらうわ。」

 

 目的はあくまでフランと接触させるだけ、か。

 

「なら腹を抱えて大笑いさせてやるさ。」

 

………。

 

……。

 

 図書館に戻ると三人は紅茶を飲みながら談笑している、察するに本を探し終えたみたいだ。近づいて魔理沙に声をかける。

 

「どうだ、良い本は見つかったか?」

「ああ、パチュリーにも手伝ってもらってたからな。」

「そいつはよかった。」

 

 最後の紅茶を一飲みして、魔理沙は立ち上がる。

 

「とりあえず一段落したし、そろそろ帰るかな。」

 

 本が見つかった以上、自宅で読み込むのは当然だがもう一仕事残ってるんだな、これが。

 

「そのことだが今日は客人として招いたんだ、夕飯でも食ってけ。」

「怪しさしか感じられないけど……食えってんなら食ってくか。」

 

 そう言うと魔理沙は椅子に座り直す。夕飯が出来るまで待つってことなんだろうが、大切なことを言っておかねばならない。

 

「だったらすぐ咲夜に伝えた方がいいぞ。」

「なにを?」

「自分の分の夕飯を用意しろってな。」

「そういうのは招いた奴が言うもんだろ。」

 

 間違いなく世間一般の常識ではそうかもしれないな。だがオレに常識はあまり通用しない!!

 

「言おうと思ってたんだが忘れてたんだ。」

「あー! これがさっき言ってた伝言かよ。」

 

 何かに感づいてか、急に大声を上げ両手を机についてから右手でオレの方を指さす。

 

「魔理沙の割には物分かりがいいじゃないか。」

「そんな事言ってるとこのまま帰っちゃうぞ。」

「帰るってんなら無理には止めねぇ、ただその時は家にある本をすべて回収しにいってやる。」

 

 そう言いながら魔理沙の肩に手を置き、ぽんぽんと軽く叩く。

 

「……はぁ、伝えてくればいいんだろ。」

 

 すると急に肩から力が抜かれ、めんどくさそうに呟きながらトボトボと図書館の出口へ。

 

「おいパチュリーに小悪魔、今日はお前らも食え。」

「急に居なくなってから戻ってきたと思えば今度は私たちに命令?」

 

 パチュリーには説明していない事もあって、さすがに探りを入れてくる。それなりに偉い奴が出会って間もない下っ端に命令されれば誰だって癪に障るか。

 

「どうとってもらっても構わないさ、どうせ食えないってわけじゃないんだろ。」

「たまにはみんなで食べる食事もいいじゃないですか、パチュリー様。」

 

 オレとパチュリーの間に小悪魔は割り込みながらも、一瞬だけオレに目を合わす。

 

「みんなで、か。小悪魔がそう言うなら今日はそうしましょうか。」

 

 その言葉に納得したのか、仕方ないといった様子で本を置く。どうやら場所的に魔理沙との会話を小悪魔には聞かれていたのかも知れないが、好都合だ。

 

「そうと決まれば早速お前らも咲夜に言ってきた方が良い。」

「……例によって言い忘れて来たってことね、どうせだしレミィも一緒に誘っておこうかしら。」

 

 小悪魔の発言によってある程度の全貌を理解したパチュリーはわざわざオレにも分かるように呟いてから図書館の出口へ。

 

「頭が回る奴と空気が読める奴は助かるな。ま、準備はこんなもんでいいだろう、さてと今回の主役と打ち合わせと行くか。」

 

 一人になったオレは少しばかり含み笑いをしながら図書館を後にした。




いかがでしたでしょうか?

……情報収集なんてちょっぴりしかしてませんね。ですので今回の見どころは壁ドンもどきと、したたかな小悪魔と言ったところでしょうか。あとバナナネタのためにわざわざ皮を食べたってのはいい思い出になりました。

そんなわけで次回は発表会編の予定ですが変わる可能性が大いにありますので読者の方々も妄想を膨らませながら御待ちくださいませ。

読者の方々、ご観覧ありがとうございました。
ご意見、ご感想、ご指摘がありましたらお気軽にメッセージ等にお願いします。
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