近所のポケストップから自宅に帰って来るとね、ポニータが現れたんですよ。
捕まえたんですよ。
滅茶苦茶可愛いじゃないですか、ポニータ。
気が付いたらね、こんなものを書いてしまったんですよ。
グレンジムのジムリーダーを務めるカツラおじいちゃんは、昔から私のことを天才だと言っていた。
今でもそれは変わらないが、当時の私はその言葉に大変気分を良くし、ダーテングの様に鼻を伸ばしていた。
私が7歳の頃、生まれ育ったグレン島を離れて母の故郷であるカナズミシティへと移住する際、餞別として私はおじいちゃんからポケモンのタマゴを貰った。
引っ越した先はホウエン地方と言う、とてもとても遠い場所。
今まで面倒を見てくれたおじいちゃんは勿論、友だちもいなくなった私は多少の寂しさはあれど、タマゴを孵化させる事に夢中で、落ち込むことは無かった。
タマゴを預けると言うことは、新たに誕生する生命を託すということ。四六時中タマゴにつきっきりだったのは、おじいちゃんからの期待に応えたかっただと思う。
そして私は、無事にタマゴを孵化させるに至った。
生まれてきてくれたのは、鬣や尻尾の毛がまるで炎であるのが特徴的なポケモン、ポニータだった。
けれども、このポニータは他とは違うとても大きな特徴があった。馬毛が青いのだ。
所謂色違いと呼ばれ、その希少性から裏では高値で取引されたりするらしい。
そんなポニータが生まれてきた瞬間に、私は「これからこのこのために頑張ろう」と決意したのは、今でも鮮明に覚えている。
生まれて直ぐは脚がプルプルと震え、走る私についてこようと頑張るが、その度に倒れていたポニータも、成長するにつれどんどん足腰が強くなり、次第には私を背に乗せて走れるようにまでなった。
それからと言うもの、私とポニータは草むらを駆けまわり、時には野生のポケモンとバトルもし、その度にお母さんに怒られた。
その結果、私はトレーナーズスクールと言う場所に通うこととなる。
知らないことをどんどん知るのが楽しくて、上級生とのバトルも、私とポニータとのコンビネーションで勝利をもぎ取るのも、とても楽しかった。
おじいちゃんが私のことを天才と言っていたのは、決して孫可愛さからだけではなく、事実だった。
テストで出されるどんな問題も簡単に解けた。スクール主催のトーナメントでも優勝した。
次第に増長する様になるのは、必然的とも言えた。
周りの皆を見下し、野生のポケモンを唯の雑魚と宣い、ポニータだけに愛情注ぐ。
同級生や上級生が文句を言ってこようと、私とポニータには敵わない。
教師の前ではなるべく優等生として振舞っていたこともあり、お咎めもない。
その頃はまさに、私にとっての天下とも言える時代だった。
けれど、そんな私の伸びた鼻をへし折ってくれたのは、私が雑魚として見下していた野生のポケモンだった。
名前はアブソル。
お母さんがお友達に会いに行くのについていったヒワマキシティの近くの道路で現れたポケモン。
当時の私にとって、アブソルというポケモンは圧倒的な強者だったが、「自分は天才だ、野生ポケモンごときには負けない」という根拠の無い自信のもと、勝負を挑んだ。
けれど、そんなチンケなプライドなどアブソルの前には何の意味もない。
こちらの攻撃はヒットするものの、大したダメージにはならない。
しかし、向こうの攻撃は一つ一つが重たく、確実にポニータはダメージを溜めていった。
「ポニータぁ!」
あまりにも攻撃を受けすぎたポニータは、ついにアブソルの攻撃に耐え切れず、吹き飛ばされてしまった。
もうダメだ。敵わない。これ以上ダメージを受けては死んでしまう。
―――逃げなきゃ。
そう判断を下したが、当然ながら遅すぎた。
後一撃でも攻撃を受ければ、そのまま瀕死に、最悪の場合死んでしまう可能性だってある。
相手はトレーナーのポケモンだったら、戦闘不能になるように調整しただろう。しかし相手は野生のポケモンだ。
向こうも生きるために、弱者を踏み潰す。
私が馬鹿だった。
天才だと言われ良い気になって、結果を出しては態度を大きくし、いつしかポケモンへの愛情を忘れていた。
そんな馬鹿が、バトルで勝てるはずがない。ただ徒にポケモンを傷つけるだけ。
けれど、もしも、
「ポニータ……」
私がまたポケモンへの愛情を取り戻したら。
パートナーへの信頼を、もう一度思い出したら、
「がんばって……」
ポケモンは、応えてくれるだろうか。
「頑張って、ポニータッ!!」
◆◆◆
頬を舐る湿った感触に起こされて、懐かしい夢から現実へと引き戻される。
寝ぼけてはっきりとしない視界には、見慣れた青い炎が映っていた。
「おはよう、ぎゃろっぷ……」
夜更かしをしたからか、それとも懐かしい夢の所為か、なかなか頭は覚醒せずに、寧ろまた眠りにつこうとする。
しかしそれを許さないのがギャロップだった。
先程は頬を舐めるだけだったのが、今度は顔全体を舐め始めたではないか。
鼻や瞼も、そして唇も。
―――キタコレ!
唇がギャロップの舌と接触するということは、これはもうキスと呼んでも良いのではなかろうか。いや、寧ろそう呼ぶべきだろう。何ならKissでも良い。
好きな殿方――もとい雄に、情熱的な目覚めのキスをされるというのは、これはもう乙女(変)的にはPerfectなシチュエーションだった。
舌まで使ったキスをされては、レディとしてはこれに返さないわけにはいかない。
唇をギャロップの舌が通過しようとした直後、私はギャロップの舌に自分の舌を絡めに行った。
行ったのだが、残念ながら避けられてしまって舌を絡める事が出来なかった。
―――まぁ、何度も何度も同じことをしようとすれば、対応されても可笑しくはないか。
普段ポケモンセンターなどの施設で寝泊まりする時は、目覚ましなどを使って起きるか、そもそも起きない。
しかし、今回のように野宿をした時は、ギャロップ他私のポケモン達が起こしてくれる。
私の手持ちのポケモンは現在四体。
先程私を起こしてくれたギャロップ。
「キュウコンもおはよー」
野宿する時、大抵尻尾をもふもふさせてもらっており、そのまま布団代わりにさせてもらっているキュウコン。
「や、ちょっとくすぐったいよぉ」
そして朝起きると同時、ギャロップの同様私の頬を舐め、そのまま頬擦りを始めるキュウコンだが、その毛先が少しくすぐったくて身を捩る。
唯でさえギャロップが舌を絡めさせてくれなかった事もあり、やや不満気だった私は、キュウコンの両頬を掴むと、思いっきりブチュッとした。
言い方を正そう、唇を奪った。
もっとも、これもまたいつもどおりの事。キュウコンもまんざらではない様子で、私の唇を貪っている。
あまりやり過ぎると、私もキュウコンも止まれなくなってしまうので、あまり行き過ぎないところで唇を離した。
とは言っても、既に下着は大変なことになってしまっている為、交換し無くてはならない。
箍を外すのは、私がもう少し成長してから。
「ブースターも……ちゅっ」
そして、キュウコンとの接吻を羨ましげに見ていたブースター。彼で三体目だ。
抱きかかえるとやはり暖かく、頬擦りをしたり時には舐め回したり、私達の中で最も最近仲間になってくれたポケモンだ。
抑制しておかないととは思いつつも、つぶらな瞳で物欲しそうに唇を見つめられたら、そりゃあもうブチュッとやってしまうしかない。
「ウインディもおはよう」
流石に朝からちゅっちゅしていると目が覚めてくる。
私の手持ちの最後の一体、ウインディにも声をかけると同時、軽く合わせるだけのキスをした。
キュウコンやブースターは、わりとペロペロとキスをするのが好きらしいのだが、ウインディは軽く触れるだけの方が好きらしい。
なんて言いつつ、たまに私が我慢できずに舌を出すが。
さて、目が覚めたなら、皆の分と、私の分のご飯を用意しなければ。
一昨日買っておいた彼らのご飯や、普段から集めているきのみ、そして私のオニギリを取り出して、気合を入れるべく大声を出す。
「さーて、今日こそトキワの森を抜けるぞー!!」
言い忘れていましたが、私――アケミは、絶賛迷子になっております。
ゲーム開始初日の成果
御三家から選択→ヒトカゲ
家で画面を眺めてたら出現→マダツボミ
一先ず近所のポケストップに行ってみよう→カイリュー
カイリューをゲットした瞬間、今年一番の喜びを感じました。
本編でカイリューが出るかどうかは、現在未定。