救えなかった苗木の逆行物語   作:超高校級の切望

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革命学区のおとぎばなし③

「うん、傷跡は残らないね。良かった良かった」

 

 月光ヶ原の傷の具合を見ながらにこやかに笑うのは希望ヶ峰所属の元超高校級の医者新条医竜。

 

「大丈夫月光ヶ原ちゃん」

『大丈夫でちゅ』

「けど月光ヶ原ちゃん、灰慈くんと知り合いだったの……?」

 

 と、小間森が訪ねると月光ヶ原がビクリと震え顔がどんどん青くなっていく。

 

『……あの人は、わたちの兄でちゅ……血の繋がりはありまちぇんが……』

「兄……じゃあ、モナカを育てていたって言うのは?」

『希望の戦士の一人、塔和モナカは兄と腹違いの兄妹なんでちゅ。母親が失踪した時、塔和グループに引き取られて………その時、モナカとは種違いの姉であるわたちも……』

 

 そこから事派に詰まる月光ヶ原。モナカという少女はつまり、塔和グループの愛人の子と言うことだろう。世間体に影響する彼女がどんな扱いを受けたのか、また、そのついでとして引き取られたいっさい血の繋がりがない月光ヶ原はどんな扱いを受けたのか。灰慈のあの行動が一部を物語っていた。

 

「じゃあ月光ヶ原ちゃんはモナカちゃんを止めにきたのね……」

『………止めに、来たかったでちゅ』

 

 音声は自動で翻訳されるのか、口調は変わらないがディスプレイに映るウサミの操作は手動なのか先程からいっさい表情にも姿勢にも変化がない。

 

『でも、怖くて……義父さんや兄さんに殴られて、怒鳴られて……何より、わたちは一度………!』

「……そう、わかった。つらいなら、もう良いわ」

『すいまちぇん。少し、一人にしてくだちゃい』

「うん。気を付けてね………」

 

 

 

 こまるはある程度仮眠をとるとゆっくり上体を起こす。外に出ると前回そこそこ世話になった葉隠浩子がウニ頭と涙を流し抱き合っている。そういえば、彼女には息子がいて、彼は葉隠と呼ばれていたっけ。世界は狭いものだ。

 

「おーい、と・う・こ・ちゃーん」

「お、おまる。起きたの?なんのようよ……」

「ちょっとこれから希望の戦士の一人を倒しに行きたいんだけど、一緒に来てくれない?」

「は、はぁ!?」

 

 こまるの言葉に目を見開き驚く腐川。こまるは「もう、冬子ちゃんったら声が大きいよ」などと自分がまるで大したことを言っていないかのように振る舞う。

 

「言ったでしょ?出口になっているところには罠が、希望の戦士がいる可能性が高いって。でも橋は落ちて地下鉄も塞がれて、後はどこだと思う?」

「な、なによ……空でも飛ぼうって言うの?」

「おしい!高いところではあるんだけどね~………答えは塔和タワーだよ。ちなみにグライダーを使うとかじゃないからね?空路の手段は中になくても外にある。つまり連絡手段を手に入れられるのが一番困るはずなの。と、言うわけで……じゃーん!『塔和グループ製最新通信機~』!」

「ど、とこからそんなもん見つけてきたのよ……」

「『しろくまのへや』ってプレートが張られた部屋からパク……借りた」

 

 こまるの言葉に腐川がもう驚かないわと呆れる。

 

「で、あたしだけじゃなくて他の奴に声かけなくて良いの?」

「私としては大人達がまだ子供に敵意を持っている現状で、戦闘員をほっぽりだしたくないんだよね~。半分は」

「……の、残りの半分は?」

「だってぇ、もしお兄ちゃんと連絡取れた時そいつ等に時間とられたら嫌じゃない?お兄ちゃんと話せない可能性が残ってる限り、誰もつれてかない」

「……………あ、彼奴も島に来てるかも知れないわよ?」

「その時はその時。希望の戦士はほっといてお兄ちゃん探しをする」

 

 駄目だこのブラコン。早く何とかしないと。

 何とか?出きるのか、自分に。あの苗木誠の妹だぞ。

 

「というわけで、お兄ちゃんと話さないなら付いて来て良いよ」

「………?」

「あ、あはは……バレてた?」

 

 と、こまるの言葉に扉が開きばつが悪そうな顔で音無が現れた。

 

「後は…あ、月光ヶ原さんかな……。モノクマ仮面が渡してきたってことは一緒に行動していろってことだろうし」

 

 

 

 

 

 

 この塔和シティには現在外部との連絡を遮断する妨害電波が送られている。それは塔和ヒルズから流されていて、塔和ヒルズより高い塔和タワーなら通信ができるはずだ。

 

『でも、塔和ヒルズに本当にあるんでちゅか?』

「塔和タワーか塔和ヒルズにあるのは確実だと思うよ。で、塔和タワーより塔和ヒルズの方が中央よりだし………」

 

 何より外部との連絡手段を残しておかないとゲームバランス的につまらないだろう。向こうはそういうのを気にしている。まあこちらはわざわざ声に出さないが。

 どのみち電波の妨害装置は間違いなく存在するだろうし、それが高所にある可能性は月光ヶ原も否定しなかった。

 

 

 

 

 

「お、おまる……あんた何で地上の出口知ってんのよ」

「んー、勘」

 

 と、こまるは梯子を登っていく。そこは墓場だった。墓石には『シニタクナイ』と大量に書かれていた。

 ちなみにこまるはガチで霊感があったりする。

 

「それよりほら、早く塔に行こうよ」

 

 と、墓場から出て街にはいると目が痛くなるほどカラフルな配色の街並みが見えてきた。

 

「ぜ、絶対デザインに女子が絡んでるわね」

『………モナカ、でちょうか……』

「言子ちゃんでしょ。あの子、学芸会らしいし……」

 

 と、軽口を叩きながら川沿いを進む。しばらくすると、塔和タワーの入り口が見えてきた。

 三人が中に入ろうとするがこまるだけは入り口に立て掛けられていたプレートに話しかける。

 

「や、こんにちは」

「!?」

 

 こまるの挨拶にプレートの向こうからのぞき込んでいた蛇太郎がビクリと震える。

 

「ねえ今すぐ罠を解除して?これ、まだ弾のこってるよ?」

 

 と、こまるは実弾銃を蛇太郎の額に押しつける。

 

「え、ええ!?ほ、本当に撃ったりしないよね……!?」

「ん~?ほら、良く言うじゃない?人を殺して良いのは人を殺した者だけだって。まあ私は殺しても殺されたくないてけど。人を殺した自覚のない蛇太郎君とかそのへんどうなの?五人仲良く殺して罪を分けた気になっている蛇太郎君達には難しい質問かな?ねえ、どう思う冬子ちゃん……」

「な、なんでそんな状態で普通に聞けんのよ……」

「蛇太郎君は?」

「え?う、うーん………ボクちんは殺されたくないよ……」

 

 その言葉にこまるはそっかそっかーと、笑いながら銃口を押しつける力を強める。

 

「じゃあさっさと周りの車の中にいるボムモノクマに自爆させて?頭がパーンッてなっちゃうよ?」

「は、はいぃ!」

 

 蛇太郎がパンパン手を叩くと周囲の車が一気に爆発した。

 

「ん。じゃ、もう行って良いよ」

「うう、このお姉ちゃん怖いよぉ……ひょ、ひょっとしてボクちんが嫌いだからこんな酷いことをするの……?」

「…………………」

「な、何か言ってよぉ………」

「良いから行け」

「……………」

 

 蛇太郎は渋々引き下がり塔和タワーの中に戻ろうと振り返り、銃のグリップで思い切り頭を叩かれ気絶した。

 

「…………………」

『………………』

「………………」

 

 腐川、月光ヶ原、音無が唖然とこまるを見るなからこまるは蛇太郎のマスクを外して火をつける。

 

「じゃ、行こっか」

「あ、あんた……鬼か何か?」

「えー?やだなぁ、まだ一度も人を殺したことがない私が鬼の訳ないじゃん。それより早くいこ?」

 

 と、こまるが歩き出そうとした時──

 

『モノクロパーカー風になびかせて すべてを掻き乱す 謎の王へとなり この世の日常 乱すマヌケたち 適当徹底 おちょくれ!』

 

 と、何処からか音楽が聞こえてきた。歌詞はともかく、このリズムには聞き覚えがあった。

 暫くするとサイレンを響かせながら消防車が現れた。運転席にはモノクマが乗っている。

 

「……ファイアファイターモノクマ?」

 

 消防士の格好をしたモノクマはホースを持ってくると汗を垂らしながら蛇太郎にホースの先端を向ける。普通、消防車のホースでゼロ距離から放水すればかなりグロいことになるだろうが出た水はほんの僅か。

 うぅ……と呻いた蛇太郎を車の中から現れた消防士の格好をしたモノクマレッドが持ち上げ車の中に戻る。消防車はサイレンの音を響かせ去っていった。




『モノクマ仮面の歌』 作曲:ヌシカン様

モノクロパーカー風になびかせて
すべてを掻き乱す 謎の王へとなり
この世の日常 乱すマヌケたち
適当徹底 おちょくれ!

イキル道を決めた瞬間(とき)人は皆強くなれるから

仮面の王様 モノクマ仮面
キミの希望を いますぐ 分かち合いたいんだぜ!
5人の教師だ モノクマ仮面
ココロ砕いて 出陣! モノクマ軍団
弧を描いて 希望(ゆめ)の虹となれ

絶体絶望!? だから なんなのさ
何時ものことさ ボクの日常すぎて
退屈しのぎの タダのおふざけで
事態は 既に喜劇さ

信じることを恐れるな 希望こそ未来への橋だぜ!

仮面の王様 モノクマ仮面
キミの絶望(おもい)も 希望も 等価値なんだぜ!
一切理不尽 モノクマ仮面
誰も止めれぬ 狂気で 未来(みち)へ導け!
まだ止まれない おちょくり倒せ!

仮面の王様 モノクマ仮面
キミの希望を いますぐ 分かち合いたいんだぜ!
5人の教師だ モノクマ仮面
ココロ砕いて 出陣! モノクマ軍団
キミの 想いは キミだけのモノだ! 
モノクマ仮面ブラック!!   
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