私のアトリエ〜ネギま世界の錬金術師〜   作:只野飯陣

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導入〜ただの小娘〜
1〜見知らぬ街中の小娘〜


モニカの鎧はやっぱり鎧じゃないと思う。まぁスコップを万能武器扱いするオスカーよりはましだけどさ。

なんて、何回目になるか解らない感想を漏らす。

時刻は夕方、場所は自室、両親は不在、夏休み真っ只中の女子中学生、それが私『天条ノミコ』だ。

現在私は大人気ゲームシリーズ、アトリエシリーズ初のPS4作品である『ソフィーのアトリエ』をプレイしている最中であった。

生産系RPGと分類されるこのゲームは、戦闘よりアイテムの作成に重きをおいた作品である。

材料の吟味から始まり、特性の引き継ぎや融合を駆使し、様々なアイテムを作成する中毒性の高いやり込みゲームソフトだ。

近年ではストーリーを一貫しパーティーキャラクターを固定したりと、割りと戦闘にも比重が傾いて来てはいるが、デビュー作品であるマリーのアトリエからアーシャのアトリエまではキャラクターを雇ってフィールドに材料の採取に出掛けたりしなければならなかった。

その為、街の外に出るのにもパーティーキャラクターへの給金を払わねばならず、うっかりしていれば雑魚な主人公一人で採取の旅に出掛けるなんて苦行も度々発生した。

そんな名作ゲームシリーズを産み出したガストは偉大だ。初志の『世界を救うのはもうやめた』の精神は消えても、しっかり面白いのだから素晴らしい。

 

「あー!!満足したー!!」

 

手足を広げ寝転がる。目の前に流れるエンドロールと切ない旋律に身を委ね、安らかに眠りに…………

 

「あびゃびゃびゃびゃびゃ!?!?!?」

 

つけなかったたたたたたたたた。しびびびびびれるるるるる!!?

 

「死ぬー!?………………あれ?」

 

え?あれ?

何か身体がビリビリしたと思ったら、知らないところに居るんですが。

なぁにこれぇ?

いや?え?マジでなにこれ?

あいた!

ボーッとしてたら人にぶつかってしまった。

 

「おっと、悪いな嬢ちゃん」

 

「いえいえ、此方こフォオ!?」

 

虎!!

ぶつかってしまった人が虎!!

もう何言ってるかわかんねー!!

落ち着けー、落ち着けー。

冷静に辺りを見回すと羽の生えた小さな女の子や、骨だけの人や、下半身虫の人や、腕が沢山の人が。

 

「あばばばばば」

 

はっ!?そうか!!夢か!!

何か感電したっぽいのも夢かー、何だよー、驚いたじゃないのよー。

夢だと思えば怖くないもんねー。

それに何だか本格ファンタジーな世界観に相応しい中世を思わせる街並みだし、これはネット小説で憧れた転生そっくりなシチュエーション。

期待しています。とても。

兎も角、これが夢なら異世界さんの街並みを見て回らないのはもったいないよねー。

夢にしては意識がハッキリし過ぎだとか、気にしない気にしない。

夢以外有り得ないし、有り得ないで有って欲しいし。

ま、まぁあまり悲観的になるのも良くないさ!!所詮夢、夢なんだから!!

とゆー訳で異世界観光だー!!おー!!………はぁ。

 

 

 

異世界観光に胸を高鳴らせていろいろな店を冷やかした。

日用雑貨を販売している店や、現代日本では先ず御目にかかれない武器屋、防具屋、さらには仮契約屋なるいかがわしい名称の店まで。仮契約………奴隷的な奴かなぁ、近付かないようにしよう。

奥にコロッセオみたいな施設も見えるし、それなりに大きな街みたいだ。

街並みは中世ヨーロッパ、というかドイツに近いかもしれない。

等と観察しながら歩いていたら街の外壁まで来ていたみたいだ。

街を囲むように外壁がある事から城壁都市であると察せられる。

ファンタジー世界ではお馴染みの都市構造ではあるが、地球の歴史的には実は珍しい形式である。

日本のように城が町の中に有るのではなく、都市そのものが要塞として機能しているのが特徴だ。

むしろファンタジー小説のように城壁都市の中に別に王宮がある何てのは、王族が権威を示す為だけにやっている自慰行為以外の何物でもないよね。

まぁそんな持論はどーでも良くって問題は此所が城壁都市って所なんだよね。

何せ城壁が有るのなんて戦争時に狙われる重要拠点か日常的に危険に見舞われる立地かだよね。

そしてこの都市で大きな建造物はパッと見、例のコロッセオぐらいだ。

つまりはこの都市に城壁があるのは日常的に危険に見舞われるからだと推測出来る。

うわー、盗賊とか魔物とか、ファンタジー世界ではお馴染みなのが近くにいるのかもなー。

ちょっと怖くなってきた。

でもでも、多分恐らく夢何だし、別に平気だよねー?

ちょーっと、ちょーっと、外を覗くだけー。

そーっと外に通じる門から外を覗く。門番さんに不審者を見るような眼で見られてるけど、好奇心には勝てないよ。

 

「ぷにー」

 

ほぁ!?え!?ぷっぷぷっ………

 

「ぷにぷにだぁー!?ぐぇっ」

 

思わず駆け出しそうになった私の襟首を門番さんが慌てて掴む。

お陰で首が締まり乙女にらしからぬ声が上がってしまった。

 

「通行証も無しに外にでるなよ嬢ちゃん」

 

等と呆れた声音で注意されてしまった。

まって!!ぷにぷに!!ぷにぷにが!!ぷにぷにがぁー!?

ぷにぷには私の気迫に怯えてしまい慌てて街道の脇に逃げていってしまう。

あぁ、愛しの雑魚マスコットよ、アトリエ世界において世界一弱い生命とまで言われた雑魚中の雑魚よ。

今は君の背中が遠い。

 

「ぷにぷに……うっうぅ、ぐすっ」

 

「ちょっ!?泣くなよ!!」

 

だって門番さん、ぷにぷにがぁー、いくら夢だからってこんなのあんまりだよー。

 

「あぁー解った、悪かった、俺が悪かった。だから泣くなよ、な?」

 

「ぐすっ……うん」

 

「通行証見せてくれたら通って良いからよ」

 

………通行証?

無いよね?ツ○ヤカードじゃ……駄目ですか、ですよね。

んとね、それじゃね。

 

「ぐすっ、じゃあ帰る」

 

よし、これで誤魔化し………

 

「待てこら」

 

切れなかった。

 

えぇ?これどーしよ。

異世界、しかもおそらくアトリエ世界に来て、こんなアホな理由で疑い持たれるとか、嘘でしょ?

 

「まぁ嬢ちゃんみたいな盗賊もいないだろうが、あからさまに怪しい自分を恨むんだな」

 

などと言って牢獄に入れられてしまった。

幸い一日で出してもらえるみたいだが、それでも初日に投獄されるとかありですか?

まぁゆっくり腰を据えて考える時間が出来たと、前向きに捉えよう。

先ずは現状について。

認めたくないが夢ではない………かもしれない。

とゆーのも、意識、感覚、認識力が普段と変わらないのだ。

昔見たドキュメンタリーで、夢ではこの三つが低下するとあった。

唯一の例外は明晰夢だが、これは夢だと認識したら現実味が無くなる筈である。

つまり私は自室で遊んでいたら感電、それに伴い転生、ないし転移したという事だ。夢より夢みたいな話だが。明日まだこの牢獄に居たらこの考えを確定としよう。

次にこの世界について。

ぷにぷにが居たから安易にアトリエ世界だと考えたが、これは正直半々だ。

とゆうのも、アトリエ世界に関連するものをぷにぷに以外に見ていないのだ。

冷やかした店にもアトリエ世界に関連する素材はなかった。

もしかしたら見ていない店に有るのかもしれないが、今現在確認のしようがない、だから半々で保留。

最後に、これが現実だった場合はしゃいでばかりもいられない。

ぶっちゃけこの世界の貨幣が無いのだ。

衣食住が揃えられない、アトリエ世界だとしても錬金術云々以前に生きてけない。

どーする?こんな怪しい小娘働かせてくれる場所があるのか?

落ち着いて考えれば考える程に詰んでる。

地に足付かないよー、いやー参った。

うんうん頭を悩ませていても良案は浮かばず。そのまま私は深い眠りに落ちていった。

 

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