私のアトリエ〜ネギま世界の錬金術師〜   作:只野飯陣

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11〜幸先の悪い小娘〜

役場を後にした私は、アデルベルトと合流して街門の前まで来ていた。

なに食わぬ顔(当たり前)で通行証を提示するアデルベルトを見ながら、私も門番さん(渋め)に渾身のドヤ顔を晒しながら通行証を提示する。

 

「通行証一つにどんだけだよ、おら、解ったからさっさと行け」

 

深い溜め息を吐き、頭を押され街の外に出される。乙女に何たる扱いなのか、断固として抗議したい。

貸し馬車屋で借りた馬車と、それを引くクルーマと言うダチョウみたいなチョコ○みたいな動物の手綱を引っ張る。

 

「それじゃ、行こっかアデル」

 

「あぁ、そのジャック君だっけ?会えると良いな」

 

私はアデルを促し馬車によじ登る。因みにアデルとはアデルベルトの愛称だ。

アデルベルトでは長すぎるからと、愛称呼びを許して貰えた。

 

「うん、流石に額が額だしねー、さっさと手放して肩の荷を降ろしたいよ」

 

ジャックの居る湖は徒歩で半日、馬車を借りられたし、多分日が沈むまでには到着出来るだろうという話だ。

その後ジャックのベースキャンプで夜を明かし、翌日には出発する。

行きは時間の関係から諦めるが、帰りには素材採取地を探す為に寄り道をするつもりだ。

馬車の荷台に座り込み、クルーマの手綱を引くアデルと話しながら、初の採取地(かもしれない)ラカンの居る湖に向かうのだった。

 

〜〜〜〜〜

 

うぬぐぐぐぐ。

現在私はアデルから魔力の扱い方を習っている。

ぐぐぐ……ハァァ!!

 

「プラクテ・ビギナル!!火よ灯れ(アール・デスカット)!!」

 

全力で握っていた魔力伝導体と呼ばれる杖を、勢い良く降り下ろす。

すぴー。という情けない音を漏らし、杖の先から生暖かい微風が流れる。疑う余地無く失敗だ。

この火よ灯れの呪文は初心者向けのもので、唱えると体内の魔力が勝手に杖に流れていき、空気中の火の精霊が反応を起こすのだと言う。

出せる火はライターのように小さいが、それでも体内を巡る魔力の流れを感じる事が出来るようになるから、魔法世界の住人は皆この魔法から始めるのだとか。

それに火よ灯れならば視覚的にも成功か否か解りやすいというのも、長く初心者向けの呪文として使われている所以だろう。

 

「こればっかりは回数だからなぁ、リアクションが有るって事は魔力は流れてるし、多分魔力の伝導が中途半端だから火が付かないんだよ」

 

クルーマの手綱を引っ張りながらアデルが説明してくれる。

 

「魔女の一族ならもっと効率的に教えてくれるんだろうけど、知り合いにはいないしなぁ」

 

私が杖をブンブンと振り回すように奮闘していると、アデルから聞き捨てならない台詞が飛び出した。

魔女の一族………何てファンタジー感の溢れる呼び方だ。

これは是非とも詳しい話を聞かなければならないようだ。

 

「あー、アデル君や、その魔女の一族とは如何様な一族なのかね?」

 

「何だいその口調、気持ち悪いな」

 

んな!?

言うに事欠いて気持ち悪いとか、駄目だこの男、女子に対するデリカシーゼロである。

あれ?でも最近は割りと周りから似たような扱いを………

うん!!この話しはおしまい!!

決して私が女子としてカウントされて無い訳ではない。良いね?

 

「んー魔女の一族がどんな一族か、かぁ」

 

アデルは考え込むように唸り視線を空に向けた。

顎に指を添えながら言葉を探しているのか、眉間には皺が寄っている。それ程難しい質問だったのだろうか?

 

「一言で言えばズルい一族、かな?」

 

暫く悩んだ末に出した答えが此れである。いやいやいや、まったく解らないよ、もっと詳しく教えてくれなきゃ。

そんな内面を察したのか、眉尻を下げて困り顔を浮かべる。

 

「魔女の一族は閉鎖的でね、余り詳しい情報は出回って無いんだ。解ってるのは女性しか居ない事、固有術式(オリジナルスペル)を幾つか伝承している事、後族長の魔女が数百年生きてる事、ぐらいかなぁ」

 

捕捉するように付け加えられたが、結局良く解らない一族という事くらいしか解らなかった。

にしても数百年生きてるとか、もしかしたらアメリカ建国より前?

いや、こんなファンタジー世界にアメリカ何て存在しないだろうけども………にしても一つの国より長い歴史を持つ一個人かぁー。

 

「そりゃまた無茶苦茶な人もいるんだねープラクテー、ビギナルー、火よ灯れー」

 

 

世間話の合間に杖をクルリと回すと、杖の先から一瞬ではあるが確かに火が付いた。こうポワッと。

 

「おぉ!?成功?え?成功しちゃった?」

 

「うん、成功だね」

 

私が驚愕と喜びに困惑していると、アデルの冷静な返答が帰って来た。

にしても今の感覚は少し独特だったなぁ、こうゾワワッとする感覚が胸の辺りから腕を通ってビュワッとなる感じ。

あかん、説明力皆無や。これじゃ「ぐるこーん、ぐるこーん」で解るわけないだろとか笑えない。ロロナ先生スイマセンっしたー!!

ちなみにぐるこーん、ぐるこーんとはロロナ先生曰く釜をかき混ぜる音らしい、多分地球儀を回転させる時も同様の擬音が使われる。何の話なのか。

 

「その感覚を忘れない内に反復練習しといた方が良いよ」

 

思考が脇道にそれた私の意識を、アデルが無理矢理に引き戻す。

割かし意識がしっちゃかめっちゃかな私には、アデルの冷静な突っ込みは有り難い。五年も共に働くには申し分ない相手だ。

 

「そうだね、プラクテ・ビギナル・火よ灯れ(アールデスカット)

 

再度の呪文、杖の先から小さな火が灯る。今度は直ぐに消えるような事も無く、杖を左右に揺らしたら、火も後を追うように付いてきてくれた。

 

「もう火よ灯れは完璧だな、思ったより筋が良いよ」

 

思ったよりは余計だけど、褒められて悪い気はしないよ、うん、私は褒められて伸びるタイプの人だからね。

 

「その調子で次は風の初級呪文、ウェンテフレッテを行ってみようか」

 

「うんしゃ!気合い入ってきた!プラクテ・ビギナル・風よ吹け(ウェンテフレッテ)!!」

 

と、アデルに乗せられた勢いのまま杖を振るった瞬間、玩具のような見た目の杖の先端に取り付けられたファンシーなハートがブブブブブとバイブ音を鳴らし、暴風が吹き荒れた。

 

「わひゃあ!?ちょまっ!!………うぎゅす!?」

 

暴風に驚いたクルーマが馬の嘶きのような鳴き声を上げ一気に走り出し、馬車の上に座っていた私を振り落とす。地面に落下した私は呻き声を上げ、私を受け止めようと駆け出したアデルが転倒し、クルーマが走り出す。

当然クルーマに括り付けておいた小樽や籠もクルーマと共に遥か遠くへ。馬車に積んであったテントや食料もだ。

 

「あぁ!?待って!!君のレンタル料金や小樽やらー!!」

 

そんな私の叫びも虚しく、クルーマin馬車は砂埃をあげながら豆粒のように小さくなり、見えなくなった。

どうやら私はアデルの不幸体質を甘く見ていたらしい、出発から二時間立たない内に引き返す事になろうとは………っ!!

ユーディープレイ中の天候が崩れない内に移動しようとしていた苦い記憶が甦る。

それもこれも全部、このあからさまな程に目線そらしてる男が………!!

くの!!くの!!

立ち上がりアデルを睨み付ける。だが直接的な原因は私の呪文なんだよなぁ。

というか過失的には十割私?あれ?戦犯認定?

 

「……………」

 

さ、幸いアデルは不幸な出来事=自分みたいな方程式が出来てるのか、此方の責任問題にする気は無いみたいだし。

うん!!二人が悪い、つまり相殺して誰も悪くない。という事にしておこう!!

 

「さーってと、引き返して、また諸々準備中しなきゃねー」

 

内心冷や汗ダラダラ流しながら、しかして口調は流暢に(だと良いな)。私は一時帰還を申し出たのであった。




自宅でゲームしてて落雷直撃するノミコさんも相応に不幸体質だと思う

newスキル

火の初級呪文(種火的)
風の初級呪文(暴風になる)


風の初級呪文はオリジナルです
暴走した理由は一応あるけど、話に組み込めるかは作者の腕次第、つまりは期待したらだめ
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