私のアトリエ〜ネギま世界の錬金術師〜   作:只野飯陣

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14〜再会と説教の小娘〜

不幸な事故により鍋が使用不能になった私たちは、野菜を切っただけのサラダと、鍋(だった物)で炒めたけもの肉を焼いただけの、質素な夕食を食べて就寝した。

思っていたより体力を消耗していたのか、 テントの中で横になった瞬間に睡魔に襲われ、私は直ぐに夢の中へと旅立っていった。

翌朝にアデルに身体を揺すられ、抗いがたい睡魔に打ち克ち、重たい身体を起こしてテントから出る。

朝焼けに照らされた草原街道に小さな感動を覚えながら、テントを片付けていく。

アウトドアが好きだった私も、流石に夜営は経験が無い。見張り何てやった事も無い。そもそも火の番とかも普通はやらない。

一人でそんな事やってて野盗とか魔物とかに襲われないとも限らないし、そんな事態に私が対処出来る筈も無い。

そんな訳で、夜通しの見張り&火の番をしてくれていたアデルは、荷車に座り込みウツラウツラと舟を漕いでいた。

パナ(仮称)の手綱を握りながらゆっくりと街道を進んでいると、程なく大きな湖が見えてきた。

この湖を迂回すると、隣街であるリンダルムに付くと言う。

それはそーと、実はこの湖にはジャック少年以外の目的もあったりする。

それは湖の水だ。

以前話したように、ザールブルグ方式のレシピでは、中和剤(青)の材料にはヘーベル湖の水が使用される。

勿論、他のシリーズのように水カテゴリなら何でも良いというレシピも存在するし、いずれはそれらも試すつもりではあるが、何度も失敗するだろう事を見据えるとコストパフォーマンス的には材料が単一のザールブルグ方式を真っ先に試してみたいのが本音だ。

だがここで問題になるのが、果たしてヘーベル湖の水以外でも、ザールブルグ方式のレシピが適応されるのかどうかだ。

その試しとして、先ずはヘーベル湖ではない湖の水を使おうと思い至ったのだ。

とはいえ、私は八割方大丈夫だとは思っている。

とゆうのも、まさかザールブルグシリーズの錬金術師全てがヘーベル湖の水を使っているとは思えないからだ。

まさか、惑星の真裏に位置する地域にいる錬金術師までもが律儀にヘーベル湖の水を使っている筈も無いし、ザールブルグシリーズと世界観を同一とするユーディーのアトリエではヘーベル湖のへの字も出ない(そもそもユーディーの中和剤は一種のみだが)

まぁ、そんな理由で大丈夫だと思うが、二割程は不安もある。

検証用に樽も三つも積んできたし、ジャック少年に150万ドラクマ渡したら、直ぐ様アデルと湖の沖まで水を採取しに行くつもりだ。

 

「必殺……ギガァ…ラカンゥ…ブレェイクゥゥ!!」

 

未知への探求に心踊らし、ニマニマと笑いながら湖に近寄った瞬間、どこからともなくそんな勇ましい声が響いた。

何ック少年の声だ!?と辺りを慌てて見回していた私の背後、つまりは湖で爆発が起きたかのように水柱が上がった。

 

「っ!?敵襲かい!?」

 

その音と衝撃に跳び跳ねたアデルが、直ぐ様大剣を構え臨戦態勢に入る。

その反応の速さは称賛されてしかるべきなのに、何でだろうジャック少年(このバカ)のせいで滑稽にしか見えない。

 

「ん?おー、ノミコじゃねぇか、どうしたよこんな所に」

 

私の目の前に着地したジャック少年がヘラヘラと笑いながら話し掛けてきた。

ジャックの上げた水柱から大量の水がスコールのように降り注ぎ、私もアデルもビシャビシャに濡れてしまった。何て事をしてくれたんだジャック少年(このバカ)、節約の為に他の服はあと一着しか買ってないのに、とゆうか荷車まで被害をうけてるじゃないか、幸い湖に入る前提で水着を持ってはきたけど、本当に無茶苦茶しおってからに、気まずさやら何やらかんやらが吹き飛んだぞこのバカ(このバカ)………本当にバカだよ。

 

「はぁ〜……何だか一人でモヤモヤしてた私がバカみたいだ」

 

あの控え室でジャック少年の嘆き、それに対する後悔と誓い………の直後のそれを全部台無しにする展開、全部が最早どーでもよろしい。

ジャック少年は変わらずバカだし、私も変わらず楽観的だ。それで良いのだ。

結局、あの一件でジャック少年の直向きさを知ったからといって、ジャック少年と距離を取ろうとする必要は無かったのかもね、それにほら、私ってばそんなキャラじゃないしさ。

 

「ジャック少年!!アンタから持ちかけてきた話なのに受け取らずに出るとかなぁに考えてるのさ!!」

 

私はジャック少年に飛びかかり頭をワシャワシャと撫で回した。

 

「うぉ!?何しやがる!!」

 

私のなでまわしに驚いたジャック少年は、私の右手首を掴み背負い投げ……のように見えるけど良く解らない回転をくわえた投げ技で、私をアデルの方に投げ飛ばした。

移り変わる視界に悲鳴もあげられず、されるがままに宙を舞った私はアデルに受け止められ、地に降ろして貰った。

こ、コイツ、わざわざ届けに来てやった私に何たる仕打ちだ。

紳士的な青山氏を見習うべきだね、まったく。

 

「くぬぬぬ………はぁ、まぁ良いや、はいこれジャック少年の取り分」

 

言いたい事が無いでもないけど、ジャック少年には借りがあるしね。ま、一方的にだけどさ。

私は鞄からドサリと袋を取り出した。

 

「取り敢えず賭けの勝ち分の150万ドラクマ飛んで187アス、ちゃんと渡したからね?足りないとか言わないでよ?………あー重かった。じゃねジャック少年」

 

ジャック少年に借りていたお金を返した事でやっと肩の荷が降りた気分だ。

物理的にも心的にも重かった。本当に。出来ればもう他人の大金を持ち歩くような経験はしたくないものだ。

 

「………いやまてお前ら、何自然に別れようとしてんだ」

 

手を振りながら歩き出した私の肩をジャック少年が掴んだ。

なんだよもぅ、アデルなんか寝ずの番で疲れてるんだから、用事があるなら手短にしてよ?

 

「いやおい、おい!おかしいだろ!?この額!!」

 

しかしジャック少年はそんな私の思いとは裏腹に、袋を掴みあげ焦っているかのように私の眼前に掲げて怒鳴り付けてきた。

 

「俺が貸したのって15万ドラクマだったよな!?取り分半々だよな!?これじゃ全額じゃねぇか!!バカかお前!!」

 

あっあっ……あー、そうゆう事か。

確かにジャック少年に借りたのは15万ドラクマ日本円で1500万、因みにジャック少年の身元買い取りに必要な額は100万ドラクマ、日本円で1億、この内52万ドラクマは返済済みであるらしい。

そしてこの1500万は今回の拳闘大会で賭け金が爆発的に上がる瞬間を見越して貯めた全財産だったらしい。

そんな計画性皆無なジャック少年にバカ呼ばわりされてしまったが、これは私が悪い。

何せジャック少年は、私が賭け金を上乗せした事を知らないのだから。

仕方無い、説明してしんぜよう。計画性皆無なジャック少年に私の華麗なる資金管理術を。

 

「ふっふっふっ、実はカクカクシカジカとゆう……」

 

「いや、わっかんねーから、頼むから普通に説明してくれ」

 

「ノミコ、それは流石に無理があるよ、俺も事情が知りたいし詳しく説明してくれよ」

 

古今東西で伝わる伝達方が通じなかった。当たり前である。

仕方無いから私は闘技場でのピエロとのやり取りを話してあげた。

ジャック少年が扱き下ろされた事。

口論になって自分を担保に賭け金を上乗せした事。

大金が手に入ったから、ジャック少年の取り分は借りた金額分全額にした事。

最初は黙って聞いていた二人も、途中から顔を青ざめさせ、最後の方はあからさまに怒った顔つきで睨んでくるものだから、私の説明も尻すぼみ最後の方はもはや小声である。

ふぇ〜何で怒ってらっしゃるのか。

 

「「バカかお前(君)は!!」」

 

説明を終えた私に対して、二人が同時に叫ぶように怒鳴り付けてきた。

 

「お前女だろ!?俺なんかの為に何してんだ!!」

 

「ジャック君の前評判は聞いていたんだろう?彼が負けていたらどうなってたか解ってるのかい!?」

 

いやぁ、まぁあの時は私も熱くなっちゃって、それにほら、結果的には大金が手に入ってオーライオーライ。

何て言ったら流石にマズイだろう事は私でも解る。

甘んじて説教を受け止めるしかないのかぁ。

 

「「聞いてん(る)のか(い)!!」」

 

「ひゃい!聞いてます!!」

 

蛇足ではあるがその後、説教は日が真上に昇りきるまで続き、正座させられた私の足が回復するのに更に一時間要した。




40年後(原作)のラカン
「考案料は100万(1億円)だ(ニヤッ)」

現在(本作)のジャック少年
「150万!?高いわ!ありえんだろ!?」


ジャック少年とラカンの差を考えながら書くのも楽しいです


本格的にアトリエ始動は後5〜6話かかりそう。
ま、まぁ!主人公の成長は鈍亀っていってあるし!!
何とか20話辺りでアトリエ本格始動
キリの良い所で閑話かキャラクタープロフィール張りたいですね
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