私のアトリエ〜ネギま世界の錬金術師〜   作:只野飯陣

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5〜後悔と決意の小娘〜

剣闘大会が終わり、ジャック少年は何事かを喚きながら、スタッフに引き摺られるように会場から出ていった。

あっけない幕切れに客席からはブーイングの嵐が飛び交い、トトカルチョの券が宙を舞う。

かく言う私も、予想だにしない展開に呆けていた。

 

(えっと………初期ベルが居たって事は此処は黄昏世界?でも砂漠化とかしてないし、それに黄昏シリーズにマンドラゴラは居なかったし)

 

そもそも、黄昏世界なら錬金術はもっと普及している筈だ。

いやいや、自分でアトリエシリーズはキャラを使い回してるって言ったじゃないのよ。でもコスチュームもおんなじなんて有り得るの?

………あーーー!!わからーーーん!!

もう難しい事は考えたくない、この世界はアトリエ、ウィルベル可愛い、これだけ解ってるなら十分だろう。

 

「くっまさか君はこの結果を予想していたなのですか?だとしたらなかなかの」

 

「うっさい邪魔!!」

 

って呑気に考え込んでる場合じゃない!!ジャックのあの荒れようなら最悪スタッフさん殴るかも!?てゆーか殴るねあいつなら!!

あーもー!!仕方無い、たったの一日の付き合いで此処まで情が移るとは、謎のカリスマ………いや、ほっとけないオーラを出してるジャックが全部悪い。

折角優勝したんだから、無駄に逸らないでよ?

 

 

 

 

 

選手控え室前に着いた。

辺りは静寂に包まれ、嫌な予感が膨らんでいく。

最早既に全員殴って追い出された後とか?

いやいや、そんなまさかねー?等と考えながら扉を開く。

扉の隙間からひょっこり顔を入れ中を覗くと、治療を受けたのか無傷なジャックが椅子に座っていた。

最悪の展開には到っていないようで、私は安堵の溜め息を吐き出した。

となれば、取り敢えず大会優勝の御祝いを言おうと口を開き掛け、直ぐ様閉じた。

泣いていたのだ。ジャックが。

一日にも満たない付き合いではあるが、あのジャックが泣きながら「ちくしょう………」と呟く姿は、私に衝撃を与えた。

子供扱いしているつもりは無かった。特別扱いしているつもりも。

だが、私はジャックに甘えてはいたのかもしれない。

敗ける筈がない?たった半日の付き合いで何がわかる。

頼りたくなる?こんな少年に頼りきりで恥ずかしくないのか。

私に損は無いだと?当たり前だ、私には初めから何も無いだろう!!

失う物が無い奴が上から目線に立ちやがって、気持ち悪い!!

………駄目だ、今の私は、今のジャックに話し掛けるべきではない。

この世界に、しっかりと足を付けよう。話はそれからだ。それまではジャックとは会わない!!

私はソッと部屋を後にした。

 

「よしっ!どうせ帰る家は無いんだ。今日は寝ずに草むしりだ」

 

魔法の草を集めて、錬金術を試そう。

失敗しても失敗しても、何度も何度も、いつか錬金術が使えるようになるって信じて。

 

 

 

 

 

それから私は酒場に戻りバケツを受け取り、草を探す作業を続けた。

一心に集め続け、明け方にやっとバケツを満杯に出来た。

フフっジャック、私も一つの死闘をやり遂げたよ、もう寝ても………良いよね?

 

「やっ、やっと見付けた………」

 

感慨に耽っていたら、クタクタな癖にやたらと覇気を纏ったピエロが現れた。

 

「あー?ピエロじゃーん!どったの?自信満々で負けに負けたピエロ君はどーしたの?んー?」

 

「くっ何て品の無い女だ!!二人に増えやがって!!」

 

二人にとか、視界定まってないじゃないか、マジにどーしたの?大丈夫?

さすがに心配するわ。

 

「だいたいどーしたの?だと?………お前が受け取らないから僕が渡しに来たんだろ!?ズボラ女!!アホ!!アホー!!」

 

「あぁー賭けの金かー、あんがと………つーか誰がアホだゴラぁ!?」

 

ピエロの癖に人をアホ呼ばわりとは!!ゆるせん!!

 

「テンション高いな!?落ち着け!!フラフラだぞ君!!」

 

るせー!!徹夜明け舐めんなコラ!!こちとら現代では平均九時間睡眠だバカ野郎!!

まぁ良いや、正直限界だし、自分の分受け取ったらクオルクさんに部屋借りて休もう。

 

「ほら!!350万飛んで187ドラクマ!!ったく………これで勝ったと思うなよ?次は僕が勝つ」

 

あーはいはい、どーぞ御勝手にー。

つーかはよ帰れ、あたしゃさっさと寝たいんじゃ。

 

「じゃあな、ちゃんと寝ろよ!?飯も食えよ!?」

 

解ってるよおかーさん。じゃあね。わざわざすまんね。御休みね。

フリフリと手を振ってフラフラと歩くピエロを見送る。そーいや名前聞いてない……まぁ良いや。

グッと身体を伸ばし、酒場に戻る。

って、閉まっとるやないか、まぁ明け方だしね。仕方無いね。

はぁ………結局野宿………いや、あそこ行こう。

魔法の草を詰め込んだバケツ片手にフラフラと歩き出す。

途中街の人に心配されたけど、「へーきでーす」と返しておいた。

それでもしばらく離してくれなかったけど。

いやー皆優しいなー、日本だったらスルー安定だよ、私もスルーするね、うん。

そうこうしているウチに目的地が見えてきた。

 

「泊まりに来ましたぁ………」

 

ニヘラと笑いながら城壁の門を潜り抜け門番さん(渋目)を探す。

 

「何で戻ってくんだよ………」

 

私の襟首を掴み青筋浮かべた門番さん(筋肉)が話しかけてきた。違う。貴方じゃない。

 

「チェンジで」

 

「舐めてんのか」

 

ガっ!!と音が響く頭突き貰いました。

乙女相手に容赦ないですね、痛いです。とても。

でも、纏まったお金も手に入ったし………明日は部屋を探して、調合道具買って………あぁ、忙しくなるなぁ。

そんな事を考えながら、私の意識は暗闇に薄れていった。

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