私のアトリエ〜ネギま世界の錬金術師〜   作:只野飯陣

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6〜牢獄の会話と小娘〜

うぅん………

モゾモゾと身体を動かすと独房の硬いベッドがギシギシと悲鳴をあげる。

鉄格子から覗く空は暗黒に染まり、今が夜だと教えてくれる。

寝たのが朝方だから、かれこれおおよそ十二時間寝ていたという事だろうか。

時間の経過を意識すると、グゴギュルルゥと竜のイビキでもまだ主張しないぞと言うような腹の虫がなってしまった。きゃっ、恥ずかしいわ。

 

「おいおい、交尾中のオーガでもまだ静かだぜ」

 

すると、牢獄の外からそんな言葉が飛び込んできた。

乙女に何たる言い草か、否定できない自分が恨めしい。

 

「門番さん酷いよー……あぁ〜身体バッキバキだぁ」

 

身体をお越し軽く伸びをすると背骨が音を鳴らす。

私は熟睡すると寝返りを打たなくなるので、テスト期間とかは毎回こうなってしまうのだ。

 

「悪い悪い……二度目だから今回は長くなるぜ?まぁ明日の朝には出してやるけどよ」

 

「はーい………眠くないからさぁ、ちょっと質問よろしーか?」

 

折角だからこの世界について色々聞いておこう。

先ずは気になる魔法について。

 

「魔法って有るじゃん?あれって私でも使えるの?」

 

この世界皆魔法使うのよ、クオルクさんも杖から火を出してパイプ吸ったりしてたし。

ただウィルベルの攻撃魔法みたいな有り得ない迫力の魔法もある。

サギカ☆マギカだったか?五本の火の線が曲線を描き殺到する様は見事としか言いようがなかった。

使えるなら使いたい。

 

「あー、その質問が来るって事は旧世界からの遭難か?難儀してんな嬢ちゃんも」

 

んぅ?

旧世界とな?

 

「解ってなさそうだな……旧世界ってのはこの魔法世界とは別に存在する世界で、高度な科学技術が発達した魔法の秘匿された世界らしいぜ」

 

ふむ、旧と言う位だからアーランドや黄昏世界みたいな古代文明かな?

おそらく高度な科学技術ってのが錬金術臭いな。

となるとやはり、この世界では錬金術が廃れた説が濃厚か?

手掛かり無しの可能性も視野にいれないと駄目かー。

 

「ふーん、果てしなく遠く限りなく近い世界的な奴でおけ?」

 

「桶?」

 

おkが通じない………だと!?

ネットスラング使えないとか、私の知ってる言語体系とは違う世界は怖いぜ。

ニートの主張とか抜かすな、私は学生だからまだニートじゃない。

 

「まぁ、桶は気にしないで、錬金術には良く有る事だから」

 

たるー。とかね。

 

「それより門番さんも錬金術知らないの?」

 

「錬金術なー、昔は有ったみたいだが、それも結局水銀飲まして嘘だと発覚したしな。今じゃ普通に調薬や鍛治で作ってるし、それで間に合ってるしな」

 

「ああ、うん」

 

にしても錬金術の歴史がまるきり地球と被ってるんだが。

このようすでは痕跡すらも絶望的か?

先駆者のいないスタートかぁ、不安っちゃ不安だけど、それ以上に楽しみだな。

早く錬金術を試したい。

 

「他に聞きたいことは有るか?」

 

なんかゲームのチュートリアルの説明役みたいな事を言い出した。まぁ有るんですが。

 

「あのさー、ぷにぷにっているじゃん?」

 

ここからが本番、交渉の時間だ。

さぁさぁさっきまでの会話で頭はホクホク丸だぜ。やるよー!!

 

「あれを倒したら出る丸いたまと液体いらないよね、ちょーだい」

 

ざっつちょっきゅーしょーぶ!!

私みたいな凡人が出来る最強の交渉カードだ!!

そんで要求するのはぷにぷに玉とぷにの体液の2つね。

あれは店で買うかぷにぷに倒して手にいれるしか無いのに、この世界では売られてないみたいなんだよね。

だから倒して手にいれるしか無いんだけど。

私が戦うビジョンが見えない。

その気になったら子猫にも負ける自信があるからね。どやぁ。

だから兵士の皆さんのゴミ処理を手伝ってあげよーと言う、ボランティア精神なのです。善意ナンデス。そのついでに素材が手に入るのです。自然な流れすぎて悟れちゃうわ。

 

「はぁ!?あれは洗濯や掃除に使うから譲れねーよ、ただでさえ滅多に落とさねーのに」

 

………え?

ぷにぷに玉とぷにの体液だよ?

洗濯や掃除に使うの?あれを?極彩色のあれを?

………アトリエやり込んでたけど、それは知らなかったなぁ。

 

「悪いな。代わりに良い情報教えてやるよ」

 

良い情報?

 

「そんな期待されても……嬢ちゃん顔に出やすいって良く言われるだろ?」

 

いや、この世界に来るまで一回も言われた事が無いよ。これ本当に。

 

「まぁ情報と言っても空き家の何だがな」

 

ほほぅ!!

二回も牢獄に泊まったせいで宿無しがばれたのは恥ずかしいが、それを補って余りある有益な情報だね。

丁度拠点が欲しかった所だし、わたりに船とはこうゆうのを言うのかな。

 

「東区の奥にな、今は誰も使ってない廃墟があるんだが、元は雑貨屋だったのか中は広いし」

 

「広いし………?」

 

ご、ごくり。

期待に思わず生唾を飲み込む音がした。

身体を前のめりにして鉄格子を掴む。

門番さんはそんな私の態度に苦笑しながらも、どこか悪戯小僧のような空気を醸し出しながら口を開いた。

 

「地下室付きだ!!」

 

「ひぁぁあ!?」

 

ちちち地下室付きー!?

頑張れば氷室が出来ちゃうよー!!アトリエ的でグーだよ!!

 

「庭付きだ!!」

 

「あびゃあぁぁあ!?」

 

庭だってー!?

頑張れば家庭菜園出来ちゃうよー!!素材の自給自足だよ!!

 

「二階付き!!」

 

「あっ、そっすか」

 

二階とか独り暮らしには過ぎた代物だよー……寂しくなるからそこまではいらないよー……

 

「二階には巨大な釜戸付きだ!!」

 

「あばばばば」

 

そっそれは……アトリエの大前提のれれれれ、錬金釜を置けると?

 

「買います!!」

 

「さらに同居人が!!……まいどー!!」

 

え?ちょい待ち、廃墟に同居人が……同居人がどうした!?

まいどーじゃないよ!!何だよ同居人って!!

魔物か!?魔物の巣になってるのか!?

私は門番さんに手を伸ばし肩を揺する。

門番さんの頭がガツンガツンと鉄格子にぶつかるが、関係無いよ!!同居人がどーした!?

 

「魔物ではない!!だからやめろ!!」

 

では!?ではって言ったな!?

つまり魔物と同じくらいヤバいの何だろう!?野盗か!?荒くれの冒険者か!?

 

「何が居んのよ!?こんな乙女にナニを売り付けようとした!?」

 

返答遺憾によっては考えがあるよ!?

 

「ゆ……ゆーれーが」

 

シェイクし過ぎて真っ青になった門番さんが、口元を押さえながら答えてくれた。

 

「なら良い」

 

門番さんの肩を離すとフラフラと後ろに下がった。

幽霊?

アトリエ世界で幽霊って言ったら陽気で可愛いあの方ですよね?

ユーディーで登場してからは後のシリーズでも出演し、マナケミアにいたってはパーティーメンバーへの大抜擢を成されたあの方ですよね!?

うわー、うわー!!バイブス上がるわー!!

あの方は人を驚かすのが大好きだし、驚く練習するべきかな!?

 

「悪かったよ騙すような真似して、やっぱりキチンと話して納得した人に買って貰わなきゃな」

 

えっ待って、シェイクしたのは謝るからそんな青筋浮かべて離れないでよ。

てゆうか買うよ!!買う買う!!

だから待って門番さん!!

 

「まっでぇー!!いやだぁー!!わたしがかうー!!その物件わだしががうからぁ!!」

 

「必死になりすぎだろ!?冗談だから落ち着け嬢ちゃん!!」

 

ぐすん、ぐすん。

だってー、折角パメラに会えるのに、門番さんが意地悪するからー!!

私は止めどなく流れる涙を拭いもせず鼻水をすすった。

 

「解った!!悪かった!!俺が悪かった!!だから泣き止め!!な!?」

 

ぐすん、デジャブを感じる台詞だよー。門番さんは女泣かせだー。

 

「取り敢えず空き家自体は土地も含めて五十万ドラクマで良いらしい、改修は買い手の負担で除霊も買い手の負担らしいが」

 

ん、五十万ならジャックにお金渡しても買える………渡しても?

 

「あー!!?」

 

「うおっ!?」

 

ジャックに賭けのお金渡すの忘れてたー!?

地に足を付けるまで、具体的には錬金術で生活出来るレベルになるまで合わないとか誓っといて、明日会う用事が出来てしまった。

何だか恥ずかしい、ジャックはあの誓いを知らないが、兎に角恥ずかしい!!

 

あー!!うー!!どーしよー………




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