ジャックへの配当金引き渡しを思い出した私は、留置所で一晩明かし、翌朝には酒場に足を運んでいた。
門番さんから酒場……竜の飛翔亭に、空き家の地主さんが来ると言われた為だ。
ついでにクオルクさんに依頼の達成報告と、依頼期限について教えておこうと言う考えもあったりする。
「とは言っても……」
初めて酒場に訪れた時とは比べ物にならない人の数に面食らってしまった。
まだ朝だと言うのに、カウンターには何人も並び、いつの間に用意したのか、コルクボードには更に大量の人が群がっている。
「おはよークオルクさん、凄いね」
「あぁ、おは……ごくろうさんお嬢ちゃん、あんたのお陰って奴だな」
クオルクさんはそー言うが、あんな提案でここまで賑わうとは思えないから、クオルクさんが頑張ったのだろう。
「これが依頼の結果、でさ、提案何だけどこの草くれないかな?見返りに良い情報教えるからさ」
「俺はいらないから草は欲しいならやるさ、情報は物によるが、別に報酬を出してやる」
そう言いながら私の頭をグシャグシャと撫で回すクオルクさん。これは餓鬼がいっちょ前に気を使うなって意味だろうなー。
「じゃ、バケツは明日返しに来るとして、情報ってのは期限と依頼の貼り方について」
私が話を切り出した瞬間クオルクさんの目付きが変わった。
初めて来たときの印象でやり手だとか思われてるのかな、私なんて平凡な女学生でしか無いのに。
「先ず期限を儲けないと、未解決の依頼が増えかねないよね、んで依頼の貼り方だけど、あんな好きに決めるやり方だと実力に沿わない依頼とか受けて失敗が続くかもしれない、どちらも依頼者側から仲介者への信用に関わらないかな?」
「くくっ……確かにな、それで?具体的な解決案はもう考えてあるんだろ?」
だからそんな期待しないでってば。パッと思い付いたようなのしか出ないんだから。
ミルクを差し出してきたクオルクさんに曖昧な笑みを浮かべながら語り始める
「えっとですね、先ず期限に関しては簡単に無期限、短期、長期に分けてみてはどうでしょうか?」
ミルクで唇を濡らし、舌を転がす。
「無期限は文字通り、今回のような店の依頼に付けましょう。店の依頼なら信用に関わる事も無いですし、依頼を受けた冒険者の実力を計るのにも良い」
緊張で汗が吹き出す。
異世界に来てプレゼンするなんて、誰が考えるだろうか、少なくとも私は想像すらしていなかった。
「次に短期は、近場で出来る採取の依頼にしましょう。これなら実力の無い若手の方でも安心して任せられます」
主に私の為の依頼ですね解ります。
街の近くなら兵士の巡回もあるだろうし、滅多には危険な目には合わないだろう。
「最後に長期、これには魔物や盗賊の討伐、危険地域での採取等の危険だったり時間のかかる依頼にして、剣闘大会の実績者やクオルクさん一押しの方に任せてはどうでしょうか?」
つまりは上級者向けの依頼。
ジャックや私じゃ絶対に受注出来ないレベルだけど、その分報酬は馬鹿な程に高い。
「どーですかね?」
クオルクさんに意見を伺う。
心境は現代社会の日常というレポート提出の宿題で日記を提出した時のようだ。
「依頼者に決めさせるのはどうなんだ?」
「悪くは無いけども、達成不能な依頼を出される可能性を考慮するとあまりお勧め出来ないかな、その場合はクオルクさんが審査して仲介しても良いか判断するのが良いかなって思うんです」
例えばドラゴンテイルを短期でとかね、ぶっちゃけ無理だと思うのよ。
「解った、今出してる依頼は無理だが、明日からはその方式でやってみるよ」
「うん、後依頼の貼り方だけどね、狭くなるけどカウンターの中にコルクボードを入れるのが良いと思うんだ」
「あー、やっぱりそうだよなぁ……だけどなぁ」
クオルクさんが何事かを言い淀む。
検討はしたけど採用しやかったのかしら?何故に?
「いやな、俺も最初はそうしたんだが、あの数だろ?一人で選んで割り振ってだとな、さばききれねぇんだ」
あー、確かにあの人混みがまるっとカウンターに来たらそーなるよねー。
「となると、冒険者が選ぶって1クッションは不可欠かぁ」
とか言いながら右手を差し出す。
直ぐ様察してくれたクオルクさんはカウンターの引き出しから貨幣を取りだし手渡してくれた。
「依頼の貼り方は検討済みだったからあれだが、期限はそれなりだからな、こんぐらいだろ、それに依頼の10ドラクマも」
渡された貨幣は50ドラクマ飛んで60アス、日本円だと56
00円くらいかな?
うん、こー考えると50万ドラクマの家ってやばいな。日本円だと500万だよ?新車2台は買える値段だ。
今手元にある300万ドラクマは……考えたくない!!
早く家買って、ジャックに150万ドラクマ渡そう!!
それでも100万ドラクマは残るんだけどねー。
1億円……怖いぜ、ついつい財布を握る手に力が籠る。
「ところでさ、門番さんからここで東区の奥地の地主さんが来るって聞いたんだけど」
「東区の奥地っつーとゲヴォルの倅か、まだ来てないな、時間は?いつ来るかとか聞いてないのか?」
あー、聞いてない、酒場にいても仕方無いし、酒場の依頼でも見て回るかな。
「聞いてないんだよね、酒場にいても仕方無いからさ、何か依頼ある?」
ミルクをチビチビと飲みながら訪ねる。
「そうだな、草むしりにかかった時間を考えるとこんなもんかな」
そう言ってクオルクさんがコルクボードからはずして来た依頼は三つの物だった。
依頼
ぷにぷに進化論
依頼者
学者のリーマン
内容
緑のぷにぷに、青のぷにぷに、赤のぷにぷに
ぷにぷには何故ぷにぷになのか
我輩の興味は尽きない
ぷにぷにをぷにぷにしたいがために養殖したいが、生態が解らない
故に君にはぷにぷにの落とす玉とぷにぷにの体液の摂取を頼みたい
数は3、頼むぞ
報酬
30ドラクマ
依頼
毒薬
依頼者
ヤンディレ夫人
内容
何も聞かないで毒薬を一つ渡しなさい
報酬
5000ドラクマ
依頼
効果を調和する何か
依頼者
薬師のレナン
内容
魔力を充填するミスティカの葉にガッシュの樹肌を煎じた薬、確かに魔力の回復量は上がったが、代わりに酷い臭いがする。
何かないか?
報酬
100ドラクマ
これは………一つ目は私には無理だから除外、二つ目は何か怖いからやりたくない。
んで三つ目、これってあとすこしでミスティカティーになるよね。
ミスティカティーの効力は味方一人のMP+100回復、材料はザームブルグ方式でミスティカの葉にガッシュの木炭、蒸留水に中和剤(青)
ガッシュの枝は強烈な臭いがするからそれが理由かな?
んで、この人が求めてるのは多分中和剤。
中和剤の材料はへーベル湖の水。
中和剤は初期の調合品だし、依頼に期限がついてない今のウチに受けちゃった方が良いよね。
「この依頼にして良いかな?」
クオルクさんに三つ目の依頼を差し出す。
一瞬本当に受けるべきか迷ったが、私はこの世界で錬金術で生きていくと決めたのだ。ならこれは良い機会だと受け止めよう。
「あぁ、出しといて何だが無理そうなら速めに頼むぜ、他の奴に回す関係もあるからよ」
クオルクさんはそう言って写しの依頼書を差し出して来た。
「へーきへーき、必要な物は多分合ってるから、近い内に出しちゃうよ」
自分の中の不安を圧し殺し、軽く返事を返す。
さて、地主さんがいつ来るか解らないし、気は乗らないけどジャックの所に行こうかな。
この小説では1アスを10円1ドラクマを100円とします。
とゆうのも、作中の描写から通貨の計算をしてみたのですが、降り幅が大きすぎてまったく定まらなかったんです
最初計算したら1ドラクマ1000円になったんですが、それだと原作の奴隷解放イベントでかかる額が有り得ない事になり、仕方無く違和感をギリギリ押さえられる額まで落としました。
その為に原作の額に対しての矛盾が発生するとは思いますが、そこは原作は原作、二次は二次と割り切って読んでください。
アトリエで通貨計算しないでやってくのは無理なんや、本当は私だってこんな面倒な作業(泣き言)
赤松先生!!通貨単価教えてくださーい!!