極々暇人のみどうぞ、2000文字程度です
「大変なんだぜ!一大事だ!」
梅雨も終わり、人気のない境内はジメジメとした蒸し暑さに包まれている。
暑さに耐えかね縁側に座り、風にあたりながら辺りをただ眺めていた私に届いたその声、遠くからこちらに向かってくる黒い影、箒、この知り合いはいつも面倒事を運んでくる。
…思い返せば長い付き合いだ。何事か起こったことは間違いないけれど、お茶くらいは淹れておいてやってもいいだろう。
どんな異変だって、解決者があたふたしていては、周りに心配をかけるだけだ。どんと座ってお茶を飲むくらいの気概がないと。
降り立つ黒白。
「あら、そんなに急いで来てどうしたのかしら?ほら、お茶でも飲んで落ち着きなさい」
「いや、後でいい」
あらそう。
まぁ、いい…さて、今回はどんな異変かな?
「大変だぜ霊夢!幻想郷から毛玉がいなくなっちまった!」
…おう
「いやなんでよ」
「それが分からないから異変なんじゃないか!」
「あーいや、そうじゃなくて。毛玉がいなくなっても誰も困らないでしょう?」
毛玉、正式名称不明のなんかふわふわした奴である。
空を飛んでいると弾を打ち込んできたり、およそ自然浮遊とは思えないスピードでこっちに突っ込んできたり、打ち返し弾を物凄い数出したりして、速攻で消えていくなんだかよくわからない物体の事を指す。
はっきり言って存在価値不明だ。というか発生原因からなにから、謎だらけである。というか生きてるのかあれは。生物かすらも定かじゃないのだが。
「そんな事ないぜ!毛玉は密接に幻想郷と関わりがある。一大事だ!」
「…そんなに言うなら、どういう問題があるのか教えてみなさいよ…はいお茶、拒否しても無理矢理飲ませるわよ」
「…じゃあ頂く……ふぅ…さて、毛玉が幻想郷に与える影響だな」
「そうよ、そもそもあれはなんなのよ」
「魔法の森に漂っている魔力が気流の関係で固まる場所があって、そこから自然発生するって説を考えたが、謎だ」
「謎なのね」
「ともかく毛玉だよ。あれが無くなると私たちの生活にも影響が出る」
「例えば、どんな影響が?」
「まず第一に、毛玉がいなくなって一番困るのは誰だと思う?」
「誰も困らないわよ。というか邪魔なだけでしょう?何度突っ込んでくる奴に被弾したか…」
「…まぁ飛行に邪魔なのは否定しないが。あんなふわふわした謎物体を必要としてる種族もあるんだ」
「教えてみなさい」
「妖精だ。彼女達には多大な影響を及ぼすよ」
「妖精に影響が…?……はっ!もしかして魔法の森の魔力が不安定になっているという事だから、妖精の発生に影響が出始めるって事⁈」
それは確かに一大事だ。幻想郷の生態系とか、その辺のことを考えるとするなら、異変と言えるだろう。
「いや、そうじゃない。というか、魔法の森云々はさっき適当に考えた作り話だ」
「……じゃあどんな事になるのよ」
「毛玉がいなくなるとな、妖精の遊び相手がいなくなるだろ?」
「………」
「なんとなく、元気が出なくなる」
「たいしたことないわね」
「たいしたことあるぜ!チルノだって『あーなんかやる気でないー』とか言ってたくらいだ!」
「毛玉以外にもいろいろ遊び相手あるでしょうに…」
「それだけじゃないぜ。他の事にも影響が出はじめる」
「まだあるのね。今度は期待してるわよ」
「普段、妖精と遊んでる下級妖怪たちがいるだろう?」
「ルーミアとかの辺りかしら?」
「そうだ。あの辺に影響が出始める」
「いったいどんな影響が……はっ!もしかして妖精たちの周囲に漏れだした大自然的な力を得ることが出来なくなることで下級妖怪たちの魔力が減少、そのまま消滅…?!」
「そんなことあるわけないだろ。というか、別に妖精にそこまでスピリチュアルな力はない」
「………」
「遊び相手の元気がないから、下級妖怪もなんか気だるくなってくる」
「…それだけ!?ホントにそれだけ!?」
「何言ってんだよ!一大事だろ!?」
「それだけのことで、私が動くわけないじゃないのよ!」
「まだあるぜ、当然こんなところで終わるわけはないじゃないか…この『毛玉事変』が!」
「なにそれ」
「なんか語呂がいいだろ?13秒前くらいに考えた」
「……それで?次はどこに影響が出始めるわけ?」
「ミスティア、いるだろ?」
「あーあの夜雀ね」
「あいつヤツメウナギの屋台やってるだろ」
「…あー読めたわ。ミスティア自身に元気がないから、屋台の回転率が落ちるわけね」
「よく分かったな!さすが霊夢だぜ!」
「いや、これで褒められても…」
「でもそれだけじゃないぞ」
「?」
「その屋台の常連たちがイラつき始めるだろう?」
「いやそれは分かんないじゃない、待たされるだけでそんなすぐに怒り出すかしら?」
「待たされた客たちは酒が飲めない苛立ちから、同じ屋台ですぐに呑める場所を探し始める…それがどこだか分かるか?」
「……もしかして」
「そう、これは毛玉を使い、巧妙に隠された藤原妹紅によるステルスマーケティングだったんだよ!」
「………」
「藤原妹紅は、迷いの竹林の端で焼き鳥屋を営んでいるが、ライバルとなる屋台が現れたことでこんな蛮行に出たんだ!さあ、霊夢!この『毛玉事変』を解決しに行くぜ!」
「それで、この話のどこまでがホントの話なわけ?」
「毛玉がいなくなったまで」
「……ちょっと魔理沙、神社裏に来なさい。見せたいものがあるわ」
「おっなんだ?博麗神社に秘められた不思議道具的な何かか?」
「とっても楽しい物よ。今の魔理沙にピッタリね」
「なんだろう、楽しみだぜ♪」
それからしばらくの間、鳥居にボロボロで吊るされる魔法使いの少女の姿が見られたという。
毛玉は翌日には復活してた。なんだあいつら。
はい、くっそ短編の駄文をお読みいただき、ありがとうございました。
構想30秒、執筆一時間のインスタント小説でございます。
普段はクロスとか書いてるんで、こんな文章を読んで興味が湧いたというひねくれた方はどうぞ、プロフ欄から飛べます
正直、割とどうでもいい小説なんで評価とか、感想とかあんまり期待してませんが、暇な方どうぞ
それでは