もし1㍉も乙女ゲーを知らないアタシが悪堕ち転生をしちゃったら?   作:ぴんぽんだっしゅ

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がっこうにいくことにきまりました。

例えば『お父様に』とか『皇帝陛下に』みたいな、親によろしくはされなかったかな。

 

よろしくされても、リズの時点で年に数回しか会えないのに、どうよろしく伝えるのか悩むわ。

 

明日からがっこうに通うとか言っても、アタシはいまいち心の準備ってまだ出来てないのに、さ。

 

 

 

 

都の旧アンダルネ邸に着いて二日目。

アンダルネ邸は改易後も屋敷としては取り壊されたり、他から来た貴族の誰かが住むから出てけ、こりゃー恨むぞ!やれ呪うぞ!てノリとゆーか、乗っ取られてて懐かしの我が家はすでに無いのだぜ。でもなく───立派に建ってました!

 

オーウェンやジルリットが言うには、ここに居ずっぱりだとしたら領地経営できないからとゆー、江戸時代の参勤交代みたいなことを若干思い出してしまう、そんな歴史にあんまり興味深いってわけでもないアタシにだって貧相なボキャブラリーでも思い付きそうな理由。

そんなもんなのかー、ふーん!

それを聞いたアタシの感想だった。

領民もわずか、領地だってあれ放題の廃れた領地経営って、考えただけでリスクandエラーってやつじゃないのよ。

 

絶対割に合わないコスト掛けてそれでも開発、開墾、フロンティア精神だー、わー!きゃー!

なのだろ?

 

アタシ、それをジルリットに話したらへっ!と小さく笑われ、こんな事を説教じみて聞かされた。

 

「わかってないんですね?開墾も、開発も、街道を通すのだって、それが成れば旦那様、オーウェン様の手柄になるのですよ?剥奪された名誉、汚された誇りをですね、払拭するチャンス!チャンスなのです!

そう、姫様にはお小さいからまだ良くはわからないのだろうけど。ご主人様のために成功を収め、領民に還元し、辺境の声を帝都へと届け、正当なる評価を戴いてこそですね?───燦然(さんぜん)と輝き、返り咲く事が叶うというものなのですよ!」

 

あー、わかった。

心の声はしまっとく!

ジルリットには、もう、たとえね、死んでも打ち明けん事と決めた今、ふっざけんぬぁよーっ!

 

これもオーウェンの受け売りだと付け足してくるし、アタシはいらないんで、どーぞ戴いてくださいよ?どーぞどーぞジルリット。

 

 

馬車が止まった。

乗り心地はさいあく。

まぁ、だけど異世界なんだ、文化が違うんだ、クッションが利いてないんだから我慢だ我慢!

 

時間を少し巻き戻してアンダルネ邸にまでもう少しと言われた、その時。

 

ガタガタと石畳を叩いて走る馬車から見えたアンダルネ邸は……ディボタルタ邸の軽く二倍は大きかった、城だ……コレ。

 

外から見た感じ、RPGか小説の挿し絵に出てきそうなデッカイ門があって、イカにも貴族ですって見せ付けるような、アピールしてくるような、自慢げで広大な、無駄に広い、手入れも最近は去れなくなってて、でもその前は実はすっごく奇麗な庭だったんだからねって言われてるみたいなツンデレな庭…………?

庭って言うと割とちっさい範囲を言うんじゃないかって気もするし、これは敷地、そう、敷地って感じ!

 

と、とにかくデカイ庭が見えてて。

その向こうには建物、家屋敷がドカン!と一固まりに存在感を見せつけてそこにある。

 

民放じゃないあの局の旅番組で見たイタリアのバチカンに、ギリシャのパルテノンにも似た一本一本が“芸術遺産”風な作りをした柱を見るだけで、

 

『こんなとこに今から住むのか?なんか出そう、偏見ですけど、そうなんですけど、これは日本人には暮らし辛い……馴れない環境に放り込まれたんじゃないか、誰か説明しろ!』

 

と至極どーでもいい感想を持ったり。

 

建物のある部分だけで寂れた遊園地全体くらいの敷地がありそうなんだけど。

見張り台つか街中で郊外に建ってるんだからさ、これは飾りってことなんだろーか?

見張りとかいらんよな、どー見ても。

コストがどーかとかさっき考えてたからどーしても……無駄の長物に見えちゃうんだが。

そんな背の高い塔。

ひいふうみ、……全部で数は9。

日本人には考えられないね、語呂が縁起が悪い。

どーせならもうひとつ作った方がよかったね!

 

塔てっぺん近くにはどれにも、不必要じゃないか?と思える程度に存在感のあるテラス、……ベランダ?が見える。

あそこでダンスパーティーでも夜な夜な踊っていたんだろーか?

近寄ればさらに大きく見れるんだろーけど、ここからでもじゅーぶんデカイからな?

 

あと、気付いた点はそーだなー、上の階にいくほど窓が大きくなる!

一階部分はトイレの空気出し入れみたいな窓がこじんまりとあるだけってのに、二階でそれより大きくなって、三階にはベランダが付く……窓ひとつに尽き、もれなくベランダもひとつ付いてくる。

付いてくる……、そうベランダ付き窓って感じ。

更に四階になると窓というか壁がゴソッとその空間を抜いたみたいに空いているように見えるんだよなー、で窓がある部分全部くっついてベランダがあるよーに見える。

最上階はさすがとゆーかなんとゆーかね、ぐるりとベランダが突き出して囲っている感じと言えば伝わってくれる、か?

 

 

───これは屋敷か、屋敷なのか?

やっぱりどうみても、城だよね……。

 

城に住んでみたいとゆー人が居るけど、あれ……掃除することかんがえてないんだろーなーってアタシはつくづく思ったよ。

日本人にはマンションくらいの広さで丁度いいんだってね。

 

馬車を降りて、門の前に立つ。

それだけで、ド緊張!

どっくどっくいってるよ、聞こえるよ心臓の音。

 

今、今からここにアタシ……住むんだ……ホントに?

 

そんな興奮とも未知への好奇心ともよくわからない高揚感に包まれてしまったような気持ちでジルリットが鍵を開けて扉を開くのを見ていた。

 

ギィギギギキ゛……。

重い重い、鉄と何か金属が押し合って擦れる音。

 

開き切るのを待てずに門の中へ足を踏み入れる。

見えてた通りの荒れ放題の薄緑の植物の楽園。

 

……こりゃ、刈り取るの大変なんじゃない?

 

 

 

 

ま、そんなアタシの家のことはどうでもよく、本筋なのはこちら!

 

アタシ、がっこうに行く事になりました。

 

ヴァリアリアーナ幼年舎。

 

聞いた話だと、6歳から通えて、大学舎へ通う準備や貴族の子女が将来のパイプを作る為に入学するんだそーで。

この場合、後者なんでしょねアタシは。

 

ちなみに大学は15歳から上限なしで通うとこなんだとか、卒業はあって無いようなものとかハゲは言いました。

 

そこでだ、入学って試験とかそゆのは無いの、あるものだよ普通は。

 

───ないのかよっ!

 

「ふーん」

 

「へー」

 

「そ、そーなのかー」

 

 

 

今アタシはもう既に明日から通う事になった学校の案内を受けていた。

あのハゲが偉いのか、アタシが継承権は無くなっていても姫様なのが変わらないで利いているんだろうか。

 

やたらと、ゴマをすられながら学校内の施設を見学しながら、ちやほやと連れ回されているてワケで。

 

しかもこの立派なヒゲのロマンスグレーの紳士さんは、校長なんだと。

 

「モリング校長、今日もお忙しそうですね。こんにちは、お嬢様」

 

「ちわっ」

 

「これでも貴族の子女を何十年と見てきた誇りがあってだね。優秀な人材の宝庫と呼ばれた全盛期まで建て直したいのだ。その為ならば老骨をいくら折っても痛くもないぞ、ハハハハハ!」

 

擦れ違った他の講師から、モリング校長と呼ばれてたからそうだと思う。

 

「ティルフローズ様。お足はお疲れではないですかな?」

 

「ふふ、お構い無く……」

 

背はアタシよりは高いけど、前世を思うと一回り小さい気がする、男としては。

だから、150㎝くらいと言う事にして置こう。

 

「ティルフローズ様。とてもお美しいですな、これは将来がご両親も楽しみなことでしょう」

 

「人妻です……」

 

モリング校長はベージュのスーツ上下に、銀縁の片眼鏡(シングルアイ)には翠色のレンズが填まり、品の良さげな黒い革靴と言う格好で、そして何故か小脇に古そうなハードカバーみたいな本を抱えていた。

 

「ティルフローズ様。丁度、良いお茶を取り寄せたのですが。どうです?お口直しに焼き菓子も御座います」

 

「家で、外食を禁じられてて……」

 

オーウェンから、面倒だから個性(ボロ)を大人にはだすなよ。と言われていたので、終始作り笑いでアタシは乗りきるつもり。

思い直すと、すでに手遅れだったかも知んない?

そ、そんなバカな……!

 

「ティルフローズ様。変わった味の飴粒などどうですか?これなれば腹の足しにはならないですぞ」

 

「……ふふ」

 

モリング校長もずっと目尻を下げて、エビスさんみたいな幸せそうな…………作り笑いを張り付けてアタシにゴマすりしてくる。

そのたびにアタシはピンクの髪を払う仕草でお構い無くって避けてたんだよ。

 

モリング校長は空気読めない系ですか?

ゴマスリいらないから、されても迷惑で迷惑で!

 

何か変な笑顔だなぁーて、でもガン見は失礼かも知んないし、チラチラ隙を見て観察したらね。

他の講師と話すときにやっとボロを出してくれました。

 

1学年棟って説明を受けた廊下でね、校長を探してたんだろう講師から呼び止められて、モリング校長はアタシに『少し時間を。』って講師と話し出したんだよ。

したら、隙なんてコレでもかってくらい出来ちゃうよねー。

 

ははっ。

解っちゃった、瞳、笑ってないんだよモリング校長。

 

迷惑に思ってるのかも知れないし、今がどの季節か解らないから時期的に面倒だって事も無いワケじゃないな。

 

あと……リズの姉ちゃん達は幼年舎には通ってないぽいんだよ、大学までは全部離宮で済ませてたみたい。

 

例外があるとしたら、大学に行く年齢というか……知識を其所まで蓄えれずに嫁いでしまった場合は、都の大学なんて通う事も難しいだろうし。

 

思うに王族が幼年舎に入学した前例が無いのじゃ?

そうじゃなくてもティルフローズ、つまりアタシが幼年舎に通う事って珍しい事何じゃないかな。

 

 

 

 

 

見学者としては最後までボロ出さなかったよ、偉い?

 

モリング校長の案内を振り返ると、親切、丁寧だったけどどこか変な感じがする。

ゴマすりはするんだけど、あからさまってほどじゃない。

 

アタシに何かしてほしい、そうじゃないんだよね?

裏があるのか……?

 

本音はどこ。

 

 

こんなモヤっとした気持ちのまま学校に通うことになるとかね?

校長には気をつけることにしよっと。

 

そうして──通学初日を迎えることになる。

 

 

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