流れ星のような幸運だと思ったのに、どうしてこうなった   作:ルーニー

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プロロるってなに?

 やぁ。みんな元気かな?僕超不調~。

 

 いやまぁそんな冗談はさておき。俺は今、幸運なのか不運なのかよくわからない状況にいる。いや、いろんな人からすれば幸運だろうが!と叫ばれそうな気がしてならないんだが、なんか違うことになってしまって幸運なのかどうかもうわからなくなってきているのだ。

 

 さて。さっきから何を言っているのか分からないという人が大多数だろうから説明しよう。俺は誰で、何が起きて、今どういう状況なのかということを。

 

 俺は、まぁ簡単に言えば転生者だ。しかも神様に遇ってという凄まじくテンプレな、最近ネットとかアニメですらやっていたもはや死語とすら思えるようなことがあったのだ。

 だからなんだと思う人が大多数だろう。俺も当事者になってなかったらふぅん、で終わることだが、まぁ当事者となった今、1つだけ欲しいものをもらえるということであるものをもらって、是非これをやりたい!と思っていたことをやろうと思っていたんだが、どうも神様の方が勘違いしたのか違う時代に送ってしまったのだ。

 しかも時代が違うだけに、俺が望んだモノが既に時代遅れのものとなっていたせいで欲しかったものは需要は一切なくなってしまっていたのだ。チクショウめが!

 

 いや、神様には感謝してるんだよ?ホントに。約束を守ってくれて欲しかった存在はちゃんといるし、それに会えたし。生まれだって五体満足というかめちゃくちゃ優しい家族に恵まれてるからなんもいうことはないんだよ。

 ただ。ただ、時代だけはちゃんとしてほしかった。せっかく小さいころの夢だったあれもできるんじゃないのかと期待していたんだけど、それすらも無くなっているみたいだからホントに、ホントにがっかりだよ!

 

 ……とりあえず、そんな感じで今を生きているのだ。俺は。ちくせう。俺やりたかったんだよ……!

 

『リオン。マタ変ナコト考エテルダロ』

 

 突然、どこからか雑音染みた合成音声に近い声が聞こえてくる。つっても、どこから聞こえてきたのかは知っているし、誰なのかも知っている。というかこれが俺の望んだ存在だからむしろ無くなったら不安になって仕方ない。

 

「うるへー。現実逃避ぐらいさせろってんだこの野郎」

 

『オイオイ。チャントヤルヨウニ見テロッテ言ッタノハオマエダロウ』

 

 やってられないな、と言わんばかりのため息をこれ見よがしにつく。それに頭に血管が浮き出そうなぐらいイラァっとしたが、まぁこいつの言う通りちゃんとするように頼んだのは俺だから文句も言えない。おのれ孔明……!

 

「つってもさ。今組み立ててるの結構複雑なんだぞ?いくら手伝ってくれているとはいえこれ直すのジャンクパーツだけじゃキツイものがあるって」

 

『何ヲ言ッテイルンダ。オマエガ自分デヤリタイト言ッタンダロウ』

 

「まぁそうなんだけどさぁ。さすがに直すことができてもお前と同じ()()()()()を作るとなると、もうデータもオーパーツに近いものになっているから相当難しいんだぞ」

 

 ネットナビ。かつて前の世界で俺がこういうことがしたいと思っていた夢であり、憧れだったものをゲームの中で実現されていたもの、所謂ロックマンエクゼに出てくる存在だ。

 その中でもネットバトルがもうやりたくて仕方なかったのだが、今じゃもう時代遅れの産物となってしまっているものだ。これを知った時はもう泣いたね。親に心配されるぐらいにワンワン泣いたね。双子の弟にはどうすればいいかと一緒に泣かれたし、相棒には若干呆れられたが、俺がどれだけ願ったかこれでわかってくれただろう。

 そんなやりたいことが時代遅れとなって出来ないと絶望に打ちひしがれている中、俺はティンときたのだ。

 

 そうだ。無いなら作ればいいじゃないか。

 

 そう思った俺がとった行動は、まぁ我ながら呆れるようなことをしたもんだ。いや、この場合してるもんだというべきか。

 俺が考えたのは再びネットバトルを復活させるということだ。何とかしてネットバトルを復活させて流行らせることができれば俺の1人勝ちになるということだ。

 

 ただ、まぁそんなことが簡単に運べるわけがないというのはすぐに気が付くことができた。なんせ世界でも有名な人がやっとのことで完成させたものを天才でも何でもない、ちょっとプログラミングをかじっただけの俺がそう簡単にことを成せれるはずもなく。今現在ものっそい頭を抱えている状況なのだ。

 ネットバトルをやるには最低ネットナビとバトルフィールドが必要になる。これらを造ろうと思うと、絶対に1人じゃ出来ない作業やプログラムの量が多くなること間違いなし。改変とかなら数年勉強し続ければ、まぁできないこともないだろうけどそれすらももう失われているっぽいからそれもできないのだ。チクショウめ。

 

 まぁそんなわけで。ネットナビは俺の技術や知識じゃ作ることができないから、まず初めに考えたのがネットバトルに特化した機械、つまりPETを作ることだった。PETはネットバトルに特化されたものじゃないのは分かっているが、知識も技術もない俺はまだ当たって砕けれる機体製作から手を付けることにした。

 

 けど、まぁ天才でもない一介の小僧がそう簡単に作れるはずもなく。相棒の力を借りてゴミ捨て場からこっそりと取ってきたジャンク品から使える物を探しては取り出し、探しては取り出してを繰り返し、組み立てたりプログラムを見ようとしては失敗を何年も繰り返している。え?犯罪?ハハッ。バレなきゃ(ry。

 

 正直なところもう何年も失敗を繰り返し、1度は画面をつけることに成功したもののそれからが全く進むことなく状況は停滞している。起動に成功したことによって上がったテンションもこれ以上の成功の兆しが全く見られないことで諦めというか飽きというか、そんな虚無感に似た感情すら湧き出てきて上がることがなくなったのだ。しかも、3年前に親父が行方不明になって家の雰囲気が暗くなり、俺も半分そんな家から逃げるようにやっているからモチベーションもほっとんど底が尽きている状態に近い。

 

「……あ~もう。やめだやめだ」

 

『ナンダ。ヤルッテ言ッテタノニ結局ヤラナイノカ』

 

「モチベだだ下がりなんだよ。こんな状態でやったところでどうせできやしないって」

 

 机の上に手に持っていた分解中のPETを置き、トランサーと呼ばれる端末を腕に装着する。その中には赤の配線をドレッドのように生やした黒っぽいゴツゴツとした存在が黄色に光る目でこっちを見ていた。

 

「しばらくはジャンク家業も店仕舞いだ。気分転換に外行くぞ、ジャンクマン」

 

『店仕舞イト言ッテモ、小学生ダカラ店ナンテ持テルハズモナインダガナ』

 

「うるへー。こういうのはノリだって」

 

 機械油に塗れた手と頬を洗うために、作業着のまま外にあるホースを求めて部屋を出る。あ、もちろんドアノブにつかないよう配慮はしている。じゃないとまた母さんから雷が落ちることになるんだよなぁ……。


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