流れ星のような幸運だと思ったのに、どうしてこうなった 作:ルーニー
はい。ジャンクマンの一人称が『オデ』ではなく『俺』になってたので修正しました。
ジャンクマンのシナリオ好きなのになんてことを……。
天地さんが家に来た次の日。休日だったこともあり、朝からビジライザーについて色々と調べていたんだがどうにもどんな機能があるのか解明することができずにいた。
さすがに1つしかない上に設計図なんてものがないから分解するわけにもいかず、色々と俺ができることをやってみたがちっとも判りやしない。
「ん~……」
はてさて。一体どうしたもんかなぁ……。天地さんに聞こうにも、詳しいことが分からないって言ってたから聞いても無駄なんだろうなぁとは思う。数があれば実験するんだけど、どうしたもんかなぁ……。
『リオン。モウ夕方ダゾ』
「ん?あぁ、もうか」
ジャンクマンに言われて外を見てみると、外はもう太陽が沈んで星が見えている。もう冬は過ぎてるとは言えまだ春だから日が沈むのが早いのもあるが、ここまで暗くなっているとは思いもよらなかった。
最近は機械いじってても中々時間経つの遅いと感じてたけど、久々に時間の流れが早く感じたな。が、そんなに長い時間ずっとビジライザーを調べていたのに判ったことなんて無いに等しいんだがな。
「サングラスの形してるからなにかを見る道具なんだとは思うんだけどなぁ……。かけても全然変わらんかったし、電池か電源が切れてるのかはそもそもどこにあるかがわからんからなぁ……」
いっそのこと電気流して無理矢理やってみるか?なんて思ったりもしたがそんなことをすればまぁほぼほぼ壊れるだろう。さすがにそんなことはしたくはない。
けど、今のところ何にも手がないのも事実だ。そもそもの話専門職である天地さんが判らなかったものをなんの知識もない俺が調べても判るはずもないか。
……今俺だけが使える手段と言えばジャンクマンぐらいか。正攻法ではないにしても、もう頼れるのはジャンクマンだけで何にも手が思い付かない。考えてて嫌になるなホント。
「ジャンクマン。あとで手を貸してくれ」
『ナンダ。ウィルスバスティング以外デオデヲ頼ルトハ珍シイジャナイカ』
「こりゃ知識だけの問題じゃなくなってきてる気がしてる。専門職の天地さんが判らない以上、これが人の手で作られている以上正体不明のブラックボックス、なんてことはないだろうけどそれに近いものの可能性だってある」
そもそもがこれを作ったであろう会社が1件も見つからないのがおかしい。オーダーメイドにしてもこれを作るならそれ相応の企業じゃなきゃ作ることもできないだろう。
そもそもが似たようなものはあったけど、どれもサングラスであって普通じゃないものなんてどこにもなかったのがおかしいとしか思えないのだ。
『ソレ、タダノサングラスナダケジャネェノ?』
「その可能性はないわけじゃない。けど、天地さんが言うには仕事で使っていたんだろ?確かに外に出て働いている人ではあったけど、そもそもサングラスをかけて仕事をしているなんておかしいじゃないか」
『……言ワレテミレバ確カニソウダナ』
「だろ?だからこれが何らかが見えるようになる物だから使っていたとしか考えられないんだよ。じゃなきゃ使っていた意味がわからない」
父さんはカッコつけでこんなことをしない……訳じゃなかったけど、ちゃんと仕事もしている人だから無駄なことをしているとはあまり思えない。このビジライザー自体も遮光性が高い訳じゃないどころかほとんどないのも気になる。
「……何かが見える……。いや、まさかね」
ふと脳裏にお化けを見るため、なんてことを思い付いてしまったが、まぁそんな非科学的な理由な訳がないだろう。丁度外は暗いし、ちょっと気になってかけて外を見てみたが、特に変わったことはなくとてつもなく微妙な感覚になる。
というかもしそうだったらなんの仕事をしていたんだと頭を抱えることになってしまうからそうであってほしくない。
『……リオン。試シタイコトガアルンダガ、ヤッテミテモイイカ?』
「ん?なんだ、なにか気になることでもあったのか?」
『マァナ。ナニ、大シタコトハシナイ』
そう言うとジャンクマンはトランサーの中から何処かに消えていった。
ジャンクマンはこうやってトランサーの中から何処かに行ったかのように消えていくことがある。こうなるとどこに行ったのかさっぱりなんだが、ちゃんと帰ってきてくれるから特に心配はしていない。
けど、トランサーにいない間どこにいるのか気になるのも事実。トランサーにジャンクマンのいる場所や周辺を見れるようにする機能をつけたいけど、さすがに個人情報の塊のトランサーに手をつけるのは怖いからしたくないんだよなぁ。
改造ならPETでできなくはないし、実際に起動できた物の中にジャンクマンを入れることは成功しているからそれを使ってネットワークしている様子を映せるようにしてもいいかもな。
なんて考えていると、突然ビジライザーがバチンッという音と共に何かが起動したかのように文字が動き始めたのだ。
「おわっ!?」
急に起きたことと文字の動きが速すぎて見ていると眩暈が起きてきたことから驚きの声を上げて外したが、いったい何が起きたんだ。
「……止まって……るな……」
しばらくビジライザーを放置して様子を見て、遠くからでも文字が消えているのを確認してからかけてみると、そこにはさっきまで無かったはずのものが存在していた。
「……は?」
見えているのは確かに俺の部屋だ。俺の机もあるし、工具箱もある。改造しようとして失敗したゴミの山もちゃんとそこにある。
けど、その上に、空中に浮いている道が、宇宙人みたいなものが、まるで意思があるかのように動いてるそれが、トランサーから離れていった相棒が俺を見るようにそこに存在しているのがハッキリと見えるようになっていたのだ。
「……ジャンクマン?」
『……マサカ、オデガ見エルノカ?』
驚きのあまり思わず口から漏れた言葉は、目に見えていることが現実であることの確認になってしまった。さて。混乱している中で回りもしない頭を必死に回しているんだが、これはどういうことなのか誰か教えてくれるんだろうか。
いや、誰でもいいから教えてくれ。頼む。100円あげるから。