ココロコネクト 面倒くさがりが紛れ込んだようです 作:黒木龍牙
俺と唯は向き合う。
「私は………、リョウが好き……だけど………、それは恋愛じゃなく………、最高の、親友として…………」
「そう…………か…………」
何だ。
同じだったじゃないか。
唯は涙が止まり、スッキリとしている………。
だが……、どこか不満気。
俺が死ぬ事だろうか。
それを見ていると、どうしても………。
あれ………?
何で、こんなに苦しいんだ?
最後。
本当の最後。
永瀬 伊織………。
最後は太一の体を借りた。
「よっす〜」
「おっす」
「お?何と言うか、落ち込んでるねぇ。唯の顔が少しスッキリしたけどなんか複雑ってなってたことと関係あるのかな?」
内心ビクついていたが、顔には出なかったらしい。
よかった。
だが、少し言う。
「まあ………な………。色々だ。それより、お前さんに言うことがある」
「んー、ごまかされた艦半端ないけど、今回は許そう。何だね何だね?伊織おねぇさんに言ってみ?」
今回は伊織のいつも通りさに感謝だ。
俺を思ってのことだろう。
かなり我慢してるんだろうなぁ。
じゃないじゃない。
俺は少し、迷っている。
言うか言うまいか。
だが、あると言ってしまったんだと、腹をくくる。
「俺さ………」
「うんうん、何かね?」
「お前のこと好きだわ」
「うんうん。私の事が好きねぇ…………。は?」
?と!が何個も頭の上に出ている伊織がすごく可愛い。
「はぁ、お前さんって敏感そうで鈍感だよな」
「な、え、ど、ドユコト?」
「ばーか。冗談だ」
「なーんだ。冗談か」
「半分」
「え!?」
全く、面白い限りだ。
はっはっはと笑っていると、からかわれていると分かったようで伊織が頰を膨らます。
全く、どれだけ可愛いんだ。
「もう……、何だよ。いつも以上に、私をからかってくるじゃん」
「そりゃあ」
っと、あぶねえ。
言うところだった。
これは、とどめておく。
「最後だからな。お前らとの最後の交流な訳だ。実感は沸かないけれどな」
「そ………だよね………」
若干残念そうだ。
俺は椅子に座って、伊織は立っている。
伊織が近づいて、横に座る。
「じゃあ、私も、最後にしたい事、していい?」
「え?ああ、いいぞ」
「あー、でも………、太一か…………、太一なんだよなぁ………」
「…………何する気だ」
「最後だしいいかな……、特別だぞ」
伊織は俺(正確には太一の体)の首に腕をかけて、顔を近づけてくる。
目を閉じ、唇を少しとがらせ……、そして…………。
べちんっ!
「あいたぁ!?」
「馬鹿か」
「もう、何でさせてくれないのさ!!」
両手で俺がデコピンした額を抑えて瞳の端に涙を貯める伊織。
ああ、全く……。
「こう言うもんは…………、俺からするのが道理だろうが」
「ぇ……?」
瞳を俺に向け、パチクリとさせている伊織に、顔を近づける。
手をあごに持って行き、引いたあごをあげる。
伊織は目をぎゅっと閉じて、少し震えている。
親指で唇をなぞり………、そして…………、静かに唇を伊織の唇に………。
「ええと……、じゃあ、聞きますけど………、誰です?」
誰が死ぬか。
常軌を逸するほどの重みのあるはずの質問を「後藤龍善」の姿をした《フウセンカズラ》は倦怠感丸出しで問う。
「俺だ。俺、名木沢龍斗が俺として、死ぬ」
迷いない言葉で、リョウがそう言った。
俺、青木義文は、その光景を邪魔しないように、見ていた。
リョウの決めた事、これは本人の決めた事だ。
そして………、リョウが死ぬことは………、まだ確定したわけじゃない。
俺はまだ、その可能性を、諸刃の剣として、考えている。
「あ、最後に、忠告だ」
「はい?なんでしょう?」
「俺が死んだら……………、お前らを呪い殺す。後藤に乗り移ったお前も、二番目も、フウセンカズラ全員」
「おや…………、そうですか………。それは………、勘弁してほしいですね………」
リョウがそう言った瞬間、リョウの殺気が、オーラとなって見えた気がした。
一瞬だったが、背筋が凍った。
するとリョウが振り向く。
「じゃあな。お前ら」
「…………時間ですね」
リョウが言って、フウセンカズラがそう呟いた。
太一の体が少し硬直し、太一が戻ってきた。
「!な、名木沢は!?」
太一が戻ってきてそう言った瞬間、手術室のドアが開いた。
医師が出てくる。
待ってくれ。
これは、《フウセンカズラ》の言う通りなのか。
リョウが、死ぬことは、変えられなかったのか。
そうでいないでくれ。
そう思い、願い、そして………。
医師が、事実を告げた。
「峠は越えた…………、今は安定している。こちらとしても、最善を尽くせたよ」
太一たちは呆然としている。
伊織と唯は安心して力が抜けたのか、唯は椅子に、伊織は地面にへたりこんだ。
医師は訝し気に見ていたが、安心していると受け取ったらしく、「良かったね」と付け足し、戻って行った。
何とか回復した稲葉はフウセンカズラに言う。
「お……い………、これって………」
「はい……、お疲れ様でした………。龍斗さんには、ちゃんと、許可を………、と言わない約束でした………」
「あーくそ!やられた…………、確かに……、生きる可能性も考えたが……」
稲葉はそう呟きつつ、色々と考えをまとめ続ける。
「これ………、お見舞いと、お礼を兼ねての…………、和菓子です………」
「つまり………、リョウは………生きてる………、生き………、うわーーん」
唯は泣き出してしまった。
安堵と色々な感情が混ざり合い、涙が止まらない感じだ。
「……………うう…………、胃に悪い……」
伊織はお腹を手で抑えつつ、極度の緊張で胃が痛んでいるようだ。
太一は、と言うと。
「あ………はは………、生きてる………のか………」
そう呟いた。
「あーーー………、なんか………、足に力はいらねぇ………」
壁に背を当て、ズルズルと床に腰を落とした青木は、かなり疲れた顔をしている。
稲葉はフウセンカズラに問う。
「おい………、どこから、どこまでが計算だったんだ?」
「ああ……、どこから………、と言われましても……、全て………と言えば大体わかりますね?あなた方が考える以上に、こちら側が出来ることは多いですし………。だって、“人格を入れ替えられる”のですから………、ああ、これは言わずとも良かったですかね……」
「つまり、リョウをどうこうしようってことじゃなかったのか?」
青木がそう言った。
フウセンカズラは平然と頷いた。
「ええ……、全良なる皆さん市民の命を奪うまでの酷いことなど、しようと思ってません……。普段の現象の迷惑は………、まあ、このお茶菓子でチャラにしていただけないかと………。ああ……、お茶とチャラでかけてるんですけど………、これは死ぬほどどうでも良かった……。許してくれ………とは言いませんが、恨まないでいただければ、幸いです。実際、皆さん………、いいことあったんじゃないですか?」
フウセンカズラの言葉に、少しだけ、だが確実に文研部五人への感情が入っていたように思えた。
「じゃあ……、僕は帰ります……。ああ、わかって入ると思いますけど……“この人”ほじくるのはやめてください。面倒なので……。では…………」
言い終えると、後藤の体がガクンと力をなくし、崩れかけたところで後藤が体制を立て直す。
「………ん?ここは……?俺は確か名木沢が川に落ちて病院に運ばれたって言うからタクシー呼んでダッシュで……あれ?もうここ病院じゃん。お、文研部の名木沢以外。なんと俺は道中意識を失うほど必死なスピードでここに駆けつけたのか。……やばい、生徒のためにこんな未知のパワーを発揮する俺をマジで褒めてあげたい…………。それで名木沢の容態はーーーあだだだだだ!?痛いっ!痛いって稲葉さん!?」
「このクソアホンダラでエキセントリックな脳汁詰め込んだ頭に、思慮深く物事を考えないと痛い目に遭うってことを深くふかぁぁぁあく叩き込んでやるよ!!!」
後藤が稲葉に拷問コブラツイスト(コブラツイストを極めつつ側頭部を手で上から押さえつける技)を決めていた。極まり具合がえげつなかった。
それから二週間が経過した。
面倒で暇な入院生活を終え、やっと退院だ。
タクシーで自宅に帰る。
兄さんと姉ちゃんはかなり心配していたが後遺症もなく、過ごせている。
自宅に帰ってくると、文研部の皆がいた。
ああ、五時か。
「おかえり〜」
「おっす」
「よお」
「やっほ」
「うーっす」
「ただいま」
上から伊織、稲葉、太一、唯、義文だ。
それぞれの手にはなんだろう。
パーティーでもやるのかと言うくらい、食い物やお菓子や、なぜかケーキまである。
「なんだそれ」
「退院祝い!!」
「そ、そうか………、了解、上がってくれ」
伊織がそう言いつつ眩しい笑顔でVサインを作った。
俺は自宅の鍵を開けて、中に入ると異様な酒臭さが鼻にツンと来た。
「ぐっ……。お前ら、待っててくれるか?ちょっとこれはまずい……」
「うお!?こ、この匂いはすごいな……」
稲葉が俺の後ろで鼻をつまむ。
「唯、お前は深く嗅ぐな。酔うぞ」
「うぇ!?りょ、了解」
俺が忠告すると、唯はドアから離れる。
玄関を閉めて、上がり込んでリビングに入ると………。
「ゔぇっ」
「んごおおおおお」
「うぴゃぁ……、もうのめにゃいれすぅ」
上から姉さん、稲葉兄、青木姉、の順だ。
すると、トイレを流す音が聞こえ、リビングに入って来たのは。
「ああ……、リョウトくん……、おかえりぃ〜…………」
「顔真っ青っすよ、兄さん……」
顔を真っ青にした兄さんだった。
おそらく吐いていたのだろう。
「あの〜、この人たちが潰れるところ早々見たことないんですけど……」
「一昨日大きい研究が終わった、っていうか終わらせた研究室ばっかりだったからね……。基本は一昨日で終わってたらしくて………、で飲み会…………、昨日中だったんだ……」
「理解しました。姉ちゃんの部屋に行ってください。兄さんの部屋に稲葉さん連れ込みます。うーん、青木さんは、俺の部屋に引き連れますんで、それで……」
「ごめん……、頼んでもいい?………まだ頭痛くて……」
「水飲んで姉ちゃんの部屋に行ってください。俺が全てやります」
「病み上がりなのにごめんねぇ……」
ちゃっちゃと片した。
兄さんの部屋に稲葉兄を連れ入れ、姉を兄のいる姉の部屋にぶち込み、サイカさんを俺の部屋のベッドに寝かす。
部屋の窓を網戸を閉めつつ開けて風を通し、換気。
ドアを開ける。
「ん、入ってどうぞ」
「お邪魔しまーす」
「………なにかあったのか?」
伊織が元気よく入ってきて、太一が怪訝そうに聞いてきた。
「大学生全員飲み会の後片付けだ、お前らは二階のリビングに行ってろ」
「へーい」
青木が返事し、皆が階段を上っていく。
俺は車庫に入って、バイクに触れる。
少しだったが、やはり、埃が薄く張っている。
「心配かけたな、相棒」
埃を手でツーと一部剥がす。
後で拭かないとな。
すると携帯が鳴った。
?
ゴッさんだ。
病院に来てくれて、さっき会った所なのだが。
「はい、ゴッさん?どうしたんだ?」
『あー…………、どうも………、退院おめでとうございます………………』
身の毛が弥立つとはこの事か。
背中がゾワっとした。
ゴッさんじゃない、フウセンカズラだった。
「あ、ああ…………、で、なんでお前が?」
『いえ………、一応謝っておきます、ごめんなさい。あなたが協力した、という事を口滑らせまして………』
「そういうところはしっかりしてるのか………、ああ………、いいさ。ギブアンドテイク。こっちは色々と報酬みたいなものもあったし?ノったのは俺だからな」
『あなたは…………、甘すぎます……………。通りで………女性と仲いい訳です…』
聞こえてるぞ。
『という事で…………では…………また………』
プツッ
電話が切れる。
俺は携帯をしまい、最後の言葉に引っかかりを覚える。
“では…………また………”
「……………まあ、何とかなるだろ」
次が来ても………、俺が犠牲になれば問題ない。
そう思いつつガレージを出る。
二階の部屋は俺が入院した日から使っていなかったのか、まだ綺麗な方だった。
俺の家に慣れている唯と伊織がすでにテーブルを拭いて、買って来たものを並べて行く。
紙コップをみんなで持ってジュースを注ぎ
「龍斗の退院を祝して!」
「「「「「「乾杯!!!」」」」」」
皆ワイワイとはしゃぎだした。
そもそも、何故、俺の退院がここまで長引いたか、だが、どうやら少し、水の中で溺れている時間が長かった事から、脳への負担が大きく、左腕に痺れが生まれたから、というものだ。
今は治っているが、目を覚ましたときは左腕が本当に痺れて少し動かすくらいでいっぱいいっぱいだった。
俺の皿にはエビチリが、そして個々にチャーハンが鎮座している。
「体調はどうだ?」
稲葉だ。
あんまり箸が進んでいないことに関して言っているようだ。
「問題ない。稲葉んこそ、大丈夫か?」
「ああ………、だが、ひとつ言っておく。お前、何で私たちに文研新聞の事を言わなかった?」
「あー………、言ってなかったか?」
そう、文研新聞だ。
月一回の約束で文研部の存続を許してもらっているもの。
実はこっそり、1人で作ってゴッさんに渡しておいたのだ。
「寝具とデートスポットと料理………、と言うより、デートスポットってどう調べたんだよ?」
「取材、だな。後は俺が見つけた穴場とか。夜中行くと星が綺麗に見えるスポットとかな」
「へぇ?でもまあ、本当に助かった……」
「気にすんな、楽しむのが一番だと思うぜ?」
「ああ……、十分楽しませてもらってるさ………」
俺がチャーハンを一口、口に放り込む。
「で?青木は何故か唯にアタックしまくってたのは何でだ?」
「……………知らね」
知らないことにしておいた。
俺の退院会と称した遊びは終わり、ゴミは太一が処理してくれると持って帰った。
太一って相変わらずのお人好しというか何と言うか。
伊織は何故か、家に残っている。
青木ははしゃぎ過ぎて、ヘッドロックを稲葉にかまされて居た。
「で、何でまだ居るんだ?」
「んー?なんか久しぶりだなぁって、思ったから」
「姉貴に聞いてるからな?俺の部屋使って何してた?」
そう、俺の入院中、俺の部屋に上がり込んで何かして居たと、姉ちゃんに聞いたのだ。
でも、だいたい想像はできる。
「掃除だよ………、そんな期間居ないなんてことなかったんだし、龍斗は綺麗好きだから、だよ………」
「とか言いつつ、どうせエロ本探してたんだろ?」
「チッ、バレたか」
思い通りすぎて吹いてしまった。
伊織もそれにつられ笑う。
ひとしきり笑ったあと、沈黙が空間を征服する。
“あんなこと”をしたんだ。
当然気まずくなると言うのも道理だろう。
「いっつもだが、何で俺が居ない時に、そんなもん探すんだよ。無いのに……」
「そりゃあ………、(好きな人の好みを知りたいからだし)……………」
「あん?もっかいいってみろ」
「何でも無い!!聞こえない系鈍感系男子なんか滅んでしまえ!!」
「ゴフゥッ!?」
思いっきり腹パンされました。
いや、聞こえかけてたよ?
けれど断片的だしおぼろげだしで、わかんねぇよ。
「で?いつまで居るんだ?」
「何よ………、帰れってこと?」
「んなこと言ってねぇ。晩飯食ってくか、どうかってことだ」
「……………食べる………」
また、日常が始まる。
俺は自分の気持ちを再確認した。
俺の気持ちは伊織を向いている。
伊織も俺を向いている…………、多分…………。
夜、伊織が家に帰り、1人、自分の部屋に戻る。
「あ………、サイカさん居るの忘れてた………」
ベッドを占領して居る女性。
青木采花、20歳。
少し酒が抜けてきたのか、顔色はましだ。
んー、美人。
ベッドに手をついて顔を覗き込む。
っとぉ!?
「ゲフゥ…………」
酔っ払いのゲップはやめていただきたい。
すぐに気がついて引いたから良いものの。
がばっ!
!?
采花さんが起きた!?
俺の方を向いた。
「あれぇ?あたしリョウトくんのかのじょだったっけ〜?」
まだ酔っていらっしゃる。
「いや、違いますけど」
「ん〜、そっかぁ、じゃあいまからカレシね」
「え!?」
嫌な予感がした瞬間、腕が掴まれ、一気に采花さんの腕の中へ。
あ、割と采花さん小さい。
「むぅ、なんか失礼なことおもわれたきがする〜」
「思って無いですよ………」
「んー、ならいっか、んむぅ………、眠くなってきた………」
「ゑ………………」
「すぅ…………」
寝やがった。
おいおい………。
……………。
腕の力はほとんど入って居なかったのですぐ抜けられた。
さて……と………。
コンピュータでメールの文面を確認する。
そのアカウントは海外を数箇所通して居るのでバレる確率はかなり低い。
アクィラ君、久しぶりだね?榊だ。君と話せるのは何年ぶりかな?君が生きて居るということは一応知って居るよ?なんせ、僕は協力者なのだからね。裏からヨハンの事を調べてくれないかね?
内容はこんな感じ。
メールアドレスは【sakaki-gazer.Fenrir-anagura】。
??????
これの送信日は…………………、2071年…………???
……………本当に……、誰なんだよ……、アクィラ?ヨハン??で、メールアドレスのサカキという名前も初耳だ。
それにメールアドレスも無茶苦茶。
@が無い上に、送信日が訳わからん。
とりあえず返信してみる。
『すいません。僕はアクィラという人ではありません。それと、返信日を確認して見たのですが、そちらの機械に不具合でもあるのか、もしくはこちらの表示ミスか……。もしかしたらメールがタイムスリップして居るのか。20XXより、送信しています。そして僕は名木沢 龍斗という者です。もし、知り合いならお名前をください』
送信………と。
その後、すぐに寝た。
ソファで。
次の日、そのメールと送信メールは無くなっていた。
学校。
久しぶりに来たな。
するとゴッさんがいた。
「おう、名木沢〜、災難だったな………。で、お前は俺の口座から引き出した覚えのない金が引き出されていたんだが、警察に行った方がいいかな?」
「いや、知らないっすよ………」
あ、ポストに入ってたお金はそういうところからの出費なのね。
何してんのあいつ………。
すると、担任が来た。
「あ、リョウくん。やっと来れるようになったのね」
「ええ、まぁ……、一応死なずに済みました」
「生徒が死ぬなんて、悪夢以外の何でもないから、言うんじゃないわよ」
「…………はい」
結構真面目な顔で言われたのでそう返事した。
そんなこんなで教室で授業を受ける。
いつも通り、寝た。
授業が終わり、放課後。
首を横に振るとゴキゴキと鳴った。
いててて………。
「あ………リョウ…………、一緒に行こ?」
唯がそう言って来た。
別段断る理由もないので、了承し、教室を出る。
青木は掃除当番だ。
部室に向かう途中、外に出てすぐのところで、先をポケットに入れている右腕の肘を唯に掴まれ、引っ張られる。
「どした?」
「う…………、その…………、話したいことがあるの……」
「……………東校舎裏か?」
「……」コクリ
唯が頷いたので俺が先導して、唯がそれを追う感じになる。
東校舎裏に着いたので、くるりと振り返る。
先日の告白での青木の位置に俺が来ることになった。
「……何だ?別にこんな所じゃなくても良いだろうに」
「んー………、まあそうね。でも、一応伝えとこうと思って」
モジモジしている。
唯は手を後ろでカバンを持っている。
俺はまあ、普通に持っているのだが。
「リョウ、病院で言った言葉……、撤回させてもらえない?」
「??何だっけ?」
「!?何で忘れてるの!?」
唯の言葉で何かあったかなと思い、検索する。
んー、なんかあったっけな?
唯は驚愕の顔をしている。
「いや………、忘れてる…………わけでは………」
「本当に忘れてそうなんだけど……」
「んーと………、友達として好き………、だっけか」
「……………ん。それ………」
合ってた…………良かった。
って、撤回?
「まさか………、俺は友達としても嫌いだったと……」
「な訳ないじゃない。文研部男子では一番好感度上ですよーだ」
「じゃあ、何だ?」
「ん、そうね………、青木に告られたじゃない?」
「ああ、うん。メールが顔文字絵文字オンパレードだったやつか」
「………うん。でね?青木に聞かれたの。リョウの事はどう思ってるのか?って」
「何だか聞くの怖えな……」
「で、結論がまだ出てなかったから、ああ言う答えを言ってしまったわけで、一昨日、結論が出たので、報告しておこうかなって………。でね?友達って言ってたけど、やっぱりそれ以上で、でも、幼馴染としてもちょっと不安定で……」
「ああ…………」
「で、結論が、すでに恋人だったのでは説を推したいと思います!」
「な訳あるか」ペチン
「あうっ!」
かなり真剣な感じで話していたのに、どうしてかギャグ方向に行ってしまっているぞ。
唯はかなり真剣なのだが………、言い切ったと同時に軽いデコピンをしてしまった。
「ただの冗談じゃない………」
「冗談だとしても言うな」
「はーい。で、結論なんだけど」
「ああ……」
「兄妹みたいじゃない?私たち」
「お前みたいな出来の悪い妹はいらん」
「ひどいよ!?」
ニヤニヤと笑うとからかわれたと分かりほおを膨らます唯。
ハムスターかよ。
「はぁ………、で?なぜその回答に至ったのか。理由を聞きたい」
「んーと、昔っからって言うか、中学時代、勉強教えてもらってたじゃない?杏もリョウと話しててお兄ちゃんみたいだって。で、それでそういえば私からしても、お兄ちゃんっぽいなぁって思ってさ。で、今に至るわけ」
なるほどな。
まあ、こいつが妹だったら嬉しいかもしれない。
確かに妹っぽいし。
「まあ、そう言うことでよろしくね!お兄ちゃん?」
「はいはい」
そんなこんなで、非日常的現象が終わって、めでたしめでたし。
まあ、この後、どうなるかなんて分からないのだ。
この平穏な日々を、噛み締めて生活しようと思う。
まあ、その考えは数日後に撤回されることになるんだけれど。
はい、すごく遅れました本当にすいません黒木です。
夏終わりましたね何してましたか、僕は寝てましたすいません。
読者のコメントでダメージ受けてかけませんでしたメンタル弱いですすいません。
はい、と言うことで、ココロコネクト ヒトランダムはこれにて終了です。
次回からはキズランダム編となります。
欲望開放か……………、リョウは料理作りすぎたりするのだろうか。
コメント待ってます。
では!