ココロコネクト 面倒くさがりが紛れ込んだようです   作:黒木龍牙

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投稿遅すぎい!!
まあ、しょうがないですかね。
六万飛びましたよ………。
コミケってメッカの崇拝の次に集まるんですってね。
オタクは宗教団体ですね。
では、どうぞ。


誤魔化しは自分の秘密の趣味から。

部室に戻ってきた俺と唯と義文。

二人とも、どうやら自分たちにあったことが信じてもらえるか心配らしく、ずっと相談していたらしい。

全く、こいつらはバカなのか。

とりあえず、俺ら以外にも意見を求めてみなければ、結論などは出ない、といえば、稲葉んたちにも話そうとしたらしいのだが、踏みとどまっていたらしい。

やはりバカか。

ドアを開ける。

 

「ただいま〜。」

 

「おかえり〜、ってあり?唯と青木も来たんだ。」

 

「お、おう。」

 

「や、やっほー……。」

 

唯と義文の微妙な反応にはてなを浮かべる伊織。

俺は二人に早く入るように促し、俺、唯、そして義文の順で奥から座る。

太一には移動してもらい、反対側に行ってもらった。

真面目な俺らの行動になんだなんだと伊織も太一、稲葉んに並んで座る。

 

「「…………………。」」

 

「「「…………?」」」

 

二人がなかなか、話そうとしない。

 

「ぐぬぬぬぬ…………、ああああ……、言おうとすると、やっぱり……。」

 

「「………………。」」イライラ

 

「………、その何というか……、気まずさが半端ないんだけど……。」

 

「「………………。」」イライライライラ

 

「いやー、その、話そうとは思ってるんだよ……?だけど」

 

「「さっさと吐きやがれ!!」」

 

「「は、はいいいい!!」」

 

なかなか言い出さない唯と義文にイライラがマックスになったのか、俺と稲葉んは同時に同じセリフを言った。

それにびっくりしたのか、あまりの迫力に恐縮したのか二人は大声で返事をする。

俺と稲葉んはこういう時でも、容赦がないと自分でも思っている。

それに、面倒臭いし。

 

「あ、あの………、その………。実は昨日の夜……。」

 

太一も伊織もつばを飲み込んだ。

そして、決死の覚悟で義文は言った。

 

「俺は龍斗の体に入ってたんだ!!!」

 

しんと静まりかえる部室内。

 

「は?」

「へ?」

「あっはっはっ…………は?」

 

順に稲葉ん、太一、伊織が三者三様に呆気にとられる。

まあ当然だろう。

義文は伝わってないと思ったのか、もう一度違う言い方をしてみる。

 

「嫌だから、魂が入れ替わってたんだって!!マンガみて〜に!!」

 

その瞬間、稲葉んがかなり力の入ったチョップ、脳天唐竹割を義文のバナナヘアーにぶち込んだ。

 

「だっ!?何すんだ稲葉っちゃん!?」

 

「おお、脳天唐竹割!」

 

興奮すんなプロレスオタク。

 

「いや、振りの割に面白くなかったから。」

 

「いやいや、大真面目なんだって!?嘘なんて言ってないから!!」

 

「そんなことより、ネタがつまらないと稲葉からツッコミという名の攻撃を受けることの方が衝撃なんだが……。」

 

稲葉んの行動に太一が呆気に取られている間も義文は大きな身振り手振りで俺と唯と義文が入れ替わったことをジェスチャーしている。

俺は先ほど、稲葉んと太一に話した昨日の夢のことを話し始めた。

 

「さっきさ、俺、唯になってたって夢の話したよな?」

 

「ああ、入れ替わったように……。」

 

「って、まさか……。」

 

「そう……、俺と唯は入れ替わっていた。その上、唯が義文に、義文が俺にっつー感じでこの3人だな。」

 

「いやいやいや、リョウの言い分もわかるけど!太一の笑顔が全く曇り気のなくなることくらいないよ!?」

 

「何気に俺にブーメランが刺さってるんだが……。」

 

俺の言葉に稲葉んは頭を抱え、伊織はツッコミし、そして太一は伊織の俺に投げたブーメランが帰ってきて見事に頭に命中したのか、こめかみを押さえていた。

 

「で、唯はどうなんだ?」

 

「うん、知らない間に軽い三つ編みになっていたの。前の文研新聞を読んだんだけれど、それが一番まとまり易いって、リョウが書いていたの。わたしはあんまりそう言うの気にしてないから、それをしたのがリョウしかいないのよ。」

 

「俺がパニクってリョウの部屋のものを散らかしちゃったんだけど……。」

 

「青木が漁った場所が限られててよかった。俺の記憶と合致したっつーわけだ。」

 

「こんなことがあり得るのか?」

 

「それが問題なんだよなぁ。」

 

記憶の合致。

これが意味することは、入れ替わりが現実となった、ということだ。

その事の疑問点、それが、「そんなことがあり得るのか」という点だ。

この非現実、これは受け入れがたいことだ。

太一の疑問はもっともだ。

だが、俺はこっちの方が問題だ。

 

「じゃあ、入れ替わりが起こった確率と、唯が俺の夢通り三つ編みにして寝たことと、唯が青木になる悪夢を見たことと、青木が来たこともない俺の部屋の特徴を予知夢で知り俺が夢遊病にでもなったごとく自分の部屋を荒らす確率、どっちが起こる可能性が高いと思いますか?」

 

そう言うと全員が苦い顔をする。

まあ、そんな長文を長々と言われたら、誰でもそうなる。

すぐに頭を働かせたのか稲葉が皆を見渡しつつ言う。

 

「わたしは圧倒的に龍斗の言っていたことの前者の方が確率が高いと思う。それに、」

 

「「それに?」」

 

稲葉んが言葉を切り、最後のことばを促すように頭を傾けつつ伊織と太一は言った。

稲葉んは俺の方を向いてこう言った。

 

「龍斗が夜夢遊病になる事は、まず確率が天文学的確率では最も低いと思ったからだ。」

 

「喧嘩売ってるのか、稲葉ん。」

 

顔をムッとさせながら言うと、唯と伊織がクスッと笑う。

 

「おいおい、ひでえなぁ。まあ、確かに俺もそう思う。」

 

事実俺も確率が低すぎると思って行ったのだ。

まあ、泥棒が入ってきて、部屋を荒らして………………。

 

「やべえ、俺じゃなくても部屋荒らせるじゃん。」

 

「「「「「え……?」」」」」

 

忘れてた、あのストーカー。

1年前に出会ったあの女なら部屋を漁る事は可能だ。

だが、俺は姉に聞いたはずだ。

 

「あの女を昨日通したか?」

 

「あー?通してないと思うけど。なにせお酒飲んでたからさ〜。」

 

ヤヴァイ。

急に自信がなくなってきた。

俺は携帯を取り出し、電話をかける。

普段絶対にかけない場所に。

 

『やったー!!リョウくんからの電話だー!!』

 

「黙れロリ、お前に興味はない。で、昨日俺の家に来たか?」

 

『およ?行って欲しかったのかな?なら今日行ってあげ』

 

プツッ、プー、プー、プー。

 

「大丈夫だ、俺以外が昨日部屋に入った事はなかった。」

 

「お前………、まさかロリコンなんじゃ。」

 

「なわけねえだろ義文。お前には後で説教な。」

 

「なんで!?」

 

「とりあえず、整理すると、だ。俺と唯、それに義文が入れ替わったっていう簡単な話d」

 

「あああああ!!!!」

 

俺がまとめると最後の「だ」を言わせないとばかりに伊織が声を上げた。

何だ何だと、伊織を見るとこう言った。

 

「教室にノート忘れた!」

 

「話をぶった切るんじゃねぇ……。」

 

稲葉んはそう言うと、早く取って来いとばかりに顎をしゃくる。

 

「じゃ、話の続きはまた後で!」

 

「あ、俺も忘れもんしたから一緒に行くか。」

 

俺も弁当を忘れたので、帰りに寄らないとと思っていたので丁度いい。

帰りに取りに行くよりマシだろう。

俺は立ち上がりドアを開けている伊織と一緒に教室まで走る。

 

「くっ!やっぱり、男の子は速いね!!」

 

「伊織も速いだろうがよ。んじゃ、取りに行くな。」

 

部室棟から教室棟に帰ってきて一番近いのは3組。

俺は1組なので一番奥だ。

俺は走って自分の席に行くと弁当箱の入ったカバンが机の横にかかっている。

 

「あーこれだこ……」

 

 

 

「れ?」

 

俺は自分の机にかかっていたカバンを取ろうとして視界が暗転したかと思うと、世界が横を向いていた。

正確には俺が顔を横向きにしていたからだ。

だが、俺はそんなことをした覚えはない。

顔をまっすぐ向けて、俺は下を向く。

するとブラウスと女子生徒のみの着用が許されるスカートが目に入った。

そして何より重い肩。

確実にこの下を向いた時に下半分を占領する大きな胸だろう。

 

「な、何これ……。」

 

あれ?

いま、“声が高かった”ぞ……?

俺は頭を触る。

すると左後ろに髪を一つくくりにしている事が、手の感触で分かった。

 

「あー、あー……、やっぱりこれ、伊織だ。」

 

呆然とそう呟いた。

一瞬、興味という名の性欲に駆られたが、誰かに見られたり、もしくは俺に入った“誰かに”見られると、面倒だ、と思ったのでやめた。

自分の考えた事が合っているかを確認すべく、俺は立ち上がり、廊下に出て、教室を確認する。

 

「1年……、3組……。」

 

やはり伊織たちのクラスだ。

すると、俺は声をかけられた。

 

「あら、永瀬さんじゃない。」

 

びくっ。

後ろからかけられた声にびっくりしつつ、後ろを向く。

透き通る、ビシッとした声。

自分の後ろには、メガネの委員長がこちらを向いていた。

俺は怪しまれないように、伊織を演じる事にした。

 

「な、なーんだ。藤島さんかぁ〜、驚いちゃったよ〜……。」

 

「あら、ごめんなさい。で、何をしていたの?」

 

「あーうん。教室に忘れ物を取りに来たんだけど、どうやら家に忘れちゃってたみたいで……。」

 

「そう。災難だったわね、ちなみに何を忘れたの?」

 

「うん、ノートなんだけど……、ってクラブに戻らなきゃ。じゃあ行くね!」

 

「ええ、廊下は走らないようにね?」

 

「はーい、委員長に言われたんじゃしょうがない。」

 

伊織のにへらとした笑いを真似て、手を振って別れる。

何とか笑顔を絶やさないことに成功した。

はぁ……、少しSAN値が減りそうだよ……。

藤島さんが階段に消え、俺は1組へ向かう。

すると少し慌てた感じの龍斗(伊織)がドアから頭だけをのぞかせていた。

 

「だ、大丈夫だった!?」

 

「大丈夫、大丈夫!若干取り乱しちゃったけどすぐに落ち着いたから問題ないよ!」

 

伊織だと思われるその言動に、俺が真似た伊織で対応すると、伊織は目をパチクリとさせ、ふふっと、笑った。

俺がこんな笑い方をすることはもう二度とないと思っていたのだが。

まあいいだろう。

 

「じゃあ、忘れ物を持って部室に帰るか。」

 

「はーい。」

 

 

 

「で、今度は何の冗談だ?」

 

稲葉が俺と伊織を睨んでいる。

怖い。

口の端をヒクヒクとさせながらそう言う。

 

「いやーなんか。」

 

「入れ替わっちゃったみたいだね〜。」

 

俺と伊織がそう言うと、稲葉が伊織にチョップをかました。

まあ、周りから見ると、稲葉が龍斗にチョップしたように見えるだろうが。

 

「ちょ、痛いよ稲葉ん!?」

 

「たわけが、伊織はちゃんといるだろうが!さっさとその真似をやめろ。きもい。」

 

「あ、俺が違和感を解消するためにやった真似が裏目にでるとは……。すまん、伊織。」

 

「うわ、伊織まで龍斗の真似をし出した……。」

 

「いや、本当なんだって!!」

 

伊織が俺の体で何とか事実だと証明しようとしているが、蛇足にしかなってない。

俺がある条件を出す。

 

「じゃあ、唯に俺しか知らない情報を言えば分かるんだな?」

 

「あ、ああ……、まあいいだろう。唯、頼んだ。」

 

「わ、わかったわ。どんときなさい!」

 

唯が胸を張って手でトンと叩いた。

俺は唯に近づき、こう言った。

 

「唯の部屋のベッドの裏に俺と一緒にお風呂に入った時の写真が貼ってあ「稲葉!龍斗で間違いないからその……、って何で知ってんのよ!!」………、お前がこの前寝ぼけてその事を言ったんだろうが……、まあ、そんな事を言っているのは俺のみだとは思うが?」

 

ちなみにそれは小学三年生くらいの時で、俺はちゃんとタオルで隠してあるのだが、唯は俺に抱きついている上、マッパなので俺に色々押し当て

 

「色々考えてることアウトなのよ!龍斗のバカ!!」

 

「じゃあ、唯は間抜けだな。」

 

「ぐぬぬ……、クラス一の天才にそんなの言われたら立ち直れないわよ……。」

 

そう言うと唯は机に突っ伏した。

俺は自分の席に戻ってきて一言。

 

「伊織には稲葉ん頼んだ〜。」

 

「ああ、じゃあ、伊織らしき奴、こっちに来い。」

 

「らしきって何さ、らしきって…」

 

ぶつくさと言いつつ、稲葉の横に行く俺の体をした伊織。

稲葉が伊織の耳元で何かをつぶやく。

すると……。

 

「ぶっ!ごほっ…………、ごほっ…ちょっ、稲葉んそれほんとなの!?」

 

「本当だ。」

 

「そ、そんな……、そんなこと今言わなくたって……。」

 

伊織の言葉に容赦なくズバッと言う稲葉。

目の当たりを手で押さえしゃがんで落ち込んでいる。

一体稲葉は何を言ったのだろうか。

 

「でも…………、こうやって私達は大人になっていくんだろうね…………ぐすっ。」

 

そう言ってソファに崩れ落ち、チーンという効果音が聞こえてきそうなほど、真っ白に燃え尽きている俺の体をした伊織を見ると、稲葉が何を言ったのか、それが何を意味するのかを知りたいような知りたくないような…。

 

稲葉は表情を変えず、はぁ〜〜、と長めのため息を吐くと呟いた。

 

「人格が入れ替わった、か…………。認めるよ。」

 

おお、と俺以外の四人が稲葉が折れた事に歓声が上がった。

 

「だが、龍斗。お前は普段、面倒くさがりなはずだ。なのに伊織の話じゃあ、藤島に違和感さえ感じさせないくらい、そして、本人が驚くほどの演技を発揮したらしいじゃねえか。それに関しては?」

 

「あー、暇があったら、こんなこと言ったらどんな反応するのかなって、妄想してるから。」

 

「へえ、じゃあ、私の真似をして見ろ。」

 

急な注文に思わず吹き出す皆。

まあなんとかなるかなと思いつつ、俺は稲葉になりきる。

 

「はぁ、まあ良いけれど……。で、何で私はそんな事を言ったんだ?私はそんな事を言うようなキャラじゃないだろ?」

 

「いや?少しからかってみただけだったんだが……、うまいなお前。」

 

「そりゃあまあ、私は私だからな。で、お前らは何でそんなに私の事を見てるんだ?」

 

「いや……。」

 

「その……。」

 

「上手くて………。」

 

「驚きだよ!龍斗!」

 

唯と太一と義文が引いて、伊織(龍斗の姿)が感動。

まあ、いいけどさ。

一番タイプが似ているからなんとなく似せることができる。

 

 

すると、急に世界が暗転した。

 

「……丈夫か!?おい!?龍斗!?」

 

俺は机に突っ伏していた上半身を起こすと、位置が変わっていることが理解できた。

すぐそこには、今さっきまで俺が入っていた、伊織の体があった。

伊織と目があう。

 

「「戻った!!」」

 

伊織は嬉しそうに、俺は気だるげにそう言った。

 

「本当かよ……。」

 

稲葉は信じられないように呆れた声でそう言った。

俺は気だるさと、今まで真似をしていた疲れに襲われ、机に再び突っ伏す。

 

「だるい……、眠い……、おやすみ………。」

 

俺の意識は闇へ放り投げられた。

 

 

起きた。

あれから約一時間。

女子二人は待っていてくれた。

どういう原理なのか稲葉がなんやかんや調べていたらしいが知らん。

太一は妹の宿題の手伝いがあるとかで帰った。

義文は散髪に行くとのことで、唯は宿題が溜まっていたらしい。

俺は伊織と稲葉と帰ることとなった。

 

「ねえ、またこんなことあるのかな?」

 

「さあな?どうだろう。龍斗はどう思う?」

 

「なんとも言えないな。明日になって見ないと……、ってか、お前ら楽したいだけだろう?」

 

俺のママチャリのサドルに稲葉が、後ろの金属部分に座布団を乗せて座っているのが伊織だ。

俺は自転車を下り坂で落ちていかないようにブレーキを握りしめつつ、バランスを崩さないように歩いている。

ニヒルと笑いつつ、二人は言う。

 

「「龍斗といると面白いんだもん。」」

 

「何がだよばか。重いんだよ。」

 

そう言うと、二人はしたり顔で見て二人でこういった。

 

「あら、稲葉さん聞きました?わたくしたちが重いですって。」

 

「伊織さん、わたくしたちが重いなんてことありえますのかしら?」

 

「まず女性に向かって体重のことを話すのは禁止ですわよね?」

 

「女性二人だから重いんだろうが。どれだけ軽かろうと40×2で80kg!俺には許容量オーバーなんだよ!!」

 

そう言うと、ベシッと頭を叩かれた。

 

「なんで体重がそうだってわかるんだよ!」

 

「そうだそうだー!」

 

と、二人がブーブー言っているので聞いてみた。

 

「じゃあ、お前らの体重、30kg代か?んな軽くねーだろうがよ。お前らこの前持ち上げたけど、少なくとも40さ「「それ以上は言わなくていい!!」………、はいはい。」

 

自分が不利になると、急に話を切るんだから……。

ちなみに持ち上げたと言っても稲葉がこの間、足をひねったらしく、おんぶしただけ。

伊織はお姫様抱っこというものを味わせろと無理やり、だが。

 

「でも、不思議だったね。体が入れ替わるって。」

 

「だな。伊織の顔は真似すると疲れやすい。」

 

そう言って俺はため息をつく。

何を〜!と伊織が反論したがっていたが、事実そうなのでしょうがない。

坂を下り終え、駅まで付いた。

 

「じゃあ、稲葉ん。私はこのまま龍斗と買い物して帰るよ。」

 

「そうか、じゃあ、伊織を頼むぞ。龍斗。」

 

「ああ、もし入れ替わりが起こったらまた連絡する。」

 

「そんなの、起こってほしくないけどな。」

 

全くだ。

稲葉と別れ、伊織と歩く。

勿論、伊織と二人乗りしても良いのだが、監視カメラがかなり多く配置されているので、ここでするのは危険だ。

俺は少し先の細い道に入り、伊織を乗せる。

そうだな、最近寒いし、なんかあったかいもんでも作るか。

伊織は振り落とされないために俺に抱きついてきた。

ああ、やっぱ胸デケェ。

今度揉む。

ぜってえ入れ替わったら揉む。

そう誓うのだった。

何をするわけではないけれど。

 

 

夜、気がついたら風呂の中だった。

おい、待て、落ち着け。

俺じゃなくてこういうのは一番人生で主人公している太一の特権だろう?

目の前に鏡があるので確認すると、唯だった。

タオルで髪をまとめ、ポニーテールにしている。

幸い、胸まで映らなかったので被害は少ない。

目を閉じ、俺はゆっくりと入る事にした。

自分の今の状況なんか考えるか。

考えてたまるものか。

だが……、

 

「お姉!私も入るから〜!」

 

「ぶふっ!!!いや、それはだめだろ!?」

 

思わず、そう叫んでしまった。

ちょっと待て、俺は何かに取り憑かれているのか!?

俺は湯船から立ち上がり、ドアを全力で力を入れて、閉める。

間違いない!

今入ろうとしているのは、唯の妹の杏!

 

「なんでさ。いっつも一緒じゃん。って、あれ?開かない?お姉〜、開けてよ〜。」

 

やばいやばいやばい!

どうしようどうしよう!!

すると、視界が暗転した。

 

 

戻って、来たのか?

俺は今、自分の部屋で半分寝こけていた。

だが、今先ほどあった出来事に思考回路が傾く。

あんなラッキースケベに会い続けたら俺の精神がどうにかなりそうだ。

はぁ、風呂入るか。

落ち着いた頃に俺に電話があった。

 

『もしもし!唯です!!そっち、今大丈夫!?』

 

「あ、ああ、問題ねぇが?」

 

『み、みいみみみ、見た!?』

 

「見るしか状況把握できねぇよ……。問題ない、胸と下は見てない。目の前の鏡で見たけど肩までしかうつってなかったしな。」

 

『………………、そう……。(見ても良かったのに)……。災難だったわね。あのエロ河童だったらどうしようかと思ったわ。』

 

一応、俺の言う事には信頼性があるらしい。

逆に言うなれば、青木は危ないやつという考え方が正しいのか?

いや、あいつほど紳士な対応をしているやつはいないと思うのだが。

ってかさっきの小声聞こえてるからな?

 

『まあ良いわ。でも、こういう事は起こってほしくないわね。心臓に悪いわ……。』

 

「ああ、俺も焦った。まあ、もう一回入り直せ。こんな事は直ぐには起こるわけが」

 

 

 

手に携帯電話を持っている感覚がなくなったのを感じ取りすぐさま目を開ける。

ここはどこだ!?

と思い、見回すと、直ぐにわかった。

モノトーンで揃えられた最低限の家具。

間違いない、稲葉んの家だ。

ベッドの近くにある充電器に刺さっている携帯電話を手に取り、俺にかける。

数秒後、電話中だと切られた。

………、自信がなくなった。

いつ何時、誰とどのタイミングで入れ替わるか分からないわけだ。

それが、この、人格入れ替わり現象だ。

すると太一から俺に電話がかかってきた。

 

「い、稲葉ん?」

 

『あ、ああ、その聞き方は伊織か龍斗だが……。』

 

「龍斗だ。太一が俺の体に入ってるのか?」

 

『か、可能性は高い……、ってか、変な感じだな。他人に入るって。』

 

今初めて実感した感じで、そう言う太一の体に入った稲葉。

はぁ、とため息を付き、それに、と付け足す。

 

『自分の体から発せられる声がこんな風に他人に聞こえている、というのも変な感じだな。』

 

「あ、そうそう、唯が風呂の途中で俺が入れ替わった。」

 

『ぶっ!おい!まじかよ!!』

 

「まあ、見たことあるし、見ても問題なかったんだが、一応見てない。」

 

『おい!それはどういう』

 

稲葉のツッコミの途中で視界が暗転し、気がつくと自分の家だった。

ややこしい。

すると、扉が開かれ、俺の天敵が入ってくる。

 

「リョウくーん!!!!!」

 

飛び込んできた。

まあ、今日くらい構ってやるか。

あ、調子乗るからパスで。

俺は背中をむんずとつかみ、ソファに投げる。

 

「ひゃあああ!!」

 

心なしか喜んでいるように見える。

そのソファは、人をダメにする、というだけありものすごく柔らかい。

そのため、そいつは顔面から突っ込み、なかなか抜け出せないでいた。

俺は足早に自分の部屋から抜け出し、玄関へ向かう。

すると姉ちゃんに会った。

 

「あら?阿里守(アリス)の声が聞こえたんだけど気のせい?」

 

「姉ちゃん、なんとかしてくれないかあの変態。」

 

「あら、可愛いじゃない。」

 

俺はドアを閉めて、足で引っ掛けて開かないようにしつつ、助けを求めるが、姉は無常である。

そして、ドアにべちっと当たって出ようとしている変態が、部屋の中で暴れている。

俺は半歩下がり、ドアを開ける。

すると、突進して開けようとしていたのか勢いよく走ってきて、廊下の反対側にビターん!!とぶち当たった。

 

「にゃあああああ!!!」

 

鼻を打ったのかもんどりうってそう叫んでいた。

チッ、こいつはだから面倒なんだ。

俺は姉にそいつを任せ、部屋に閉じこもる。

ホームセンターで鍵を数個買って設置したことは記憶に古くない。

あいつとの出会いは去年、俺が兄貴のバイトだった家庭教師を任された時だ。

兄貴が風邪をひいて俺が行かなければならなかったのだ。

 

「はいはいはいはい!!ここがわからないです!!」

 

元気よく言ったのは、春日 阿里守(カスガ アリス)。

長い金の髪をフリフリのついたカチューシャでまとめている女の子だ。

今年小学四年生で、背の小さい本当のロリっ子だ。

俺の教え方が良かったのか、算数のテストで100点を取ったらしい。

それで、俺がお気に入りとなったらしく、俺の兄貴が風邪から治っても、アリスは俺を所望した。

まあ、教えることは嫌いではないので、渋々ながら俺はアリスに勉強を教えていた。

だが、アリスが堕ちた。

正直、俺は悪くないよな?

とりあえず、寝よう。

風呂は明日の朝入ればいいだろう。

おや………す……………み…………………………。

 

 

 

 

 

『あなたは、何を望みますか?』

 

怖いくらいの低い声。

後ろから聞こえた声は聞いたことのある声だ。

ごっさん、我が文化研究部の担当教師であり、太一、伊織、稲葉の3人のクラスの担任でもある後藤龍善の声だが、いつものごっさんではない。

低い、別人のような声だ。

何を望む?

いや、そんな事はどうでもいい。

 

「ごっさんに入って何のつもりだ?“フウセンカズラ”?」

 

何故だ。

俺は何故………、相手の名前が“フウセンカズラ”だとわかった?

いや、そんな事はどうでもいい。

振り向いて、ごっさんの目を見る。

ごっさんは力が入っていない様に、肩がだらんと下がり、猫背で目が半分しか開いていない。

そいつはすぐに、口を開いた。

 

『なんだ、“梶田”さんじゃないですか…………。お久しぶりですね。』

 

梶田(カジタ)、俺の“前の前の”苗字。

俺は苗字が数回変わっている。

明堂、姫島、佐久間、鶴芝、角田、梶田、八尾、名木沢。

数回どころではないかもしれない。

父親は母に暴力を振るい、蒸発。

母は、父親の暴力でストレスが溜まり、保育園の前に、俺と姉ちゃんを残して自殺。

金的にも厳しかったらしい。

姉貴は婚約が決まっており、そのまま義理の兄の家で過ごすことになった。

だが、俺は小さい時から怖がられていたため、義兄の親から別の家に引き取られることとなったのだ。

だが、それが俺にとって、色々な意味で大変だった。

まず、市役所への申請だ。

俺の親は、ひどい人たちばかりだった。

博打打ち、暴力団、声優、と収入が安定しないトコばかりだった。

だから俺は、ボロを見つけて警察にお世話になった。

だが、こいつに会った覚えはない。

………、ぬるりとした感覚が、俺を覆う。

 

『ああ、もう覚えていないんでしたね……。』

 

ああ、そうだ。

無かった記憶が一気に蘇る感覚を覚える。

目を見開いたのに気がついたのか、不気味に口の端を引き上げる。

 

『思いだしたんですか………、やはりあなたは面白い…………。』

 

俺はその瞬間、背中が異様に冷たくなるのを感じた。

 

『では、今日の放課後、部室で会いましょう……………。』

 

そう言って、スッと、消えた。

小5の記憶を復活させる。

 

『おい、大丈夫か!?』

『早く救急車を呼べ!!』

『何で、そんな目で見てるんだよ!?』

『嫌い!嫌い!嫌い!!リョウなんか!大っ嫌い!!!!』

 

 

思い出したそれは、悪夢だった。

俺は人を、殺したのだ。




さあ、リョウトくんは小5のとき、何があったのか。
伊織の家が近くにあるが、早く歩く気はないので、電車で登校する事を嫌っている。
というか、唯との関係はマジで何なんだ。
という感じですかね。
さあ、青木のポジションが怪しくなってきたぞ?
青木、どうなる!?
次回、青木死す。お楽しみに!
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