ココロコネクト 面倒くさがりが紛れ込んだようです 作:黒木龍牙
あの後、すぐに別れバイクに乗って俺は自宅に帰って来た。
そして、ガレージにバイクを置いて、自宅に入ろうと、鍵をポケットから出し、ドアに挿そうとした時だ。
「……………梶田さん?」
「………来ると思ってた……」
フウセンカズラだ。
あいも変わらずいきなり現れる。
「先ほどのは………、二番目が勝手にしたことです………。もう手出しはさせませんから……」
「はいはい………、で、それだけ言うために来たわけじゃないんだろ?」
「ええ……、まあ………」
いちいち、歯切れの悪い言い方のフウセンカズラ。
いつも通りだからか、俺だけ個人でフウセンカズラに付きまとわれすぎなのか。
嫌な汗が背を伝う。
前とは違う。
いや、いつもとは違うと言うべきか。
少し張り詰めた空気が流れる。
それが分かるほど、接していたのか。
そして、フウセンカズラの言葉を聞いて、その予感が的中して欲しくなかったと思った。
「この現象で…………、“………………………”かもしれません」
「…………………」
なんで…………、そうなる?
なんで……。
「なんでそうなるんだよ!!」
「おっと…………、誰とは言ってません」
「だとしても……、確定しているのか?かもしれない、って言ってたし可能性としては……」
「ええと…………、あくまで可能性の話です……。ですが“僕の介入ではないことは確定しています”」
「すまん………、そうか………」
一度冷静になろうと、少し黙る。
自分としても、混乱していることが分かる。
なんで、あいつらが………、そうなるんだよ?
「っつーか、いいか?」
「なんでしょう?」
「介入するのは、二番目か?それとも、三番目となる別の何かか?」
そう言うと、フウセンカズラは目を見開いた。
そして、フウセンカズラは膝を折り、両ひじを抱えるように苦しみだした!?
「お、おい!?どうした!?」
「大丈夫…………です…………、ふっ………く………、出て行って…………、ください………」
なんだ?
何が起きて……
「はあ…………はあ………はぁ〜………」
「どうしたんだ?フウセンカズラ………、出て行けってことは……」
「三番目です……、思ったより早かったですね……」
俺が原因かと聞いたら、首を振るフウセンカズラ。
「いえ……、三番目は……………簡単に言うなれば………監察官です……。おそらく……、この人に入っている時間が長いと言う忠告だと……」
「………そうか……」
なるほど………。
おそらく、フウセンカズラのなかでも、ルールがあるのだろう。
「先ほどのことですが………」
「ああ………、精神的に追い詰められてってこともあるから可能性があるからな………、了解した」
「ええ………では……………」
フウセンカズラは、すぐに居なくなった。
おそらく学校だろう。
まだ五時だと言うこともあり、夕日が暮れそうになっている。
そうか…………。
正直、予想はしていた。
今考えると、自分がそうなるかもしれないし、複数人そうなる可能性だってある。
もちろん、そんなことが起きないということが一番いいと思うのだが……。
次の日、普通に登校している俺は、胸の内ポケットに入れている携帯が震えたのが分かった。
メールだ…………、差出人は………、稲葉んか。
『自転車回してくれ』
えぇ………。
俺の家から、稲葉の家までは結構遠いのだが。
いいけどさ……。
了解、と送信し、進路を学校から稲葉の家に変更した。
そして家に着いたのだが、稲葉んが出てこない。
インターホンを押しても音が反響するばかり。
おかしいと思い、俺はドア前まで行ってみる。
捻るのぶ式ではなく、押し引きによるプッシュプルハンドルという種類のドアだ。
掴んでそれを引くと、開いた。
それは鍵がかかっていた訳ではなく、ごく自然に、キィと金属の蝶番がこすれる音がして簡単に開いたのだ。
その先に居たのは………、倒れた稲葉だった。
俺は焦らず行動する。
うつ伏せに倒れている稲葉を抱え上げ、仰向けに寝かせる。
顔色はかなり悪い。
息は一応できている、と言っても、かなり苦しそうだ。
第1ボタンは外しておこう。
「あ………、りょ…う……と……」
「喋んな、それと今日は休め、こんな状態じゃ、保健室で寝てるだけになっちまう」
「うん……すまん………」
「家族は?」
「親は出張と、朝早くから仕事………、兄貴は友達ん家……、運が悪い………」
全くである。
稲葉の靴を脱がし、俺も靴を脱いで、稲葉をお姫様抱っこして持ち上げる。
稲葉も抵抗せず、首に腕を回している。
そんなにしんどいのか……。
階段を上がりつつ、聞く。
「こうなった原因は?」
「ストレス……、最近寝るのが遅い……、文研新聞の構想………」
「文研新聞は俺がしとくから、データは後で送っといてくれ……。睡眠薬もいるか?」
「くれ……」
はいはい……。
稲葉の部屋に来た。
ドアを膝で開けて、入る。
とりあえずソファに寝かせるか。
すると、稲葉の力が少し強まった。
「ベッドに移動するの面倒」
「………」
あれ?
稲葉んデレ期かな?
無言でベッドまで向かって、寝かせる。
「ご苦労……、っつーかサンキュな」
「ああ………、で、お前さんの家の鍵貸せ、帰りにまた寄るから」
「お前…………、合鍵作る気じゃ……」
「な訳あるかよ……、少しはマシになってるみたいだな」
軽口言えるくらいには回復したかな。
気持ち、稲葉の顔色も少し良くなった気がした。
稲葉のタンスから部屋着を稲葉の指示通り取り出し、渡した。
「じゃあ、俺行くわ。連絡はいつでも受け付けるから」
「あ、龍斗………、時間……やばいかも……」
そう言われ、稲葉の部屋にあるモノクロの時計を見る。
短針は8と9の間、長針は5と6の間だ。
………………皆勤賞逃した。
いやまあ、この前の三人入れ替わりで逃して居たか。
「…………担任にメール送信しとくか……、ごっさんにも……。あ、おかゆ作ろうか?」
「…………オネガイシマス………」
ということでキッチンでパパッとおかゆを作って、稲葉に食わせた。
俺が作っている間に、稲葉が着替えていたのだが、持って行ったらちょうど上半身ブラだけだったが、恥ずかしがる訳でもなかったので無反応貫いたら、さすがに恥ずかしい、と後で言われました。
稲葉んやっぱ女の子だったんだと正直に思ってしまった俺である。
で、登校したのは2時間目だった。
ごっさんの数学の時間だったので、適当に答えを全て暗算で答えて、寝た。
そして放課後、稲葉の家に来た。
どうやら唯の男性恐怖症解消に太一が頑張ったらしく、唯が自分から太一に挨拶しに行って背中バシバシ叩いてた。
そんな変化なども交えつつ、稲葉には今日のことを伝え、ごっさんにもらったプリントを渡そうと思いつつ、インターホンを押す。
入れと稲葉に言われ、ドアから入る。
他に人いないのか?
「親は帰って来てないし、兄貴もいねえよ」
「そんなに俺、キョロキョロしてたか?」
「まあな」
クックッと笑う稲葉。
おいおい、と言って鍵を返す。
「合鍵は……」
「作ってねえよ………、まだそのネタひっぱるのか?」
「ナイスツッコミ」
「………体調は大分戻って来たか」
「おう、今朝は悪かったな」
全くだ、という言葉を喉で止めつつ、稲葉の様子を伺う。
血色は良く、表情は少し疲れているが今朝ほどではない。
「大丈夫そうだな」
「まあな………、ストレスか………。まあ、来るとは思っていたが……」
「倒れるまでとは……、相当だな。いっそのこと、あいつらに話してみるか?」
「いや、無理………、絶対無理」
「…………強要はしねえよ。だが、また倒れるぞ」
全力で否定されたので、そう言っておいた。
うっと詰まる稲葉。
…………。
「じゃあ、俺帰るわ」
「あ、うん………、ありがとな」
「明日はちゃんと来れるように、今日は休め」
「なあ、後で電話してもいいか?」
「…………おう」
家に帰って寝る前に電話がかかってきた。
義文と唯のカップリングについて話していたら稲葉が寝たので、電話を切って寝る。
あ、そうだ……、と思い、パソコンを開いて文研新聞の記事を書ききる。
「よって、こういった睡眠効果があるので、是非とも睡眠不足に悩まされている人はこの商品、または似通ったものを購入し、適切な使用方法で使用してほしい………っと」
もちろん睡眠導入グッズの紹介だ。
今回は抱き枕などの睡眠導入グッズなどの紹介、それに寝る前にすればいいストレッチなどだ。
書き終わって、ホーム画面に戻すと、メールが来ていた。
平田先生からだ。
『やっほー、リョウくん。あのさ、最近、私に言い寄って来ていたストーカーなんだけど、いきなり来なくなったし、あのこと相談したのリョウくんだけだったから、気になってたんだけど、何かした?』
というより、担任とこういった連絡を取り合っているのは……、まあ、俺だから例外、というより平田先生が例外といった方がいいか。
ああ、そういえばそんなこともあったな、と思い出す。
一ヶ月くらい前だったか、そんなこともあった気がする。
あの時は……、あ、そうだ。
あのストーカー、平田先生のブレスレッドどこで買ったのか聞くに聞けなくておどおどしていたただのサラリーマンだったんだっけか。
『アレはストーカーではなかったようですよ……。平田先生のブレスレッドはどこで売ってるのか聞きたがってただけでして……。俺が紹介した店だったので、その人もその店行ったらしいです。なんでも彼女にプレゼントしたかったらしくてですね。見事結婚したらしいです。先生もファイト』
そう書いて送った。
そういえば稲葉から新聞の原稿送られて来ていないな……。
まあいいか。
そんなもんは、後日でいい。
稲葉と俺が頑張ればなんとかなるさ。
眠気が俺を襲った。
パソコンの電源を落として、ベッドに入る。
布団を自分の腹にかけて、後頭部を枕に埋めた。
電気をリモコンで消して、目を閉じる。
呼吸をだんだんとゆっくりにしていく。
すると眠気が一瞬で俺の意識をかき消した。
夢だ……。
それは純粋に、夢の中の空想。
ふわふわとした感覚が俺を夢と自覚させる。
そこに俺は立って居た。
自分が立つ部分以外、赤い…………紅い水………。
そして紅い水には、剣が多く刺さっている。
長い物、短いもの、大きいもの、小さいもの。
太いもの、細いもの、壊れているもの、新しくできたもの。
そして足元は、どうやら防具、鎧などで足場ができている。
まさに地獄、そう表現すべき場所に俺は立っている。
俺の手や体は赤く濡れている。
ああ、なんだ。
「ああ、そうか、殺したんだったな」
「っ!!!!」
起きた。
上半身を起こし、荒い息を整えるように深呼吸をする。
未だ鼓動が早く、考えをまとめるのには適していない。
「………頭ガンガンする………」
そう言いつつ、窓を見るがまだ真っ暗だ。
時計は午前3時をカチコチと音を立てながら示していた。
「…………………」
紅い水………。
おそらく……、いや、間違いなく……血だ……。
そして、俺の姿は、恐らく制服のワイシャツ姿。
血で汚れ、白色など、全くなく、赤黒く汚れていた。
……………これから殺すという正夢なのか?
それとも、そういう未来もあるという選択肢の一つということなのだろうか?
嫌な夢。
後悔と無力さと、…………………………安心があった。
寒気が一瞬、体を縮ませた。
身震いをするほど、結構強烈な寒気。
安心…………、あの状態での安心とは……?
だが、その疑問は、一瞬で解決される。
溜め込んでいたものを吐き出した事。
風船を膨らまして、爆発させる時と同じだ。
一度爆発してしまえば、次まで時間があるという安心感。
それが、俺の中にあったのだ………。
その日、俺は昼休みにぶっ倒れた。
どうも、遅くなってすいません。
もう、うん、主人公どんだけブラックに落とし込めばいいのだろう?
いやー、原作の重苦しいのを感じさせないところを思いっきり書いてしまっている。
ってか唯のローブロー最強説を書かなかったのはまずかったかな?
というより、他の男子二人のセリフが少なすぎてんああああああああ!!!!!
いつもより少ないですが、今回はここまで。
ではでは、おやすみなさい。