転生者「転生したんでヒーロー目指します」   作:セイントス

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77:起爆

「くそっ!くそっ!?何なんだよありゃあ一体!?」

「…どうか安らかに、死柄木弔」

「いてっ!しみる!…おい黒霧、もっと丁寧にやれ」

 

 

英雄殺しステインの説得には骨が折れた。

 

現に黒霧は左腕を死柄木は右肩を見事に斬り付けられた。死柄木がその事に腹を立て暴れそうになる。黒霧は彼の傷が広がることを心配して宥めると、奥から持ってきた救急道具で治療を始めた。

黒霧も(ヴィラン)の端くれ。満足な医者に掛かれないこともあるため、応急処置の心得はある。幸い、黒霧の怪我は浅く包帯と圧迫だけで住むだろう。

問題は死柄木だ。彼の肩の傷はかなり深く斬られている。大至急手当てが必要だった。傷口に消毒を施すと端から丁寧に縫合していく。普段は中々ここまで本腰を入れた手当てはしないから緊張していた。

本来ならば伝手を使い医者に駆け込むべきだろう…。

 しかし、それをステインが許さない。この場で今すぐに“保須”へ帰せと要求してきたのだ。呑気な事を言っている暇は無かった。ステインには別室で休んで貰い、その時間を使ってようやく治療が終わった。

 

 

「……先生…いるか?」

 

 

突如、死柄木は部屋に設置されたモニターに話しかける。モニターの映像が揺れ、光が波を打った。

 

 

『どうしたのかね?死柄木弔…』

「先生…脳無は何体出来てるんだ?」

 

 

カメラ越しに先生は死柄木を見た。そして目に映った死柄木を見て、先生は口角を上げて笑う。

 

 

『…そうだねえ。雄英襲撃時ほどの奴はいないが、6体までは動作確認完了しているよ』

「よこせ」

『何故?』

 

 

突然の戦力の要求。先生は死柄木の心情を予測しながらも、彼自身の口から答えを聞くために先を促した。

 

 

「ヒーロー殺しが気に入らないからだよ。気に入らないモノはブッ壊していいんだろ先生!」

 

 

死柄木の瞳が爛々と目の前の光を映した。

 

 

───────────────

 

 

職場体験3日目、夕方。

 

大分慣れ親しんで来た体験先のトレーニングルーム。俺は、その中心付近に佇む。

 

 

「では、模擬戦…いってみるかのう?」

 

 

ヒーロー事務所の主であるショタ神が開始の音頭を取ると、戦いに備えて身構える。

眼前に俺と同じように身構えた標的を見据える。

自分よりも一回りも二回りも小さい低身長、未発達な容姿の少女。肩ほどしかないショートの髪型にくりっとした大きな瞳、小さく纏まったその他のパーツが彼女をよりあどけない幼い少女に見せる。

俺でさえ察知出来るほど明確に、目の前の少女が息を吸う。大きく、深く、そして常識外れに長く。

 

彼女の戦闘準備が整った瞬間だった。

 

 

「始めっ!!!」

 

 

ショタ神が張りのある声で試合開始を告げる。

 

先手を打ったのは対戦相手…僕ロリだった。拳をコンパクトに振り抜くと、その拳擊の道筋をなぞるように光る物質が飛び出す。僕ロリの“光の腕”による射撃だった。

飛んでくる光弾は俺を仕留めようと高速で宙を駆ける。

 

 

(…Stamina-10、Agility+10)

 

 

俺は“もう一つの個性”を使う。全身に熱が行き渡り、浸透する。

俺は僕ロリが繰り出した銃弾の如き拳擊を横に飛んで躱す。

 

 

「…ッ!」

 

 

僕ロリの視線が険しくなる。

すぐに次の攻撃が来た。両手の拳を握り、振るう。

 

 

「ワン!ツー!…ワン!ツー! ヾノ。ÒдÓ)ノシ バンバン!!」

 

 

右と左による連続のコンビネーションパンチ。夥しい光弾が俺へと殺到し、空間を圧倒する。

対して弾幕の薄い部分を探し、そこ目掛けて迂回しながら回避していく。

 

僕ロリの弱点…それはエネルギー量の制限だ。以前に聞いた話だが、僕ロリの“光の腕”は肉体に蓄積した「光」をエネルギーとして使用する。

この人工照明しかないトレーニングルームでは、満足にエネルギーを回復出来ずに消費する一方。弾切れは時間の問題だった。

 

…が、しかし、それは昔の話だ。

 

僕ロリはその戦闘能力が、僅か2日で目覚ましい進歩を遂げた。その中で着目するべきは、やはりと言うべきか…あの“波紋法”だ。

“波紋法”は特殊な呼吸法で生命エネルギーを作り出す。実はこの波紋、元々は対吸血鬼用の技術としてジョジョが修得した技で、波紋エネルギー=生命エネルギー=太陽エネルギーなのだ。

つまり波紋を生み出している間、僕ロリの体には太陽光と同質のエネルギーが蓄積し続けることになる。

つまり弾切れは無い。HPとMPが常に自動回復しているような物だ。ぶっちゃけチートだ。

 

僕ロリの攻撃は更に激しくなる。無酸素運動の様な熾烈なオラオララッシュで繰り出された弾幕が一方的に俺の逃げ場を奪う。

 

 

(…Mentality-10、Dexterity+10)

 

 

俺は“もう一つの個性”を重ねて使用する。意識が澄み渡り、感覚が研ぎ澄まされる。

目に見えるものがクリアになり、光弾一つ一つの動きが、かつてよりもハッキリと分かる。

強化された感覚の中で、俺は身を捻り、光の雨を最小限の動きですり抜ける。左右に躱しながらジリジリと距離を詰めていく。

 

 

──コオォォォ…

 

 

僕ロリが一際強く息を吸い、今度は掌底を開き、前に突き出す。

すると僕ロリの手から放出された掌が一気に拡大。巨大な光の壁となって立ちはだかる。

 

 

(…Dexterity-20、Intelligence-20、Strength+30、Durability+10)

 

 

俺は臆すること無く、正面から挑む。全身に力を滾らせて、熱くなった拳を握る。

 

そして全力で振り抜く。

 

 

「ラァッ!?」

「きゃあっ (º ロ º๑)!!」

 

 

激しい衝突音が鳴り響いて、光の掌が弾け飛ぶ。

その際に閃光と爆音が瞬いて、両者の視界を埋め尽くす。

 

 

「…ひっ ฅ(º ロ º ฅ)!?」

 

「そこまで!!ジャックくんの勝ちじゃな…」

 

 

光の中を強引に突破し、僕ロリを組み伏せる。反撃を受けるよりも早く、彼女の眼前に拳を突き付けたところで、試合が終了した。

 

 

 

 

「……はぁ~…負けてしまいました 〣( ºΔº )〣」

「痛たた…結構な火力だったな、今の?」

「ちょっと、おにーさん!最後のは避けて下さいよっ!!出力少し高めだったんですからねっ ( ー̀дー́ )!!」

「いや、いけるかな?…って」

「やめてください!心臓に悪いっ ( ー̀дー́ )」

「ごめんて」

 

 

数拍の沈黙から吐き出された安堵の息。

僕ロリからお小言を貰いながらも、彼女を助け起こす。

 

 

(…Agility-40、Strength-70、Durability-40、Dexterity-60、Stamina+150、Mentality+30、Intelligence+30)

 

 

全身に帯びた熱が少しづつ抜けていく。呼吸を整えると体から痛みが引いていくのを感じた。

…一先ずは“もう一つの個性”を実践に使えるレベルに仕上げる事が出来た。

 

 

 

 

 

 

 

その上で言わせて貰いたい……。

 

 

 

 

 

 

 

この“個性”!地味に使()っかえねええぇぇぇっ!!?

 

 

 

 

“個性:リビルド”

自身の能力を調整する。

 

 

 

 

つまり、この“リビルド”は…

体力(Stamina)、精神力(Mentality)、知性(Intelligence)、筋力(Strength)、敏捷性(Agility)、耐久性(Durability)、器用度(Dexterity)

これら7つの要素を自在に再分配できる。

謂わば、ゲームのキャラクターなんかに良くあるステータス画面を弄れる(・・・)“個性”なのだが…。

 

 

…そう、あくまで再分配なのだ。

つまり、能力を数値に換算した時に合計点が同じにならなければならない。普通の“増強型個性”みたいに+αとして強化されているわけでは無いのだ。

確かにリソースを集中すれば、意のままに自然回復力・打撃力・機動力・耐久力等あらゆる物を強化できる。

 

 

 

しかし、それもすこぶる面倒くさいっ!

 

 

 

例えば、敏捷性を強化すれば足だけが速くなるわけじゃ無い。この敏捷性が強化するのは瞬発力全般だ。つまり初速と加速度が上昇するので拳擊の速度なんかも上がる。しかし、筋力が無いと跳躍力や馬力が足りなくなる。

じゃあ筋力・敏捷性の二極振りでいいんじゃね?とか思うと、そうは問屋が卸さない。

油断して耐久性が不足するとデク君よろしく手足がバッキバキになり、器用度が不足すると飯田君(少年期)の様にコーナーを曲がれなくなる。そもそも知性に至っては、不足すると頭がジャミングウェイと化して“リビルド”が強制解除される。

体力が不足すれば信じられないほど直ぐバテるし、精神力が不足すれば豆腐メンタルになる。

 

身体能力とは緻密なバランスの上で成り立って居るんだ。それこそトランプタワーの様に繊細に…。俺の“転生特典”とやらは、敢えてそれを崩す物だった。

 

…いや、まぁ、使うけどさ?

擬似的にとはいえ能力を特化させられるのは、それなりに使い出がある。

重い物持ち上げたり運ぶだけなら筋力と耐久性の二極振りでいけるし、速く走るなら敏捷性先行の筋力・器用度振りでいける。精神力振りで痛覚無理矢理抑え込めるし、知性振りで計算能力やら思考力が上がる。

…いや、やっぱり器用貧乏だわ、これ。今更ながらに僕ロリの“個性”の秀逸さに嫉妬心が芽生えてきた。

 

 

「……なんです ( •́ㅿ•̀ )?」

「いや、“波紋法”ズルいなって…」

 

 

 

「う~む……やはり、不完全じゃのう…」

 

 

そんなことを考えていると、審判を務めていたショタ神がうんうんと頭を抱えて唸っていた。

 

 

「まぁ、いいかのう…仕上げるだけ仕上げたし…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…それじゃあ一石投じてみようかのう」

 

 

傍らでショタ神が不穏な事を言い出した。

 

 

───────────────

 

 

日が沈み、夜が来る。人々は家路へ急ぎ、街が昼とは違う姿を見せる。

早くから店を開いた居酒屋や立ち飲み屋から喧騒が聞こえ、軽食屋や立ち食いそば屋から立ち上る美味い料理の匂いが空腹を刺激する。

それにつられた仕事帰りのサラリーマンが店に入る。

 

そんな街の空に黒い靄が浮かび上がる。

 

 

「保須市って………思いの外栄えてるな」

 

 

死柄木は街を眺めながらそう呟く。オフィスビル街と聞いていたから、味気ない街かと思いきや中々どうして活気に溢れている。

その言葉を聞いたステインは、振り向きもせずに眼下を見下ろした。

 

 

「この街を正す。それにはまだ…犠牲が要る」

 

 

ステインを街並を睨みつける。実に不愉快で我慢がならないと言った様子だった。

 

 

「先程仰っていた“やるべき事”というやつですか?」

おまえは(・・・・)話がわかる奴だな…。

ヒーローとは偉業をなした者にのみ許される“称号”!多すぎるんだよ…英雄気取りの拝金主義者が!」

 

 

一歩また一歩と歩みを進める。そのまま背負っていた刀をスラリと抜いた。

 

 

「この世が自ら誤りに気付くまで、俺は現れ続ける…」

 

 

そう言い残すと、ステインは夜の闇へと消えていった。

 

 

「…あれだけ偉そうに語っといて、やる事は草の根運動かよ。健気で泣けちゃうねえ」

 

 

しかし、そんな地道な活動も馬鹿に出来た物では無い。

事実としてステインが脅威を振りまいた街では軒並み犯罪率が低下している。

ある評論家は「ヒーロー達の意識向上に繋がっている」と分析し、バッシングを受けたことさえある。

ステインのやっていることは喚起でもあった。「犯罪者はいつ現れるかわからない、警戒しろ、ヒーローとして認められなければ俺は再び現れる」…と警告しているのだ。だからこそヒーロー達は事態に対処すべく、日々備え努々忘れぬようにしているのだ。

 

 

「それは素晴らしい!

ヒーローが頑張って食い扶持減らすのか!ヒーロー殺しはヒーローブリーダーでもあるんだな!

回りくどい!!」

 

 

黒霧が死柄木を説得してなだめると、死柄木は愉快そうに声色を変えてそう返した。

 

実に回りくどい。何故わざわざ街を渡り歩きヒーロー共を煽っているのか?そんなもの日々新しく生まれるヒーローの数を考えれば焼け石に水のイタチごっこだと理解していないのか?

そんなものにかまけるくらいなら政治家にでもなってヒーローライセンスの取得資格でも改正したら如何だろうか?

いちいちそんなこと言ってやるつもりは無いが…ハッキリ言って途方も無く無駄に感じた。

 

 

「やっぱ…合わないんだよ、根本的に…ムカツクしな……」

 

 

根本的に合うわけが無いのだ。

 

ステインは『ヒーローに憧れている』。自身が望む理想のヒーロー像との乖離を受け入れることが出来ずに、否定する。

だからこそ現状(いま)を破壊する。

 

死柄木は『ヒーローに失望している』。自分を助けてくれなかったヒーロー達を受け入れることが出来ずに、否定する。

だからこそ現状(いま)を破壊する。

 

道は違えど行き着く先は同じ。例えそれでも気に入らない。

 

 

「黒霧、脳無(・・)出せ」

 

 

黒霧は言われるがままにゲートを開く、黒い靄が拡大し、そこから改人がゆっくりと出てくる。

 

 

「俺に刃ァつき立ててただで済むかって話だ。ブッ壊したいならブッ壊せばいいって話…。

そう…つまりは大暴れ競争だ」

 

 

ヴィラン連合が保有する凶悪な戦力が闇夜に消えていく。一体…また一体と…。

 

 

「…あんたの面子と矜持…潰してやるぜ。なあ、大先輩?

夜が明ければ世間はあんたの事なんか忘れてるぜ?」

 

 

死柄木が愉快そうにからからと笑い出す。その声は日の沈んだ空に溶けていった。

 

 

───────────────

 

 

「…うん、知ってた」

 

 

俺は今、死んだ魚のような目をしていることだろう。

いやさ、ショタ神がフラグっぽいこと言い出した時点で予測はついては居たのさ?

事務所の建てられたビルの屋上まで連れてこられた時点で察した。

 

 

「…街が…燃えてる… (゜Д゜;)」

 

 

そう、燃えているんだ。この保須の街がヴィラン連合の襲撃によって…。

恐らく、数分もすればヒーロー殺しステインも動き出すだろう。そうなれば路地裏の決戦が始まる。

 

 

「…僕ロリ。念の為、マスク付けろ」

「…はい ( •́ㅿ•̀ )?」

 

 

そう言いながら俺は顔バレ防止用の仮面を着ける。今一度深呼吸して、精神統一した。

 

 

「さて…お主等に試練(しれん)じゃ。課題は『人命救助』…お主等が正しいと判断した行動で動け」

「大雑把っ!?」

 

 

監督不行き届きにも程がある放任発言。しかし、自由に動いていいのは有難い。真っ先にステインの元へ向かえと言うことだろう。急がないと…。

 

 

「ろぉっ!?」

「待たんかい、せっかちめ」

 

 

踵を返し、直ぐにこのビルを出ようとしたところで、ショタ神が俺のコスチュームの裾を引っ張る。思わずひっくり返りそうになった。

そのまま、その小さな身なりに相応しくない馬力で俺を僕ロリのそばに放り投げる。

 

 

「おにーさんっ!?」

「なーに儂は親切じゃからのう…近く(・・)まで送ってやるわい」

「ちょ!?」

 

 

ショタ神の手のひらにぐるぐると風が渦巻く。猛烈に嫌な予感がした。

 

 

「それじゃあ、行ってらっしゃ~~い!」

「ぎゃああぁぁぁあぁっ!!」

「キャアーーッ Σ(ŎдŎ|||)ノノ」

 

 

翳した掌から竜巻が放たれる。それに乗せられて俺達は上空遙か彼方に投げ飛ばされた。

 

 

「マジでか!オイマジでか!!?」

 

 

突風に弄ばれて揉みくちゃにされて飛ぶ俺と僕ロリ。

直ぐ状況に対処する。“ポケット”を使い、風を纏う、以前騎馬戦でやった空中制動を意識してコントロールしていく。そして慎重に距離を詰め、僕ロリを捉まえる。

そして足下に向け大量の風を吐き出し、減速、減速、減速。そのまま街路樹目掛けて墜落した。

 

 

「……痛ちち…怪我無いか、僕ロリ?」

「ふえ~…へ、平気です (´@_@`)」

 

 

良かった。目を回して入るが平気そうだ。

 

 

「…急ぐぞ、もう時間が…」

 

 

 

「キャアアァアアァッ!!」

「うわああぁぁあぁぁっ!」

 

 

 

「っ!?」

 

 

突如聞こえた男女の悲鳴。そして破壊音。

 

 

「っ!おにーさんっ Σ( ̄□ ̄)!!」

「分かってる!向かうぞ!」

「はいっ (`・ω・´)!!」

 

 

木の上から直ぐに飛び降りて走り出す。声のする方、煙の上がる方へ…。

 

 

「…っ!?」

「…!あれは…脳無 Σ( ̄□ ̄)!?」

「いや!嘘だろう!?何だ!あれは…っ!?」

 

 

いや、そんなこと言っちゃ居られない。目の前で暴れる敵は近くに居る一般市民に攻撃しようとしていた。

 

 

(…Stamina-40、Mentality-20、Dexterity-60、Intelligence-30、Agility+60、Strength+60、Durability+30)

 

 

“リビルド”で一瞬でパラメータを組み直す。可能な限り迅速に一直線に一瞬で駆るために…。

 

 

「衝撃のぉっ!ファーストブリットぉっ!!」

 

 

“ポケット”から噴き出した突風が背中を押す。以前よりも遙かに強化…いや尖った(・・・)疾風の一撃が敵を穿つ。

半ば不意打ち気味に繰り出した先制攻撃は眼前の敵を吹き飛ばす。近くにあったビルの外壁をぶち破って、その奥へと叩き込んだ。

 

 

「僕ロ…コロナ(・・・)っ!避難誘導っ!はやくっ!」

「は、はい!二人ともこちらへっ!!こちらの通りを真っ直ぐ!あちらの方に敵はいません、急いで!」

 

 

先程こさえた瓦礫の山が崩れる。その中から敵が顔を出す。

 

 

「あれって…脳無ですよね!なんでここに!?」

「そうだ…確かにあれは脳無…でも違う(・・)っ!」

 

 

ゆっくり…いや、ヨチヨチ(・・・・)歩きで顔を出す敵。

黒色の肌、ズングリムックリとした体に短い手足、丸い顔に剥き出しの脳味噌。

 

 

「アララライ?アラライ!!」

 

 

()体目の改人『脳無』…。俺の知らない敵の姿だった。

 

 

─────────────────

 

 

「騒々しい…阿呆が出たか…?」

 

 

遠くで火が燃える音がする。花火のような爆発の音が何度も鳴り、空が赤く染まる。

今回の阿呆は余程…祭りが好きなようだ…。

 

 

「後で始末してやる…今は…俺が為すべき事を為す」

 

 

贋物共の粛清…それが急務だ。

 

 

ターボヒーロー『インゲニウム』

この保須市に拠点を構え、60名の相棒を抱える。「個々の能力ではなくチームの総合力」で勝負する『チームIDATEN』。

巫山戯るな!戦う力を満足に持たぬ凡俗をヒーローに仕立て上げてどうするっ!そんな欠陥品(・・・)が真の英雄に成れるわけも無い!

あいつは紛い物を乱造(・・)する悪だ!故に粛清する!

 

ヒーリングヒーロー『キラキラペイン』

アイドル路線の駆け出しヒーロー。被災地での後方支援・救急医療を得意とし、被災地の住人を元気づけるため、チャリティーコンサートによる興行活動にも力を入れている。

違うだろう!何時からヒーローは人気取りの手段に成り下がった!ヒーローとして成し遂げた偉業こそが英雄として褒め称えられるべきだろう!

あいつは名声をせがむ悪だ!故に粛清する!

 

 

そして…目の前のヒーロー(ニセモノ)

 

 

ハンターヒーロー『ネイティブ』

自身がハーフで国際色を売りに活動する傍ら、地域の街興しに貢献。地方自治体と姉妹都市を確立し、地域を活性化、経済的に影響をもたらした。それは当人にも利益をもたらしたことだろう。

馬鹿にするのも大概にしろ!ヒーローは見返りを求めてはならない!何故それがわからない!見返りを求めてしまったらそれは純粋な善意ではない!正義ではない!それは打算を含んだ善意…欺瞞だ!

あいつは利権を貪る悪だ!故に粛清する!

 

 

どいつもこいつもヒーローの何たるかを欠片ほども理解していない。

誰かが声を上げねばならない。

誰かが伝えなければならない。

しかし、それでは伝わらなかった。ならば動くしか無いだろう。

誰かが体現せねばならないだろう。

誰かが血に染まらなければならないだろう。

だったら俺がやる…。

 

 

故に粛清する。

 

言及する。

断罪する。

糾弾する。

提起する。

勧告する。

証明する。

否定する。

誇示する。

宣言する。

選定する。

喚起する。

 

粛清する。粛清する。粛清する!…故に殺す。

 

 

「身体が…動かね…。クソ野郎が…!!死ね…!」

 

 

思わず、こいつの顔を握る手に力が籠もった。

 

 

「ヒーローを名乗るなら、死に際の台詞は選べ」

 

 

突如、背後から轟くような音がした!

 

 

──ガシャン!

 

 

聞こえる音の速度を頼りに振り返り際に

刀を振り抜く。

ヘルメットに当たり、相手が吹き飛んだ。

 

 

「スーツを着た子ども…何者だ?」

 

 

襲われている贋物(こいつ)を見て咄嗟に飛び出してきた見習いか?

 

 

「消えろ。子どもの立ち入っていい領域じゃ無い」

 

 

正義感は良い。しかし、まだ未熟な子どもにこのような血濡れた行為は見せるべきでは無い。

 

 

「血のように紅い巻物と全身に携帯した刃物……ヒーロー殺しステインだな!そうだな!?」

 

 

子どもがゆっくりと立ち上がりこちらを睨む。

……ハァ……なんだ…そっち(・・・)か……。

 

 

「おまえを追ってきた!こんなに早く見つかるとはな!!僕は…」

「その目は仇討ちか。

言葉には気を付けろ。場合によっては(・・・・・・・)子どもでも標的になる」

「…標的ですら……無いと言っているのか」

 

 

それでも下がらずに食い下がる。

白を基調にした流線型のマシンのようなフォルム…どこかで…。

 

 

「では聞け犯罪者!僕は…!おまえにやられたヒーローの弟だ!!兄の代わりにおまえを止めに来た!!」

 

 

あぁ…思い出した(・・・・・)…。

 

 

「僕の名を生涯忘れるな!!」

 

 

あいつの名は…。

 

 

「『インゲニウム』!!お前を倒すヒーローの名だ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうか…死ね……」

 




僕ロリ「<●><●>カッ!」
作者「あ…あのう…」
僕ロリ「……正座」
作者「え?」
僕ロリ「正座デス ٩( ๑`ε´๑ )۶
……さあ!遅刻理由を言ってみるがいいです!」
作者「……た…短編を書いてたんです」
僕ロリ「へー?ほー?2本も?余程暇だったんですね( -᷄ω-᷅ )」
作者「(無言で視線逸らし)」
僕ロリ「太陽おおおおっ ( ✧Д✧) カッ!!」

作者「ぎゃああぁぁぁあぁっ!目が…っ!目がぁっ!?」


…茶番はこのくらいにしてちょっと宣伝。
別作品で短編を上げました。マイページから覗きに来て頂けると嬉しいです。
蛇足失礼しました。
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