SPACEBATTLEGIRLヤマト   作:サイレント・レイ

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第13話 冥王星にて

――― 冥王星 ―――

 

 

 冥王星…西暦1930年にアメリカの天文学者クライド・トンボーに発見された太陽系第9番惑星(2006年に準惑星に降格したが…)。

 此の太陽系最後の人類未踏の月より小さい星は、本来は水星と同様に大気の無い岩だけの星なのだが、太陽系制圧を目指すガミラスに橋頭堡として占領されて以降、大気と氷海を有する極寒の星に改造(ガミラスフォーミング)されていた。

 そして、その冥王星のとある場所に存在するガミラスの基地の一角では、ガミラスが捕縛した艦娘達が反乱や脱走されないように艤装だけでなく服や下着までもを取り上げた素っ裸の状態で、暗くて寒い牢に入れられていた。

 尤もガミラスは艦娘達にある程度の治療を施し、1人1人に材質不明の毛布を支給させ、多分1日に1度だけ肉団子のような物(凄く不味い)とパック入りの水を与える、それなりの施しをしていた。

 だがそれは生体サンプルとしての行為らしく、時折艦娘の何人かが何所かに連行されていっており、戦艦娘や空母娘は勿論の事で、巡洋艦娘までが連れていかれて、牢に残っているのは駆逐艦娘だけになっていた。

 その為に残された駆逐艦娘達は何時連行されるか分からない恐怖と、一切の救いを見出だせない絶望的状態から、食事の時以外は毛布に丸まって寝てばかりいた。

 

「……来るぞ!」

 

 だが此所にも例外的な者達はいるらしく、駆逐艦ハツハルが異変を察知して、向かい牢に報せ…

 

「……まったく、辛いのに、大声ださせる事をさせえなや……うぉーい!!!…」

 

…息を乱しながら横になっていた駆逐艦クロシオが起きると、牢の隅のトイレの直ぐ隣の穴にハイハイで近付くと、その穴の中に頭を突っ込んで大声で叫んだ。

 

「…げっ!」

 

「何やってんの!!」

 

「わりぃ、つっかえた」

 

「馬鹿!!」

 

「痛い痛い!!

押すな!」

 

 金属音の交じった足音が聞こえてきたのとほぼ同時に、駆逐艦ナガナミが突き飛ばされる形で穴から出てきて、直ぐに続いて駆逐艦のムラクモとネノヒが出てきた。

 因みに、脱走の手助けになりかねないフォークやスプーンを与えないガミラスが施設に欠陥を作る筈が無かったのだが、此の穴は元は冥王星改造の余波での地盤沈下で出来たらしく、更に此の辺りでは古参に入るムラクモの前の住民達(全員、連行されるか衰弱死)が拡張していたのを、ムラクモ達は引き継いでいたのだ。

 当然ばれたら只ではすまないので、変に擦った胸を痛そうに押さえて転がっているナガナミに冷たい目線を向けながらムラクモとネノヒが穴に蓋をして床を簡単に掃いた後、急いで毛布に丸まって寝た振りをした。

 で、その直後……敢えて言うなら“頭の無いゴリラ”と言うべき形状の警備ロボットが巨体を揺らしながらやって来て、ムラクモ達4人に目線(?)を向けて(多分)レーダーを電子音を出しながら起動して、4人のいる牢に異常が無いかを調べていた。

 で、なんか嫌な間を少し空けて、警備ロボットは回れ右をして一旦戻っていき……再びムラクモ達の所に来ると、檻の柵の一部を解除して左足を掴んで引き摺っていた駆逐艦ウラカゼを投げ入れて彼女が壁に激突して落下した後、ウラカゼの分の毛布を投げ入れると柵を戻して帰っていった。

 

「「「「…っ! ウラカゼ!!!」」」」

 

 警備ロボットが柵を開けたのは連行する為にのだと勘違いして肝を冷やしたムラクモ達4人だったが、それが間違いであり、警備ロボットが去った後に投げ入れられて俯せで失神しているウラカゼに揃って駆け寄った。

 で、ウラカゼを確認した処、抵抗したモノの証と思われる痣が多数あるも、戦傷は最低限の治療は施されて体の至る所に包帯が巻かれていた(の割りには連行が雑だったが)ので、命に別状はなさそうだった。

 

「…で、ムラクモ、どうだったのじゃ?」

 

「なんとか、何所かの外壁に辿り着いた」

 

 ウラカゼの介抱を彼女の姉妹艦であるクロシオに任せたムラクモは、進捗状況を求めたハツハルに答えていた。

 

「……アンタ達、本当に馬鹿ね…」

 

 だが、そんなムラクモ達に、ハツハルの同居人である駆逐艦モチヅキが冷たく否定した。

 そんなモチヅキにムラクモ達4人とハツハルがムッとしたが、先述の通りに彼女達5人の方が例外で、殆どがモチヅキのような思いであり、現に他の牢の者達もモチヅキみたいに言わなくても冷たい目線を向けていた。

 

「こんな事してたって、どうにもならないわよ。

どうせ地球は負ける上に、私達だってみんな殺されるわよ!」

 

 嘗ては此所でも防衛艦隊が冥王星を奪取して自分達を助け出してくれる、そう言う希望を元に励まし合っていた。

 だが、新たに捕らえられた者達から防衛艦隊が壊滅しつつ、海王星以下の太陽系惑星群が次々にガミラスの手に落ちている現状を伝えられて、今やその事を言う者はいなくなっていた。

 更にガミラスが艦娘達に強制労働等をさせずに終始閉じ込め続ける事からの退屈、次々に連行されていく仲間達、それ等に耐えきれなくなって自殺したり拒食症になって衰弱死する者達が絶えず、酷い時には僅かな食料を巡って殺し合いが起こる事もあった。

 現にムラクモやハツハルも、先述の通りに連行されていく者達……特に自分達を励まし続けていた空母タイホウが連行されていった事を…

 

『『『タイホウ!!!』』』

 

『ムラクモ、絶対離すでない!!!』

 

 突然天井から現れた軟体の管がタイホウを頭から飲み込み、ムラクモが当時の同居人2人と共に、彼女の腰や右足を突かんで引っ張り出そうとし、タイホウもヒリュウで抵抗の表れとして左足を激しく振っていた。

 だが管はヒリュウを徐々に飲み込んでおり、更にタイホウごと振り回してムラクモ達3人を振り落とし、此の隙にタイホウを完全に飲み込もうとし、他の2人は打ち所が悪くて伸びてしまったが、ムラクモだけは飲み込まれる直前に両足首を掴んだが、ムラクモとタイホウの2人揃って汗だくの為に滑りやすくなっていた上に変に力が入らない為、少しづつ滑っていき……タイホウの両足首がムラクモの手から抜けた直後に、タイホウが完全に飲み込まれてしまった。

 

『タイホウ!!?』

 

『ムラクモ、助けt…』

 

 尻餅を着いたムラクモが急いで立ち上がろうとしたが、管はタイホウが入って膨らんでいる箇所が奥へ急進して管自体も引き込んでいった。

 

…タイホウを助けれなかっただけでなく、最後に管越しでのタイホウの助けの叫びを聞いた事(幻聴かもしれないが、何者かの嘲笑う声も)もあって、今でも思い出しては悔やんでいた。

 

「……だからと言って、何もしない事は出来ません…」

 

「“艦娘や提督は生きている限り戦い続けろ”か、沖田組は強情だね…」

 

 沖田の思想を守り続けるネノヒ達に駆逐艦マツカゼが苦笑していた。

 

「…だけど、此所から出られたとしても、艤装の無い私達じゃ、冥王星から離脱出来ないよ。

まぁ、例え艤装を取り返せても、地球に辿り着けると思えないし、それよりもガミラスが容易く見逃すと思えないしね」

 

 だがマツカゼの言う通り、艦娘に取っては命であり体の一部である艤装を奪われていては冥王星から離脱出来ない上、此の監禁生活で誰もがガリガリに痩せていて、数日間に及ぶだろう地球への逃避行が出来ると思えなかった。

 まぁ、後者に関してはハツハルは、ムラクモ達4人に自分の分(御陰でハツハルは立って歩けない程に痩せている)を、更に体調を崩してしまったクロシオも他の3人に与えてなんとかしようとしていた。

 

「そんなの、やってみないと分からんねぇだろ!!」

 

 更に諦め状態のマツカゼ達にナガナミが怒鳴って“いー!”とした。

 

「大丈夫ですよ。

地球からの助けは必ず来ます」

 

「何でそんな事を言えんのよ、スズツキ?」

 

 更にハツハル達の牢の隅に座って黙っていた駆逐艦スズツキが禁忌となっていた言葉を言った為、モチヅキが冷たい目線でスズツキに振り向いた。

 

「正直言いますと、スズツキ自身も分からないんです。

ですけど、最近先代涼月が大和と共に沖縄へ赴く夢を見るようになってから、変な希望が沸いてくるんです」

 

「じゃあ、何よ、あの役立たずの戦艦が私達を助けにきてくれるって言うの?」

 

 元々脱出に悲観的だったスズツキが、苦笑しながら根拠の無い事を言った為、モチヅキが呆れていた。

 現にムラクモ達でさえ、“はあ?”となっていた。

 

「だけどさ、スズツキ。

此の二百年以上の間、大和って言う艦娘が現れた事は無いんだよ」

 

「まぁ、確かに、空母ばかり作ってた日本がムツ以降に戦艦娘を建造するって話は聞いた事はないぞ」

 

「ガミラス戦で急遽って事は?」

 

「無いね。 あんな極限状態だと尚更よ」

 

 マツカゼの指摘通り、大和の名を持った艦娘は此の二百年以上の間、姉妹艦の武蔵と信濃を含めて現れた事がなかった。

 更にムラクモが自分達の知らない間に建造されたのではと推測するも自分で否定し、ナガナミに指摘されても改めて否定した。

 

「……う…」

 

「気が付いたか、ウラカゼ?」

 

「久し振りやのぉ~ウラカゼ」

 

「…ナ、ナガナミとクロシオ?

それにネノヒにムラクモ?………って、うわあぁぁー!!?」

 

「なに恥ずかしがってんだ?

此所には野郎はいないんだぜ」

 

 で此の間に、意識が戻ったウラカゼは最初に目に入ったナガナミとクロシオに続いてネノヒやムラクモ達、戦死やMIAに認定されていた者達が多数いた事に驚いていたが、それよりも自分が下着すら着けていない裸である事に気付いて慌てて近くの毛布に丸まった。

 

「って、臭!!!」

 

「仕方ないでしょ。

全員何年も体を洗えていないんだから」

 

 毛布だけてなく艦娘達や牢全体の臭いで、ウラカゼは布団を投げ飛ばすと、顔を赤くして牢の隅に両腕で胸を、両足で股間を隠して踞った。

 だがネノヒの言う通り、此所にいる艦娘達は垢だらけ、中にはシラミを沸かしているとの、老若男女問わずに人間がしていてはよくない状態であった。

 此の恒例行事となっていたウラカゼの行為に加えて彼女が顔を赤くしていた為、皆を代表したムラクモが自分達の現状のを含めて苦笑した。

 只、モチヅキやネノヒみたいな一部の者達は、ウラカゼの胸に冷たい目線を向けていたが…

 

「…っ! そうや、コンゴウ、コンゴウ姉さんは!?」

 

「コンゴウ?」

 

「ウチと一緒に捕らえられた筈なんじゃ!」

 

 ウラカゼの言うコンゴウの事でムラクモ達がキョトンとした。

 

「コンゴウはんは運ばれてへんで」

 

「んじゃ、怪我が酷くてまだ治療中ってのは、無いんか!?」

 

「そんな状態だったら、ガミラスは処分してるぞ」

 

 クロシオとナガナミの返事かろ、コンゴウが殺されたのが大方だと思われて(実際は外れているが)、先代浦風と同様に守るべき戦艦娘を守れずに生き恥を晒しているウラカゼは、自分自身のも含めて床を殴っていた。

 そんなウラカゼにムラクモ達が慰め等を言おうとしたが、その直前に揺れを感じ、更に気持ち爆音らしきモノも聞こえてきていた。

 

「何なんや、此れ!?」

 

「ああ、ガミ公どもが遊星爆弾をまた飛ばしているんだろうよ」

 

 驚き戸惑っているウラカゼに、苦虫を噛み締めたムラクモが説明したが、他の者達はいつもの事なのであまり反応していなかった。

 

「こんな事、いつもの事だって!」

 

「慣れるな!!」

 

 只、ナガナミが笑ってたので、流石にウラカゼに怒鳴られた。

 

「…いや、今回のはおかしいぞ!」

 

 だがマツカゼが気付いた通り、震動がいつもより長く大きかった為、他の牢にいる者達も慌てて起きていた。

 此の事にスズツキが床に耳を当てて集中していたが、暫くすると急に起き上がった。

 

「此れは、ミサイルです!

それも戦略級の大型のです!

ガミラスは戦略ミサイルを多数発射しているんです!」

 

 スズツキの言葉に全員が“えっ”となり、今までガミラスがした事が無かった行為に驚き戸惑っていた。

 勿論、何所に目掛けて撃っているのかを全員察していた。

 

「…奴等、何で今更地球目掛けて撃っているんだ?」

 

「地球で何が起こってんだよ?」

 

 ムラクモやモチヅキの疑問を答えられる者などいる訳がなかった。

 

「……それとも、スズツキの言う通りに、大和とか言う艦娘が現れて、慌てて攻撃をしているのかな?」

 

 スズツキに振り向いたマツカゼはの冗談みたいなのを言ったが、まさかそれが本当だとは思ってもいなかった。




 感想・御意見御待ちしています。

長門
「メ…メル、メルベサーゼ…」(2199版デスラーの演説を言語版で読もうとしている)

…長門、そのガミラス語初級本は何?
 後、その青いペンキをどうする気なんだ?

長門
「い、いやぁ~…ガミラス帝国に仕官出来ないかな~って。
そして冥王星基地の監視長になれないかなぁ~…と思って…」

……陸ぅ~奥ぅ~~ん。

陸奥
「はい!」(さらば2017年ハンマー、装備)

長門
「ぎゃあぁぁー!!!」

 言っておきますが、此の作品は健全な内容に一様していきます!

長門
「助けてぇぇー!!!」

陸奥
「待ちなさぁぁーい!!!」

 けしてアダルトな内容はしません!

 さぁ、いよいよ次回から大和の出撃に入ります!

長門
「…ま……また…変に長引かなければ、いいんだが…(ガクッ)…」

陸奥
「……天誅!」

本作でのヤマトの最後はどうしてほしい?

  • 実写版通りに、特攻
  • なんとしてでも、地球に帰還
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