SPACEBATTLEGIRLヤマト   作:サイレント・レイ

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 僅かながら、防衛軍が冥王星の最新情報を入手。

 僅かに判明した冥王棲姫の補足を追加。
 更に冥王星にて存在が確認された“飛行場姫”と“集積地棲姫”の項目を追加。


 それでは本編をどうぞ。


第17話 紫の闇路の中へ…

――― 防衛司令部 ―――

 

 

「システム、ダウンしました!!」

 

「回復急げ!!!」

 

 ヤマトの波動砲による迎撃で、大爆発を起こした星間ミサイルの影響で地震が起こっていたが、そんな状況下でも防衛司令部では地上の現状を知ろうと必死になっていた。

 

「レーダーやカメラはどうした!!?」

 

「駄目です!!

全部吹っ飛んだ模様です!」

 

「ショウカクやアイオワに確認させる事は出来ないのか!?」

 

「無理です!

アンテナが損傷した上に電波状態が著しく乱れています!」

 

 藤堂や芹沢の質問にオペレーター達が否定していて、芹沢が愕然としていたが、藤堂は背後のキサラギに振り向いた。

 

「…キサラギ、見てきてくれ!!!」

 

「分かりました!!」

 

 藤堂の指示にキサラギは右拳を左胸に当てる敬礼をして了解すると、直ぐに走っていった。

 

『はわわ!

凄い風なのです!』

 

『嫌だ、髪が痛んじゃう!』

 

 暫くした後にイナズマと合流したキサラギが艤装を纏って地上に出たみたいだが、通信機が入っているのに気付かずに私語を言った為に防衛司令部内で笑い声が多数上がった。

 

『…キサラギです!

此れから映像を出します!』

 

 何故か少し間があったが、キサラギが宣言した後にイナズマのカメラで撮られる映像がメインモニターに映し出された。

 で、僅かな砂嵐の後に映されたのは、巨大な茸雲であった。

 日本人なら2発の原爆と共に覚えさせられる代物だが、映っている茸雲は原爆のモノより遥かに巨大であるだけでなく、複数の火の玉を吐き出し、至る所から雷を放ちながら下部が赤く発光していて“禍々しい”の単語をこれでもかと表していて、防衛司令部の面々が茫然と見詰めていた。

 

「ヤマトは!?」

 

 だが問題にすべき事に誰も気付いていないが、映像にはヤマト達が何所にもいなかったが、沖田がナガラ(沖田は兎も角、ナガラも茸雲にギョッとしていた)を連れてやって来た事で我に返った藤堂がその事に気付いた。

 

『……確認…出来ません…』

 

「……溶けて、しまったのでは?」

 

 藤堂の質問へのキサラギの返しに、顔を青くしている芹沢が不謹慎な一言を言ったが、あの茸雲を見たら誰だってそう思うのだろう、誰もがヤマト(達)が“星間ミサイルで焼死”か“波動砲発射に耐え切れずに死亡”のどちらかを思い浮かべて芹沢に反論出来ず、防衛司令部に嫌な空気を漂わせた沈黙が続いた。

 

『キサラギさん、レーダーでヤマトさん達を捉えられないのですか!?』

 

『駄目です!

レーダーがホワイトアウトしています!』

 

『ヤマトさぁーん!!!

何所にいるのですかぁぁー!!?』

 

 イナズマとキサラギはヤマトの死を否定しようとしているらしく、映像が仕切りに左右に揺れたり拡大していた。

 

「……っ!

止めろ、イナズマ!」

 

 その映像で一瞬映った所に、藤堂が何かを察してイナズマに指示を出した。

 そしてイナズマが指示通りにカメラを向けて、拡大し続けていると…

 

『……あ~…死ぬかと思った…』

 

…茸雲からアサシモとレシーテリヌイが出てきて蒸せていた。

 レシーテリヌイのは煙を吐きながらのだった為に笑いを誘っていたが、此の2人で“まさか”が良い意味で思い浮かばれた。

 そしてヤハギとヴェールヌイ(レシーテリヌイの尻を蹴っていた)が出てきた後、ヤマトが自分の艤装にアマツカゼと連装砲君が貼り付いて何かをしている状態で出てきた。

 

『……ヤマト、さんです…』

 

 キサラギが涙声でヤマトを報告し、その後にオオヨド達4人も続いて、最後にアケシがヤマトの波動砲の砲身を抱えながら弄りながら出てきて全員が揃い、見た処ヤマトだけが傷を負った様だった。

 

『……遠征艦隊、全員無事です!!!』

 

 キサラギのらしくない大声での報告に、防衛司令部の面々が一斉に歓声を上げた。

 芹沢がへたれて大きく息を吐いていたが、藤堂は直ぐ脇にまでやって来た沖田に微笑みながら頷き、沖田も頷き返した。

 此の直後にヤマトからの映像通信がメインモニターに映り、一瞬だけ間を置いて防衛司令部の面々が黙ってメインモニターに振り向いた。

 

『言われた通り、波動砲を使用しました。

アケシとアマツカゼの見立てだと、波動エンジンのエネルギー伝動菅が損傷した以外は無事だそうです』

 

 ヤマトの報告に沖田は「そうか」と答えた。

 そして伝導菅を修理補強さえ出来たら、今後は波動砲を問題なく使えるのが分かった。

 そしてモニターに背を映しているアマツカゼが連装砲君から伝動管と思われる物を受け取ってヤマトの艤装に交換していた。

 

『此れで、良かったのですか?

手の内を晒け出してしまいましたよ』

 

「やむを得ない状況だったんだ

今は君達の無事を祝いたい」

 

 ヤマトの質問に沖田、代わって藤堂が答えたが、ヤマトが言っている相手は、一見ガミラスに思えるが、実際はアイオワ達の背後にいる者達も含まれていた。

 まぁ、その事を知ってか知らずか、ヤマトは藤堂に「そうですか…」と答えるだけだった。

 

『…このまま行けって言うのですね』

 

「ああ、ガミラスが対応策を打ち出す前に太陽系を離脱するんだ」

 

 沖田の要望にヤマトは黙って頷いたが、沖田の横の藤堂は“ヤマトがだんだん沖田に似てきた”と内心笑っていた。

 藤堂が一歩前に出ると、沖田以外の全員が一斉に起立、直立した。

 そのまま黙って目を瞑っていたが、“成功祈願”だけでなく“希望”や“願い”を腹の中に限界まで溜め込み、目を開けるとそれ等を一気に吐き出した。

 

「…防衛艦隊司令長官、藤堂兵九郎の名の元に下す。

ヤマト、出撃せよ!!!」

 

 防衛司令部の面々だけでなく、藤堂本人でさえ一番の軍人らしい号令を出した。

 

『了解しました!』

 

 それにヤマトは敬礼を、ヤハギ達は右拳を左胸に当てる敬礼を一斉にして(“間違えた”と思ったのか、ヤマトの目線が少し左右に揺れた)了解した。

 更に防衛司令部の面々も敬礼で、少し遅れて藤堂も敬礼でヤマト達に答礼した。

 ヤマト達と防衛司令部の面々が一斉に手を下ろした後、藤堂は現場司令官と言うべき沖田に振り返って引き継ぎの意味の表情で頷いた。

 その後に沖田が前に出て、藤堂の直ぐ隣に立った。

 

「オオヨド、第三艦隊は?」

 

『ショウカク達ほ既に地球軌道を離脱して、火星軌道の先行偵察を行っている模様です』

 

「第二、第四艦隊は直ちに前進。

第三艦隊と合流後、火星軌道にてワープテストを行う!」

 

 沖田の指示にヤマト達は各々に敬礼しながら「了解!」と返事をして、実行に移った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――― 衛星軌道 ―――

 

 

 地球はガミラスの遊星爆弾によって蒸発した海水が雲に変わった為、現在は金星の様に大半が分厚い雲に覆われていた。

 更にその雲も土埃等を含んでいたらしく、何処汚ならしい色をしていた。

 

「……っ!!」

 

 そんな雲の中を上昇していたヤマト達だったが……雲を抜けた先に、吸い込まれそうな蒼天が……更にその先に星空の真の姿である、暗き闇の中に大きさや色を問わずに大量の星々が光輝く宇宙が広がっていた。

 

「高度2400に到達」

 

「地球大気圏より離脱!

宇宙速度に切り替え!」

 

「…あ、はい!!」

 

 脇にいるオオヨドの報告に合わせ、先行しているヤハギの報せに、ヤマトが変な声を出して続いた為に他の者達が苦笑していた。

 だがそんなヤマトに誰も悪口等を言う者はいない、宇宙に見とれているヤマトの様に初めて宇宙に飛び出した者はこうなるのだからだ。

 

「どう、ヤマト。

宇宙に出た感想は?」

 

「……悪くない」

 

 艦娘と言えど、空気が存在しない宇宙で地球上と変わりなく呼吸と会話が出来る事に驚きと戸惑いがあったものの、アケシの質問へ返したヤマトは笑みを浮かべて機動修整を行った。

 

「私達だってそうでしたからね。

此の宇宙の広さと美しさには、みんな圧倒されてしまうんですよ」

 

 ハツシモの意見に全員が頷き…

 

「レフィなんか、もっと子供みたいにはしゃいでいたよ」

 

「失礼な!!!

レフィはもっとレディーみたいにしたわよ!」

 

…ヴェールヌイに弄られたレシーテリヌイが子供みたいに怒鳴った為に全員が笑った。

 

「……だが、後ろにあるのは…」

 

 イソカゼの言う通り、彼女達の(頭上から)背後には、嘗てユーリイ・ガガーリンが“青いベールを纏った女性”と例えた通りに青く美しい筈が、ガミラスの遊星爆弾によって無惨に赤茶けた地球が存在していた。

 本来なら青い地球にも見とれるのも恒例だったが、現在は此の地球の現状にヤマトの様に地球の絶望的状況を眉を潜めて改めて認知したり、ヤハギ達の様に諸悪の根元であるガミラスに何も出来ないでいる自分自信に悔しさを浮かべる事になっていた。

 

「…私達は此の星に青さを取り戻せるのでしょうか?」

 

「それをしに私達は行くんだよ!!」

 

 思わずネガティブな疑問を言ったハツシモにアサシオが怒鳴って返し、ヤマト以外の他の者達もアサシオに“同感”と頷いた。

 だが此の時のヤマトは、本来の青い地球を見た事がある気がしているだけでなく、宇宙にも妙な懐かしさの、ある筈の無い2つに内心戸惑っていた。

 

「…前方、1時の方角に艦影多数。

ありゃ~、ナトリ達だ!」

 

 アサシオが発見したのは、遠征艦隊出撃の為に哨戒に出ていたナトリ以外のカミカゼ、ハタカゼ、サツキ、ミカヅキ、アヤナミ、サミダレの7人による第一艦隊の面々が地球への帰還途上であった。

 どうやら、ナトリ達はヤマト達を見送りの為にわざわざ前方から脇を過ぎるコースを取っていたらしく、ある程度近付いたら、ヤマト達に向けてナトリの敬礼に合わせてカミカゼ達6人も右拳を左胸に当てる敬礼をした。

 それにヤマト達も各々の敬礼で返し、過ぎ去る間にアヤナミとハツシモがお互いへ頷きあっていたが、此れはアヤナミとハツシモが長年の戦友であっただけでなく、元々は遠征艦隊参加に合格したアヤナミが、性能関係で不合格になりかけていたハツシモに譲った事からであった。

 

「更に右舷より接近する者達多数。

アイオワ達救援艦隊の面々です」

 

 ナトリ達が過ぎていった後、今度はハマカゼが示した方角に、ヤマト達への見送りの為に再集結したアイオワ達21人が前後二列(前列に戦艦娘と空母娘、後列がその他)の横並びでいた。

 

「…Attention!!!」

 

 ヤマト達から距離があったものの、アイオワの号令(ビスマルク、グラーフ・ツェッペリン、ローマの3人が横目で抗議していた)に全員各々に敬礼した。

 

「ヤマト、アイオワ達5人各々から貴女への通信が入ってます」

 

「通信?」

 

 オオヨドの報せにヤマトがキョトンとした。

 

「アイオワからは“Gook lack”、ウォースパイトからは“旅のご無事を”、リシュリューからは“必ず帰ってこい”、ローマからは“4年分のツケを払ってこい”ビスマルクからは“波動砲、寄越せ”、以上です」

 

 オオヨドの生真面目に読み上げた事に加えて、ビスマルクのに全員が“お子様”と内心苦笑していたが、此れ等が彼女達のヤマトへの激励であり、ヤマトが地球を救うべき戦艦娘の代表だと認められた証でもあった。

 更にヤマト達は知らないが、地球上では防衛軍の将兵や艦娘の手の空いている者達全員が、地上に出てきてヤマトがいるだろう空に向かって各々に敬礼していた。

 当然、ヤマトが飛び立った横須賀もそうであり、将兵達に交じって、スズヤやキサラギ以下の艦娘達……艤装が使えないキリシマまでが防護服を纏ってやっていた。

 只、日本の艦娘達の何人かには別の思いも含まれていた。

 そんな地球全土からの願いや思いを察したヤマトは、“これぞ”と言うべき見事な敬礼でアイオワ達に返し、ヤハギ達も右拳を左胸に当てる敬礼でヤマトに続いた。

 手を下ろしたヤマトが前方にへと振り向き、遥々挑むべき星のある方角を見詰めた。

 そこは地球より16万8千光年の大マゼラン銀座……太陽系すら離脱出来ない地球にしてみれば宇宙の彼方と言うべき場所に存在する遥かなる星イスカンダル。

 その道中には数多の苦難が待ち受けている事は簡単に察して一抹の不安はあったが、逆にその不安群が奇妙な高揚感を出していた。

 ヤマトが吹き向いて1人1人確認しているヤハギ達も、強張った笑みを浮かべている事から“自分と同様だろうと”思った。

 

「…宇宙戦艦ヤマト、出撃します!!!」

 

 そんな事からの表れだったのだろう、ヤマトは必要以上な大声を発して外宇宙へと加速し、ヤハギ達もそれに続いた。

 

「「……Oh…」」

「「「……ふん!」」」

 

 ヤマト達を見送るアイオワ達だったが、ヤハギ達が後ろの地球に振り向いていた(レシーテリヌイに至っては振り向き過ぎていてヴェールヌイに殴られていた)のに、ヤマトは振り返ろうとしない上にその気配が全く無く、それ後ろ姿が“美しさ”と“勇ましさ”を醸し出すだけでなく“別れじゃない”と心に言っている様に見えていた。

 だが、“ヤマトは地球に未練が無い”とも思えもしてしまうが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『………』

 

……だが、そんなヤマト(達)を密かに見続けている潜望鏡があった事を誰も知らない…




 感想・ご意見お待ちしています。

 今回の投稿に合わせて“設定 艦娘”を解禁いたします。
 此れも先に公開したガミラスのと同様に更新や丸ごと交換を行った場合は後書きか前書きでお知らせします。

 それにしても、ヤマトと言ったら後ろ姿で見せてくれるよねぇ~…
 こんな風に背中で見せてくれるのって、ヤマト以外ではFateシリーズのアーチャー(エミヤ)ぐらいしかいないな。

大和
「17話でやっと地球を離脱出来ましたね」

…長かった……第一目標にしていた“ヤマトの地球離脱”までいけた。
 此れでやっと本編か、新編に入れた。
 此れからは太陽系をさ迷って貰う事になるが、次の目標は百話以内に冥王星(&第十一番惑星?)を落とす、欲を言えばガス生命体の処に行くつもりです。
 ガミラスもメインとなるオリジナル棲姫・冥王棲姫だけでなく、オリジナル棲鬼・潜宙棲鬼だけでなく、新たに確認された飛行場姫と集積地棲姫を立ち塞がらせます。

 冥王星を突破した時点でそうかもしれませんが、それ等を越えたら、間違いなく公式・非公式問わずに艦これ史上最長距離の航海が本格化します。
 此の作品が上手く完結出来たら、少なくとも“ヤマトよ永遠に(片道四十万光年)”との二次クロス作品が出るまでは安泰(?)となるかもしれませんね。

大和
「しかし、百話とは随分とハードルが低いですね」

 本当は“五十話以内に”だったんだけど、思ってた以上に文字数が必要と分かって成功率が四割を下回りそうだったので…

 さあ、次回やるのは実写版ヤマト原作で言ったら、古代と島の会話からの加藤達が登場する場面に該当する事をやります。
 その後は、回想をやってから、ワープ実験からの木星沖での空母艦隊の襲来、本作オリジナルの一旦戻って火星・木星間での潜宙棲鬼(➕α?)との戦い、土星には寄らずに冥王星攻略戦、第十一番惑星で艦これアーケードの追撃戦みたいな事を多分やってから、最後にガス生命体を振り切る場面の順にやっていく予定です。

 それと投稿速度が大幅に遅くなります。

大和
「此の半月間のが異常でしたからね。
話数が倍近くになりましたよ」

本作でのヤマトの最後はどうしてほしい?

  • 実写版通りに、特攻
  • なんとしてでも、地球に帰還
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