― 無限に広がる大宇宙… ―
― 静寂な光に満ちた世界… ―
― 生まれていく星も有れば… ―
― 死んでゆく星も有る… ―
― そうだ… ―
― 宇宙は生きているのだ… ―
― その命溢れる大宇宙の大海原に… ―
― 254年の眠りから目覚め、生まれ変わった宇宙戦艦ヤマトが仲間達と共に乗り出していた… ―
― 全ては終末を迎えようとしている母なる地球を救うべく… ―
― 遥かなる星イスカンダルを目指して… ―
――― 地球・火星間宙域 ―――
此の時のヤマト達はと言うと、先行して哨戒活動をしているショウカク達第三艦隊に合流しようと火星軌道に向かっていた。
だが、その火星軌道に到着するまで約24時間掛かり、その間に唯単に航行する訳がなく、改良された艤装の慣らしと動作確認も兼ねた演習が行われていた。
此れには、ガミラス艦隊が確認されなかっただけでなく、艦隊襲来の可能性が皆無であると判断された事もあった。
「…っ!?」
「当たった!」
ヤマトの敵側として、彼女に接近しようとするイソカゼを教導艦としたハマカゼ、丹陽、アマツカゼの4人に、ヤマトが放った主砲がアマツカゼに直撃した事にハマカゼが驚いた。
因みにヤマト達の武装は現在、演習用に最小出力且つ最大限に拡散されていたので、怪我や損傷等はまず起こりえなかったが、それでも被弾したら静電気レベルの痛みはあった。
まぁ、それでも実戦さながらの緊張感がある割りに費用や資材が極めて安くすむ(砲弾等が使われないので当たり前)為、技術革新さまさまである。
「アマツカゼ!!
アンタ、エンジン弄ってばっかりで鈍ってない!?」
「五月蝿い!!!」
唯一、判定員を務める事もあって演習未参加のアケシの笑いながらの指摘に、イソカゼとハマカゼに冷たい目で見られた事もあって、アマツカゼが撃沈判定で離脱しながら顔を赤くして怒鳴って返した。
だがヤマトの砲撃は続いており、ヤマトの次射が丹陽を狙って飛んだが、その丹陽は下に沈んで避けた。
「……やりますね…」
「伊達に中国唯一のまともに動ける駆逐艦娘である訳じゃないな」
もう1発きたヤマトの砲撃をも避けた丹陽に、ハマカゼとイソカゼが感心しつつ、そのそっくりな容姿からユキカゼに重ねて見ていた。
だが攻撃を受けている事に変わりなく、更にヤマト前方のタマとヤマト左右各々にいるヤハギとオオヨドも射撃を開始した事もあって、単縦陣の先頭のイソカゼが退避行動を取ってハマカゼと丹陽も続き、更にイソカゼはわざと隙を見せてヤマトを誘おうとしたが、当のヤマトは射撃は続けるも速度を落としていた。
イソカゼとハマカゼが目線を合わせて歯軋りをしつつヤマトの行動に感心していたが、今度は反対方向からハツシモを教導艦としたアサシモ、レシーテリヌイ、ヴェールヌイの4人が突進してきた。
「オオヨド、イソカゼ達をお任せします」
「了解しました!」
当然、ヤマトは、退避したイソカゼ達への追撃をオオヨドに命じ、自分達はハツシモ達への射撃を開始したが、ハツシモの巧みな動きに騙されて、上下どちらかにぶれていた。
しかもハツシモは、反応が僅かに鈍くて弱点になりえそうなレシーテリヌイを上手くカバーしていたのだから、見事の一言であった。
「ヤマト、また上下にぶれてるニャ!
此所が宇宙だと言うのを忘れるなニャ!」
タマの注意通り、前後左右の二次元での戦闘のみだった海上のとは違って、宇宙には上下がプラスされた三次元で戦わなくてはいけないのだが、今まで海上での戦闘しか知らなかったヤマトはどうしても上下の感覚を忘れる傾向があった。
まぁ、深海棲艦戦時での三次元戦闘をやっていたのは戦闘機か潜水艦ぐらいだけだったが、元々対空射撃が苦手傾向だったヤマト(と言っても旧日本海軍で対空射撃のやり手と言えたのは秋月級駆逐艦の姉妹くらい)に取っては、どうしても昔の感覚でやってしまっていた。
「……武蔵だったら、上手くやれてれたかもね…」
一斉射撃から主砲3基と副砲2基による交互射撃に切り換えたヤマトは、武蔵を思いながら冷や汗を流していた。
幾ら深海棲艦戦時より2百年以上が経過した現在、あらゆるスピードが遥かに向上していたが、それに合わせてレーダー等の射撃関連機器も発達するだけでなく、砲兵器も光線化する事で、弾速が遥かに向上と散布界が無きに等しい状態になっていたが、それでも兵器は人が扱う物に変わっていない事を、ヤマトを噛み締めていた。
「…っ!」
だからと言ってヤマトが戦艦娘として失格点だとは言い切れない。
現にハツシモはヤマトの射撃を悉く避けていたが、そのヤマトの射撃全てが牽制打になっていた為に近付く事が出来ずに悔しさを表情に出していた。
更にヤマトの絶妙な動きに合わせたヤハギとタマも射撃に加わり、ヤマトが追撃か退避どちらかの動きを取れる様に備えているのを察したヤハギとタマが感心していた。
只、ヤマトの動きは戦艦としては異端とも思えるモノであった。
「ああ―!!
うざってぇぇー!!!」
で、こんな状態に我慢出来なくなったアサシモが雄叫びを上げると、ハツシモの消極的な動きもあって彼女の右脇から前に出て、更にレシーテリヌイも続いてしまった。
「…っ!
次は当てる!!」
「Yapa!!!」
アサシモとレシーテリヌイ(彼女のみヴェールヌイが背中を掴んで止めようとした)の独断で艦列が乱れ、慌てたハツシモが立て直せない事からの隙を見出だしたヤマトが、宣言通りに一斉射に戻したら、少し間を置いてアサシモが直撃した。
更に後ろに吹き飛ばされたアサシモを回避したレシーテリヌイがヴェールヌイ共々ヤハギとタマの集中砲火に捕まった。
「アサシモ、レフィ!!!
アンタ等、何やってんの!!?」
当然ながら、そんなアサシモとレシーテリヌイにアケシが怒鳴った。
更に随伴の3人が一気に失われた事に顔をしかめたハツシモにヤマト、ヤハギ、タマの3人係りの集中砲火を、少しの間避け続けたのは流石の一言だったが、積極性が無かった事もあってヤマトの射撃が直撃した。
「ハツシモ、残念!!」
「仕方がないです」
直撃した事にアケシが同情の言葉を掛けていたが、当のハツシモはアサシモとレシーテリヌイの暴走を予測して止める事が出来なかった事に苦笑していた。
「ユウダチだったら、もっと積極的だったぞ」
「アンタは黙ってろ!!!」
あまり反省していないアサシモにアケシが何かを投げながら怒鳴ったが、今は亡き積極性の塊だった駆逐艦ユウダチ程でないにしろ、積極的に出来なかった自分自身を責めていたハツシモがシュンとしていた。
「う~…」
「聞いてんのかぁぁー!!?」
そんなハツシモを、アサシモが額のたん瘤を押さえながら唸り声を上げながら睨んでいた為、説教をしていたアケシが更に怒鳴ったので、ヤマト達3人が笑っていた。
只、レシーテリヌイがヴェールヌイの怒りの関節技で失神していたのは見なかった事にしていたが…
「御免なさい、ヤマト!!
突破された!」
だが、演習は続いている通りに敵側の駆逐艦娘はまだおり、現に一旦退避していたイソカゼ達3人が……イソカゼがオオヨドに撃沈判定となったが、そのオオヨドを大破判定にしたハマカゼと丹陽が振り切ったとの、叫びながらの報告にヤマト達3人が揃って振り向いた。
「…っ!? しまった!!!」
「…っ!? しまったニャ!!!」
当然、ヤハギとタマが直ぐにハマカゼと丹陽の2人を迎撃打を放ったが、そのハマカゼと丹陽が上下に別れた回避した事に驚いて硬直した。
更にハマカゼと丹陽はそのままヤマトを上下からの挟み撃ち状態で、2人同時に主砲を放って更に魚雷を放とうとしたが…
「…え?」
「…ふえ?」
…標的のヤマトが前方に倒れたと思ったら、体を捻って2人の射撃を避けただけでなく、そのまま第一、第二主砲を2基の副砲と共に左右各々に旋回させると、ハマカゼと丹陽の2人を同時に狙い撃った。
此のヤマトの動きにハマカゼと丹陽は気を取られて直撃した。
「演習終了!!
ヤマト達の勝ち!!!」
ハマカゼが舌打ちして、丹陽が頭を抱えていた中で、アケシがヤマト達への勝利判定を叫んだ。
「……ふぅ~…」
演習終了後、アケシに代わってイソカゼとハマカゼからアサシモが説教を受けていて、アケシがオオヨドを弄っていたが、ヤマトが大きく息を吐きながら額の汗を拭っていた。
肝心の射撃が駄目駄目だった事への反省で、第二主砲に右手を当てて見詰めていたが、主砲に写る自分の顔の脇に小馬鹿にしたかの様にニヤけた鈴谷と伊勢の顔が見えている気がしていた。
「ヤマト、お疲れさま!」
「お疲れさまニャ!」
そんなヤマトにヤハギとタマが声を掛けた。
「…砲撃がこんな様じゃ、私はまだまだですね」
「でも砲弾でヌ級とル級を初弾で当てたって言うじゃないか」
「いや、呉の事情は特殊だったニャ。
ヌ級やル級は油断もあって速度を落としていたニャ。
多分、普段通りの動きをしていたら、直撃は難しかったと思うニャ」
自虐的なヤマトにヤハギがフォローしようとしたが、タマの指摘でヤハギがウッとしてヤマトが苦笑した。
だが実際問題、元々輸送ワ級でさえも高速にして速度を最優先としていた深海棲艦、更にガミラスは速度に加えて機動性をも優先していて、ガミラスもまた戦艦(戦艦ル級はそれ以外にも問題があったが…)をあまり前にだそうとしていなかった。
此の為、深海棲艦戦時の日本は航空戦力を優先していた上に速度の遅い戦艦が不遇な扱いをして、更に此の時の事がトラウマになっていたらしい現在の日本海軍は後方艦以外の多くを高速化させていた。
「だけど、足は大したモノだったニャ。
コンゴウ達よりも上手かったニャ」
だがヤマトは砲撃に反して動きはタマも目を見張るモノであったが、ヤマトのは戦艦らしからぬモノで、敢えて言えば駆逐艦や巡洋艦のに近かく、その事はヤハギも感じている様だった。
「私は教導役の人達に、砲撃より足の動きを優先的に鍛えられました。
足は唯避ける為だけでなく、相手より優位な位置を得る為になによりも必要不可欠なモノだとね」
「へぇ~…」
「誰が教導役だったんだニャ?」
「重巡の鈴谷、戦艦の榛名、伊勢、日向。
あと特別指南役に近い形で重巡鳥海もいたけど、鳥海は南海に行ってばかりだったけどね」
「ああ、前の伊勢級戦艦の姉妹!」
「あの姉妹がヤマトの教導役だったんだニャ」
瑞鶴以下の4人の空母が沈んで日本空母艦隊が事実上終焉したエンガノ沖海戦での全弾回避を成し遂げた先代伊勢級戦艦の姉妹の回避運動の天才度合いは後世でも有名であり、その姉妹に鍛えられたヤマト(大和)がレイテ沖海戦や呉軍港空襲を殆ど無傷でいれた理由を納得していた。
蛇足ながら、波動砲が最も目にいくのだが、此の足の良さこそが、ヤマトがイスカンダル遠征をやり遂げる最大の要因と指摘する研究者達が多数いる。
「しかし、波動砲の試射も含めて復帰早々に大仕事でしたね」
「でも、今度は火星軌道でのワープ実験だよ、ワープ」
ヤハギの労いへのヤマトの返しに、ヤハギとタマが苦笑した。
「それにしてもヤハギ、此の遠征に志願していたんだニャ」
「ええ、此れが最後の艦隊になるだろうし、なによりもサカワの為にもね」
「ああ、サカワ」
先代矢矧は妹の酒匂を溺愛していたが、どうやら此のヤハギも妹サカワにそうである様だった。
「サカワはどうなったの?」
「アガノ姉に任せてきた。
ぐうたらだけど、アガノ姉ならサカワに変な事はしないだろうしね」
因みに同じアガノ級である、サカワと長姉アガノは比較的軽傷且つ性能も申し分無かったのだが、アガノは性格的問題で、サカワは艤装未完成状態且つ技量不足の理由で地球残留となっていた。
まぁ、アガノは兎も角として、矢矧が酒匂の天一号作戦未参加を残念半分安心半分の複雑な思いだった様に、ヤハギもサカワの遠征未参加に同じ様な思いの様だった。
「サカワの為にも帰ってこないといけないニャ」
タマにヤハギが笑顔で頷いたが、自分と違ってタマは姉のクマ、妹のキタガミ、オオイの計3人が戦死かMIAになっているので寂しさが感じられたのでヤハギが直ぐに謝った。
「それにヤマトがイスカンダルに行くって言うんだから、先代に代わって守り行かせないと思ったしね」
「…貴女、確か佐世保にいたんでしたよね?」
「そうだニャ。
ヤハギが坊ノ岬でのヤマトを見つけた第一発見者だったんだニャ」
ヤマトの事を早くから知っていたヤハギにヤマト本人が疑問を感じたが、代わって答えたタマの返事に納得した。
「と言っても、私は失神していたから殆ど覚えていないんだけどね。
私に言わせたら、ヤマトを最初に見つけたのはイソカゼとハマカゼと思う」
苦笑しながらヤハギは、そのイソカゼとハマカゼの二人に振り向いた。
で、イソカゼとハマカゼはと言うと、ヤマトが最後にした横ロールしながらの射撃をマネをしようとしているアサシモとレシーテリヌイを笑いながら色々指摘していた。
「…ねぇ、ヤハギ、私が見つかった時って、どんなのだった教えてくれな」
ヤマトにヤハギは“勿論”と頷いた。
「……あの時、木星沖海戦の後日、怪我で参加出来なかった私は熱を出したナカに代わってレアメタルの回収に坊ノ岬に行っていたわ…」
感想・ご意見お待ちしています。
今回上げた大和の教導役を務めたとした者達は、戦艦『大和』の歴代艦長達が『大和』艦長就任前に艦長だった艦に関係しています。
で下記はその通り。
艤装委員長&初代:宮里秀徳、工作艦『明石』
二代目:高柳儀八、戦艦『伊勢』
三代目:松田千秋、戦艦『日向』
四代目:大野竹二、重巡『鈴谷』
五代目:森下信衛、戦艦『榛名』
六代目:有賀幸作、重巡『鳥海』
因みに、後々書く予定の武蔵の教導役も同じ法則で以下の通りに決めていますが、数が少ないので死んだ比叡の代わりに山城が加わった等色々とする予定です。
艤装委員長&初代:有馬馨、戦艦『比叡』
二代目:古村啓蔵、戦艦『扶桑』
三代目:朝倉豊次&四代目:猪口敏平、重巡『高雄』
蛇足ながら、歴代艦長を調べたら話のネタに出来るかもしれませんよ。
特に個人的に面白いと思っているのが『蒼龍』と『飛龍』、『蒼龍』の歴代艦長の多くは後に『赤城』や『加賀』の艦長に、『飛龍』の歴代艦長の多くは後に翔鶴級のどちらかの艦長になっています。
此の事から蒼龍は赤城と加賀にべったり、飛龍は翔鶴と瑞鶴にかまってばっかりと思い浮かべるのも案外馬鹿に出来ませんよ……尤も此の作品では使い道は無いけどね(苦笑)
次回は回想と言う形で、実写版における“古代が通信カプセルを見つける”から“沖田に突っかかる古代”の場面に、オリジナル版&2199版での“火星からの退却”と“古代と島が偵察機の追撃失敗後に戦艦『大和』を見つける”を足したのを行ないます。
本作でのヤマトの最後はどうしてほしい?
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実写版通りに、特攻
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なんとしてでも、地球に帰還